
トラブルの時に基準となる言葉
今回は、賃貸住宅に住まれる方に知っておいて欲しい「受忍限度」という言葉をご紹介してみようと思います。
この言葉は一般的には馴染みのない言葉ですが、我々賃貸管理を行う会社では常識的な言葉です。
そして、今後皆さんがお住まいになる「集合住宅」と呼ばれるマンション・アパートでトラブルが起こった時にこの言葉が大きな基準として示されるのです。
その割にこの「受忍限度」という言葉の世間への浸透がイマイチだなと感じています。
特に隣人関係でのトラブルではこの受忍限度という言葉が大体基準となるのです。
それではご説明してみましょう
受忍限度とは「多少は我慢しなければいけないよ」ということ

アパートやマンションは「集合住宅」に分類されます。
一つの建物に複数の世帯が住むことを意味します。
そうすると、お隣さんや上下階、あるいはご近所さんなどとトラブルが起こることもあるでしょう。
その時に疑問が出てきます。
どこからが迷惑行為として認められるんだろう?と
騒音問題を例にしましょう。
騒音というのはどこからが騒音なんでしょうか?
例えば物音一つ聞こえても騒音と感じる人もいれば、隣でドラムを叩かれても気にしない人もいます。
これは個人の感覚にもよります。
音に対して敏感な人であれば少しの物音でも不快に感じるかもしれません。
そうした時に、音に敏感な人の基準で生活をしなければならないのでしょうか?
そうであれば苦情を言った者が必ず勝ってしまいますし、場合によっては歩くことやテレビを見ることさえ不可能になる可能性もあります。
もちろん建物自体で遮音性も様々です。
超高級マンションなどになれば、かなりの防音性を備えることもありますが、それでも限度はあるものです。
完全防音マンションなどは理論的にはほぼ不可能ですが、もし可能だとすれば賃料は超高額になることは想像に難くありません。
こういった問題に対して「受忍限度」という言葉があります。
ちなみに受任限度を辞書で調べてみると
社会生活を営むうえで、騒音・振動などの被害の程度が、社会通念上がまんできるとされる範囲。これを超えると加害者が違法とされることがある。
要は
集合住宅に住む以上、ある程度のことは我慢しましょうね
という考え方です。
そしてこの受忍限度は多くの場合
過去の裁判での判例や様々な基準によって作られています。
そうでなければ「苦情を言われたが最後、生活がままならなくなること」だって起こり得るのです。
例えば「ドアの開け閉めの音がうるさい」という苦情があった場合
多くの人が「そこまで気にしなくていいんじゃない」という音だったとしても、苦情を出した方を優先させてばかりいたらドアの開け閉めすらできなくなってしまうのです。
せっかく住んでいるにも関わらず、窮屈で怯える生活しか出来なくなってしまってはいけません。
また同様に騒音を出す方にも「自分は気にならないし、この程度は問題ない」という自分勝手な解釈も同様に迷惑です。
ある程度の基準がなければ、苦情の言い合いやトラブルの深刻化、はたまた凄惨な事件などにも繋がってしまうのです。
住民同士のトラブルは最終的には裁判などで決着するほかありません。
そんな歴史の中でこの「受忍限度」という基準が作られてきたのです。
ですから、皆さんも住民同士でのトラブルなどが発生した場合には
この問題はどの程度が受忍限度とされているんだろう?という基準は知っておいても損はありません。
身近な問題の受忍限度

それでは賃貸住宅における受忍限度とはどんなものがあるのでしょうか?
