
同業者のグチ

ある日のこと、他社の管理担当さんと雑談をしていたところ
「最近、部屋を決めろ決めろと一人のオーナーからのプレッシャーがきつくてさ」
あるオーナーからのプレッシャーを掛けられているその担当さんは辛そうでした。
現状としては以下のようでした。
- 掲載や清掃なども一定の水準までは頑張っているつもり
- 近隣相場なども伝えているが中々理解してもらえない
- 提案もしているが飲んでもらえない
- 要求が高く、スタッフへのプレッシャーも強い
- 他のスタッフが段々とこのオーナーの物件に消極的になっている
- それも原因で決まらずに負のスパイラルになっている
なるほど、管理会社あるあるです。
管理会社のレベルや管理にどの程度力を入れているかは別として、この手の話はよくあります。
「管理会社にもっとしっかりして欲しいオーナー」と「やれることはやっているつもりの管理会社」の対立
本来、お互いの目的は「良好な賃貸経営」で一致しているはずです。
ですが、そこには「もっと求めたいオーナー」と「もっと評価して欲しい管理業者」で食い違います。
この場合、足りていない管理会社、求めすぎるオーナー、どちらも多くあるので、ここでは一概にどちらが正しいとは言えません。
しかし、このグチをこぼした管理会社の担当さんは私から見れば普段から合格点は十分に出せる位の管理会社と思えます。
そういった意味では負のスパイラルに陥っている今回のオーナーさんのプレッシャーは「失敗」といえます。
じゃあ管理会社へプレッシャーは掛けない方がいいのか?と言われたら、私は管理会社へのプレッシャーは「必要」だと思っています。
正確にいえば「適度な緊張感」は有った方がいい。
この適度な緊張感は管理業者に「気が抜けない」と思わせますが、「あのオーナーと関わり合いたくない」にはなりません。
そして、この適度な緊張感がある状態こそが最高のパフォーマンスが発揮できる状態なのです。
スポーツでも仕事でも「自由に何でも大丈夫・適当でもOK」というNOプレッシャー状態では油断・慢心などが起こりやすいものです。
「そんなことない、俺たちは自由にさせてくれた方がいい」という管理会社は胸に手を当ててみてください。
本当は「怒られたくない」「プレッシャーを受けたくない」だけでしょう?
でも賃貸経営の上手なオーナーさんを思い浮かべてみてください。「マズい結果は見せられない」という意識が少しあるでしょう?
だからといって苦手だとか、出来れば話したくないとは思わせない方々ではなく、むしろ良好な関係ではありませんか?
そう、賃貸経営の上手なオーナーさんは管理会社へのプレッシャーや緊張感の持たせ方が上手なのです。
適度な緊張感や良いプレッシャーは与えるけど嫌われない、むしろ良い結果と良い関係を作る!
そして管理会社にとっても適度な緊張感と良いプレッシャーというのは、オーナーとの対話の機会だったりもして、良い管理状態を作れるチャンスなのです。
「適度な緊張感はあるが、とても良好な関係」これこそが本来あるべき管理会社・オーナーの理想形だと思っています。
今回はこの管理業者へ適度な緊張感をもたらす「良いプレッシャー」と、管理業者に敬遠されたり、時には嫌われ、パフォーマンスが上がるどころか下がってしまう「悪いプレッシャー」を賃貸経営の上手なオーナー、いわゆる「名将」の事例などをご紹介しつつ、みなさんの賃貸経営に活かせる方法をご紹介してみようと思います。
オーナーとのパワーバランス

前提として、管理会社にとって一番最優先するお客さんは誰か?といえば「管理物件を預けてくれるオーナー」となります。
こんなことを書くと「おいおい、入居者はどうした」と言われるかもしれませんが、少しお待ちください。
管理会社の基本的な仕事というのは、どう取り繕っても
「オーナーの収益を最大限化すること」なんです。
じゃあ「入居者はどうでもいいってことか?」というとそうではありません。
「だからこそ、家賃を払っていただける入居者さんが大切なのです」
どうです?矛盾はしないでしょ?オーナーにとっても入居者さんというのは「家賃を払っていただけるお客様」な訳です。
オーナーが大事だからこそ、入居者さんを大切にしなければならない!ご理解いただけたことでしょう。
しかし、管理物件がなければお話にもならない訳ですから、やはりオーナーとの関係というのは管理会社は気になるものです。
そして、そういったオーナーさんと管理会社の関係というのは絶妙なパワーバランスが存在します。
もちろん、オーナー様様という場合もあれば、強気な管理会社も存在しており、あるいはオーナーさんによっても個別に違いがあります。
そういった立場も踏まえて本題に入っていきましょう。
大前提として
まず、これからの前提として「管理会社がある程度のことはしてくれている」という前提になります。
「それは怒っても仕方ないよね」というミスや無気力で怠慢ばかりの管理会社だった場合は別です。
そんな管理会社であれば「管理会社変更」一択です。プレッシャーを掛ける必要もないでしょう。
それなりのことはしてくれていると思うが「もっと良くしたい、パフォーマンスを上げて欲しい」という想いがある場合に限ります。
あくまで「管理会社と良い関係を築く」「もっと自分の物件で良い結果を出したい」という前提です。
そういった前向きなプレッシャーや緊張感の為の方法だということを前提に進めていきます。
悪いプレッシャーと負のスパイラル

まずは「悪いプレッシャー」とはどういったものでしょうか?
