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帰ってきた入居者の目的とは
一人ゴミ屋敷で立ちすくむ私、すると玄関のドアが空き誰かが入ってきました。
入居者が帰ってきたのです。音信不通となっていた入居者です。
私は現状の確認と今後の方針や希望を聞くと入居者は答えました。
- 既に次のお部屋は探して契約も済んでいる
- 明渡しまでに少しずつ片付けようと思っていた
- しかし、精神的にも参ってしまい、中断した
- 連絡したのだから、もう少し時間の猶予が欲しい
- 手持ちのお金もない
- ゴミに見えるが、必要な物なので捨てないで欲しい
- 身内には迷惑を掛けたくないから親族には連絡をしないで欲しい
- 連絡があったのは気づいていたが、どうしようもなく無視した
- ついに疲れ果てて、少し寝ようと思って帰ってきた
どうでしょう。みなさんはこの言い分を聞いてどう思うでしょうか?
「放置しても仕方ないのだから何とかしろよ」「この期に及んでまだ身内に迷惑掛けたくないとか図々しい」「責任感が無い」「この部屋のどこで寝るんだ?」「次の部屋も借りているのに、なんで放置してるんだ」
色々な感想をお持ちでしょう。私もそう思います。
しかし、ここでこの入居者を罵倒して動かそうとしてもハッキリ言えば無駄です。こういった人たちを無理に動かそうとすると解決はどんどん遠ざかっていきます。
私は管理会社として数々のトラブルを解決してきました。そして色々な人を見てきました。
経験上この入居者は
人生のカーナビ非搭載タイプ
です、これは私が心の中で人を分類しているのですが、勝手な呼び方です。
そう、先ほどの言い分には何一つ合理性や責任感、解決までの道のりがありません。自分の願望だけなのです。
これはどういうことかというと
本来やらないといけない、叶えたいことはあるが、どう行えばいいのか道筋を自分で設定できないのです
このタイプの人は「片付けないと大変なことになる」は分かっているのですが、その方法を設定できません。
またこのタイプの人は何とか無理して方法を選択しますが、その選択が間違いであることがほとんどです。
もしくは決断できずにズルズルと事態を悪化させてしまいます。
あたかも人生という長く、道順も複雑な道をカーナビ無しで突っ走る車のようです。どんどん迷ってしまい、最終的に行き止まりになってしまいます。
ですから人生のカーナビ非搭載タイプと心の中で勝手に呼んでいます。
このタイプの対応は以下の通りです。
- 正論をぶつけて行動させようとしない
- 早く行動しないと更なるリスクが来ることを理解してもらう
- まだ間に合うことを伝え、「少しだけ」安心させる
- 意見は聞くが採用しない、任せない
- こちらの提案を採用することが、最良であることを理解してもらう
- 決断はその場でしてもらう
このタイプは「しなければならないこと」は分かっているのです。しかし出来ません、そしてなぜか願望や希望は強い傾向にあります。
頭ごなしに正論などをぶつけて「解決」を求めると思考回路がショートしてしまい、連絡を無視したり、問題を放置してしまいます。
ですから、意見や願望、希望はまず聞いてみます。しかし決して採用したり、任せてしまってはいけません。
共感して落ち着いたところで、次の手です。
この方達は結局のところ「最良の決断」を欲しています。自分も解決したい気持ちはあるのです。出来ないだけです。
プロとして、今後進んでいく道をしっかりと話して理解してもらうのです。例え本人の希望や願望が全て叶わないということが分かっていても・・
その為簡単には納得しません。そこで「放置すると今後とんでもないリスク」があることも理解して貰わねばいけません。
そして、決断は持ち帰って考えさせることは得策ではありません、また間違った決断をしてしまいますから。
少し強引に思われるかもしれませんが、本人の為にも実は最良の結末を迎えます。そして迎えさせる知識も必要です。
そこまで話すと大体こちらに決定権を委ねてくれます。正直、このタイプはこれが最短です。
今回の入居者も正にこれで上手くいきました、時間は多少掛かりましたが以下の通りになりました。
- 必要な物を明日までに出す
- 明日までに出せない物はゴミとして処分する
- 自力で片付けは不可能なので業者に任せる
- 処分に掛かる費用は名義の賃借人と話して決める
- 期限を守れない場合は損害賠償の対象となる
当初は「自分で片付ける」「必要な物ばかりだから捨てるな」「もう少し時間をくれればいいだけ」と抵抗していました。
しかし「このままでは契約違反である」「次の入居者が控えており、引き渡してもらえないなら損害賠償の可能性がある」「自力では到底無理な量である」「このまま放置して負債を抱える位であれば処分してもらった方が金銭的にもマイナスでないこと」「必要な物は明日まで猶予をあげること」
以上を理解してもらい、最後は「こんな風にしてしまい、すみませんでした、よろしくお願いします」と部屋を出ていきました。
そして、この顛末を本来の名義人に話しました。今回は名義は名義人であることから撤去処分費から原状回復の費用も名義人に責任があることを伝えました。
当初は「なんで自分が費用を払わないといけない」「入居者に払わせろ」となりましたが、・契約名義が自分であること・又貸しをしてしまったこと・長引くと更に損害が増えること を話して納得してもらいました。
また物件のオーナーにも報告すると「まずは次の入居者さんに迷惑が掛からないように急いでお願いします」との返答。
さあ、片付けますよ!
【若干閲覧注意】まずはゴミを出してリフォーム前に清掃

