(2ページ目)入居者の属性で変わる居住年数 ~人気属性=長期入居ではない!?~

不動産賃貸業にとって、空室リスクというのは避けられないものです。

基本的には、大家さんなら「出来るだけ長く住んで欲しい」というのが本音でしょう。

長く住んでいただければ、空室も発生しませんし、頻繁な原状回復なども発生しません。

もう一つ、出来るだけ長く住んで欲しいという想いと一緒に「こんな人に住んで欲しい」という「属性」という部分もあろうかと思います。

不動産賃貸業に携わっている中で、多くのオーナーさんが希望するような属性といえば

  • 公務員
  • 大手企業にお勤め
  • 学生
  • 若年層

こんな感じでしょうか。

理由についてはザックリといえば「安定してそう」「近隣トラブルも少なそう」「お部屋もキレイに使いそう」などでしょうか。

たしかに、概ねそのような傾向はあると思います。

私の経験でも上記の属性は確かに、その傾向は強いです。

その為、大家さんがこういった属性を望むのは無理からぬことかもしれません。

一方で、こういった属性の方をターゲットにした場合、最初に書いた「空室リスク」「長期間住んで欲しい」という願いは両立することは出来ないでしょう。

今回はこの「属性」と「長期入居」の反比例の関係をご紹介しようと思います。

そのうえで、自分ならどういった戦略を立てるのか?を考えていただくきっかけにして欲しいと思います。

また、ここでいう「属性」というのは単なるデータに過ぎません。私自身が過去の経験やデータから引用するもので、特段何かの差別的な感情や意図はまったくありません。

賃貸経営という部分での属性と居住年数の相関関係を表すだけですからね、あしからず。

属性別に見る「居住年数」の傾向

下に公表されている統計や自社データを組み合わせて、おおよその居住年数を出してみました。

傾向・コメントについては、退去理由などで挙げられたものから作成しております。

属性=「年齢層」「職業」「世帯構成」の3軸で考えてみましょう。

属性分類平均居住年数傾向・コメント
学生(18~22歳)大学生・専門学生約1~4年卒業退去が確定しており短期傾向
若手単身(23~30代前半)営業・IT系・販売職など約1~2年転職・転勤・結婚などで動きやすい
中堅単身(30~40代)公務員・専門職など約2~5年安定職なら長期傾向もあり
共働きカップル看護師×IT系など約2~4年同棲→結婚→退去の流れが多い
子育てファミリー(30~40代)地元勤務の会社員・公務員など約5~10年学区を理由に定着しやすい
高齢者(60代以上)年金生活者、自営業など約5~15年転居リスクが低く、超長期入居も
転勤族商社・大企業の営業職など約1~3年会社都合の退去が多く流動的
フリーランス・自営業クリエイター・整体師など約3~7年地域密着型だと長期化する
公務員市役所・教員・警察官など約2~4年転勤を伴う場合も

こうしてみると、前述した若年層、公務員や大手企業などの大家さんが望む属性ほど、居住年数が短めの傾向となります。

要約すると以下のような結論になります。

  • 若年層は生活ステージの変化が起こりやすく、転居が早めになる
  • 安定企業や公務員は転勤や持ち家の購入による退去比率が高い
  • 審査的に厳しく見られる自営業やフリーランスは居住年数が長めの傾向
  • 高齢者は長期入居の傾向

自営業者やフリーランスは、収入のリスクを伴うのかもしれませんが、一旦軌道に乗った場合は、商圏である地域からは簡単に離れることはないので、長期化の傾向も納得ですね。

大手企業や公務員は収入などは安定するものの、転勤などの外的要因による退去は避けられないこともあります。またこういった属性は銀行などでもローンを組みやすく、持ち家志向が強めの傾向があり、賃貸からの卒業もあります。

学生は当然卒業があり、地域で就職することになったとしても、そこからは自身で家賃を払うこともあり、グレードアップやダウンを検討し、結果としてお引越しになる傾向が高いものです。

子育て中で子供が小学校に上がるタイミングで持ち家に移行しない場合は、学区のこともあり比較的長期間の入居に繋がります。

高齢者や中年単身者は長期化の傾向、場合によっては超長期化が見られる。

安定した長期間入居と大家さんが望む属性というのは大体は相反関係になってしまうのです。

どちらのリスクを取るか

「属性」と「安定入居」は相反関係になることがご理解いただけたと思います。

ひと昔前の審査で厳しい目を向けられる「自営業者やフリーランス」「高齢者」「中年単身者」などは比較的長期化する傾向が高いのです。

これは賃貸経営においては、どちらを「選択」するのか?という問いになります。

「属性」を重視して、「空室リスク」は許容するのか?

「安定入居」を重視して、「属性」は許容するのか?

当然ですが、どちらが正解という訳ではありません。

大事なのは、自分が所有する物件、自分自身の感性にはどちらが最適かを考えることだと思います。

また、どちらを選択するかで物件運営の方法も少し変わってきます。

基本的には

「属性」を重視するなら先行投資、「安定入居」を重視するなら原状回復に備え

これは入居を決める時の順番のような話です。

「属性」を取る場合は、室内の設備や内装などはキレイや新しい物を好む傾向があるため、先行投資としてのリフォームなどが発生します。

一方、「安定入居」を取る場合は、結果として長期間の居住による原状回復を多めに見込んでおいた方がいいでしょう。

このように、どのタイミングで物件に対する投資が発生するかという点も考慮しておきましょう。

人口減少社会ではターゲティングを丁寧に

ご承知の通り、現在の日本は人口減少社会です。

その割には昨今の投資ブームにより、不動産賃貸業には多くのライバルが参入しています。

その中で優先的に選んでもらう為には、効果的なターゲティングが必要となります。

自分の物件にはどういった人たちを迎えるようにしようか?その為に必要なことはなんだろうか?と細かいターゲティングを設定することで、効果的なリフォームや戦略を構築することが出来るのです。

そして、相反関係にある「属性」と「安定入居」をどの程度許容していくのかを、方針として決めておくことは、無駄のない投資に役立つことでしょう。

当然、ここまで書いたことはあくまで「傾向」ですから、両立することもあれば、リスクを取ったのに効果が出ないこともあるでしょう。

たまーに「属性」と「安定入居」が両立することもありますし、「属性」を信じたのに裏切られることもありますし、「安定入居」を目指したのに短期解約もあります。

でも確率は大体収束しますからね。

皆さんの賃貸経営の参考になれば幸いです。

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