単純に言えば管理会社や担当者が委縮したりプレッシャーを受けて何も言えなくなるだけの状態にすることです。
この状態では事態が好転するどころか、冒頭のオーナーのように負のスパイラルに陥ることが珍しくありません。
そして、この状態の最大のデメリットがあります。それは
管理会社や担当が次の手を提案出来なくなることです。
これはどういうことかと言いますと、ある程度の管理会社や担当であれば当然空室の長期化に対して対策を提案するハズです。
この時に残念ながら効果が出なかった場合に管理会社はこう思うのです。
「前回聞いてもらって結果が出なかったのに、更に提案するのは図々しいかな?」
ましてやオーナーからの過度なプレッシャーが掛かっている状態では提案しても「前もそう言って埋まらなかったじゃないか?」「じゃあ最初からそうすれば良かったんじゃないか?」と言われてしまうことを恐れて提案が出来なくなってしまう場合があります。
オーナー側からすると「空室が長期化しているのに何も提案もない」となってしまい、オーナーとしては更に不満の溜まる状態になってしまい、更にプレッシャーを掛けざるを得ない状態になってしまいます。
これが負のスパイラルの正体になっているケースは多く見られます。
これは空室の問題だけでなく、他の問題でも大体はこんな経緯を辿ってしまい、オーナー、管理会社ともに苦しい状態になってしまいます。
冒頭のオーナーさんも正にこの状態に陥ってしまったのです。
「管理会社がそんな状態ではオーナーではどうしようもないじゃないか?」
お気持ちは分かります。不動産投資を志されたのですから、やはり物件のパフォーマンスは上げていきたいものです。
では、ここからは私が今まで見てきた賃貸経営の上手なオーナー=名将を事例に管理会社から見る「良いプレッシャーの掛け方、適度な緊張感を持たせ方」をご紹介してみましょう。
良い時のコミュニケーション

悪いプレッシャーを掛けてしまうタイプのオーナーに共通して多いのが
悪い時だけコミュニケーション過多
もちろん、問題点があるのですから当然管理会社や担当とコミュニケーションを取ることが必要なのですが、物件の状態が良い時には連絡やコミュニケーションは一切無いという方が多いものです。
対して名将たちは
良い時にコミュニケーションを取っておく
反対ですね。
物件の入居状況なども含めて良好な状態の時に管理会社や担当とコミュニケーションを計る方が多いのです。
用件としては「今入居も安定しているのでお礼に来ました」という内容だったりするのですが、そこで話すのは「次空室が出たらどうしていきましょうか?」や「これから問題が出そうなこととかあります?」などの話に繋がります。
そこでは、現在の状況が良いのも手伝って前向きで建設的な話し合いとなります。
良好な状態の管理会社からは「次回空いたら、最近のトレンドでこんな方法がありまして」とか「この状態であれば家賃を上げることも視野に」「そろそろメンテナンスの時期ですが、計画的に進めましょう」なども聞けるでしょう。管理会社も自信を持ってオーナーと話せるタイミングですから、基本的には前向きな意見が多く出ることでしょう。
また管理会社にとっては「お礼を言ってくれる律儀な方」とか「既に次の対策を見ている意識の高いオーナーさんだな」「日々の物件状況をしっかりと把握している方」という風なプラスの印象を持たせることが出来ます。
こういった良好なタイミングを狙って管理会社とのコミュニケーションを取ることで「建設的な意見交換」「お礼を伝えて好感を持ってもらう」「物件を把握しているという意識」という一石三鳥の結果を名将たちは無意識なのか意識的なのかを別として管理会社に与えるのです。
これらは「物件状況を把握している方にマズい所は見せられないな」という適度な緊張感に繋がっていきます。
