
自己破産するオーナーはどれくらい?
今回は不動産投資を始めたい人向けの情報になるかもしれません。
私はこれまでに賃貸物件を持っているオーナーに数百人程度しかお会いしたことはありませんが、私が見てきた(その後の動向も出来る限り調べてみた)結果で不動産賃貸を行っているオーナーで自己破産、もしくはそれに近しい状態まで行ってしまったオーナーの実際の数と確率なるものを出して見ようと思います。
まずは結論からいきましょう
不動産投資を行っているオーナーの内、自己破産やそれに近しい状態(支払不能や延滞)になる確率は
0.5%程度です
おおよそ200人のオーナーさんがいると1人出てくるかどうか。これを多いと見るか、少ないと見るかはそれぞれだと思います。
これは私が自社、他社のオーナーさんの内、動向を知ることが出来る人の中での実際の体感値です。
当社のオーナーさんでそのような方は現在、過去もちろんいらっしゃいませんが、他社のオーナーや過去に勤めた会社でのオーナーで私が知り得る範囲も含めると、大体この程度になろうと思います。
東京商工リサーチの「リスク管理債権状況」などのデータによれば「リスク管理債権」という、簡単にいうと多数の銀行が貸しだした金額の内「破綻先債権」「延滞債権」「3カ月以上延滞債権」などを合計した数字が1.33%という数字から不動産オーナーの自己破産の確率を1.33%とするような記事もあります。
しかし、この数字は中小企業など不動産投資と関係のない融資が多分に含まれている為、不動産投資における自己破産比率を計るのに適当ではない気がします。
では自己破産に至る人の原因は?

私からすると0.5%というのは多額の資金を要する投資の中では自己破産の比率は「低い」部類だと思っております。
ではこの0.5%の人たちの破産、破綻の原因とは何か?という部分ですが
0.5%の人たちのほぼ9割は不動産投資以外が原因
こうなると思います。
私が知る限り、自己破産、返済不能まで至った人の原因は以下のようなものです。
- 本業(自営業)が上手くいかずに自己破産
- 不動産投資以外の投資(海外の新事業への投資、FXなど)の失敗
- 不動産収入以外の収入が無く、別の借金による返済不能
- オーバーローンで返済比率が高すぎて原状回復が出来ず空室が増えすぎて返済不能
- ギャンブル狂いの家族がいる方
こちらの例では自己破産まで至らずとも、不動産のローンを支払うことが出来なくなった方の原因を挙げてみました。
こうやって見ると買った物件が直接の原因というよりはプライベート、もしくは家計自体に問題のあることがほとんどであるということが言えると思います。
しかし、賃貸物件自体でも負のスパイラルというのは確実にあります。
上記は赤信号ですが、その手前の黄信号というのもあります。
全ての引き金は安易な「貸し止め」

それでは、返済不能などに陥る方の負のスパイラルの説明です。
正直、このような状態を招くと一気に収支状況は悪くなっていきます。
空室が出る
↓
原状回復をしないといけない
↓
手元にお金が無い、もしくは掛けたくない
↓
お金が溜まったらやろうと考える
↓
とりあえず今はやらない
↓
貸し止めになる
↓
全体の賃収が減る
↓
お金が溜まるスピードが落ちる
↓
最初に空いた部屋の原状回復が溜まる前に他のお部屋の退去予定が来る
↓
家賃収入が減る
↓
最初に戻る
このように安易な「一部屋の貸し止め」が全体の収支を圧迫し、負のスパイラルとなってしまいます。
そして自己破産や返済不能となったオーナーはほとんどこの状態を生み出しているのです。
本来はこの逆のスパイラルにしなければいけないのですから、当然の結果ともいえます。
不動産が原因という訳でもない
ここまでご覧になっていただければお分かりになる通り、よっぽどひどい不動産(新築ワンルーム投資など)でない限りは不動産が原因で自己破産や返済不能などになるケースというのは非常に稀であるのです。
また、不動産投資で立ちいかなくなるケースというのも、不動産に原因があるというよりは、家計や収入のコントロールなど個人の資質による部分が大きく占めています。
不動産収入というのは額が大きいのですが、使い方や貯め方という投資判断はオーナーによるものです。
物件を「買って終わりであとは永久にお金を生むマシーン」という考え方をする人はいないでしょうが、貸し止めによる負のスパイラルなどに陥れば簡単には立ち直れない状態になってしまいます。
私たちが関わっているオーナーさんの中では上記の事例や負のスパイラルなどはあまり見かけないものですが、不動産投資というのは「何を買うか?」も大事ですがそれ以上に「どう運営するか?」が非常に大事だと思っています。
当社でも入居率が芳しくない物件がオーナーチェンジした途端人気物件になる事例もあります。
不動産の価値を活かすも殺すもオーナー次第であるとも思います。
不動産自体に罪がある訳でもないのです。
賃貸不動産投資を始めたい方はその点をご注意ください。
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「マンションは音に強い」に隠されたウソ・ホント ~マンションで起きる騒音トラブルの実態~