その前にですが
受忍限度といえど絶対ではない
という真実もあるのです。
受忍限度とはあくまで目安、個別の事情や状況によっても変動するのです。
「じゃあ意味ないじゃん」と思わずに・・・
大体、我々の住む社会は善悪もハッキリしていないですよね、10:0でどちらかが正しいということは余程のことが無い限りありません。
とはいえ、この基準を大きく上回っていたりすると、裁判までいった時には勝つ可能性が高く、「被害」として認められるというような基準であることも同時に必要です。
一つ一つはいつか解説することもあるでしょうから、今回は解説は省きます。
もしご興味があればぜひ調べてみてください。
- 騒音の基準は45㏈~70㏈以上 ※環境省 環境基準より
- ベランダでのタバコの喫煙は規約等で禁止されていなければ 一日数本程度 ※最近変わった健康増進法でも禁止はされていない、但し頻度や本数により損害賠償の対象となるケースもあるので配慮は絶対必要
- 日当たりは日影規制(斜線制限など)による部分が大きい
- 建物の傾きは「3/1,000以内」、中古住宅なら「6/1,000以内」
他にも悪臭や水質など様々なものがありますが、判定は微妙なものも多いものです。
しかも、基準を超えたら即ダメかといえば「頻度」「環境」など複雑な要素が絡んできます。
ある一時だけ超えてもダメで恒常的になどの要件もあります。
意識の高まりと他者への厳しさ

昨今、地域や社会との繋がりは昔に比べると希薄になってきました。
昔は地域や顔馴染みなどで「お互い様」という精神が強かったものです。
現在は個人の尊厳や多様性の重要さがフォーカスされることにより、価値観も様々になってきました。
現在はどんな問題でも「勝ち負け」や「白黒」をハッキリとつけたがる風潮により、他者への厳しさが強くなってきたように思います。
その為「私が不快に思うのだからやめさせろ」と「私の自由だから」という相反する価値観のぶつかり合いが増えてきているのかもしれません。
本来、共同住宅では互いに配慮しつつ、皆で快適に暮らそう。というものです。
自分勝手にふるまってもいけませんし、自分の価値観だけを絶対と思い過ぎてもいけません。
お互いに配慮しつつ、それでもお互いの尊厳を尊重しあうことが本当の「多様性」ではないでしょうか。
そんな「個人の感覚」に頼らない為に、解決法や基準としての「受忍限度」という考え方があるのです。
本来はこの受忍限度という考え方すら必要としない方がいいのでしょうけれど、社会は後戻りは出来ないでしょう。
国や法律でもっと厳格な受忍限度を策定して欲しいな とすら管理会社の立場では思うようになりました。
一方、私個人としては、生活の仕方や時間までがんじがらめになっていく社会は息苦しそうだなと思いますが、仕方のないことなんでしょうかね
管理会社の代表者としては厳格な基準を欲し、個人としては曖昧な余白を求めている
こんな相反する感情を持つのが人間なのにな・・・と思ったりします。
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放置車両の所有者をつきとめる方法 ~やっかいな軽自動車編~
実はみなさんでも出来ます 迷惑だがレッカー移動もできない 今回は無断駐車をされてしまった時の車の所有者の特定の仕方についてお話ししていきます。 厄介ですよね、無断駐車 我々管理会社にとっては頭の痛い問題です。 警察に頼っても盗難車や事件性がないと所有者を教えてもらうどころか、違法駐車として取り締まってもらえるわけでもありません。 警察はあくまでも公道上にある車の駐禁以外だと無力になってしまいます。 では、こちらでレッカー移動などして所有者に請求すればいい!と思ってしまいますが、これを法律は禁止しています。 要は「裁判外で自分で解決するなよ」という自力救済になってしまいます。 仮にレッカー移動したとしても、所有者から「勝手に移動されて傷がついた」とか「勝手に持っていかれて盗難だ」と言われてしまうと弱い立場となってしまうのです。 もちろん、その場合は無断駐車したことによる損害賠償で立ち向かうしかないのですが、裁判所に訴え出て、判決を貰い、所有者に対して移動や請求をする、それでも動かない場合はまた行政執行を申し立てる。という非現実的な手続きを踏まねばいけません。 なぜ迷惑を掛けられて費用を更に支払い、時間も使わねばいけないのでしょうか? この辺りの法律についてはぜひ見直していただきたいものです。 