
AD競争の果ては・・・
AD・入居促進費・広告料・広告宣伝費など様々な呼び名はあるものの、本質的には同じです。
このブログを読むような方には説明は不要でしょうから本題へ入っていきましょう。
もし不明な場合は「不動産 広告料」などで検索していただければ、たくさんの説明サイトがあります。
みなさんはこのAD(今回はADとして話を進めていきます)をどのように考えていますか?
昨今、入居者募集サイトなどの多様化や掲載料の値上げなどで不動産会社の広告コストは年々増加しております。
また人口減少や地方の過疎化なども進行し、入居者募集というのは年々激化していることは間違いないことと思います。
そんなコスト高も相まって不動産業の一部からは
「ADの積み増しによる入居募集を推奨」の声が上がっています。
今回はこの「ADの積み増し」による入居者募集の功罪について、管理会社目線での賃貸運営の私見を挙げてみたいと思います。
ADの積み増しによるメリットとは

まずはADの相場についてですが、これは正直「地域による」としか言いようがありません。
不動産賃貸業というのは地域の慣習に大きく左右されます。
1か月の地域もあれば、中には時期などにもよりますが3か月以上を要する地域もあるそうです。
このADの積み増しによるメリットは多くの場合以下のように言われております。
- 紹介頻度が上がる
- 成約率が高くなる
- 空室期間の短縮
不動産会社の営業マンは、現在でもほとんどが実績を基にした歩合や昇進などで成約単価を追っていることは周知の通りです。
その為、「どうせ決まるなら高単価になるAD付物件を狙いたくなるだろう」という思いのもと、ADを積み増すことで「私の物件に優先的に入居者を入れてくれ」という願いとともに積み増しを行う訳です。
仲介手数料は満額でも家賃の1か月が上限となってしまいますが、このADがあれば単価も上がる為、営業マンとしては力も入ることでしょう。私も賃貸営業マンだった時代にはお世話になったものです。
営業マンが優先的に狙いやすくなるという点については異論はありません。
しかし、今日の本題はここからです。
「本当にそれでいいのでしょうか?」
ADの積み増しによる入居者募集には「副作用」があります。
このADの積み増しによる「副作用」ともいうべき現象を正しく理解している方は少数に感じます。
「早く決まればいいじゃない」という意見はごもっともですが、副作用について理解しておくことも必要だと思います。
不動産業者が言わない「副作用」

まずは、この副作用については現場の営業マンは悪意なく「知らない」ことがほとんどだと思います。
その為、ADの積み増しによる早期の入居付けが本当に最善の道と信じていることがほとんどです。
ですから、この後書く内容をご覧になっても「あの営業マンは悪意があったんだ」とは思わないようにしてください。
現場の営業マンは善意で効果的な内容と思い、積み増しを提案している可能性が高いでしょう。
副作用については、賃貸運営をしっかり見ていくと気付く内容だったり、精査することで気づく内容ですから。
それでは挙げていきましょう。
副作用①入居期間が短くなりがち

ADの積み増しのデメリットの一番目はこれです。
正に副作用の部分なのですが、先ほどのメリットに挙げたとおり、高ADの物件は営業マンもどうしても決めたくなるものです。
その熱意が時に入居者と物件の「いびつなマッチング」を引き起こすのです。
お客様の中にはお引越しのニーズが曖昧だったり、強い意思を持っていない方も一定いらっしゃいます。
そんなお客様の時には通常であれば、深いヒアリングなどを行い、潜在的なニーズや要望などを汲み取ってお部屋を提案することが必要です。
しかし、そんな時に力のある営業マンであればあるほど、特定の物件への誘導が出来る場合があります。
そうすると、高ADの物件にニーズの違うお客様を誘導してしまうのです。
もちろんニーズが合っていれば大丈夫なのですが、合っていない場合はどうなるでしょうか?
