
最後の手段と呼ばれた「ペット可」
空室対策と呼ばれるものには、たくさんの方法があります。
リフォーム、家賃見直し、入居属性の変更など様々な方法があります。
そして、最も強力であるが賛否があるのが「ペット可への変更」です。
現在では落ち着いてきたものの、コロナ禍でステイホーム期間を余儀なくされる生活の中で更に脚光を浴びたのがペットです。
味気ない生活に癒しと活力をもたらしてくれるペットの存在が大きくクローズアップされました。
様々なデータを参照してみましたが、ペットの飼育が出来る物件というのは全体の10~14%程度であるようです。
個人的にはこの数字自体は「そんなにあるかな?」と思っております。
そもそもデータの取り方がペット可の募集数を全体の空室率で割っていたりする為、実際の数字とは乖離がある印象です。
個人的な感覚でいえば鹿児島県では全体の5%程度じゃないかな?と思っております。
ちなみにペット可物件の割合は都市部になる方が増加傾向となります。理由は様々でしょうが、大都市圏の方が持ち家率が下がることから、ペット需要が強くあり、ペット飼育に前向きな物件が多いというのも理由だと思います。
では、そんな希少なペット可物件ですが、以前は空室対策の「最後の手段」と呼ばれておりました。
今回はそんなペット可物件の本当と嘘を管理会社目線でご紹介したいと思います。
主に空室で困っており、物件をペット可にするか否かでお悩みのオーナーさん向けとなっております。
ペット可にすると満室になる?

これは空室対策として気になるところだと思います。
正直に申しますと、
そもそもペット可への変更は「スピード重視ではない」
ということを申し上げたいと思います。
需要があって供給が少ないなら、「すぐに満室になるんじゃないの?」と期待するかもしれません。
しかし、ペット可への変更は諸刃の剣である面も否めません。
なぜなら「ペット可」ということで敬遠する方もいるのですから。
ペットを飼育しない方からすれば、ペット可物件というのはメリットはありません。
少なからずの騒音被害の可能性や共用部分で動物と会う可能性、共用部分が汚れるリスクがあるからこそ、一般のお部屋探しの方を遠ざけてしまうのです。
また、ペット可は需要と供給が合っていないことは事実ですが、ペットを飼っている(飼いたい)人の数はどうやっても、ペットを飼っていない人に比べると少ないのは当然です。
ペット可物件にするということは、ある程度、ペットを飼わない「普通の入居者」を諦めるということでもあるのです。
じゃあ「すぐに満室にならないのなら、空室対策上では何がメリットになるの?」
ずばり
「入居継続率」です
これは、ペット可物件が少ないがゆえに一旦住み始めたら、入居期間が長期間になっていくのです。
ペット可の物件というのは少ないものです。ペット可を探した経験のある方なら尚更です。
そんな方々は引っ越しを余程の理由が無い限りしないものです。
各お部屋の入居期間が長くなれば、たまに空いたお部屋も決まれば長くなり、そうやって空室の期間が短くなるのです。
そういった意味でペット可物件は「空室対策」になるのです。
ここを読み違えると
「ペット可にしたのに、空室がすぐ埋まらない」
という不満になってしまいます。そうではなく
徐々に空室が埋まっていき、入居期間が長くなることで満室を長期間維持できる
これがペット可物件の魅力であるのです。
原状回復費が高くなる?

もう一つ、建物や内装の損傷が大きくなるという懸念もあるのではないでしょうか。
退去時の状態が悪いと原状回復の費用が高くなるというリスクですね。
これに関しては
「思った程ではないが、確実にある」といえます
ペットを飼育する方のモラルやしつけ、種類にもよりますが、大体の入居者はある程度常識的な方が多く、ビックリするほどの損傷というのは意外とないものです。
しかも、ある程度の損傷があったとしても大半の入居者は、退去時に過失による原状回復費をしっかりと払ってくれます。
しかし、中にはヒドイ損傷や汚損なども一定確率で出てきてしまいます。
もちろん退去費用として請求しますが、こちらも一定程度支払わなかったり、不足するケースなども出てきてしまいます。
入居が長期間になりやすい反面、退去した時の原状回復は少し多めに見込んでおく必要があります。
事前にみなさんが予想するよりは少ないかもしれませんが、全くないかといえばそうではありません。
また、共用部分が汚れやすいなどの理由で清掃費なども見込んでおきましょう。
近隣トラブルは増える?

最後に入居者間トラブルの増加などのリスクの話です。
トラブルが増えてしまうのではないか?という点ですね。
これも
そうでもない というのは正直な感想です。
というのも、ペット可物件として周知されている以上、動物によるものにお互い理解がある方たちになりますので、余程のことが無い限りは大きなトラブルなどは発生しにくいものです。
騒音問題も通常のアパートでも起こり得ますし、ペットによるものは特定がしやすく、改善の指示などもしやすいのかなと思います。
しかし、これは元からペット可物件である場合です。
空室対策の為にペット可にするという場合は、既存入居者との調整は必要になってきます。
「ペット可じゃない物件だから選んだ」「動物に対するアレルギーがある」という方たちにとっては大きな変化となります。
周知が十分でないままペット可へ変更した場合は、トラブルが起こる可能性は大です。
しっかりと周知し、意見などを拾い上げる丁寧な対応が必要です。
まとめ「ペット可物件にする時に理解しておくこと」
ペット可物件に移行する場合の手順などは様々なサイトで取り上げられておりますので、ここではペット可物件の運営についての心構え
などを挙げておこうと思います。
- ペット可物件の魅力は「入居継続率」であり、成約スピードではない
- ペット可にする=これまでの入居希望が減る可能性がある
- 原状回復費はこれまでより多めに見ておく
- 共用部分の清掃費をしっかりと見込んでおく
- ペット可物件への移行は十分に時間を掛ける
特に入居継続率であるという点は把握しておきましょう。
ペット可は空室対策としては効果が出やすいのですが、目的は成約スピードではなく、空室発生率を下げることであるのです。
またこれまで選んでいただけた「入居希望者」も一定数は諦めなければなりません。
そういったデメリットも理解しながら「ペット可」にするかしないかを検討して貰えればいいと思います。
しかし、やはり需要と供給は全国的に釣り合っていないのが現状ですから、空室対策としては有効な手段の一つであることは間違いありません。
いかがでしたでしょうか、ペット可を探している方向けの情報は多いのですが、ペット可にしたい方への現実を取り扱う情報は少ないものです。
管理会社目線からペット可の現実をお話してみました。