しかし、この放置車両や無断駐車については所有者を特定することは裁判外でも、みなさんでも出来ることをご存じでしょうか? ナンバーから割り出す さあ、証拠集めだ まず、所有者情報を教えてくれるのは下記2つ、無断駐車の車が 普通自動車か軽自動車かで調べ方が異なってきます。 普通自動車は運輸支局、自動車検査登録事務所等=通称「陸運局」 軽自動車は軽自動車検査協会 それぞれ情報開示請求という手続きが必要になります。 昔は車のナンバーだけでも開示してくれてたようですが、個人情報に厳しくなった昨今、情報の開示が厳しくなってしまいました。 面倒くさいのは「軽自動車」 圧倒的に面倒な軽自動車 準備するものは以下の通りです。写真の撮り方については後ほど実例をご紹介します。 普通自動車の場合 第3号様式 ダウンロードはこちらから私有地放置車両関係位置図と放置車両の写真 書式ダウンロードはこちら請求者の身分証明書放置車両の地図 (ゼンリン地図の写しやグーグルマップの写しなど)放置状況が分かる写真 ※車両の全景や駐車場の全景、駐車場の位置が分かるような全体写真放置車両のナンバーが分かる写真 軽自動車の場合 申請書(軽自動車検査ファイル照会願出書)※下記でダウンロードできます、両面印刷駐車されている土地の登記事項証明書の写し(法務局で取る、登記情報提供サービスの写しではダメ)土地の公図、住宅地図(今回はグーグルマップの写しで大丈夫でした)放置状況が分かる写真 ※車両の全景や駐車場の全景、駐車場の位置が分かるような全体写真、出来れば期間が分かるように複数回放置車両のナンバーが分かる写真放置車両の配置図など(駐車場のどの場所においてあるか、手書きなどでも大丈夫です)土地の所有者の委任状 ※貰えない場合は駐車場の賃貸借契約書など土地所有者との関係が分かるものが必要になりますが、証明するのは窓口担当により変わる可能性がある為、委任状がベスト こちらもダウンロードは下から 263618c85bea9722d9b6169714d1ba8fダウンロード 9493d4c598f8f876514a01f95d126c7aダウンロード こういった書類と照会の手数料300円程度を持ってそれぞれ窓口へ行きましょう。 ちなみに軽自動車検査ファイル照会については、各窓口の担当により大分提出書類などが異なる可能性があります。 今回鹿児島での手続きでは親切に教えていただきましたが、中にはあまり詳しくない担当さんなどもいらっしゃるようです。 この辺りは購入時に車庫証明が必要な普通自動車と軽自動車の違いなのかもしれません。 写真の撮り方と例 そして肝心の写真の撮り方です。 ここでのポイントは日付と全体と繋がりです。 日付については明確に決まりなどはないようですが、別日で撮りましょう。 要は「こんなに長い期間停められているんだ」という証明が必要になります。 また、写真に日付を証明できる表示が必要です。デジカメの日付表示機能、もしくは例のように日付を画像の中に表示させましょう。 車のナンバーと全体写真 無断駐車を警告する文書※決してテープなどを使って貼ってはいけません。ワイパーに挟むなどで対応しましょう 後ろの建物と位置関係を示しています。しかし、これだけでは証明できません 駐車場全体の写真です。後ろの建物との位置関係も表してます。まだ不十分 後ろの建物の名称が分かるように撮っています。 更に別角度から。奥に車両が映っています、看板に名称が写っています。 実際には同じような写真を日にちを変えて撮影しました。今回は2日程空けて写真を撮りました。 そして貰える照会書 このように所有者を車両照会してもらえます こういった書類や写真を全て揃えると窓口で照会書が発行されます。 これを基に内容証明を送るも良し、直接訪ねて撤去をお願いするも良しとなる訳ですね。 裁判上で撤去をするよりも労力は掛かりますが、費用やスピードは段違いです。 無断で停められて、労力まで掛かり、あまつさえお金までも掛かる無断駐車 無断駐車をする方にささやかな天罰があればいいのに。とまで思ってしまいます。 そしてこのような方法で簡単に特定されてしまいます、そうなれば損害賠償請求なども簡単に行うことも出来る訳ですから、無断駐車はやめてくださいね。 今回は厄介な放置車両の特定についてお知らせしました。
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「私はあの男と縁を切ったので」娘に言われた滞納者の再生への道②