「マンションは音に強い」というのは、不動産業界でよく聞かれる説です。 賃貸営業に配属された方が、入社初日に受ける研修でも「アパート・マンションの違いは?」で学ぶ必須項目といえるでしょう。 確かに、鉄筋コンクリート(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)の構造を持つマンションは、一般的に木造や軽量鉄骨造のアパートよりも防音性に優れています。 しかし、「マンションなら音の心配は不要」と思っていると、意外な落とし穴があるかもしれません。 今回は、この「マンションは音に強い」について賃貸管理の現場からリアルをお伝えしようと思います。 みなさんのお部屋探しに役立てば幸いです。 マンションの構造は確かに防音性が高い そもそも、アパートとマンションに明確な定義があるかといえば、実はありません。 諸説あるのが現状です。 ここでは一般的な違いとしましょう。 鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 3階建以上 共同住宅 これらを満たすものを一般的にはマンションと呼びます。 「鉄骨造はアパートだ」や「1階でもマンションがある」という説はもちろん理解してますが、今回の主題はそこではありませんので割愛します。 マンションの壁や床は厚く、特に隣室との間の壁(戸境壁)や床スラブがしっかりしているため、一般的な話し声やテレビの音などの空気を伝わる音は、アパートに比べて遮断されやすい傾向があります。 また、高級マンションでは二重サッシや防音ドアを採用している物件もあり、外部からの騒音も軽減されることが多いです。 木造や軽量鉄骨造に比べると建物自体が「重い造り」となっているのですね。 基本的には音は分厚いかったり、重い(密度のある)素材を使うことで軽減されますから、構造が変われば音の軽減に役立つことには異論はありません。 「音に強い」というイメージが引き起こす問題 しかし、この「マンションは音に強い」というイメージが逆にトラブルを生むことがあるのです。 音に強いと思い込んで、楽器演奏や大音量での映画視聴をしてしまう住民がいる 子どもが走り回る音や、椅子を引く音などの生活音を気にしない人が増える マンションだからと安心して深夜でも騒ぐ住民がいる これらの行動が原因で、「思っていたよりも音が響く!」と感じる人が増え、結果として騒音トラブルに発展するケースが珍しくありません。 確かに先ほどの理屈上では音に強いのですが、だからといって完全に遮断できるわけではありません。 また、賃貸用のマンションと分譲マンションでは建物に掛かっているコストが正直違います。 分譲マンションでは比較的かなりのコストを構造に掛けていますが、賃貸用では分譲マンション程のコストを構造に掛けることは一般的ではありません。 その為、一口にマンションといっても築年数や構造の差もあるので、同じマンションでも「音に強い」「弱い」は起こり得るのです。 マンションでも足音や重低音は響く 実は同じ音量でも、その音の質によって騒音となる可能性が違ってきます。 一般的には「高い音は遮断しやすく、低い音は対策が難しい」というのが定説です。 例えとしては「街中で大音量で音楽を流している車」をイメージしていただけると分かりやすいと思います。 窓を閉めていると車外には「ズンズン」という重低音部分が聞こえたりしますが、肝心の歌声や楽器音などは外に漏れにくいものです。 これは住宅でも同様です。 話し声やテレビの音などは、床や天井などにより低減されやすいのです。 マンションは一般的な生活音には強いですが、足音やドスンとした衝撃音(重低音)は構造的に伝わりやすいです。特に 上階の住人が歩く足音 物を落とす音 スピーカーからの低音の振動 などは、床を通じて下の階に響きやすいのです。 これらの音が予想以上に伝わることがあります。 専門的な話になりますが、話し声などは空気伝播音としての性質が高く、吸収もされやすいのですが、重低音に分類されるものは「固体伝播音」として、柱や床そのものを伝ってしまうため、床や壁が厚く堅牢であったとしても伝わりやすい音になってしまうのです。 そういった音の性質からも、騒音の原因の上位は「足音」や「振動」になってしまうのです。 「音に強い」というイメージで選ぶとギャップに悩むことも ここまでの結論としては「マンションは音に強い」は一定事実なのです。 しかし、この「マンションは音に強い」からこそ、トラブルの元になってしまうことがあります。それは 「マンションだから静かだろう」と思って入居した人ほど、ちょっとした音でも気になりやすい傾向があるのです。 「マンション=静か」という思い込みが、実際の生活とのギャップを生み、ストレスを感じてしまうことがあるのです。 賃貸仲介の営業マンも「音が気になるならマンションですね」などと営業文句を言ってたりしますし、それ自体は根拠もあるのですが、音というのはつまるところ 音の感じ方は個人による としかいいようがないのです。 その為、このイメージによる期待と現実のギャップが騒音トラブルの元にもなってしまうのです。 同じマンションに住む人は、同じような価値観を持っていたりすることが多いのですが、こと音に関してはバラバラです。 例えば 話し声は我慢できるが足音は嫌だ 子供の声が我慢できるが音楽は嫌だ 足音は我慢できるが給排水音は嫌だ など、音の種類によっても不快と思う音量や質は違いが出てきます。 余談ですが、私は話し声や足音などは対して気にならない方なのですが、古い家電などが出す「ブーーーン」という音や蛍光灯から鳴る「ジーーー」という音は嫌いです。苦情を言うような内容ではありませんが、嫌いです。 このように音量、質によっても不快のレベルが違う騒音問題は厄介なのですね。 騒音を気にするなら選び方が重要 騒音という点に絞ったお部屋探しということであれば、マンション=静かとは言い切れないということをご説明しました。 それでは、騒音を気にするならどういった選び方をすればよいのでしょうか? もし騒音を気にせず快適に暮らしたいのであれば、単に「マンションだから静か」と考えるのではなく、次のようなポイントを押さえて物件を選ぶことをおすすめします。 最上階を選ぶ 上の階の足音や物音が気にならないため、ストレスが減ります。 角部屋を選ぶ 隣接する部屋が少なく、横からの騒音が少なくなるため騒音トラブルの確率を下げる。 ファミリー向け物件を選ぶ 単身者向けの物件は夜遅くまで音が響くことがあるため、あえてファミリー向けの物件を選ぶという選択肢です。 間取りで選ぶ ・隣接区画が水周りになっている。寝室が音の影響を受けなそうな配置である。など 騒音が気になる場合は「マンションだから大丈夫」と思い込まず、間取りや設備をしっかり確認して選ぶことが大切です。 静かで快適な住まいを選ぶためにも、「マンション=音に強い」というイメージに振り回されないようにしてみてはいかがでしょうか。 そのうえで、音を気にするお部屋探しでは「自分はどういった音を避けたいのか?」に応じたお部屋探しが重要です。 音の種類や性質により選び方も異なってきます。 参考になれば嬉しいです。
