(21ページ目)賃貸マンションの台風被害、大家さんは補償してくれる?火災保険の落とし穴


台風や大雨のシーズン、窓の隙間から雨が吹き込んで、大事な家具や家電がダメになったら・・・そんな不安、感じたことはありませんか?

鹿児島県でも昨年は線状降水帯による大雨で、私たちがいる霧島市は約30年ぶりに大規模な浸水被害がありました。

激甚化したといわれる天災地変に我々は備えねばならなくなってきました。

さて、そんな台風や記録的な豪雨などにより、賃貸中のお部屋で被害があった場合は、どのようになるのでしょうか。

みなさんの大切している洋服や家具、家電、お持ちのプレイステーション5やブランド物などは?責任は?

「借りてる部屋で起きたことだから、大家さんに責任があるんじゃないの?」

「大雨や台風被害だから、管理会社が家財道具も補償してくれるのが筋でしょ」

結論からいきますと

「天災による家財の被害は、大家さん、管理会社の責任にはならないケースがほとんどです」

どういうことでしょう?

「大家さんが直してくれる」は、実は思い込み

「え、賃貸なんだから、何かあったら大家さんが直してくれるんじゃないの?」

そう思われている方、実はかなり多いんです。

もちろん、そのお気持ちはよく分かります。

毎月家賃を払っているんだから、いざという時は大家さんが何とかしてくれる。

退去の時には「原状回復は貸主負担」なんて話も聞くし、それなら家財も同じなんじゃないの?そんな風に考えるのも、決して無理はありません。

しかし、実はそうではないんです。

大家さんが負っているのは「使用収益させる義務」というもので、簡単に言えば、建物や設備を正常に使える状態にしておく義務です。

雨漏りがすれば屋根や外壁を直す、エアコンが壊れれば直す。

これはあくまで「建物本体」に対する義務なんです。

一方で、その中にある家具・家電・衣類・布団といった「家財」は、大家さんの持ち物ではありません。

入居者であるみなさん自身の財産です。

自分の財産は、まず自分で守る。

これが大原則になります。

そして、台風や大雨のような天災による被害は、原則として大家さんに補償義務はない、というのが基本的な考え方です。

ただ、これも全て「台風だから絶対に大家さんの責任なし」という単純な話ではありません。

ざっくり言うと、判断のポイントは2つです。

ひとつは、建物そのものに問題がなかったか。

以前から雨漏りを指摘されていたのに直していなかった・・・というような「本来直しておくべきことを放置していた」場合は、話が変わってきます。

もうひとつは、その台風が「この地域では普通に来るレベル」だったのか、それとも「記録的な、めったにないレベル」だったのか。

よくある規模の台風で被害が出たのであれば大家さん側の管理不足を疑われることもありますし、逆に周辺一帯が多くの被害が出るような暴風雨であれば、大家さんにもどうしようもなかった、と判断されやすくなります。

ちなみに鹿児島・霧島は台風がほぼ毎年来る地域なので、「普通に来るレベル」の基準自体が、他の地域よりやや高めに見られがちです。

とはいえ、この「建物に問題があったか」「台風は普通だったか異常だったか」という判断は、専門家でも意見が割れるグレーな領域です。

仮に大家さんに責任がありそうだと思っても、それを証明して実際に補償してもらうまでには、時間も労力もかかります。

それに、天災のたびに入居者さんの家財まで大家さんが無条件で弁償していたら、賃貸経営自体が成り立たなくなってしまうのも正直なところです。

だからこそ、「大家さんの責任を追及できるかどうか」に自分の暮らしを賭けるよりも、確実に、しかも早く動いてくれる備えを自分で持っておく方が、よほど現実的な安心につながります。

家財を守っているのは、実は「火災保険」

では、家財が濡れてしまったらどうすればいいのか。

そこで頼りになるのが「火災保険」です。

「火災保険?うちは入った覚えないけど・・・」と思われた方もいるかもしれません。

実は、賃貸契約を結ぶときに、ほとんどの方がこの保険にセットで加入しています。

最初に契約する時に、営業マンなどから説明を受けて、掛けてから入居になっているハズです。

ですが、多くの方はこの保険を「自分が誰かに迷惑を掛けた時の、大家さんや他の入居者さんへの賠償のための保険」だと思っています。

確かにその側面もあるのですが、実はこの保険、正式には「家財保険」と呼ばれる部分を含んでいて、自分自身の家具や家電もしっかりカバーしてくれる商品なんです。

つまり、台風で窓から雨水が吹き込んで、テレビやパソコン、大事な家具がダメになってしまった。

そんな時、この保険に加入していれば、修理費や買い替え費用を補償してもらえる可能性があるんです。

明暗を分けた「更新忘れ」

ちなみに、台風のシーズンになると「家財が濡れてしまったんですが、大家さんに直してもらえますか」というご相談を、私たち管理会社は毎年何件かいただきます。

同じような被害でも、保険に加入していた方は、被害状況を写真に収めて保険会社へ連絡し、無事に補償を受けられました。

一方で、保険に入っていなかった、あるいは入っていたはずなのに更新を忘れていた方は、すべて自己負担になってしまう・・・そんな明暗が分かれる場面を、何度も見てきました。

そう、ここで一番怖いのが「更新忘れ」なんです。

多くの火災保険は、2年契約になっています。

賃貸契約の更新(2年に一度)とセットになっていることが多いのですが、保険契約の更新案内は管理会社からではなく、保険会社や代理店から直接届くことがほとんどです。

引っ越しのバタバタで住所変更を忘れていたり、案内のハガキをうっかり見落としていたり。気づいたら保険が切れていた、というケースは決して珍しくありません。

台風シーズン前に確認したい3つのこと

では、どうすればいいのか。

台風シーズンが本格化する前に、ぜひ一度チェックしていただきたいことがあります。

  • お手元の保険証券(契約時に受け取った書類)を確認し、保険期間がいつまでかを見る
  • 分からなければ、保険会社や代理店に直接問い合わせて、契約が今も有効か確認する
  • 契約時のプランで、家財の補償額(時価額)がどの程度に設定されているかも合わせて見ておく

これだけで、いざという時の安心感がまったく違います。

知っておけば、怖くない

いかがでしたでしょうか。

台風や大雨で家財が被害を受けても、大家さんが全て何とかしてくれるわけではありません。

でも、それを知っておけば、決して怖いことではないんです。

自分の身は、自分が入っている保険が守ってくれる。

そのことを知って、しっかり備えておけば大丈夫です。

このシーズン、ぜひ一度、ご自身の保険を確認してみてください。

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