住み心地にしっくりとこない入居者は「なんだか違うんだよな」と思ってしまいます。
そうすると、入居者も生活の満足度が低く、比較的短期で解約を受けることになるのです。
これが「いびつなマッチング」となってしまいます。
入居者さんは本来自分が住みたかったお部屋ではなく、「営業マンが決めたいお部屋」に誘導されてしまったのです。
そうすると生活の満足度はどうやっても上がりません。
その為、居住年数も短めになってしまい、空室を繰り返してしまいます。
空室が出る→高いADの積み増しをする→早期に決まる→満足度が低い→解約→空室が出る
の負のスパイラルに陥ってしまいます。
空室の度に「ADの積み増しを行ったら早く決まったから」と繰り返してしまうと、入居の期間は短いにも関わらず募集に掛かるコストは高いままという何とも本末転倒の結果となってしまいます。
しかし、これも営業マン目線からすると「空室になっても早期に決められて大家さんも喜んでいるだろう」となってしまいます。
また大家側の視点でも解約理由には「高いADが原因」とはなりませんから、見えてこないのです。
長い期間での賃料収入を目指すハズが、決まることが目的となってしまいます。
なぜ次から次へと空室が出てくるんだろう?しかも高いADを払ったのに・・・・
これでは上手くいくハズがありませんよね。
副作用②物件の価値は変わらない

2つ目の理由として、物件の価値は変わらないということです。
これはどういうことかというと、物件の価値というのは年数が経てばたつほど下がっていくものです。
その価値が下がらないように適切な修繕や維持管理にコストを掛けながら運営していくことが必要です。
しかし、ADの積み増しを最善の方法として入居付けを行っていくと「賃貸物件の運営方針」となってしまうことがあります。
ADの積み増しによる入居付けが出来たとしても、修繕や維持管理のコストは別と考えねばなりません。
通常は維持管理や経年による陳腐化を食い止めていくことで市場にアピールをしていくのですが、高ADで入居付けを行っていくと、ほとんど維持管理にコストを掛けずとも決まったりします。
その為、「空いたら高ADで入居付けすればいいか」という短絡的な運営方針になってしまうことがあります。
そうすると年々価値が下がるお部屋に対して、維持コストを支払うよりはADの積み増しで対応しよう。となってしまいます。
繰り返すうちに建物はどんどん古く劣化していくばかりで、いよいよADの積み増しでは入居付けできなくなる建物になってしまいます。
その段階では物件の価値も下がっており、売却したいと思っても市場からの評価は低いものになるでしょう。
ADももちろん経費ではありますが、ADは物件の価値を上げるものではありません。
ADとは別に建物の維持管理に必要なコストは見込んでおきましょう。
まずはADに頼らない運営を

まとめに入ります。
ここで多くの営業マンが思っていることを代弁しましょう。
高ADでなくとも人気物件であれば嬉しい
これです。
高いADでなければ決まらない物件というのは市場から少し外れているのです。
営業マンが「頑張らないと」決まらない物件ということですね。
それは家賃の額、設備、築年数、立地など様々な要因が重なってそうなっているのでしょう。
その為、営業マンがある意味「無理して」決めている状態なのです。
その為「いびつなマッチング」などが起きてしまうのです。
もちろん高ADは前述した通り、営業マンは助かります。決めたくもなるでしょう。
しかし、それ以上に営業マンが嬉しい物件というのは
誰が案内しても決まる人気物件
募集広告を出せば反響が多くあり、実際に案内しても決まりやすい
そんな物件は営業マンも嬉しいのです。
高ADを無理して頑張って決めることよりも、案内してすぐに決まる物件を選ぶ営業マンは多いのです。
こういった人気物件は案内も楽なものです。
こみいった営業トークなども必要ありませんから、物件の魅力を素直に話せば成約も早いものです。
もうお分かりですね。
ADの積み増しをする位なら自分の物件の魅力を高めることから先に行いましょう
1か月分のADで出来ることをまずはやってみてはどうでしょう。
例えばインターホンが古くなっているならモニターホンに替えてみる・トイレに温水洗浄便座が付いていないなら付けてみる
少額でも出来ることはたくさんあります。
ADを払っても物件の価値は変わらないと書きましたが、こういった物件への投資なら物件の価値は少しずつ上がっていきます。
市場を見て家賃を見直すこともいいでしょう。
そうやって人気物件を作り上げることが出来たなら、高いADで無理をせずとも「この物件に住みたい」という人がやってきて納得のうえで長い期間を過ごしてくれることでしょう。もちろん早い段階で
それこそが「営業マン」も「入居者」も、そして物件の所有者である「あなた」も満足する方法ではないでしょうか?