適度な「貸し」を作っておく

管理会社というのは正直「板挟み」の連続です。
他人の所有物を他人に貸すお手伝いというもので、基本的に自分達の権限で何かできるという部分は少ないものです。
そういった中で管理会社に対して適度な「貸し」を作れるチャンスというのは随所にあるものです。
先日のこと、ある物件で退去した入居者がいました。
このお部屋では入居者の過失によりお部屋が傷んでおりました。
その為、入居者の方に当該箇所の原状回復費をご請求しましたが、払わないのです。国土交通省のガイドラインに照らし合わせても明らかな部分と請求額であるにも関わらずです。
しかも入居者の過失は明らかであるにも関わらず、かなり争う姿勢を出していました。
揉めそうなことを含めてオーナーに相談したところ、あっさりと「その部分はいいですよ、大丈夫です」と言ってもらったそうです。
管理担当も対応に苦慮していただけに大変助かったそうです。
このオーナーさんは我々と同じく不動産業の方で当社に管理を任せてくれていますが、普段からこういった困ったタイミングでは何かと融通を聞いてもらっています。
そういった「恩」もあり、入居やその他の点で挽回しようという意識が働いているのか、当社に預けている全物件が良好な状態です。
もちろん、この方から「今回は貸しですよ」などとは聞いたことがありませんが、こういった細かい部分の恩というのが色々な部分で効いてきます。
だからといって「何でも飲まないといけない」「融通をいつでも聞かないといけない」という訳ではありません。
何でも聞いてしまうと無理難題ばかり降ってくるようになってしまいます。
あくまでも「適度に」というのと、相手が困っているなど「感謝や恩」と思えるかどうか?の見極めが大事です。
あまり打算的になりすぎると良くないのかもしれませんが、こういった「適度な貸し」は必ずプラスになって返ってくるものです。
これも管理会社や担当としては「あの時助けてもらっているしな」という意識や「恩返ししたい」という前向きな動機になるのは間違いありませんからね。
私自身、今思い起こしても「名将」達への「借り」はいまだに返せていません。
常に借りが残っていますが、現状は良好な状態であることが名将たちの名将たる所以なのかもしれません。
感じる他社の影

当社によくお越しいただくオーナーさんがおります。
この方とは毎回楽しい話題だったり、私が勉強になるような話を聞かせてくれます。
個人的にも好きなオーナーさんなのですが、当社のエリアとは別の都道府県にも物件を所有しています。
そちらの物件の様子や首都圏の最近のトレンドなどもオーナーさんから聞くのですが、そういった会話からも
「そうだよな、他の管理会社ともお付き合いあるんだもんな」と実感するのも事実です。
その方から「他の管理会社はこうなんだから」とか「他の管理会社に変えようかなー」というプレッシャーを掛けられたこともありません。
ご本人にもそのような意識は感じられません。毎度お会いする度に感謝を伝えらえれ、次回の方針などを話して建設的な会話ばかりです。
それでもそういった「他社の影」というのはやはり意識するものです。
ですが、これはさじ加減が大変重要だと思っています。
あくまで「匂わせる」程度で十分だと思います。
ニュアンス的には「いつもありがとう、本当に信用しているよ」という感情を相手に持たせていながらも「私は他社だったり、不動産業界のことも分かっているよ」が伝わる程度で十分です。
「私が他社で持っている物件ではー」とか「他社ならこんなことないのに」とばかり言ってしまうと過度なプレッシャーになってしまうこともあります。
私が出会ってきた名将たちも「いくつかの不動産会社」と取引があることは分かりながらも、脅しはしない。
勝手に管理会社が他社に負けじとパフォーマンスを上げている!