どん底からの再生への道 果たしてAさんの結末は?家族として復活できるか? 苦しい現実と悲しい過去 前回の記事はこちら https://lotushome.jp/blog/3834/ やはり娘さんはAさんのアキレス腱であったことが分かった今、私の解決へのレールにやっと乗ることが出来たように思います。 しかし、まだ問題は山積みです。 まずは、今後の滞納解決のために現況を確認することにしました。 Aさんの現況としては 現在は年金暮らしであるその他にも知り合いのところでアルバイトで少し働いているコロナウイルスの影響などもあり、アルバイト収入も多くはない しかし、この期に及んで滞納分の返済についてどう思うか?という問いに対しては 「無理だ」「払えるもんなら払ってる」「毎月赤字だから余計なお金などない」などと、およそ正論からはほど遠く、誠意のかけらもない問答が続きました。 ここはグッと我慢です。 この段階で「人としての道」などを語りかけても ぬかに釘 のれんに腕押し 滞納者に正論 です。 「家賃は払うべきだ」こんなことは滞納している人たちも知っているのです。知ったうえで滞納しているのです。 オーナーや他の善良な入居者さんからすれば腹の立つ事態ですが、回収のためにはここは怒ったりしてはいけません。 この間にも娘さんと娘さんの友人からの罵倒は止まりません。 「生活がだらしない」 「あなたのせいで何度も人に謝ってきた」 これまでの娘さんの苦労が垣間見える言葉ばかりでした。 中でも第三者の私でも応えたのは 「あんたがそんな苦労ばっかり掛けるからお母さんは・・・」 という娘さんの言葉でした。 この言葉はAさん本人にも強く刺さったようでした。 娘さんに「お前はここには来るなよ」と絞り出すようにつぶやきましたが、すぐさま 「私だって来たくなかった」と返され、沈黙ばかりとなりました。 もう十分だろうと思った私はAさんに 「娘さんはこれまで十分重荷を背負ったと思うので、もう解放してあげませんか?」 とAさんに告げました。 するとAさんはここで初めて 「どうすればいい?」 と耳を傾ける姿勢を見せたのです。 滞納している方に一方的に返済計画などを提案しても無駄です。その場では「はい」と言いますが、それはその場から「逃げたい」という一瞬の誤魔化しです。 本当の意味で滞納を解決するには自分自身の「どうすればいい?」の言葉や「何とかしたい」まで持っていくことが必要なのです。 ここで私の解決プランをようやくAさんに伝えることにしました。 解決への道とAさんの試練の道 さあ解決編のスタートです まずは、私のプランはこうでした。 このAさんの唯一のアキレス腱である娘さんへの想いを利用(言い方は最低なのは自覚しています)して、滞納解決を試みることでした。 具体的には まずは滞納分を完済する完済し終えたら保証会社に加入する保証会社に加入したら娘さんを連帯保証人から外す 長年苦労してきた娘さん そして迷惑が掛かっていることで父娘の関係は最悪のものとなってしまいました。 そこで私は「娘さんを連帯保証人から解放する為」ならAさんは頑張れるのではないか?と思ったのです。 Aさんの人としての最後の良心に賭けてみることでした。 もちろん、このプランは既に物件のオーナーさんには伝えてありました。 事前に、保証会社に通ったら娘さんを連帯保証人から外し、保証会社の契約に切り替える許可を貰っていました。 オーナーにも返済能力や意思があやふやな娘さんよりは保証会社の方が確率は高いと伝えました。 そして、その方法なら滞納分も払って貰える可能性が高い旨も説明してありました。 オーナーもAさんについては諦め半分でしたから、この案には快く同意していただきました。 しかし、この道も楽ではありません。 なぜなら現在の滞納を解消する為には並々ならぬ努力と倹約が必要です。 溜まりに溜まった滞納をあまりにも分割にし過ぎると解決まで時間が掛かりすぎます。 私は計画を立てる為にAさんの家計を洗い出しました。 その人の返済計画を立てるのに、どれだけのお金を出せるかは生活に掛かる費用を知らなければ立てようがないと私は思っています。 そして計画はこうなりました。現在滞納している賃料6ヶ月分を 平常月は通常の家賃+半月分を加算 年金支給月は通常の家賃+1か月分を加算 つまり、平常月は家賃の1.5カ月分、年金支給月は家賃を2倍払うという計算です。 これは皆さんにとっては厳しくないかもしれませんが、滞納している方からすると非常に厳しいものです。 もちろんAさん自身もかなり厳しいものであることは分かっていました。 この段階でもAさんが支払うことが出来るかは五分五分、いや七対三で払わないが優勢でした。 そして結末は 家族の再生は出来るのか? そして計画は進みました。 