突然の連絡「なぜ2階から?」
さて、全国の管理会社同志の皆さん、台風シーズン真っ只中になりましたね。
進路予測を見て、現地に置いてあるノボリ旗の撤去をいつにしようか? 台風後の損害チェックなど忙しい日々ですね。
さて、タイトルにもある通り、今回のお話は「雨漏り」です。
物件を管理していると必ず経験する雨漏り、漏水、嫌ですね。
一度発生すると被害は甚大、お客様も流石にこれは我慢できません。一刻を争う事態です。
今回の事例でも夜間対応のコールセンターより入電です。
その日は台風ではなかったのですが、記録的な豪雨に見舞われた日でした。
「○○マンションの2○○号室の方より天井から雨漏りしている」との連絡です。
よし分かった、すぐ準備をして出かけよう!
待てよ、
そのマンションは3階建てです。連絡があったのは2階。
この場合考えられるのは2つです。さてどちらか
① 3階の人が不在で雨漏りが貫通してしまった
② 雨漏りではなく、3階の水周りからの漏水
細かく言えば雨漏りでも配管や外壁を通り貫通することはあるのですが、まあ現状この2パターンかと思っていました。
とにかく現地へ向かいます。
いた!いました
現地へ到着し、ご連絡をいただいたお部屋に訪ねます。
お詫びを申し上げお部屋へ入ります。
クローゼットから水が漏れてきたとのこと、入居者さんが中の荷物を移動した後でしたが、水は床を濡らして上から見える範囲で次から次へと落ちています。
急いで拭き上げます。
そして尚も止まらない水。
ここではまず応急処置が求められます。水が長時間床を濡らすと当たり前ですが、床材を腐らせてしまいます。
私は雨漏り応急処置セットを取り出します。

押入れの天井です。次から次へと水が染みています

写真には中々写らないのですが、横の柱を伝って床を濡らしています

柱を伝い次々と床へ到達する水
この時点で、雨漏りが濃厚と思われました。
というのも、このマンションでは鉄骨造であり、比較的上階から下階へは真っすぐ水が落ちる造りなので、水周りの漏水であればこの辺りには漏水することは考えにくいものでした。
鉄筋コンクリート造などになると、水周り設備から漏れた水が床下コンクリートを伝い、別の場所へ漏れることもありますので、漏水=上のその場所とはならないことも多くあります。
以前などは10階から漏れた水が配管を伝い、3階に漏水したこともありました。途中の階は全スルーで10階から3階へダイレクトにいきました。
その時は配管図などを見て特定に至りましたが、大分レアケースでした。
この時点で、急いで3階へ向かいます。
しかし、不在であろうことは予測できました。
一応インターホンを押すと、「はーーーい」という声と共にドアがあきました。
「え?いるの?」
ドアが開くと多分東南アジア系の青年!しかもこんな時になんですが、かなりのイケメン!

※画像はイメージです。本人の写真ではありませんが、何となくこんな感じの優しい雰囲気のイケメンです。
そしてなんと
家の中でカッパを来て笑顔で立ちすくんでいるのです
私はあまりの光景に言葉が出ませんでした。
とにかく事情を聞こう、しかし頭の中は目の前の光景が頭に入りません。
「え?笑ってる?」 「なんで家の中でカッパ?」 「日本語通じる?」 「水が現在進行形で落ちてるのに?」色々なことが頭を駆け巡ります
やっと出た言葉は
「なんでなん?」
やってしまいました。関西に縁もゆかりもないのに、変な関西弁になってしまいました。
そう、もちろん会社を出る前に上階に連絡はしましたが、上階は法人契約だったため時間外で連絡が付かなかったのです。
入居者の連絡先も電話がつながらず、しかしまさか入居者さんがいるとは
さあ急げ、まずは止めよう
そう、そうだったのです。
法人契約で契約している会社で働いている青年です。
言葉もまだカタコトで、日本でこのような状況になった時にどのように連絡をすれば良いのか分からなかったのでしょう。
しかし、ここで私と入居者さんに救いの手がやってくるのです。
彼は会社の上司に連絡をしてくれていました。
そしてその会社はなんと
「建設業」
社長さん自らが到着し、あっという間に屋根へ上っていきます。傍らには自社の従業員を引き連れ、屋根へと向かっていきました。
ちなみに屋根への階段などないマンションで曲芸のごとく上がっていきました。
社長さんは大きなブルーシートを片手に屋根へ行き、応急処置を施してくれました。
では後は私の出番です
雨漏りは水の侵入口を止めてもしばらくは溜まった水が出続けます。そこで

このようにブルーシートで「ジョウゴ」を作って残りの水を受けることにしました。
ちなみにこの時はブルーシートとタッカーというホッチキスの大きな物を使い、下は洗濯バサミです。
写真を消してしまいましたが、3階はもっとひどく天井にこのジョウゴを3ヵ所ほど作りました。
そして、少しずつ収まっていく水を安堵の気持ちで見ていました。
あなたの風邪はどこから?「私はヒザから」
一旦収まってきたものの、3階は水浸しです。
カッパを着て耐えるしかなかった彼に申し訳ない思いをさせてしまいました。
せめて、しっかり拭こうと思い、ヒザをつき、びしょびしょに濡れた床から水を拭き取ってはバケツへ絞っていきます。
この時点で私も頭から全身濡れていました。
ヒザをつき、必死に床を拭く私に青年は
「アリガト、タイヘンですね」
と言ってくれました。
家の中でカッパを着せてしまったことに対する怒りなど全くなく、こちらの労をいたわってくれる優しい青年でした。
その後社長さんにお礼をし、2階の方も優しく労いの言葉をいただき現地を離れました。
大変ではありましたが、解決した時の「ありがとう」はやっぱり最高のやりがいなのでしょう。
ある種の達成感とともに帰路へつきました。
帰ってから風邪はひきました