名将たちはこんな印象を持ちます。
管理会社というのは得意な部分が様々です。
大手には大手の良さが、中小には中小の良さが、時には担当レベルでも変わります。
しかし、こういった「勝手に管理会社が張り切る」緊張感は相互にいい影響をもたらすこともあるといえます。
同じオーナーさんを管理している他社さんと話していても、名将たちの物件は不思議とお互いに良好な状態であることが多いものです。
これは複数の管理会社と付き合った方がいいというよりは「不動産業界のこともある程度把握しているよ」という無言のメッセージが「適度な緊張感」に繋がっているのだと思っています。
やっぱりコミュニケーション力
いかがでしたでしょうか。
どれにも共通しているのがコミュニケーションの取り方ということです。
プレッシャーもコミュニケーションの一つではありますが、やはり前向きで建設的な関係を築くことが最良であることは疑いようがありません。
もちろん、ハッキリと言わねばならない場合などもありますが、根底にはお互いに良好な状態を作っていこうという信頼関係を築いていく作業なのだと思います。
管理会社はもちろん慢心・油断をしてはいけませんし、プロとして最良の提案をしていくことが責務になります。
そういったお互いの信頼関係を築く為にも、やはり「適度な緊張感」というのは必要だと管理会社の立場からも思います。
お問い合わせ
-

VSゴミ屋敷 番外編 経験談からの考察 ゴミ屋敷のメカニズムと傾向
前回までは事例 今回は不動産に関する経験談です 前回までの記事はこちら https://lotushome.jp/?p=3425 https://lotushome.jp/blog/3458/ ゴミ屋敷の住人の誤解 前回まで実際の事例としての解決方法やリフォーム事例などをお伝えしました。今回は今までの経験のお話しをしてみます。私も不動産業界、特に管理会社として何例もゴミ屋敷を見てきたり経験してきました。今回はゴミ屋敷と呼ばれる人たちの傾向やメカニズムを私の個人的見解として、お伝えしてみようと思います。よくゴミ屋敷の住人は心理的に何か問題を抱えている。とか色々精神科医的な記事はたくさんありますが、実際の生活を見ることの多い不動産屋目線で話してみたいと思います。あくまで私個人の感想だったり実体験に基づいたものになるので、誤解を招くようなことがあるかもしれません。 部屋は汚いが外着はまとも 皆さんはゴミ屋敷の住人のイメージはどんな感じでしょうか?なんとなくホームレスのような感じや清潔感の無い恰好をイメージする方が多いと思いますが、私の経験上では半数以上の人が普段の身なりはまともであることが多いのです。当初は意外でした。普段会う人の恰好から想像つかないような汚い家。なぜ身なりに気を遣えるのに部屋には無頓着なのだろうと不思議に思います。仕事もしっかりしてる、人としての会話も普通。しかし部屋はゴミ屋敷。そんな人も多いのです。ちなみに前回までの記事のゴミ屋敷の住人さんも外着はまともでしたよ。 ゴミ屋敷の発生割合は女性の方が多い これは書こうか非常に迷いました。昨今の女性の権利向上などの風潮がある中で、誤解を招きそうだからです。当たり前ですが、男性と女性は平等であるべきですし、性別による決めつけなどは良くないというのも重々承知しています。私が言いたいのは「男性は女性よりきれい好き」とか「実は女性の方がだらしない」ということが言いたい訳ではありません。私の実体験として女性の割合が本当に多いのです。そして、今までの数多くの退去時のお部屋の状況から私の考察を話してみたいのです。ちなみに私が経験した割合でいうと6:4位で女性が多かったのです。そして、数々の退去時の傾向から考えると一つ仮説のような傾向があります。 女性は男性に比べるとキレイな状態で退去する割合が高い女性は「BEST」と「WORST」の両極端の割合が男性に比べると高い こういった傾向があります。とてもキレイに引き渡してもらえるのも女性が多く、反面ゴミ屋敷のような状態になるのも女性の割合が高いのです。 この傾向はデータとしてハッキリした物はないようですが、ゴミ屋敷を処理する業者さんに今まで伺ったところでは女性の方が依頼者として多いとのことでした。ある業者さんでは7:3とのお話しもありました。 