最近、身の回りの不動産営業マンがADの積み増しを積極的に大家さんに提案しているのを見かけます。
賃貸営業という立場から見れば、一日も早い成約を目指す「正解」の一つではあることは間違いありません。
しかし、賃貸運営というのはたくさんの要因が絡み合うものです。
管理側の目線から見ると「高ADする位なら自分の物件に投資すればいいのに」という目線も知っておいていただきたい!という思いからでした。
もちろん、高ADが有効な手段であることは前述の通りですから「高ADを提案された、けしからん」と短絡的には思わないで欲しいものです。
それでも「どうせお金出すなら自分の物件に使ったらいいのに・・・」と私は思ってしまいます。
これを見た不動産会社のみなさん、怒らないでくださいね。
そしてオーナーのみなさんにはご自身の物件が市場で勝てる物件なのかどうかを再考してみてはいかがでしょうか。
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VS 賃貸営業マンを狙う詐欺師②
目の前に座る詐欺師!どうしましょう ①はこちら 目の前にいる例のお客様 前回の続きになりますが、ここまで条件を聞くとKくんのお客様「A」とそっくり確かに、こういった類のお客様もいない訳ではないのですが、あまりにも似ています。 Kくんに聞いていた風貌と年代にも当てはまります。そして私の印象ですが、どうしても目の前のAはお金持ちには見えません。お金持ち=いい身なり だとは流石に思っていませんが、さすがに普通すぎます。なんなら、身に着けている高級時計は偽物であることも見て取れました。この時点でバックヤードに戻り、一旦店長へ報告してみます。しかし、かえってきた言葉は 「お客様を疑うのは良くないよ、まずは一生懸命に接客しなよ」 そうでした、うちの店長は良くも悪くも「お客様は神様」タイプでした。この時点で私は99%そうだと確信していましたが、上司がそういうならトコトンやってみましょう。世田谷区とはいえ、当時の近隣情報ではこの条件にあてはまる物件は3件程度でした。その3件程度をAに提案すると、大して見もせずに「この3件で良かったら今日決めようかな」とその言葉を聞き、後ろで喜ぶ店長。マジか店長・・「内田くん、頑張ってご案内行ってきてね、朗報待ってる」笑顔の店長に能面ばりの無表情で応え、Aとのご案内の旅へ VS詐欺師 ここまで皆さんお読みいただき、「警察に相談すれば?」と思われたかもしれません。言うまでもなく、Kくん自身も警察へ一応相談したそうです。しかし警察では対応をほとんどしてもらえませんでした。なぜなら・ジャンケンにKくんも同意していた・Kくんが勝っていた場合は本当に借りていたかもしれない・脅しや監禁などした訳でもない・賭博と呼ぶには微妙だし、詐欺と立件するにも証拠が立証しづらい確かに、Kくんが勝っていた場合には借りていたかもしれませんし、騙しているかも確証はありませんからね。車内ではまずはKくんに話しているような内容を私にも話してきました。Aが話してきたのはこんな感じでした。・いくつも会社を経営しており、年収は億を超えている・最近の若者が好きで、チャレンジしてほしいと思っている・リスクを取ることはリスクではない・運を味方にする為には普段から「勝負の場」に身をおかなければならないこの時点で私は内心「確定じゃないですか」と思っていました。そしてとうとうやってきました。A「内田くん、君を気に入った。良かったらオレと勝負して成功を掴み取ってみないか?」ついにきました。A「勝負して勝ったら、3件とも借りるよ、君のこと気に入ったから」大盤振る舞いです。Kくんよりも条件が上がりました。嬉しくないですが・・・ この話、実はAにはノーリスク さて、この話ですがお互い同等のリスクなのでしょうか?勝てば3件成約で恐らく今月の成績は全店でも1位でしょう。しかし、お部屋探しの仕組みや社会の常識に照らし合わせたらAがノーリスクなのは分かり切ったことなのです。なぜか?続きます
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VS 賃貸営業マンを狙う詐欺師①
