(21ページ目)不動産業者として、LGBTQのお部屋探しでできることを本気で考えた話

現状を嘆くよりも

さて、LGBTQのお部屋探しというテーマでブログを書こうと思います。

まず最初に断っておく事項として、私自身がまだLGBTQというテーマは勉強中です。

十分な知識のない私自身が、LGBTQというテーマでブログを書くことは、無自覚に当事者を傷つける可能性もあることから、これまで書くことをためらっておりました。

しかし、ある時にこう思いました。

「LGBTQは専門ではないが、不動産はプロである。そしてLGBTQの人たちがお部屋探しで苦労してほしくない」

「LGBTQの人たちについて論ずるのではなく、不動産業者としてLGBTQのお部屋探しのコツなら手伝えるのではないか?」と

まず、前提としてLGBTQの方のお部屋探しは大変であると思います。

理由としては

  • 法律上(契約上)の立場の問題
  • 不動産業で従事している人のLGBTQへの理解度
  • プライバシーの問題

が大きいと思います。

この理由への対策について書いていこうと思います。

各地でパートナーシップ宣言が採択され、理解や周知が進む状況ですが、各法律や慣習によりまだまだ整備はされていません。

今回はそんな現状でもお部屋探しを行いやすい方法やアドバイスなどを踏まえてご紹介していこうと思います。

そしていつの日か、全ての人が何の気兼ねもなくお部屋探し出来る未来になればいいと本気で思っています。

その前進に少しでも寄与できたら嬉しいです。

【現実:同性カップルは「ルームシェア」扱いになることが多い】

基本的なお話をすれば、LGBTQであろうがなかろうが、一人暮らしでは当然通常通りの契約となります。

わざわざ、LGBTQであることを明かす必要もないでしょう。

一人暮らしである方が、LGBTQか異性愛か等は、本来賃貸借契約に関係は無いですからね。

問題は2人暮らしの場合です。

異性のカップルであれば、契約名義人をどちらかが担い、連帯保証人を立てることでスムーズに契約が進むケースが一般的です。

一方で、同性のカップルの場合は、「友人同士のルームシェア」と判断されることが多くなります。

これは偏見からくるものではなく、あくまで「そのようなケースが多かったから」という不動産業界の経験則によるものです。

これまでのルームシェアの中にもLGBTQの方がいたのかもしれませんが、当時は「友人同士だろう」と判断されたのでしょう。

また当時は今よりも偏見や差別的な目で見られることも多かったことでしょうから、中々当事者の方々も言い出しづらい風潮であったことは想像に難くありません。

そういった状況で「友人同士のルームシェア」を装わざるを得なかったのかもしれません。

しかし、同性同士のいわゆるルームシェアは以下のような懸念から、大家さんや管理会社が受け入れに慎重になる傾向にあります。

  • どちらかが家賃を滞納した場合のリスク
  • 仲違いによる早期退去の可能性
  • 原状回復費用の分担トラブル

こうした背景から、「同性カップルだから審査に落ちた」という事態も、実は“悪意ある差別”というよりは、制度的な未整備と業界の慣習による側面も大きいと考えています。

【対策:カミングアウトすべきか?】

「では、LGBTQであることを事前に伝えるべきか?」

この質問に対して、私は現場の人間として「絶対にそうすべき」とは言い切れません。

なぜなら、現状ではまだ

  • 契約形態が整っていない
  • 不動産業者や大家側の理解が十分ではない

という実情があるからです。

たとえば、「2人で連名で契約したい」と希望されても、多くの場合は「どちらかが契約名義人になってください」と求められます。

これは制度や慣習の問題であり、個人の偏見とはまた別の課題です。

不動産業者もカミングアウトされた場合の対応方法や賃貸借契約の条文で「どう配慮すればよいのか分からない」というのが大半になるのではないでしょうか。

また、カミングアウトを受けた場合に、従業員がアウティング(他者の性的指向(例えば、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル)や性自認(例えば、トランスジェンダー)を、本人の同意なしに第三者に伝える行為)してしまう恐れもあるからです。

プライバシーをしっかりと守るなどの事業者側のモラルや制度も必要です。

この点についていえば、国土交通省などがガイドラインなどを出していただければありがたいなと考えています。

現在、多くの不動産業者はLGBTQのお部屋探しに前向きである企業の方がほとんどだと思います。

対応に迷うことなく受け入れが出来るように、対応方法や賃貸借契約のひな形などを作成してもらえると、不動産業者は不安が取り除かれると考えます。

期待している「パートナーシップ制度」

LGBTQの方々が少しでも安心して生活できるようにと、近年多くの自治体で導入が進んでいるのが「パートナーシップ制度」です。

これは、法律上の結婚とは異なるものの、同性のカップルなどが「お互いを人生のパートナーと認め合っている関係」であることを自治体が証明する制度です。

この証明書があることで、以下のような場面で活用されることが増えてきました。

  • 病院での面会や手術の同意
  • 住宅の契約時に「家族に準じる関係」として扱われる
  • 公営住宅や社宅への入居条件の緩和
  • 緊急連絡先・扶養関係などの場面での配慮