最初の1か月、2ヶ月これは無事にクリアしました。 大体他の方もここまではいくのです。問題はここからです。 3か月目、ついに約束の朝に入金が確認できませんでした。 「あぁ、ここまでだったか」 と落胆していると私の携帯が鳴りました。 「ごめん社長、朝一銀行に寄れなかった、今から振り込むから」 Aさんでした。 そしてその言葉通りしっかりと入金されました。 その後も返済はしっかりと続きました。 最初の頃は娘さんからも私に確認の電話がきました。 「絶対あの人は口だけだと思います」と しかし、その都度「今月も約束通り入金されていますよ、よほど娘さんのお言葉も堪えたのでしょう」そして 「今は娘さんを連帯保証人から解放すると思って頑張ってますよ」とも答えました。 娘さんは「そうですか・・」と複雑そうでした。 そして約束の半年が過ぎました。 Aさんは一度も約束を違えることなく完済しました その旨を娘さんにもお伝えしました この間も折に触れては娘さんには進捗は報告していました。 「お父さん、今月も無事クリアしましたよ」 「もう保証会社の審査を受けても大丈夫だと思います」 その度に娘さんのお父さんに対する感情も変化していったように思います。 そして完済し終えた日に娘さんへ聞きました。 「新しく保証会社に加入するに当たって連帯保証人ではなく、お父さんに万一のことがあった時に緊急連絡先というのが必要になります。債務を負いませんが、緊急連絡先に娘さんなっていただけませんか?」 この緊急連絡先というのは連帯保証人のようにお金の責任はありませんが、万一本人に病気などあった時には連絡をしてご協力をお願いすることはあります。 もちろん、その性質上親族でなくとも大丈夫です。職場の同僚や友人などでも構いません。 しかし、何となく娘さんになっていただけたらいいな。と思っていました。 そうでなければ、今後Aさんと娘さんは接点すら無くなってしまいます。 この期に及んで私も「出来ることなら」と内心思っていました。 「私はあの男とは縁を切ったので」とまで言われたAさん 連帯保証人を外れる今、流石にもう関係を切りたい!と言われるかと思っていました。そしてそれも仕方ないことだと思います。 しかしその返答は 「もちろん、いいですよ」 私は胸と目頭が熱くなりました。 解決後のこと その後、Aさんは保証会社の手続きと契約変更の手続きをしっかりと進めていただきました。 娘さんが緊急連絡先になってくれることも伝えると照れくさそうにしていました。 その後も約束の期日までにしっかりと家賃を払ってくれています。 Aさんもまた娘さんへの想いを原動力に頑張ってきました。 これからAさんと娘さんがどうなるかは私には分かりません。 映画のようにまた父娘仲良くなるかもしれませんし、現実はそう上手くいかないかもしれません。 そしてその幸せになったAさんと娘さんの姿を私は見ることはないでしょう。 管理会社としての私の役目は滞納が完済した時点で終わりです。Aさんのハッピーエンドの場面は見ることはないのです。 困った時だけ出番のある管理会社 私と2度と会わないということが、Aさんの幸せになった証拠ですからね。 私の目の届かないところで幸せになっていてくれたら嬉しいです。 それでも一時は絶縁状態だった2人 お手伝いが出来た満足感を糧に明日も仕事を頑張ろうと思います。
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退去時の清掃は必要か?~ハウスクリーニングとの関係~
立つ鳥跡を濁さずと言いますが、ハウスクリーニング入るんだよね・・・ お引越しの時の清掃はいるのか? さあ、お引越しシーズン真っ只中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 新たなお部屋は決まりましたか?お引越しの準備は順調でしょうか? そう、入居もあれば退去もある。 そこで今回は退去(解約)の場面にスポットを当てましょう。 退去する時の清掃は必要か? これについて管理会社視点から回答してみようと思います。 特にハウスクリーニング費を支出する場合などはどこまでか?も合わせて見解をお話ししようと思います。 約90%以上の人は清掃している みなさんありがとうございます。 私たちの体感では約90%以上の確率で荷物を出した後に入居者さん自身で清掃を行って頂いている感覚です。 そんな方達のお部屋はやはりキレイな状態で破損なども少なく、状態も良いものです。 管理会社の立場としては「大事に使っていただきありがとうございます」と感謝は尽きません。 