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③老夫婦の想いと大逆転 完結編
ご夫婦の結末とは?管理会社の腕の見せ所でした さあ募集だ!手直しだ! 前回までの①はこちら ②はこちらさて、全5部屋の空室を埋めなければいけません。ざっくりと5部屋の方針をこのようにしました。①比較的状態の良い2部屋は条件を変えず、再清掃と写真の撮り直しでいける②手付かずの3部屋については原状回復をメインに少し手を入れて募集 以前の募集写真 撮り直し後 いかがでしょう?写真の撮り方、明るさ一つでも随分と印象が変わってきます。もちろん、トイレの温水洗浄便座などは後付けにはなりますが、写真の撮り方一つでも印象はガラっと変わります。このお部屋は募集開始後2週間で成約となりました。 原状回復編 床のささくれや剥がれも多く、とてもこのまま住める状態ではありませんでした。 どうせ貼替えるなら、少しでも長持ちするように今回はフロアタイルを選択しました。 このお部屋は洗面台を少し前に交換しておりましたので、壁紙と床のみです。 以前のロフト、特に指摘することはないのですが、募集用には少し物足りないのも事実 ロフト部分と天井は木目柄を貼りました。高さのあるお部屋では天井のアクセントクロスで写真のインパクトを上げたいという狙いもあります 以前のトイレ、虫がすごい状態でした。 温水洗浄便座とトイレットペーパーホルダーを変えた程度ですが、見違えます 高さと長さのあるお部屋では「長手」方向に木目を入れると視覚的にも広く、高く見えます。 壁紙と少しの設備以外は今回は手を掛けませんでした。「それで充分」「過不足なし」が大事です。 元々は受話器タイプのインターホンですが、モニターホンへ変更しました。 アクセントクロスは「やり過ぎない」が大事です、ポイントと強調したい部分を抑えてやっていきましょう 以前の玄関 このお部屋も壁紙と床の張替えをメインに細かい設備だけ交換しました。費用も少しでも抑える。それもまた賃貸経営には大事なことですからね。 お部屋の様子です 以前のトイレ こちらのお部屋は全体的にアンティーク調を意識して趣きを少し変えました。 洗面台は下部分の収納が水漏れでダメになっていました。これも放置しなければ修理で行けたのでしょうが・・ 洗面台もトイレも水道業者さんが入るため、複数部屋まとめての施工で費用も少し引いていただきました。 今回のリフォームでは下記の事項でした。・壁紙と床の張替え・洗面台が古い物は交換・温水洗浄便座とペーパーホルダー・インターホンをモニターホンへ交換間取りや建具をいじるようなことは必要ないと思いましたので、キッチンや他の部分には手をつけませんでした。 費用を抑えるポイントはいくつもあるのですが、工程をしっかり管理して、資材なども安いタイミングや業者さんにお願いするなど、細かい部分の積み重ねです。ご興味がある方はお問合せいただければ金額もお答えしますので 大逆転の結果 さて、5月に管理を受託し、その結果ですが 6月に満室達成9月までに未納家賃全額回収 お部屋は1か月半で全て埋まりました。そして、前回②でお話した未納の方も全てお支払いいただき、晴れて正常化しました。 エピローグと賃貸管理の必殺技 満室になり、未納の方々も解決していた夏にもう一度ご夫婦のもとを訪ねました。リフォームの写真を持参してご説明しました。本当に喜んでくださりました。一時期は二束三文で売りにだすことも考えていたアパート「これで子どもたちに残してあげられます、ありがとうございます、ロータスホームさんに会えてよかった」私、涙が出そうになりました。正確には少し出ました。自分たちの仕事で誰かが幸せになるのはいいものです。追記現在も満室稼働中でご入居者さん全員が良好な状態です。問題といえば先日の台風でTVアンテナが少し映らない期間があった位です。未納だった方も連絡をこまめにくれ、しっかりとお約束通り果たしていただきました。今回のリフォーム含めて、必殺技はというのは結局「基本のこと」に尽きるのでしょう。でも、この「基本」こそ根気と細かい部分の積み重ねまさにそういったことを実感させられる事例でした。 さて、次なる管理物件を今もお待ちしております。