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管理スタッフあるある ~ベテラン・上級者向け~
さあ、あなたは共感できるか? 不動産業界では、勤続年数10年ではまだまだ「ひよっこ」扱いされます。 町の不動産屋さんを見れば、50年は不動産業界にいるという重鎮たちも現役として働いています。 そういう意味では、私なんかも不動産業界では、まだまだケツの青いガキですらあります。 しかし、私もそれなりに分譲マンションの管理や賃貸管理を一生懸命やってきました。 今回は、そんな管理会社勤務の経験の中から 「ベテラン管理スタッフあるある」をご紹介してみようと思います。 新米管理スタッフだったころとは、一味違う「あるある」がそこにはあるのです。 さあ、みなさんは共感できるのでしょうか? それとも私はまだまだ「ひよっこ」なのか? 怒鳴る人より丁寧な人が恐い まずはこの関門を突破することが、ベテランへの第一歩という感じです。 最初のうちは、不動産業界に入って、お客から怒鳴られる経験をすると恐怖を感じたり、強いストレスを受けるものです。 しかし、そのうちに気付くのです。 怒鳴る人というのは、そこまで対応は難しくない と 本当に厄介なのは 丁寧に淡々と対応してくるタイプだ と 私もこれです。 怒鳴る人といのは、良くも悪くも感情がハッキリと分かります。 分かり過ぎると言ってもいいくらいです。 求めているものや解決までのラインも、ハッキリと見えますので、あとは「飲めるのか飲めないのか」を判断して、粛々と対応をしていくだけです。 しかし、物腰だけが丁寧な人というのは 「どこまでをゴールとして見ているか分からない」という不気味さがあるのです。 映画でも真の悪役などは、意外に丁寧な口調だったり、紳士的だったりするじゃないですか? あんな感じです。 相手の感情が全く読めないというのは、対応を間違えられないな!というプレッシャーがありますね。 他人事のような態度 ベテラン管理スタッフになると、問題の当事者であるのにも関わらず、他人事のような態度を取っている人が多く見られます。 はたから見ると「真剣さが足りない」「自責の念が感じられない」「自分には関係ないと思っている」などと映ったりすることもあります。 しかし、多くの優秀な管理スタッフほど、「他人事のような態度」は強い傾向があります。 なぜこのような態度に映るのでしょうか? それは複数の要因があります。 今まで同じようなトラブルを経験している 慌てても解決しないことが分かっている 感情に流されると判断を間違う 頭の中で既に解決策を考えている 管理スタッフの仕事は、多くの場面で「冷静」であることが求められます。 オーナーと入居者、入居者と入居者、管理会社と入居者 対立軸になりそうな局面に、中立であるべき存在として立たされます。 そんな中で共感し過ぎたり、慌てて対応したりすると、却って自体を難しくしてしまうものです。 他にも単純に「この手のトラブルを何度か経験がある」となると、冷静にもなるものです。 落ち着いて対応しようとする。 その佇まいなどから「他人事」感が出るのかもしれません。 もちろん、完全に他人事として放置したりするのは論外ですが、仕事の出来る管理スタッフはどこか「冷たく」見える人が多いのも事実です。 私はそんな対応が出来る人を見ると「プロだな・・・」と憧れたりします。 謝罪がオーバー 謝って済むなら警察はいらない みなさんも小さな頃から聞いたこの言葉 確かにそうかもしれませんね。 ただ 意外と世の中では「謝るだけで済むこと」って多いんです。 それを肌感で理解しているスタッフも多いのです。 人間というのは感情の生き物だったりします。 その為、優秀な管理スタッフは謝罪すべき時には「これでもか」という位謝罪がオーバーだったりします。 そもそも、入居者さんの怒り等は本来、管理スタッフの「せい」でないことがほとんどです。 しかし、そんなことを言っても事態や感情は解決しません。 だからこそ、謝罪が有効な場面では謝罪をハッキリとすることで、相手方にも冷静になってもらうことも必要なんです。 逆に「謝罪してはいけない」場面の時には、テコでも動かぬ頑固さを発揮します。 問題解決の為にプライドを捨てるその仕草は、大人のカッコよさが漂います。 頂は遠い いかがでしたでしょうか。 私はまだ10数年の業界歴ですから、当初にあげた例の重鎮たちからすれば、初心者に毛の生えた程度かもしれません。 私自身もそう思っています。 なぜなら10数年経った今でも なにこれ?どうやって対応すればいいの? といった事例が毎日のように起きるのが管理会社です。 そして、それこそが魅力だったりします。 私は飽き性なのですが、この仕事は適度に刺激的な毎日で飽きないです。 経験が蓄積するごとに問題解決も楽になり、自分の成長を実感しやすい点も好きですね。 まだまだ青二才であることを自覚しつつ、真のベテラン管理スタッフになるべく、今日も精進していきます。
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「家賃を下げる」も空室対策の一つ ~管理会社が知る意外なメリットとは?~