しかし、現実としてこの後にはプロによる「ハウスクリーニング」が必ず入ります。 いかにキレイであったとしても次の入居者さんへはプロのクリーニングが必須となってきます。 では「ハウスクリーニングが入る物件では清掃は必要ないのか?」 これについて回答しましょう。 退去後の清掃はいるのか?結論は? 条件付きで「清掃しなくていい」その条件とは? ハウスクリーニングが特約としてあるなら清掃は原則いらない そう、退去時の清掃はしなくてもいいのです。 してもらえると大変うれしく思います。しかし、一方でハウスクリーニング費という費用を負担してもらうからには入居者さんにメリットも必要であると考えられます。 「退去時の清掃しなくても良い」その分楽できる。その為のハウスクリーニング費という側面もあるのですから 但し、原則という言葉が入っています。 ではその原則・条件とはなんでしょうか?これは 汚れがひどすぎて「特別な清掃や機器の交換」が必要ないなら です。 これはどういうことかといいますと あまりの汚れで通常のハウスクリーニングで落ちない汚れにだったり、機器を交換する必要のある汚れが対象となります。 例えばですが 油汚れが多すぎて正常に動かないキッチン換気扇子供の落書き浴室・洗面台の排水口の詰まり(髪の毛など)管理不足によるカビ この辺りは国土交通省のガイドラインでも入居者の過失、管理不足として原状回復費の対象になってしまいます。 このように「通常の清掃を日常的にしていれば起こらなかった」事例についてはハウスクリーニング費や原状回復の追加になってしまうこともあります。 こういった事項に心当たりがある場合は退去時の清掃をした方が良い=損しないということになりますね。 ご自身で退去時に確認し、上記のような「通常の使用、管理を超える汚れ」などがなければ「清掃はいらない」と判断して良いということです。 当社では賃貸借契約書に国土交通省の原状回復に係るガイドラインを添付しています。 そこにも入居者の負担になる場合の事例などが例示されています。 通常住んでいれば建物は古くなりますし、どんなに気を付けても壁紙などは傷んでいきます。こういった内容は仕方ないもので入居者さんが負担するものではありません。 今回は「退去時の清掃は必要か?」について見解を出してみました。
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こんな入居者さんは嬉しいし、好き ~管理会社側からの視点~
たまにいらっしゃる「管理会社にとってありがたい存在」 たまにいる「聖人君子」 こんな入居者さんは嬉しいというものを挙げてみようと思います。 これはあくまで管理会社側からの視点なのでオーナーさんや入居者さんにとっては分かりづらいことも多くでるでしょう。 また、「入居者はこうあるべき」と訴えたい訳でもありません。 我々、賃貸管理を行っていると入居者さんの優しさに触れたり、「本当に助かるな~」ということがあります。 そんな管理会社側から見た「助かるし、嬉しい入居者さん」を過去の事例からご紹介してみます。 変化を教えてくれる これは地味に助かります つい先日のこと一本の電話がありました。 「今マンションに知らない若い男性が 「女性の人が来ませんでしたか」 って訪ね回ってますよ」 という連絡がありました。 聞けば、若い男性が同じ階の全戸に対して聞きまわっていたそうです。 そして電話をくれた入居者さんは 「もし不審者とかであれば、直接顔も見たので証言なども出来ると思うので、その時は連絡もらえれば協力します」 と言って電話が終わりました。 我々も不審に思ったので、警察に問い合わせたところ 警察「周辺で空き巣が発生したようで、その聞き込みで私服警察が回っていました、恐らくそれだと思います」とのことでした。 よほど急いでいたのでしょうか、警察が不審者扱いを受けたようです。同様の電話が警察にもあったそうです。 あくまで一例ですが、何が言いたいのかというと 「苦情や不快にも思ってないが、他の人の為にわざわざ管理会社に報告してくれる」という行為がとても助かります。 これは他の件でも 「となりのドアポストに手紙が溜まっているけど大丈夫ですか?」とか「最近、マンションのゴミ捨場に近くの住人が捨てに来てますよ」という 「自分は怒っても不快でもないが、誰かの役に立つかも」という連絡はとても助かります。 そして、その方たちのスタンスも 「何とかしてくれ」ではなく、「教えておいた方がいいと思って」という感じなんですよね。 管理会社も毎日物件を見ている訳ではありませんので、住民の方の気づきはとても助かります。 