もう一つ男女差の話しでするとゴミ屋敷の住民の年齢層なのですが、 男性は50~になるしたがって割合が増加し、女性は30~50代の割合が高い これは仕事が要因になっていると思います。女性の場合、お勤め中の方が割合としては多く、男性は仕事を退職した後という傾向が高いようです。私はこの点については「孤独感をいつ感じるか?」だと思っています。様々なゴミ屋敷発生要因の中でも孤独感というキーワードが出てきます。要は孤独感を埋める為に物を買うことや身の回りに置いて孤独の埋め合わせとしてゴミを溜めてしまうという理屈です。男性の場合は女性に比べて友達や社会との繋がりが「仕事」メインになっており、退職後は上手くコミュニケーションを取れなくなり、孤独を感じてしまうのではないでしょうか。反面女性は仕事が激務などで十分なプライベートな時間などが取れない場合、孤独感を感じてしまうのが要因な気がするのです。仕事が落ち着いたり、退職した後は女性は社会や友人などとのコミュニケーションも男性に比べると上手くいくことが多いのです。そう考えるとこの年齢についての考察は案外的を射てるのではないかと思います。 意外と新品が多い 未開封新品 なぜ買った?使わないのに ゴミ屋敷と呼ばれる位ですから、かなりのゴミがあるのは間違いありません。しかし、ゴミ屋敷と呼ばれる状態の部屋にいくと、かなりの割合で新品の物が多いのです。特に新品未開封、あとは通販などで買ったはいいが段ボールのまま開封すらしていない物も多くあります。また、新品の物でも特定の物が多くあることもあります。ある人はもう十分あるにも関わらず、醤油の未開封が合計で20本位出てきたり、スポンジだけが何パックも出てきたり、生活用品で偏っていることが多いのです。中には現金が散乱しているお部屋もありました。全てかき集めたところ、10万円を超えていたこともあります。 悲しい事情でゴミ屋敷を作ることも 悲しい理由のゴミ屋敷 また、親しい親族の方が亡くなったことを期にゴミ屋敷を作ることが多々見られます。それまでは、社会常識もあり、人柄も良かった方が身内の不幸によりゴミを溜めていくのです。恐ろしいのは、会うと普段通りだったり、ふさぎ込んだりなどしていないケースもあり、外側から見て分かることが少ないものです。これも心の問題なのでしょうが、他人のサポートや言葉も届きづらいケースではあります。 なぜか生活圏だけはルールがあったりする 不思議な物で、そこかしこにゴミが積み上がり食べ残しやゴミが散乱していても一角だけキレイな場所が残っていることもあります。人によりですが、トイレだったりベッドの上だったり限定的ではありますが、一部だけキレイな場合もあります。他にも一部屋だけゴミが積み重なったいたり、衣類だけはキレイになっていたり。通常の感覚では「なんでそこだけ?」となるのですが、当人たちにしか分からないこだわりがあるのです。 単純に片付けが苦手、出来ないという人は割と楽 他にも単純に片付けが出来ない、苦手という人もいます。これは発達障害的な要素でもあるそうなのですが、こういった自他ともに認めている人というのは対応策もシンプルで解決も早いものです。ある方に至っては本当に片付けが出来ないということで、毎月2度専門の業者さんを呼んで片付けを代行してもらう決断をした方もいました。心の問題以外であれば解決方法はたくさんあります、当人に解決する気力体力があるのですからね。自分では解決できない、解決する気力体力がない方は出来るだけ早く、病院でも公的機関でも相談して欲しいものです。しかし、それが出来れば苦労しないというのが本当のところでしょうが・・・
-

【閲覧注意】VSゴミ屋敷② 問題解決とリフォーム編
費用の問題や解決までの道のり 前回の記事はこちらから https://lotushome.jp/?p=3425 帰ってきた入居者の目的とは 一人ゴミ屋敷で立ちすくむ私、すると玄関のドアが空き誰かが入ってきました。入居者が帰ってきたのです。音信不通となっていた入居者です。 私は現状の確認と今後の方針や希望を聞くと入居者は答えました。 既に次のお部屋は探して契約も済んでいる明渡しまでに少しずつ片付けようと思っていたしかし、精神的にも参ってしまい、中断した連絡したのだから、もう少し時間の猶予が欲しい手持ちのお金もないゴミに見えるが、必要な物なので捨てないで欲しい身内には迷惑を掛けたくないから親族には連絡をしないで欲しい連絡があったのは気づいていたが、どうしようもなく無視したついに疲れ果てて、少し寝ようと思って帰ってきた どうでしょう。