負の側面だけではない 多くの大家さんが「家賃を下げる」という選択肢に対して否定的なのはよく理解できます。 家賃の値下げは、収益を直撃する決断だからこそ、慎重にならざるを得ないものです。 しかし、家賃の値下げが必ずしも「損だけ」になるとは限りません。 もちろん、管理会社としても賃料は上がった方が助かります。 出来る限り高い家賃を目指しているのも事実です。そこに異論はありません。 今回は、管理会社として長年の経験を通じて得た知見をもとに、家賃を下げることで得られる意外なメリットをお伝えします。 特に物価高による修繕コストやリフォームコストが上がった昨今だからこそ、この禁断とも呼べる手段は考慮するに価するのです。 家賃を維持・上昇させるためのコストを考える まずは、家賃を維持または上昇させるためには、物件の魅力を高める必要があります。 物価高になり、賃金上昇の局面に入ったとはいえ、それでも現状は実質賃金がマイナスという状態です。 この状態で空室が発生したからというだけで家賃上昇を目指すのは、簡単なことではありません。 今までの賃料が相場に比べて廉価過ぎた、ということでない限りはリフォームやメンテナンスを実施することも必要でしょう。 たとえば 古くなった設備を交換する(エアコン、給湯器、キッチンなど) 壁紙や床材を新しくする 外壁や共用部の修繕を行う もちろん、最低限貸し出す為の修繕はいかにコスト高とはいえ必須になります。 この修繕・リフォームには数万~ときには百万円単位のコストがかかる場合もあり、費用対効果を考えると必ずしも得策とは言えないケースもあります。 現在の資材高と人件費高の状況では、家賃の上昇幅や維持に関するコストと見合うかは検討が必要です。 対して、家賃を少々下げることで空室がすぐに埋まるなら、リフォーム費用を抑えながら早期に収益化できる可能性があります。 長期入居を促し、安定収益を確保する ここからは家賃の値下げの隠された効果についてご紹介してみようと思います。 その一つが「長期入居の可能性が高まる」です。 家賃を下げると、その分だけ入居者の「コストパフォーマンス満足度」が向上します。 結果として、長期的に住み続ける傾向が高まり、退去リスクを軽減できるのです。 相場の上限ギリギリの家賃設定では、常に「もっと安くて良い物件がないか?」と入居者が考え、他の物件に引っ越す可能性が高まります。 一方で、適正な家賃または少し割安な設定にすることで、以下のような効果がうまれます。 住み替えの動機が生まれにくい 家賃の支払いに対する不満が減る 収入の変動があっても無理なく住み続けられる 入居者が住んでいる間には、ライフステージにより様々な変化が訪れます。 そんな時に頭をよぎる「お引越し」という選択肢 その時に、自分の家賃が「割安」「適正」と考えられるような場合には「お引越し」=「解約」は思い浮かばないことでしょう。 しかし、入居者さんが「割高」と感じた場合は他へ移るという選択肢を取っても不思議ではありません。 一人の入居者が長く住んでいただくことで「空室期間の損失」を防ぐことになります。 私がこれまで経験している物件例でも、相場より賃料が割安な場合、平均居住年数が長引くというのは顕著です。 この手法を意図的に取り入れている大家さんがおりますが、所有物件(12戸)はここ3年間満室で退去は1件も無いという強者もいらっしゃいます。 空室期間の損失を抑える 空室が出ることによる損失は、実際には家賃の1カ月分だけではありません。 広告費 原状回復費用 返済費用 収益用物件はいかに「空室を生まないか」が最重要であるかについては異論はないと思います。 実際の費用だけでなく、業者さんとの打ち合わせなどの手間や時間も掛かってくるわけです。 空室期間が長引くにしたがって、このコストは増大してしまいます。 家賃を下げることで少しでも早く入居者が決まるのであれば、結果的にトータルの収益でのパフォーマンスは家賃向上と比べると、大きな差が生まれないという点も考慮の余地があります。 また②の「長期入居」も居住年数を伸ばすことにより、この「空室損」を発生させないというのは、ある意味「肉を切らせて骨を断つ」に近いものを感じます。 それなりに理にかなった方法でもあるのです。 まとめ 「家賃を下げる」という選択肢は、一見するとマイナスだけのように思えます。 確かにデメリットが数多くある方法の一つではあります。「売却時の利回りが下がる」「入居者層が変わる」「収益性の悪化」こういった副作用があるのは当然です。 しかし、長期的な入居者を獲得し、空室リスクを減らし、無駄なリフォーム費用を抑えるという点で、大きなメリットがあるのもまた事実です。 管理会社としての経験から言えるのは、「家賃を下げる」というのはあくまで、数多くある空室対策の一つの手段であり、それが最適な戦略となるケースもあるということです。 昨今は大家さん側の情報発信が盛んになってきており、大家さん側の意見からすれば「家賃値下げ=悪」と感じられるのは当然だと思います。 事実、大家さん向けの書籍やセミナーでは「家賃UPを目指す」や「家賃値下げは絶対NG」などを多く目にします。 どんな空室対策もメリットとデメリットが表裏一体なのです。 家賃UPを目指すなら長期間の空室リスク、維持修繕コストなども覚悟せねばなりません。 どんな薬も副作用があるかのように、家賃の値下げも空室対策の手段の一つに過ぎません。 正しくリスクを把握して使いこなすのであれば、空室対策として有効な面も持っているのです。 物件の状況や市場の動向を踏まえ、柔軟に空室対策・家賃設定を検討することが、結果的に安定した賃貸経営につながるでしょう。
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家賃を「一括で前払いするから」は交渉材料にならない!その理由とは?