ここからはスピード勝負です。
まずは馴染みの便利屋さんに連絡し、ゴミ処分の見積りと日程を出してもらいます。
費用も出来る限り圧縮してもらうようにお願いしました、何より名義人の方が払うことではありますが、少しでも負担を和らげてあげたいのです。
その為、片付けと清掃を別の業者でお願いすることにしました。
まずは片付けです。総勢5名ほどのスタッフが来てゴミをまとめてトラックへ積み込んでいきます。全然減りません。それだけゴミの量が凄まじい。

その他の画像はこちら










リフォーム前に匂いを取る
とりあえず物をお部屋から片付けてもらいました。ここで清掃を入れます。
リフォーム前に清掃を?と思われるかもしれませんが、とにかく匂いがキツイのです。職人さん達をこのお部屋に入れる訳にもいきませんし、そもそもこの匂いを取らずにリフォームしてしまっては、見た目はキレイで臭い物件です。
まずは仮清掃と匂いを取る専門業者にお願いします。仮清掃後がこちら







まだ多少の匂いはありましたが、これは壁紙に染み付いてしまっている為です。
リフォームしよう
オーナーとも協議し、今回はリフォームをお願いしました。
- 壁紙は全張替え
- 床は損傷部分を研磨し下地処理をして、表面をフロアタイル仕上げ
- 洗面台は経年劣化もある為、新品へ交換





リフォーム後







写真ではリフォーム途中でしたが、既に匂いや汚れもなく、施工後に再度ハウスクリーニングを入れて、無事成約済みの入居者さんへ引き渡すことができました。
実質10日で片付けからリフォームまで終えることができ、ホッとしました。
費用はいくら?負担はどうなった?
リフォーム内容としては以下の通りでした
- 壁紙全張替え 全部屋の天井壁
- 床貼替え フロアタイル
- 和室畳交換×6畳
- 洗面台交換
- 脱衣所床CF交換
- ペーパーホルダー交換
- 襖張替え
- エアコン交換 1台
合計で税込60万円で済みました。
そして契約名義の方の負担は45万円(税込)となりました。
洗面台の新品へ交換やエアコンの交換は賃借人に負担させることはできません。
しかし、ご覧いただいた施工内容でこの値段はかなり安価に済ませることが出来たと思います。
契約名義人の方が自身で他社の施工店に見積りを取ったところ、原状回復だけで100万円を超える見積りだったことを考えるとかなり安価に済ませることが出来たのではないでしょうか。
オーナー自身の負担手出しでグレードアップ分程度となりました。
名義人の方に取っては痛い出費となりましたが、他社に比べれば負担も少なくすることが出来ましたので、お支払いもすぐに対応していただきました。
しかし、この負担とは別にゴミの撤去処分費を支払うこととなってしまいますので、総額では80万円前後の支出となってしまいました。
少なくなったとはいえ、かなりの費用となりました。
名義貸しや又貸しはやめましょう
今回はオーナーや同業者向けに書いた記事ではありますが、賃借人のみなさんが見ていたら教訓はただ一つです。
名義貸しや又貸しはトラブルの元!絶対にやめましょう
当社としては次の入居者もスムーズに入居することができ、オーナーもリフォーム費用の負担が最小限に済んだことで結果としては無事に乗り切ることができました。このお部屋に関しては後10年ほどは簡単なクロス補修程度で済むことでしょうから。
しかし、契約名義人の方はこれまでの家賃負担額だけでなく、退去時の費用も払うことになり(今回の費用を実際の入居者に請求するようですが・・・)かなり痛い目を見てしまいました。
さて、いかがでしたでしょうか?もし対応を間違っていたらオーナーは全額自己負担などの憂き目にもあってしまったこのケース。
無事終えることができ、ホッと一安心でした。
あまり実際の写真を見たことが無い方もいるかもしれないと思い、今回は実際の写真を掲載しました。
ちなみに時系列や細かい点などはフィクションも織り交ぜてありますが、肝心な部分は実際の事例です。
このレベルの対応は非常に稀ではありますが、対応を間違うと全員が不幸になってしまいます。
管理会社としては、これからの家賃を担っていただく次の入居者と落ち度のないオーナーは絶対に守らなければならないものです。もちろん、落ち度のあった名義人の方も入居者にとっても、最良な解決方法を提示できるように努めておきましょう。






