(19ページ目)台風の飛来物で車に傷がついたら? ~修理代は誰に請求すればいい?~ 自然災害の責任の所在について

責任の所在は誰に?

さて、台風シーズン真っ盛りになりました。

このブログを書いているのは2024年の台風10号の直後です。

今回の台風は「特別警報」が発令され、昭和に死者5000人を出した伊勢湾台風以来の勢力と呼ばれました。

今日現在でも被害の全容は見えておりませんが、やはり台風だけに強風による被害はたくさんございました。

そこで今回は、この強風による被害の責任についてご説明してみようと思います。

台風による被害は結局、誰の責任なのでしょう?

例えば、アパートの瓦が飛んできて、あなたの車のフロントガラスを突き破った場合はどうでしょうか?

被害は「台風のせい」

先ほどの例の回答です。

アパートの屋根や駐輪場の屋根などが飛んできて、あなたの車にキズをつけたり、破損した場合の責任は誰にあるのでしょう?

そして、修理代はオーナーや管理会社に請求できるのでしょうか?

あなたに落ち度がない以上、負担したくはありませんよね。

結論から申し上げます。

責任は所有者(オーナー)や管理会社にはありませんし、修理費用は自己負担となります。

分かります、あなたは悪くありません。

管理会社や物件オーナーに対して請求をしたい気持ちは痛い程よく分かります。

私も逆の立場ならそう言うことでしょう。

それでも法律上や保険上の話でいえば

台風による被害は「台風のせい」なのです

納得するのは難しいかもしれません

このようなお話をすると

「管理会社やオーナーが責任を取りたくないからそう言っているんだ」と思われるかもしれません。

その為、ここからはなぜ「台風などの天災」は損害賠償できないのか?について少し説明いたします。

損害賠償とは?自然災害には?

まずはこのような事例の時に聞く「損害賠償」です。

このような目にあった場合、その「損害」を「賠償」して欲しいと考えるのは当然です。

「実際に損害があるのだから、賠償は当然ではないか?」と思われることでしょう。

しかし、この法的な損害賠償というのは要件があるのです。

それが

「債務者の責めに帰すべき事由があること」といい、簡単にいえば、物件所有者や管理者に「故意(わざと)」 又は 「過失(不注意、うっかり)」 があることが要件なのです。

そして、天災(台風)というのは予測が極めて困難であり、その発生や被害は誰の責任でもないのです。

自然災害は、誰かが故意や過失により引き起こすものではありません。

その被害自体も、管理者や所有者も望んでおりません、当然ながら。

その為、台風などの天災や自然災害の責任は物件の所有者や管理者にはないのです。

もう一つ、このように自然災害による損害を個人に請求できるようにした場合

到底、一人の人生で賄えるものではなくなる可能性があるのです

現在も、失火責任法という法律があります。

これは火事を起こしてしまった人の責任を限定するものです。

こちらも「故意か重過失(かなりの不注意)」が無い限りは、失火による延焼などの責任は負わない。という考え方です。

火災ともなれば、場合によってはかなりの面積や建物を焼いてしまうこともあり、多大な損害となります。

このような大災害について、厳しく責任を問うことになった場合、その責任を負った方の人生は正直終わりになることでしょう。

被害者から見れば「当然だ」と思うかもしれませんが、逆の立場になってみることも大事です。

少しの責任で一生では償えない罪を負わせるのは酷というものです。

自己破産などでは済まないことでしょう。

そもそも法律的な損害賠償というのは全てが自己破産で免責になる訳でもありませんからね。

今回被害に遭われた皆さんも、いつかは逆の立場になるのかもしれません。

ましてや自然災害となれば、その責任は誰にあるのか?

こういった観点からも自然災害や台風による損害は自己負担となってしまうのです。

まとめ

それでは、このような事態にならない為にはどのようにすれば良いのでしょうか?

まずは「保険」となります。

ご自身の財産は、自分自身で守るしかないのです。

その為には大切な物には保険などでしっかりとカバーしておくことも重要です。

他にも損害を出来る限り予測し、安全な場所に移動するなどの「自衛」も大切となります。

また、先ほど「故意過失」が無ければ損害賠償というのは発生しません。

と書きましたが、逆にいうと相手方に「故意過失」があった場合は賠償責任は発生します。

但し、自然災害の中での故意過失というのは余程のことが無い限り認められづらいものですが、相手方に故意過失があれば請求は可能となる訳です。

自然災害の多い日本という国で生活する以上、備えを普段から心掛けておくことは不可欠となっています。

管理会社としては、こういった自然災害の度に必死に対応をしていくのは言うまでもないことなのですが、このような残酷にも見えるルールが社会で浸透していないため、毎度毎度、みなさんに苦しい説明と決断になってしまうことを皆さんにお伝えしたかったのです。

被害に遭われた方々に落ち度はないことなので、このような仕組みをご説明しても、中々ご理解をいただくことは難しいでしょう。

皆さんの憤りについては痛い程よく分かりますし、何とかしてあげたいのも山々なのですが、こういった法律上の仕組みである以上、火災保険なども適用されないのです。

その為、ご自身での保険や自衛をすることが必要になってくるのです。

台風が過ぎ去った今、普段からの備えをもう一度、何も起きていない日常から心掛けていきたいものです。

今回の台風で被害に遭われた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

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