結構いるが・・・ 「家賃を〇年分(カ月)前払いするから」 私も賃貸営業をやっておりましたが、この交渉は幾度も受けたことがあります。 さて、この方法は有効なのでしょうか? よくある交渉なのですが 結論からいえば、正直大家側も管理会社側も実はメリットと感じないでしょう。 その理由をご紹介してみましょう。 大体は交渉事とセットである そもそも「家賃を一括」はなぜ提案としてあるのでしょう。 大体は交渉事とセットで切り出されます。 私が受けたことのある内容でいえば 入居審査に落ちたけど住みたい ペット不可の物件でペットを飼育したい 本来の入居人数を超えて入居したい(ワンルームに2人入居など) 法人契約で入居者の入替えを自由にしたい 短期で借りたい 本来の家のリフォーム期間だけ住みたい こういったケースで多い印象があります。 確かに上記の内容を大家側に飲んでもらうために、交渉の条件として「家賃を一括前払い」は有効に思えます。 ですが、なぜ大家や管理会社はメリットと感じないのでしょうか? ここからは、その理由をご紹介してみましょう。 前払いされても使えないから まずはこれです。 いかに前払いをされたとしても、実は大家側は使うことができません。 もちろん、使ってもいいのでしょうが、途中で解約されたらどうなるでしょう? 家賃というのは前払いがほとんどですが、それは「2月分を1月末までに」という程度のものです。 とすると、先に家賃を払ってもらったとしても、厳密にいえば「その月」が経過するまでは「預かっている」に過ぎないのです。 前払いをしてもらったとしても「今は自分のお金ではない」となると「前払い」はメリットにならないのです。 では「途中で解約しても残金は返さなくていいから」という約束とセットでならどうでしょう? それでも結論は変わらないことでしょう。なぜなら そうは言ってても、土壇場になれば返金を求めるのではないか?そうなった場合、揉めたくない と高確率で思われるでしょう。 そして、高確率でそういった事態を起こされた経験があるからです。 会計処理上面倒である これもまた事実の一つです。 前払いを受けた場合、大変なのが会計上の事務処理になります。 「前払いの残高いくらだっけ?」というのを毎月管理せねばなりません。 昨今、家賃管理はシステムで行っておりますが、個人でやっている大家さんなどになると、これは厄介です。 毎回「最初に払った額」から「経過した家賃」を引いていかねばなりません。 毎月のように決まった振込などがあれば管理は楽ですが、前払いだと引いていく必要があります。 また、結果として 前払い家賃がなくなりそうな場合、こちらから催促しなければなりません 一括して前払いした側はえてして、この「残高管理」をしていない場合がほとんどです。 「無くなりそうになったら、向こうから催促が来るだろう」と思ってしまうのです。 これは、督促の手間が増えてしまい、管理する側はイレギュラーとして覚えておかねばなりません。 システムなどで管理していない大家さんになると、これはデメリットと受け取られるでしょう。 「前払いでもらったと思っていたら、いつの間にか滞納が発生していた」となることもあるのです。 単に恐い これもありますね。 なにかしらの交渉が入るような事例でないと「家賃を一括払い」はないのですが お金で交渉を飲んでもらう という姿勢に嫌悪感を覚える大家さんが多いのも事実です。 もちろん収益の為にやっているのですから、収益は大切なのです。 しかし、交渉の場面でお金でゴリ押しとみられると、引いてしまうのです。 これは「交渉をしてはいけない」という訳ではありません。 「お金を払えばいいんだろう」という姿勢に映らないように注意しなければいけません。 相手方から条件として言われない状態で切るカードとしては「家賃前払い」は少し「恐い」印象を受けてしまいがちです。 交渉したいことがあれば素直に申し出てみましょう。 そのうえで条件として「家賃前払い」が出た場合などは、当然問題ありません。 なぜか「家賃前払い」は一足飛びに初手から切り出されることが多いので、誤解を生じさせてしまいます。 あくまで交渉は人と人との関係です。 初っ端から出すカードとしては、あまり先方に良い印象は持ちづらいのです。 交渉は丁寧に いかがでしたでしょうか。 なにかしらの事情があって交渉になることでしょう。 多くの場合、大家さん側に直接会うことなども難しいことでしょう。 だからこそ、相手にどう映るか?という点を思いながら交渉に臨んでみてはいかがでしょうか。 どうしてもダメなことはダメでしょう。 それでも真摯に対応する姿勢を見せることで活路が開けるかもしれませんよ。 「家賃の前払い」自体が悪い訳ではありません。 今回挙げた内容を考慮したうえで、相手との妥協点が見いだせれば幸いです。
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賃貸契約後すぐ解約したらどうなる? ~知っておきたい費用とリスク~
契約直後の退去どうなる? 賃貸物件を契約したものの、何らかの事情で「やっぱり解約したい」というケースはごくまれに発生します。 しかし、契約後すぐに解約する場合、契約金や違約金が発生する可能性があり、思わぬ出費となることも。 今回は、契約後の早期解約をするとどうなるのか? 契約金は返ってくるのか? ハウスクリーニングや短期解約違約金は請求されるのか? 解説してみましょう。 自己都合での解約 まずは事情により解約という点ですが、どのようなケースがあるのでしょうか。 借主側の事情(自己都合)という場合について解説していきましょう。 この場合、借主が望んだにせよ、望まなかったにせよ自己都合とみなされるケースは以下のような事例でしょうか。 私が今までに経験したり、聞いたことがある内容としては 急な転勤や異動 入居してすぐのトラブル 思ってたのと違う、他の物件にしたい 病気やケガ 親族 その他 「急な転勤や異動」については「異動先が急遽変わった」とか「今年は転勤無いと思って契約したが転勤になった」などでしょうか。 「入居してすぐのトラブル」は「思ったより上階からの騒音がヒドイ」「隣の住人と揉めた」「ストーカー事案の発生」「空き巣などにあって恐い」など人に起因するものが多いと思います。 