みなさんはこの言い分を聞いてどう思うでしょうか? 「放置しても仕方ないのだから何とかしろよ」「この期に及んでまだ身内に迷惑掛けたくないとか図々しい」「責任感が無い」「この部屋のどこで寝るんだ?」「次の部屋も借りているのに、なんで放置してるんだ」 色々な感想をお持ちでしょう。私もそう思います。しかし、ここでこの入居者を罵倒して動かそうとしてもハッキリ言えば無駄です。こういった人たちを無理に動かそうとすると解決はどんどん遠ざかっていきます。私は管理会社として数々のトラブルを解決してきました。そして色々な人を見てきました。経験上この入居者は 人生のカーナビ非搭載タイプ です、これは私が心の中で人を分類しているのですが、勝手な呼び方です。 そう、先ほどの言い分には何一つ合理性や責任感、解決までの道のりがありません。自分の願望だけなのです。 これはどういうことかというと 本来やらないといけない、叶えたいことはあるが、どう行えばいいのか道筋を自分で設定できないのです このタイプの人は「片付けないと大変なことになる」は分かっているのですが、その方法を設定できません。またこのタイプの人は何とか無理して方法を選択しますが、その選択が間違いであることがほとんどです。もしくは決断できずにズルズルと事態を悪化させてしまいます。 あたかも人生という長く、道順も複雑な道をカーナビ無しで突っ走る車のようです。どんどん迷ってしまい、最終的に行き止まりになってしまいます。 ですから人生のカーナビ非搭載タイプと心の中で勝手に呼んでいます。 このタイプの対応は以下の通りです。 正論をぶつけて行動させようとしない早く行動しないと更なるリスクが来ることを理解してもらうまだ間に合うことを伝え、「少しだけ」安心させる意見は聞くが採用しない、任せないこちらの提案を採用することが、最良であることを理解してもらう決断はその場でしてもらう このタイプは「しなければならないこと」は分かっているのです。しかし出来ません、そしてなぜか願望や希望は強い傾向にあります。頭ごなしに正論などをぶつけて「解決」を求めると思考回路がショートしてしまい、連絡を無視したり、問題を放置してしまいます。ですから、意見や願望、希望はまず聞いてみます。しかし決して採用したり、任せてしまってはいけません。共感して落ち着いたところで、次の手です。この方達は結局のところ「最良の決断」を欲しています。自分も解決したい気持ちはあるのです。出来ないだけです。プロとして、今後進んでいく道をしっかりと話して理解してもらうのです。例え本人の希望や願望が全て叶わないということが分かっていても・・その為簡単には納得しません。そこで「放置すると今後とんでもないリスク」があることも理解して貰わねばいけません。そして、決断は持ち帰って考えさせることは得策ではありません、また間違った決断をしてしまいますから。少し強引に思われるかもしれませんが、本人の為にも実は最良の結末を迎えます。そして迎えさせる知識も必要です。そこまで話すと大体こちらに決定権を委ねてくれます。正直、このタイプはこれが最短です。今回の入居者も正にこれで上手くいきました、時間は多少掛かりましたが以下の通りになりました。 必要な物を明日までに出す明日までに出せない物はゴミとして処分する自力で片付けは不可能なので業者に任せる処分に掛かる費用は名義の賃借人と話して決める期限を守れない場合は損害賠償の対象となる 当初は「自分で片付ける」「必要な物ばかりだから捨てるな」「もう少し時間をくれればいいだけ」と抵抗していました。しかし「このままでは契約違反である」「次の入居者が控えており、引き渡してもらえないなら損害賠償の可能性がある」「自力では到底無理な量である」「このまま放置して負債を抱える位であれば処分してもらった方が金銭的にもマイナスでないこと」「必要な物は明日まで猶予をあげること」 以上を理解してもらい、最後は「こんな風にしてしまい、すみませんでした、よろしくお願いします」と部屋を出ていきました。 そして、この顛末を本来の名義人に話しました。今回は名義は名義人であることから撤去処分費から原状回復の費用も名義人に責任があることを伝えました。