対したことないことでも、我々から見ると予兆だったり、早期発見のチャンスにもなるので、助かっています。 ベランダを掃除する人 中々使わない場所ですからね これは退去時に気づくのですが、ベランダというのは管理会社としても厄介な場所なのです。 「外に面しているが、管理会社が日常の清掃が出来ない場所」 もちろん、ベランダはそんなに汚れる訳でもありません。 しかし、ゴミなどが溜まると排水口(ドレン)などを詰まらせ、時には隣のベランダなどに雨水が溜まったりしてしまいます。 退去後のお部屋を見させてもらって、ベランダがキレイになっていると嬉しいものです。 頻繁に掃除する場所でないからこそ、違いが出る気がします。 ゴミが詰まる程でなければいいのですが、それでもキレイにしてもらえると素直に嬉しい場所です。 写真で残してくれる人 特に水のトラブル時は助かります これは設備系のトラブルの時に助かります。 水漏れなどが一旦起こると原因の特定が最優先になります。 しかし、水漏れなどは特に 「どこからどんな風に」という発生当初の原因が重要になってきます。 時間が経ってしまい、水の痕跡などが消えてしまうと特定は困難を極めます。 その為、被害発生時の写真や動画などを撮っておいてもらうと助かります。 写真があると説明を受けなくても原因が特定できたりすることもあるので、みなさんもトラブル時は写真などを撮っておくことをおススメします。 管理会社の目標と理想は「電話が一度も来ないこと」 ここまでいくつか書いてきましたが、一番助かるのは「入居してから一度も連絡がないこと」です。 これは面倒くさいから電話してほしくない。ではありません。 本来、管理会社に電話する時は「何かしら困った時」ですよね。 設備のトラブル、隣人への苦情など本来困っていなければ管理会社に連絡することもないでしょう。 ということは究極の理想はやはり 「入居してから解約まで一度も連絡をしなくて済む」 これが一番の理想である訳です。 今回は「管理会社が好きな入居者」というタイトルになりましたが 「入居者の好きな管理会社」になれるように今日も精進して参ります。
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「私はあの男と縁を切ったので」娘に言われた滞納者の再生への道①
切なさと希望の話です きっかけは新規物件の滞納 「私はあの男とは縁を切ったので、連絡もしないでください」 電話を切られてしまいました。 はぁ、参ったな・・・ 発端は当社に新規で管理の依頼のあった物件でした。 こちらの物件は築年数も30年を超え、10世帯あるアパートの内空室が7部屋もあるという状態でした。 しかも残り3部屋の内1部屋は6ヶ月以上の家賃を滞納している状態だったのです。 この惨状を憂いたオーナーさんが当社の噂を聞いて管理の依頼がありました。 その後、家賃設定やリフォームなどを実施し、空室はその後すぐに満室になったのですが、問題はこの滞納者でした。 年齢は65才男性で一人暮らし、古くからの入居者の為保証会社の加入は無し、電話や訪問をしてもなしのつぶて、全くの無視です。 当初の契約書に記載されている職場も既に退職し、噂では無職ではないかとのこと。 お名前はAさんとしましょうか。 前任の担当もとうとうギブアップということでした。 今回は最初から私自ら督促に向かうことにしました。 唯一の身内である娘さん そして冒頭の言葉です。 連帯保証人の娘さんに電話をしたところ開口一番言われました。 前管理会社も匙を投げたのが、唯一の連帯保証人である娘さんの存在でした。 とにかく連帯保証人になったのはいいが、お父さんの滞納やそれ以外の問題でも度々連絡が来ることで参ってしまったのです。 無理もありません、前の管理会社の頃から滞納について度々連絡をされ、請求され、なにかと責任を取らされ続けてきたのです。 そしてそれでも連帯保証人という重い役目に縛られ続けていました。 保証会社もナシ、連帯保証人は関わりたくない、本人は連絡も取れない、仕事もしているかも分からない ふーむ 私は再度娘さんに連絡して言いました。 「連帯保証人を外れる為に協力してくれませんか?」 「え?どういうことですか?」と娘さんはようやく聞く耳を持ってくれました。 娘さんは今までそんなことを言われたことが無かったのでしょう。 聞く耳を持っていただけました。 そして、娘さんと一緒にお父さんのアパートへ行く約束をすることが出来たのです。 この時私には解決への道筋が一本だけ見えていたのです。 