「思ってたのと違う、他の物件にしたい」はこのままですね「契約後に他の部屋を見つけた」「思ったより日当たりが悪い」「湿気がヒドイ」など 「病気やケガ」は「大病をしてしまい一人暮らしが出来なくなった」「階段が上がれなくなった」「ケガなどで設備が使いづらくなった」などの本人にもどうしようもない理由がほとんどです。 「親族」であることは「成人して自分で部屋を選んだが、親族から反対された」「近くに親族が住むことになり嫌になった」などの家庭に起因するものです。 その他で今までに珍しい事例としては 感動する動物映画を見て急にペットが飼いたくなった 占い師に診てもらったら「その部屋はダメ」と言われた 契約直後にプロポーズされた 霊感のある人が部屋にきて「ここには霊がいる」と言われて怖くなった 妊娠が判明して単身でなく家族用が必要になった 宝くじに当たってグレードアップしたくなった 事例は様々で、「本人の責任ではない」という事情もあったりするのですが、契約上は「自己都合による解約」とみなされることが多いものです。 どこまでが「自己都合」という線引きは難しいんですけどね・・・ 基本的には「貸主(管理会社)の責任ではないこと」以外は自己都合となることが多いものです。 「上階の騒音」や「空き巣」などは貸主の責任ではないか!と思われるかもしれません。 厳しい見方になるのかもしれませんが、それは「騒音を出す人が悪い」「空き巣をする人が悪い」となり、「貸主の責任」かどうかでいえば違ったりするのです。 その他の事例も同様です。「急な転勤」や「病気ケガ」なども本人の責任では無いのでしょうが、かといって貸主の責任ではない訳ですね。 もちろん、全てのケースで貸主の責任が無いとは言えませんので、その判定は個別の事例にそって行われるのです。 賃貸契約の成立タイミングとは? そもそも、賃貸借契約というのはいつ成立するのでしょうか? 法律的な原則でいえば、当事者(借主・貸主)同士が合意した瞬間に賃貸借契約は成立するのです(諾成契約)。 つまり借主が「ここに住みたい」貸主が「いいですよ」と合意した瞬間といえます。 現実的な手順でいえば、入居申込書を記入して渡した瞬間に、賃貸借契約は成立したということになります。 ただし、ここで不動産業者が仲介に入っていると、そう簡単にはいきません! 不動産業者が仲介をする場合には、契約前に重要事項の説明と重要事項説明書の交付を行わなければならないとの定めがあります。 細かい法解釈は別として、現実的には重要事項説明をして 「契約書に署名・捺印をし、貸主(または管理会社)に提出した時点」 で有効と解するのが一般的です。 本来は合意のみで契約は成立するが、別の法律で阻止されるというイメージでしょうか。 つまり、この契約が完了した後に「やっぱりやめます」と伝えても、それは通常の解約手続きと同じ扱いになってしまうということですね。 解約と近い言葉で「キャンセル」という概念があります。 内見などをして「ここがいい」と思って、入居申込をしたものの、一晩考えたら「やっぱり違った」となって翌日などに「すみません、やっぱりやめます」というケースです。 上記の例からすれば、契約書の取り交わし前であれば、申込金などの金銭を支払っていたとしても、「解約」ではなく「キャンセル」はできると解される訳ですね。 但しこの「キャンセル」は「契約前であれば無限に出来る」という訳でもありません。 判例でも「いたずらに引き延ばしたり」「契約の意思があるようにふるまって直前でのキャンセル」などは損害賠償を求められることもありますので、注意が必要です。 一旦契約が有効になった後は、 たとえ入居前であっても契約解除には費用が発生する 可能性が高いため、慎重に判断することが重要です。 解約のお金の話 それでは契約が終わった後に事情はあれど、キャンセル・解約する場合に気になる「お金の話」です。 急な解約となると、契約金や通常の退去時に掛かる原状回復費や違約金、ハウスクリーニングの扱いが気になりますよね。 先ほどの例による「キャンセル」と「解約」の違いは、以下のようになるのが一般的です。 項目契約前のキャンセル契約後の解約契約金返金されることが多い返金されない可能性あり敷金そもそも支払わない一部または全額返金される短期解約違約金発生しない契約内容によって発生するクリーニング費用発生しない入居前なら発生しない可能性あり原状回復費発生しない傷や汚損が無ければ発生しない可能性大 契約前のキャンセル契約書を交わす前の段階であれば、基本的に全額返金されることが一般的です。ただし、申込時の手付金や事務手数料が返金されない場合もあるため、事前に確認が必要です。 契約前でも「〇〇してくれるなら申込みます」など貸主に特別な負担をお願いしていて、貸主がリフォームや特別の負担などに着手していた場合は、その部分について請求される可能性があります。 契約後の解約契約が成立した後の解約は、たとえ未入居であっても 「通常の解約手続き」として扱われる ことが多いです。そのため、 短期解約違約金や契約金の返金不可 などのリスクが伴います。 こうしてみるとキャンセルでは、ほぼ費用が発生しないことになります。 一方、契約後の解約については、返ってこない、もしくは請求される可能性があるものがほとんどです。 ここからは「解約」の場合、個別の費用について解説してみましょう。 先払い家賃 契約金には、当初の家賃を前もって支払うことが一般的です。解約では契約書に従って「解約は〇月前に申し出ること」などと記載されており、実際には住まないとしても、残額の返金となる可能性があります。 仲介手数料 契約成立したことによる、不動産会社の報酬です。これは契約後の解約では返ってこない可能性が高いものです。契約に不備が無い限りは難しいものでしょう。 火災保険料 入居にさいして火災保険などの加入が必須であることでしょう。 実際の契約が開始する前であれば、保険料全額が返金がされるかもしれませんが、一旦契約日を迎えてしまった場合には、解約返戻金として保険会社により定められた返戻率により返ってくることでしょう。 敷金 滞納や退去後の原状回復費の担保となる敷金ですが、こちらは契約直後などの損傷や滞納などがなければ、全額か大半は返ってくる可能性はあります。 ただし、敷金が特約により「償却」となっている場合は直後の解約でも返ってこない可能性がある為、注意しましょう。 短期解約違約金 契約書の特約などにより「〇年以内の解約の場合、賃料の〇月分を違約金として支払う」が設定されていたりします。この場合、契約直後の解約であっても請求される可能性があります。