まだ法的な婚姻と完全に同等ではありませんが、「この人は大切なパートナーです」と公に示せる手段として、多くのLGBTQ当事者にとって大きな意味を持っています。

不動産契約においても、この証明書を提示することで、対応に前向きな大家さんや管理会社も増えてくるのではないかと思っています。

少しずつではありますが、「制度」があることで周囲の理解や対応が進むきっかけになっていると感じています。

当社のある鹿児島県霧島市にも確認したところ、現在「パートナーシップ制度」の導入に向けて制度設計を議論しており、早期に開始できるように努力を進めているとのことでした。

【具体的な工夫とアドバイス:LGBTQの方がお部屋探しを進めるために】

それでは、ここからは現在の状況の中で、出来る現実的な方法について書いてみようと思います。

1. 事前に信頼できる不動産会社を探す

LGBTQフレンドリーな対応を心がけている不動産会社や担当者を選ぶことは、とても重要です。

最近では、LGBTQ当事者の方々の声を受けて、対応マニュアルを整備している会社も増えてきました。

インターネットやSNSで「LGBTQ 不動産」などで検索すると、実際に対応経験がある会社が見つかることもあります。

また、suumoなどの大手ポータルサイトでも「LGBTQフレンドリー」というチェック項目があり、企業や大家側がLGBTQに積極的に受け入れを表明することの出来る仕組みも登場しています。

2. 希望条件を整理しておく

パートナーとの暮らしを考えると、以下のようなポイントを事前に話し合っておくと、スムーズに部屋探しが進みます。

  • どちらが契約名義人になるか
  • 家賃負担の割合や支払い方法
  • 万が一の解約時の取り決め(書面で残すのが理想)
  • パートナーシップ証明書の提出可否

実際に契約の場になった時に、迷いや不安が少ないほど、不動産会社側も安心して対応ができます。

3. パートナーシップ制度を活用する

自治体によっては「パートナーシップ制度」を導入しており、これを使うことで「関係性の公的な証明」が可能になります。

まだ法的な婚姻と同等ではありませんが、制度に理解のある管理会社やオーナーであれば、これがポジティブな材料として捉えられることもあります。

不動産会社に相談する際、「〇〇市のパートナーシップ制度を利用しています」と伝えることで、話がスムーズに進むこともあるのです。

4. 初期費用や保証人について柔軟に考える

同性カップルの場合、親を保証人に立てにくいといった事情もあるかと思います。

その場合は「保証会社を利用し、連帯保証人不要物件を探す」という選択肢が一般的です。

不動産業界でも保証会社に加入してもらえるのであれば、連帯保証人は必須ではない。というスタンスの大家や管理会社も増えてきています。

また、契約者を1人にしつつも、同居人としてきちんと申請することで、トラブルを未然に防ぐこともできます。

不動産業者ができること、これからの課題

LGBTQの方々のお部屋探しに関する問題は、法制度だけの問題ではありません。

私たち不動産業者がどれだけ柔軟に対応できるか、理解しようとする姿勢があるかが問われていると日々感じています。

  • 「同性同士のルームシェア」=リスクではなく、背景を理解する
  • 名義人や契約形態に関しても柔軟に相談できる体制づくり
  • お客様のプライバシーを守る接客

こうした当たり前の配慮が、少しでも「安心できる住まい探し」につながっていけばと、心から願っています。

私自身、まだまだ学びの途中です。

ですが、プロの不動産業者として「誰かのお部屋探しが少しでも良いものになるように」という気持ちは本当です。

社会の価値観や制度は、少しずつ変わってきています。

そして今、変わるべきは制度や法律だけでなく、私たち「現場」で働く一人ひとりの意識ではないかと感じています。

LGBTQの方が、自分自身のことを話さなければいけないか悩んだり、見えない壁にぶつかってしまうような住まい探しではなく、「この街で暮らしたい」「この人と暮らしたい」という純粋な気持ちを大切にできる社会であってほしい。

そのために、不動産業者としてできることはまだまだたくさんあります。

小さな工夫、小さな配慮の積み重ねが、いつか「誰にとっても当たり前の安心」につながると信じて、これからも取り組んでいきます。

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