(22ページ目)安否確認は誰でもできる?義務・費用・警察立ち会いとは?

もし今日、あなたと連絡が取れなくなったら・・・気づいて、動いてくれる人はいますか?

こう聞かれると、案外「うーん」と考え込んでしまう方も多いのではないでしょうか。

さて、私たち賃貸管理会社には、時々こんな連絡が入ります。

「家族と連絡が取れないんです、部屋で倒れていないか心配で」 「従業員が無断欠勤していて・・・様子を見てもらえませんか」

こういった依頼を、私たちは「安否確認」と呼んでいます。

管理会社の義務ではない

結論からいきますと、私たち管理会社には、この安否確認に協力する法律上の義務はありません。

そして正直に言えば、対応したところで会社の利益には一銭にもなりません。

むしろ拘束時間は長く、面倒な業務のひとつです。

「管理会社なら鍵も持ってるし、緊急時はすぐ動いてくれるんでしょ?」

そう思われている方は多いかもしれません。

あら意外、実はそうではないのです。

安否確認は、あくまで管理会社が「善意」で対応しているものです。

義務でもなければ、断ったところで責められる筋合いのものでもありません。

実際、対応を渋る管理会社があっても、それ自体は責められません。

ではなぜ、義務でもメリットもないことに、私たちは時間を割くのでしょうか。

間に合った命を見てきたから

理由はシンプルです。

人命に関わることだからです。

安否確認の依頼のうち、実際に倒れていたり、亡くなっていたりするケースは、体感として5%程度です。

残りの95%は「単なる寝坊だった」「気まずい相手だから連絡を無視していただけだった」など、拍子抜けするような結末で終わります。

ですが、この5%のために対応を惜しんでしまえば、助かるはずの命を助けられなくなる。

そう思うと、面倒だからと後回しにはできないのです。

先月、実際にこんなことがありました。

ある入居者さんの安否確認を行ったところ、脳卒中で倒れているところを発見しました。

あと数日発見が遅ければ、間に合わなかっただろうと言われました。

きっかけは、その方が勤めている会社の上司からの連絡でした。「無断欠勤が続いていて心配だ」と、わざわざ管理会社まで連絡をくれたのです。

もし、その上司が「まあ、そのうち出てくるだろう」と気にも留めなければ。

もし、「他人のことに首を突っ込むのも・・・」と連絡をためらっていたら。

結果は、大きく変わっていたかもしれません。

安否確認は、誰でも自由にできるわけではありません

ここで一つ、大事な補足をしておきます。

「心配だから」といって、誰でも自由に安否確認ができるわけではありません。

もし本人の意思確認もなく、言われるがままに部屋を開けられるとしたら、それを悪用する人も出てきます。

借金の取り立てをしたい人や、元交際相手を探し出したいストーカーが「心配なので安否確認してほしい」と持ちかけてくる・・・そんなことも、実際には起こり得るのです。

ですから私たち管理会社が安否確認を行う際は、必ず警察官の立ち会いのもとで対応します。

当然ですが、契約者本人に確認をします。

意外と多いのが、普通に電話に出て「その人には教えないでください」というタイプや「私から連絡しておきます」という返答です。

それでも連絡が取れない、携帯も電源が落ちているなどの場合に限り、次のステップです。

連絡してきた方と本人がどういう関係なのか、いつから連絡が取れていないのか。

事前にしっかりと事情を聞き取り、警察官にも状況を確認してもらったうえで、はじめて開錠に踏み切ります。

仮にご親族と名乗る方が来られても、それだけで勝手に開けることはありません。

また、当社では依頼をした方は必ず現地に来てもらいます。

電話だけで、誰かも分からない人からの依頼は受けられません。

そしてもう一つ。

もし開錠が必要になった場合、その費用(鍵屋さんの出張費や作業費など)は、原則として依頼者の負担となります。

管理会社が無料で何でもしてくれる、というものではないことも、知っておいていただきたい点です。

こうした手順を踏むからこそ、悪用も防げますし、私たちも安心して協力できるのです。

誰かが気にかけてくれる、という備え

この出来事を通じて、あらためて思ったことがあります。

それは、「自分に何かあったとき、心配して連絡をしてくれる関係性」を、日頃からどれだけ持っているか、ということです。

会社の上司や同僚、家族、友人、あるいは近所の方でも構いません。

「最近ちょっと様子がおかしいな」「連絡が取れないな」と、ふと気にかけてくれる誰かがいる。それだけで、いざというときの結果は大きく変わります。

もちろん、誰にも頼らず一人で自由に生きたい、という価値観も、私は否定しません。

それも一つの生き方だと思います。

ただ、そういう生き方を選ぶとしても、「もしものときに、誰かが気づいてくれる仕組み」だけは、どこかに残しておいた方がいい。

今回の出来事で、私はそう強く感じました。

安否確認は、管理会社にとって義務でもなければ、得になる業務でもありません。

それでも、間に合った命を見てきた身としては、これからも力を尽くして対応していきたいと思っています。

そして、これを読んでくださっているあなたにも、少しだけ考えてみてほしいのです。

もし今、あなたと連絡が取れなくなったら、気づいて動いてくれる人はいるでしょうか。

いなければ、今日からでも遅くはありません。誰か一人、そんな関係を大事にしてみませんか。

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