契約書をしっかりと確認しておきましょう。 ハウスクリーニング ハウスクリーニング費用の扱いは非常に難しいものです。未入居の状態であれば、恐らく請求されることはないでしょう。しかし、一日でも使用していた場合には要注意です。特約などに「入居の長短にかかわらず~」などの文言が入っている場合などは、原則として請求される可能性が高いといえます。しかし、余程の短期だった場合などは多少減免があるかもしれません。ここは正直、各管理会社の裁量の範囲かもしれません。 このように、一旦有効に成立してしまった場合には契約の取り消しではなく、「解約」とみなされるようになってしまいます。 「契約」は慎重に いかがでしょうか。 今回ご紹介したのは、あくまで「契約」と「解約」での費用やリスクのお話でした。 現実的には事情を考慮してもらえたりすることもありますが、それはあくまでも「例外」としての扱いです。 もちろん、貸主側に落ち度があって契約が実行されない場合などは、今回のように「解約」ではなくなります。 その場合は借主が損害を被ったということになりますので、逆に貸主へ損害を追及することも可能になります。 いずれにしても「契約」というのは、とても重い行為です。 「契約書の内容をしっかりと把握する」「引っ越しの判断をしっかりする」などの自衛をしっかりと行っておきましょう。 仮にやむを得ない事情で解約をしなければいけない場合は、真摯に事情を話し、冷静に事態に対応していきましょう。
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管理会社は役立たず!「騒音問題」 ~加害者を追い出す権利を管理会社に渡すべきか~
責任は誰に? 賃貸でも分譲でも、一つ屋根の下の共同生活で断トツ一位の苦情である「騒音問題」 たしかに、隣や上階からの騒音が聞こえてくることは気分のよいことではありません。 こんな時に頼りたくなるのが管理会社であると思います。 しかし、多くの場合で管理会社は「役立たず」であるという現実があるのです。 今回は管理会社自身が騒音問題について「役立たず」である理由と、本当の意味での解決方法を提言してみようと思います。 この問題について弁護士が見解を出している記事もあります。参考にご覧ください 管理会社は何とかしたい、しかし権限はない ネットの海を検索すると、ひどいものです。 騒音問題についての質問サイトなどを見れば 管理会社は騒音を訴えても張り紙だけで何もしない 直接注意などもしてくれない 全然効果が無い 管理会社は面倒ごとを対処したくないのだ 報酬がないことは不動産屋はやらないのだ おぉ、心が痛い 不動産業界に身を置く者としては、見ていられません。 確かに不動産業者の中には、上記のように「面倒くさい」とか「やりたくない」という事業者が一部いることも事実でしょう。 信用していただけないかもしれませんが 普通の管理会社なら騒音問題を出来れば解決したいと思っています そう、信用してもらえないでしょうが・・・ そしてもう一つの事実として 騒音問題は注意文や電話で9割方解決するのです。 本当です。 大体の騒音問題であれば、注意文や電話などで「やんわり」注意するだけで改善することがほとんどです。 しかし、この9割を潜り抜けた1割については、正直 管理会社には解決できません! 正確には 解決する為の権限がありません この点について管理会社の苦悩と現実をお伝えしてみます。 人の管理はできない リンク先の弁護士の見解でもありましたが、この騒音問題の難しいポイントは以下の通りです。 騒音は主観的なもので「どこからが騒音か?」が定義されていない(受忍限度の曖昧さ) 騒音に対する「個人の感覚」問題 立証するのは被害を「受けた側」である 裁判での低い「損害賠償」 騒音を出す側すら守る「借地借家法」 こんなところでしょうか。 「管理会社なんだから、なんとかしてよ」 私たちも出来れば平穏無事な生活を提供したいのです。 しかし、これを解決する為には最低限以下のような取り決めが必要となります。 騒音の定義(音量、時間帯、頻度、種類、期間など) 立証する厳密な方法とルール 立証費用の低減化 問題のある入居者への罰則 瞬時にどちらの言い分が正しいかを判断すること 問題のある人を簡単に追い出せる仕組み これらを管理会社という一企業に委ねるしかありません。 こういった権限が管理会社にあれば「騒音を引き起こす人」を追い出したりすることも可能ではある訳ですね。 そしてそれは「人の管理」とも呼ぶべきことを可能にする。 それは本当に委ねていいのでしょうか? 管理会社の暴走と紙一重 最近では「管理会社に騒音加害者を強制的に退去させる権限を与えるべきだ」という意見も聞かれるようになりました。 一見すると合理的な解決策に思えるかもしれませんが、この方法には慎重な検討が必要です。 メリットとデメリットは以下の通りでしょう。 メリット問題住民を迅速に対処できることで、被害者を早期に救済できる可能性があります。また、トラブルがエスカレートする前に収束できるため、全体的な住環境の改善が期待できます。 デメリット誤った判断で無実の住民が退去を強いられたり、権限の乱用リスクが発生する懸念もあります。退去処分が恣意的に行われることで、少しでも管理会社のいにそぐわない人であれば退去させるという可能性も否定できません。「気に入らない」という点だけで誰かを貶めることも可能かもしれません。 裁判所や警察でもない一企業に、入居者の生殺与奪を握らせることは本当によいのでしょうか。 それでも、この複雑に個人の権利保護が叫ばれる昨今では、騒音に限らず「悪質な入居者に対応する」という部分については議論がされるべき局面になってきたように思います。 それは既存の「借地借家法」の見直しになることでしょう。 しかし、それはみなさんにとっても諸刃の剣です。 騒音に限らず、ルールを守らなければ逆にあなた自身も「追い出される側」になる可能性があります。 それでも現在の「悪いことでもやったもん勝ち」になる現実よりは、善良な入居者を守れる仕組みの方がいいのではないか?と考えます。 みなさんにとっては「何もしてくれない」と思われがちな管理会社かもしれませんが、意外と現場では「なんとかしたい」と考えている業界人は多いと思っています。 その為には、ある種の聖域なき改革に踏み出す時機が来ているのかもしれません。 慎重な議論であるべきですが、このままでいいとは思えません。 出来るかぎりの快適な住環境は、貸主と入居者と管理会社の相互による不断の努力によって保たれるのですから。 管理会社にその権限を渡す必要はないと思いますが、何かしらの対応策は必要な時代でしょうね。