当初は「なんで自分が費用を払わないといけない」「入居者に払わせろ」となりましたが、・契約名義が自分であること・又貸しをしてしまったこと・長引くと更に損害が増えること を話して納得してもらいました。また物件のオーナーにも報告すると「まずは次の入居者さんに迷惑が掛からないように急いでお願いします」との返答。 さあ、片付けますよ! 【若干閲覧注意】まずはゴミを出してリフォーム前に清掃 これの10倍以上のゴミがでました。次から次へとトラックへ積み込んでいきました ここからはスピード勝負です。まずは馴染みの便利屋さんに連絡し、ゴミ処分の見積りと日程を出してもらいます。費用も出来る限り圧縮してもらうようにお願いしました、何より名義人の方が払うことではありますが、少しでも負担を和らげてあげたいのです。その為、片付けと清掃を別の業者でお願いすることにしました。まずは片付けです。総勢5名ほどのスタッフが来てゴミをまとめてトラックへ積み込んでいきます。全然減りません。それだけゴミの量が凄まじい。 やっと床が見えてきました、しかし食品や水の汁が床にこびりついています。虫も湧いていました その他の画像はこちら 玄関もやっと通れるようになりました 荷物であふれた洗面室 トイレは比較的キレイでしたが、今回のリフォームでウォシュレットを付けることに 一番損傷の激しいDK 居室も弁当ゴミの影響でシミが多数です 畳はシミも匂いもあり、到底使える状況ではありませんでした エアコンは既に故障していました。経年なのかは分かりません リフォーム前に匂いを取る とりあえず物をお部屋から片付けてもらいました。ここで清掃を入れます。リフォーム前に清掃を?と思われるかもしれませんが、とにかく匂いがキツイのです。職人さん達をこのお部屋に入れる訳にもいきませんし、そもそもこの匂いを取らずにリフォームしてしまっては、見た目はキレイで臭い物件です。まずは仮清掃と匂いを取る専門業者にお願いします。仮清掃後がこちら 床のシミも大分落ちましたが、やはり完全には落ちません 浴室は汚れだった為、ある程度キレイにこれでもう一度清掃すれば大丈夫でしょう 洗面脱衣所も綺麗になりましたが、床と壁紙、洗面台は交換することに 床の損傷は想像以上でした 畳は処分することに、新調することにしました キッチンはあの汚れが嘘かのようにキレイになりました まだ多少の匂いはありましたが、これは壁紙に染み付いてしまっている為です。 リフォームしよう オーナーとも協議し、今回はリフォームをお願いしました。 壁紙は全張替え床は損傷部分を研磨し下地処理をして、表面をフロアタイル仕上げ洗面台は経年劣化もある為、新品へ交換 壁紙も床も張替え、匂いも全くなくなりました 床を削り、下地補修します。幸い下地まで損傷は及んでいませんでした。 リフォーム後 凄まじい状態だったDKも綺麗に 和室も壁紙とフスマなど張替え、この後に新しいキレイな畳が入りました。 洗面台は新品へ交換し床も張替え トイレも同様に 天井には落ち着いた色の壁紙でアクセントに 写真ではリフォーム途中でしたが、既に匂いや汚れもなく、施工後に再度ハウスクリーニングを入れて、無事成約済みの入居者さんへ引き渡すことができました。実質10日で片付けからリフォームまで終えることができ、ホッとしました。 費用はいくら?負担はどうなった? リフォーム内容としては以下の通りでした 壁紙全張替え 全部屋の天井壁床貼替え フロアタイル和室畳交換×6畳洗面台交換脱衣所床CF交換ペーパーホルダー交換襖張替えエアコン交換 1台 合計で税込60万円で済みました。そして契約名義の方の負担は45万円(税込)となりました。洗面台の新品へ交換やエアコンの交換は賃借人に負担させることはできません。しかし、ご覧いただいた施工内容でこの値段はかなり安価に済ませることが出来たと思います。契約名義人の方が自身で他社の施工店に見積りを取ったところ、原状回復だけで100万円を超える見積りだったことを考えるとかなり安価に済ませることが出来たのではないでしょうか。オーナー自身の負担手出しでグレードアップ分程度となりました。名義人の方に取っては痛い出費となりましたが、他社に比べれば負担も少なくすることが出来ましたので、お支払いもすぐに対応していただきました。しかし、この負担とは別にゴミの撤去処分費を支払うこととなってしまいますので、総額では80万円前後の支出となってしまいました。