しかし、その方法は蜘蛛の糸よりも細く、不確定要素しかありませんでした。 娘との久々の対面と罵倒 約束当日、私は副社長と2人で現地へ行きました。 そして警察の方にも来ていただきました。 なぜ警察を呼んだかというと、それなりの高齢であり、連絡も取れない。 そう、万一室内で倒れたり死亡している可能性もあったからです。 程なくして娘さんが来ました。 車から降りて自己紹介をすると隣に男性が一人立っていました。 旦那さんかな?と思いご挨拶をしたところ、娘さんの友人のような方で、私に会うなり 「管理会社も大変ですね、言っちゃなんですけどあの親父はクズですよ」とかなりの怒気をはらんだ言葉を発してきました。 恐らく今回立ち会うにあたって、信頼している人を連れてきたのでしょう。 そして普段娘さんからお父さんのこれまでの行動を聞いて同情し、憤っているのでしょう。 警察の方には事前に話しておりましたが、現地でも状況を伝えます。 そして警察の方が玄関先から声を掛けます。 「Aさーん、こんにちは〇〇警察の者です。開けてくれませんか?」 文言を少しずつ変えながら声を掛けますが返答がありません。 警察の方は 「返答がないので、鍵を開けましょうか」と言い 私は住戸の鍵を警察へ託しました。 鍵を差し込み警察の方がドアを開けます。 この瞬間だけは何度立ち会っても慣れないものです。 すると警察の方が言いました。 「あぁ、いらっしゃったんですね」 私も覗きこみます。そこには 玄関から見える居間にこちらに背を向けて座っているAさんがいました その状態で警察の方に呼ばれて振り向きました。 小太りで頭髪も薄くなり、下はジャージで上は肌着のような恰好のAさん そして流石に観念したのか、玄関の方へ少しずつ歩いてきます。 警察の方は 「無事そうですね、それではこれ以上のことは我々の管轄外になりますので、我々は失礼します」 お礼を伝えて、それではAさんと話しをしようかなと思った矢先 「あんたどんだけ迷惑掛ければ気が済むの」 と娘さんが第一声 続いて娘さんの友人も続きます 「お前、こんだけの人に迷惑かけてさっさと出てこいよ」 その後も2人から次々と叱責を受け続けます。 うな垂れて目線を玄関の土間に移しながら立ちすくむAさん 私は娘さんと友人を制して 「Aさん、今日は滞納の件と安否確認の為に参りました。初めましてロータスホームの内田です」 と間に割って入りました。 するとAさんは 「娘を連れてくることはないじゃないか」と小声で言ったのです。 私はこの時に 一つ目の賭けに勝った と思いました。 私はAさんの滞納解決への道を全て思案していました。 仕事もしていない、周りのコミュニティも属していない、家族も娘さんの他いない、高齢である そうなのです、彼には失う物がほとんど無かったのです。 滞納督促は以前の記事でも書きましたが、当の滞納者が「何を一番恐れているか?」が大事です。 この生活を失いたくない、これ以上のストレスは嫌だ、連帯保証人に知られたくない、仕事に支障が出るのは困る、滞納していることが世間にバレるのが恥ずかしい、など 人それぞれなのですが、私は過去の経験などからか、人と対峙すると「この人が何を恐れるのか?」を見つけるのが人より得意なのだと思います。 それが見つかれば後は簡単です。 その恐れる事態にならない方法、すなわち滞納の解決を本人と一緒に決めていくだけなのです。 ここでその「恐れる事態」で脅してはいけません。人間は恐れる事態で脅すと恐怖や絶望で前に進むことは出来なくなります。 あくまで「最悪の事態を私たちなら解決できる」という安心感もセットにしなければなりません。 脅したりで解消できるのなら、こんなに簡単なことはありません。しかし、脅すという行為では最初の何回かは支払うかもしれませんが、絶対に滞り始めます。 しかし、「これさえ達成すれば最悪の事態は来ないんだ」という安心感は強く、かえって回収率は大きくなるのです。 話を戻しましょう。 私はこの失うものがないAさんにとって唯一のアキレス腱が娘さんである可能性に賭けたのです。 嫌な奴だ、性根の悪い奴だと思われるでしょう。私もそう思います。 しかし、それだけ滞納の督促というのは厄介なのです。 払ってください はい、払いますで済むならどれだけいいか。 滞納というのは簡単には起こりません、その人の人生でかなりの問題を抱えているからこそ起こるのです。 その苦労や見たくないもの、聞きたくないものを大家さんの代わりに解決することが管理会社の役目なんだと思います。 長くなりますので、続きます。 https://lotushome.jp/blog/3839/