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大家もつらいよ ~「物価高騰」による家賃上昇は根拠があるのか?データで見てみよう~
不動産賃貸業は物価高騰と相性が悪い 昨今、世界的なインフレに見舞われております。 日本も例外ではありません。 食料品も含めて全ての商品が値上げを続けており、我々のお財布を直撃しています。 そしてついに、不動産に関する物も例外ではなくなってしまいました。 それは 建材費と人件費の高騰です 建材費はコロナ禍から始まり、ウクライナ紛争なども相まって「ウッドショック」という木材の値上げに端を発し、その後も全ての建材費が上がり続けております。 また、高齢化や少子化の影響で、現場で働く職人さん不足も追い打ちをかけております。 それによる新築価格の上昇とリフォーム価格の上昇が引き続き猛威を振るっております。 新しく建てる物だけではなく、修繕コストも上昇するなか、首都圏や大都市部では 家賃上昇が叫ばれております。 入居者のみなさんから見ると 「家賃値上げは嫌だ!」「本当に不動産に関する物価高騰してるの?」「大家が払うべきだ」と思われるかもしれません。 当然私たち管理会社も気持ちは分かります。 家賃の値上げとなれば毎月の生活費も上昇するわけですから、歓迎する入居者さんはいないことでしょう。 ここで入居者さんの思いを代弁してみましょう。 「本当に高騰しているの?便乗値上げじゃない?」 確かに、当然思われることでしょう。 一方、不動産会社や大家さんも疑問を持たねばなりません。 本当に不動産に関するコストは上がっているのか?どのくらい上がっているのか? これを把握しないでおいて、単に「なんか物価上がってるみたいだから家賃を上げます」はあまりに感覚的すぎます。 今回は大家さんも入居者さんも双方ともに 物価は高騰しているのか?上がっているとしたらどのくらいなのか? を検証してみましょう。 データから読み解こう こちらは一般社団法人日本建設業連合会で発表されているデータです。 元データはこちらからどうぞ https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-3/index.html#link01 こちらはオレンジが「建設用材料計」で茶色が「製材・木製品」緑が「窯業・土石製品」青が「鉄鋼」紫が「金属製品」となっております。 数値の見方としては2020年の価格を100として、各年代の推移を表しております。 コメントでは「建設用材料計は、2018年後半から緩やかな上昇が続いていたが、2021年から急激な上昇に転じた。特に、製材・木製品、鉄鋼の上昇が著しく、鉄鋼は中国の経済成長とコロナショックからの世界的な経済活動の再開により、また、製材・木製品は米国の住宅需要の拡大と2022年2月に始まったウクライナ危機の影響による。」となっています。 このデータから読み解くとすれば ウッドショックと呼ばれる木材などは2022年をピークとしているが、以前高い 鉄鋼は高止まりである その他についても緩やかながら上昇傾向 推移の比率を見ても少なくとも20%以上の高騰を続けているのは事実でしょう。 次に具体的な製品と気になる「人件費」についてのデータを見てみましょう。 https://www.nikkenren.com/sougou/notice/pdf/jfcc_pamphlet_2501.pdf こちらも2021年を基準とした各製品の資材価格の推移と業種別の労務単価の推移を表しております。 ここから読み解けるものは 資材の高騰は紛争以外にも様々な要因が組み合わさっており、一つの問題が解決しただけでは収まらない 労務費については業種を問わず上昇傾向である いわゆる材工ともに大幅に上昇している 総括すると コストは間違いなく上がっている では、このことをもって「家賃上昇は不可避なのか?」について語ってみようと思います。 地価と物価の切り分け ちなみにこの「家賃の増減」については、現行の借地借家法で取り決めがあります。 (借賃増減請求権)第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。 実はこのように曖昧な書き方になっているのです。 土地もしくは建物に対する租税その他の増減によりという言葉は 固定資産税や物件が上昇したら と読み解けるような内容ですが、それが「どの程度に至ったら?」は明記していません。 当然民間住宅に対する値段を法律で決めるというのは、いささか無理があるものです。 私はここで「家賃上昇はやむなし」と賛成する立場でもなければ、反対に「家賃上昇はダメだ」と言いたい訳ではありません。 管理会社として、「賃借人も大家も事実を踏まえたうえでの協議をすべき」という立場です。 なぜなら 適正な家賃でなければ双方共倒れ 実は大家も賃借人も、どちらも極端に走りすぎると「共倒れ」になるのです。 考えてみれば当然なのですが 大家さん側に立っても「家賃はドンドン値上げだ」としても、どこまでも上げることは出来ませんし、上げすぎた場合は「退去者は出るが、入居者は入らない」という事態になるだけです。結局、収益は悪化してしまいます。 逆に賃借人さん側にたって「家賃は絶対に上げない」とした場合、採算が取れなくなった大家さんは不動産賃貸を辞めてしまい、住める物件が減ってしまいます。賃貸物件が少なくなって希少になった場合は、やはり市場の作用で家賃は上がってしまいます。 どちらの理屈に振ったとしても極論的な行動は、結局自分の首を絞めるだけなのです。 大家も入居者も「おたがいさま」なのです。 自分だけが得しようとしても、大きな市場である不動産では上手くいかないでしょう。 借りてくれる入居者がいなければ、大家は困る 貸してくれる大家がいなければ、入居者は困る 借りる人、貸してくれる人がいなければ不動産屋も困る 大事なのは、しっかりと事実をもとにした協議である訳です。 あくまで家賃は「適正」であるべきであって、「高くも安くもない」が最善ではある訳ですね。 今回のデータなどを元に大家側も入居者側も、冷静で「適正」な議論を行って欲しいです。







