免税事業者オーナーを襲う「インボイス制度」~影響予想編~

インボイス制度により賃借人からオーナーへ対応を迫るケースが予想されます。

影響があるのは主に「自分は免税事業者で賃借人が課税事業者」

前回の記事はこちら

今回は前回の続きです。


前回までで、「どのオーナーは影響がでる、対策を検討しておいた方がいいのか?」について書きました。


今回は「実際にはどんな影響が予想されるのか?」についてご紹介しようと思います。

おさらい「インボイス制度」のジレンマ

では、おさらいになりますが、改めてインボイス制度の仕組みについてやっておきましょう。


インボイス制度というのは、消費税を税務署へ支払う業者(課税事業者)が仕入に使った分の消費税を控除して支払う為にインボイス(適格請求書)が必要という制度でした。


簡単には下図のようになります。

ということは、賃借人である課税事業者は少しでも納める消費税を圧縮したくなることはご理解いただけると思います。


「自分たちはしっかり消費税を払っているんだから、払った分は引かせてくれよ


これは確かに分かります。オーナーも賃料収入から経費を認めてもらえなかったら一大事ですから、心情として理解はできるのではないでしょうか?


そして、この「払っているのに控除されない」という点がオーナーへ向けられる可能性があるのです。

国は消費税をもらっているが納めなくてもいい(益税)をなくしたい

免税事業者にとっては収益の一部にもなっていた「消費税」


簡単にいえば、「あまり大きな額を扱わない事業者まで、消費税の計算をさせたり、それによって税務署の仕事が増えるのもなあ」


という状況でした。


しかし、インボイス制度後はこの「もらっていたが納めなくてもよかった消費税」=益税が少しずつなくなっていくのです。


ちなみに、インボイス制度が始まった後も免税事業者であるオーナーは消費税を貰い続けることは違法でもありません。


免税事業者でも仕入があり、別のところへ消費税を支払っていますからね。

課税事業者からオーナーへの要望は何がくる?

免税事業者のオーナーの物件に課税事業者の賃借人がいた場合にどんな影響がくるのでしょうか?


ざっくりといえば

①インボイス制度登録(課税事業者になって)してくれ

②免税事業者のままなら消費税分「賃料を値下げ」してくれ

この2点になろうかと思います。


それぞれご説明してみましょう。

①についてはインボイスを発行してもらえれば、課税事業者は消費税の仕入税額控除が受けられますので、特段の問題はありません。

しかし、この場合はオーナーは免税事業者の立場を捨てて、課税事業者にならねばなりません。

今までもらっていた消費税を毎年申告して、自分自身も控除を活用しながら申告しなければなりません。労力もそれなりになるでしょう。


②は課税事業者からすれば、「自分たちが払った消費税を国に納めないのだから、その分値下げ」してくれというものです。

免税事業者はインボイスを発行できませんから、課税事業者が免税事業者へいくら支払ってもその分の消費税は控除されません。

負担が増える分をオーナーへ向かうという訳です。

国に立てついても無駄ですからね。

折り合わない場合は「解約」となる

オーナーにとっては正直

課税事業者にもなりたくないし、値下げもしたくない


そりゃそうですよね。


この嫌な2択を迫ってくるのです。インボイス制度は


もちろん、どちらを選択してもデメリットはあります。


そして上記のとおり、課税事業者にもならず、値下げもしない場合については賃借人からの「解約」という方法になる可能性もあります。

管理会社の立場で見るインボイス制度

このインボイス制度ですが、ただいま絶賛盛り上がり中です!


各税理士さんなどがコラムや見解を書いてあるのですが、ここまで説明してきたことは正直大差はありません。


しかし、インボイス対策では世の流れと私は少し見解に相違があります。


なぜか世の風潮としては

「インボイス登録できるならした方がいいし、出来ないなら値下げもやむを得ない」

となっていますが、本当にそうでしょうか?

「値下げもしない、インボイスも登録しない(課税業者にならない)」

という選択肢もある訳ですから、それもしっかりと検討しなければなりません。


こういった制度の時に攻撃の対象になりやすいオーナー


大家さん=お金持ち だから弱者の為には叩いてもいい


と思われており、同情されないことが多いのですが、そうではないでしょう。結果的にお金持ちとなることもあるでしょうが


大家さん=事業者 ですからね。


課税事業者と同じく事業を営んでいるのです。リスクも背負ってやっているのです。


オーナーだけが一方的に不利益を被ることまではないと思っています。


もちろん、消費税を負担しなければいけない課税事業者も気持ちは分かります。我々管理会社もそうですから


妥協点としてお互いの言い分と落としどころというのはきっとあるはずです。


次回以降はこのインボイス制度での対策や細かいQ&Aをやっていこうと思います。

お問い合わせ

    姓名 フリガナ

    メールアドレス 電話番号

    個人情報の取り扱いについてご確認いただき、同意されましたら「同意して送信する」をクリックしてください。