(19ページ目)【台風対策】窓ガラスに養生テープは意味がない!?不動産屋が明かす本当の効果と、退去時に泣かないためのリアルな注意点

これからの季節、鹿児島に住む私たちにとって避けて通れないのが「台風」です。

テレビのニュースで「大型の台風が接近中」と流れた瞬間に、霧島市や姶良市のホームセンターから、ある商品が一斉に姿を消します。

そう、養生テープです。

賃貸マンションやアパートにお住まいの入居者様からも、この時期になると「ガラスが割れるのが怖いので、窓ガラスに養生テープを米の字に貼れば割れませんか?」というお問合せを本当によくいただきます。

SNSを開けば、綺麗に「米」の形にテープが貼られた窓の写真がたくさん流れてきますよね。

でも、多くの人が勘違いしている点もあります。

結論から言います。

窓ガラスに養生テープを貼っても、風圧でガラスが割れるのを防ぐ効果はほとんどありません。

これを聞いて「えっ、じゃあ今までの苦労は何だったの!?」とショックを受けた方もいるかもしれません。

今回は、なぜ養生テープでは風圧を防げないのかという構造的な理由と、賃貸で本当にやるべき対策、そして台風が去った後に待っている「もう一つの恐ろしい退去時トラブル」についてお話しします。

そもそも割れるのを防止するためではない

そもそも、なぜ多くの人が「養生テープを貼れば風圧に耐えられる」と勘違いしてしまうのでしょうか。

それは、ガラスが「風の力」で割れると思っているからです。

実は、現在の建築基準法に基づいて建てられた一般的な賃貸マンションやアパートの窓ガラスは、よほどの大型台風であっても、純粋な「風圧」だけで割れることは滅多にありません。

養生テープを張ることで、多少は振動を抑える効果が無くは無いのでしょうが、効果は限定的だと思います。

先ほど申した通り、余程の最大瞬間風速を叩きつけられた場合には、最早養生テープではどうしようもないと思います。

では、なぜ台風の日に窓ガラスが割れるのか。

原因のほとんどは、風で飛ばされてきた「飛来物」です。

近所の家の瓦、看板、ベランダに放置された物干し竿、あるいは誰かがポイ捨てしたビニール傘、小石などの本当に小さな物。

これらが猛烈な強風に乗って、まるで砲弾のように窓ガラスに激突するから割れるのです。

想像してみてください。

猛スピードで飛んできた頑固な瓦が窓にぶつかったとき、ガラスの表面に貼られた数ミリのプラスチック製テープが、その衝撃を跳ね返せるでしょうか。

無理です。

テープにそんな物理的な防御力はありません。

じゃあ、養生テープを貼る意味は全くないのかと言われれば、そうではありません。

養生テープの本当の効果は「割れるのを防ぐこと」ではなく、「割れてしまった後に、ガラスの破片が室内に飛び散るのを防ぐこと」にあります。

つまり、風圧対策ではなく、二次被害を防ぐための「飛散防止」が本来の目的です。

これを勘違いして「テープを貼ったから絶対に割れないぞ」と窓のすぐそばで寝てしまうのが、一番危険なのです。

では、飛来物から身を守るために、賃貸でできる最も合理的で効果的な対策とは何でしょうか。

テープを米の字に貼るだけでも飛散防止には役に立ちますが、それでも尖った部分が落ちることは避けにくいです。

本当に対策を強化したいなら、窓の内側に「段ボール」または「プラスチック段ボール(プラダン)」を全面に貼り付けてください。

窓ガラスのサイズに合わせてカットした段ボールを、室内側から窓枠にしっかり養生テープで固定するのです。

こうすることで、万が一外から飛来物が当たってガラスが割れてしまったとしても、段ボールが防波堤となり、鋭利なガラスの破片や猛烈な暴風雨が室内に一気に流れ込んでくるのを物理的に食い止めることができます。

あわせて、台風が最接近している間は、必ずカーテンをきっちり閉めて、真ん中を洗濯バサミなどでパチッと留めておきましょう。

これだけでも、万が一の飛散時の被害を最小限に抑えることができます。

最大の注意は台風後

無事に台風が過ぎ去り、霧島連山の向こうに綺麗なお天道様が見えてきたとき、絶対に忘れてはいけないことがあります。

それは、台風が去ったら「一刻も早く養生テープを剥がす」ということです。

これを「また次の台風が来るかもしれないから」「剥がすのが面倒だから」と、数週間放置してしまう人がまぁまぁいらっしゃいます。

これが、後に退去時の大きな悲劇を生むのです。

鹿児島の日差しと紫外線を舐めてはいけません。

夏の強烈な紫外線と窓ガラスの熱によって、養生テープの「糊(のり)」がガラスの表面にガチガチに固着してしまうのです。

こうなると、手で引っ張ったくらいではビクともしなくなります。

市販のシール剥がしを使っても、窓一面に広がった「米の字」の頑固な糊跡を綺麗に落とすのは至難の業です。

実は、過去にこれで大失敗された入居者様がいました。

固着したテープをそのままにして退去の日を迎えられたのですが、通常のハウスクリーニングでは落とせないレベルになっており、結果として「善管注意義務違反」による追加の原状回復費用(ガラスの特殊清掃費用)が発生してしまったのです。

せっかく台風から家を守るために一生懸命テープを貼ったのに、その結果、退去時にお金を払うことになるなんて、あまりにも報われませんよね。

私たちは大家さんや入居者様と退去時に揉めたくありませんし、できれば気持ちよく次の新生活へ送り出したいと思っています。

ですから、声を大にして言います。

台風対策は、終わった後の片付けまでがセットです。

台風が通り過ぎたら、その日のうちに、遅くとも翌日には必ずテープを剥がしてくださいね。

家財保険が掛かっているかのチェック

そして、もう一つ大事なことは、「家財保険のチェック」です。

「家財保険?なにそれ?」と思われた方は、「火災保険」といえば思い出せませんか?

そうです、お部屋を借りる時に不動産屋でセットで請求された「火災保険」のことです。

多くのみなさんは、あの保険を「自分が迷惑を掛けたことを大家さんや他の入居者さんへの賠償の為の保険」と思っております。

確かに間違いではないのですが、あの保険は通常は「家財保険」と言われていて、自分自身の家財に対してもカバーしている商品なのです。

仮に台風などで水が吹き込み、ご自身の家具や家電がダメになった場合にその損害を補償してくれるのです。

ですから、台風が訪れるシーズンになったら「果たして自分は保険に加入しているだろうか?」をチェックしてみてください。

契約当初に2年で加入していたが、その後の更新を怠ってしまい、結果的に台風による損害で自身の家財道具などが全滅してしまった。というケースもありますからね。

その時になって「大家さんが何とかしてくれる」と思うかもしれませんが、余程の建物の管理に問題があるケースを除けば、原則として天災地変による損害は自己責任になってしまうのです。

正しく理解し、万全の対策を

いかがでしたでしょうか。

多くの方は養生テープが「飛散防止」と理解しているかとは思いますが、改めてご説明をしてみました。

そうでないと、うっかり「養生テープしたから大丈夫」と窓のそばで寝てしまうということもあるかもしれません。

大切なのは、その対策の「本当の効果」を正しく理解し、正しく備えることです。

今回の養生テープのお話も、もしもの時に自分と家族の身を守るための本当の知識として役立てていただければ嬉しいです。

昨今、威力の強い台風が来ることも多くなりましたので、日頃からの防災を意識したいですね。

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