少なくなったとはいえ、かなりの費用となりました。 名義貸しや又貸しはやめましょう 今回はオーナーや同業者向けに書いた記事ではありますが、賃借人のみなさんが見ていたら教訓はただ一つです。 名義貸しや又貸しはトラブルの元!絶対にやめましょう 当社としては次の入居者もスムーズに入居することができ、オーナーもリフォーム費用の負担が最小限に済んだことで結果としては無事に乗り切ることができました。このお部屋に関しては後10年ほどは簡単なクロス補修程度で済むことでしょうから。しかし、契約名義人の方はこれまでの家賃負担額だけでなく、退去時の費用も払うことになり(今回の費用を実際の入居者に請求するようですが・・・)かなり痛い目を見てしまいました。 さて、いかがでしたでしょうか?もし対応を間違っていたらオーナーは全額自己負担などの憂き目にもあってしまったこのケース。無事終えることができ、ホッと一安心でした。 あまり実際の写真を見たことが無い方もいるかもしれないと思い、今回は実際の写真を掲載しました。ちなみに時系列や細かい点などはフィクションも織り交ぜてありますが、肝心な部分は実際の事例です。 このレベルの対応は非常に稀ではありますが、対応を間違うと全員が不幸になってしまいます。管理会社としては、これからの家賃を担っていただく次の入居者と落ち度のないオーナーは絶対に守らなければならないものです。もちろん、落ち度のあった名義人の方も入居者にとっても、最良な解決方法を提示できるように努めておきましょう。
-

【閲覧注意】VSゴミ屋敷① 実際の写真と対応
心の準備をしてから見てください。リアルなゴミ屋敷発見→又貸し解決→原状回復の全てを公開 解約の通知から全ては始まりました ※時間も経過しており、多少のフィクションも織り交ぜております ある日、当社の人気物件であるマンションから解約通知がきました。いつものように手続きを進めると【第一の矢 又貸し】「名義は自分だが、住んでいるのは別人です」とのこと。契約違反ですね、通常であれば契約解除となってもおかしくない状況です。しかし、解約申請をしてきている現在では契約解除も最早効果もないところです。とりあえず概要を聞くと「当時お部屋を借りたいという友人がいた。しかし本人が借りることが出来なかったので自分が借りてあげた」「しかし、本人も家賃を払えなくなったとのことで立て替え続けてきたが限界がきた」嫌な予感しかしません・・・現在まで、家賃の遅れはありません。近隣住戸からの苦情等もなく、表面上は普通の賃借人でした。そして、名義人の方が鍵も持っており、実際の入居者も解約に合意していることから通常の解約申請を受け付けることにしました。こんな目に合うとはこの時は予想もしませんでした。 ちなみに物件の概要です 間取りはこんな感じです。エレベーター付きのマンションです。オーナーも賃貸経営の上手な方で、空きがでると必要な修繕を素早く行っていただける方で、物件自体も満室を維持している物件でした。入居当時のビフォー写真が以下の通りです、 DKです 玄関 洗面脱衣所 浴室 トイレ 居室 隣の和室も畳の表替えもし、キレイな状態での引き渡し キッチン キレイな状態で引き渡しをしております。 ゴミ屋敷×又貸し×明渡し拒否×次の入居者成約済み=? そして、解約申請を受け付けると募集開始です。当社では早ければ翌日には次の入居者募集のため、募集広告を掲載していきます。今回は賃借人と実際の入居者、双方とも連絡を取り、明渡し日付も確認しておりましたので募集に支障はないと思い、早速掲載しました。そして、まだ空き予定の段階で次の入居希望者を見つけることが出来ました。入居日は明渡しから2週間後を希望とのことで、まあ余程のことがない限り余裕を持てる日付でした。次の入居希望者が決まった旨を再度、賃借人と実際の入居者にも伝えたところ「明渡しは問題ない」との返答、いつものように順調に進みます。そして、解約の予定日まであと4日と迫った時に実際の入居者から連絡がありました。 「明渡しに時間が掛かるかも」 一方的に電話を切って、以降こちらからの連絡が繋がらなくなりました。 名義の賃借人に連絡をすると「それは困る、このままズルズルいって欲しくない」とのこと。当然でしょう。当社としても、次の入居者も決まっている状況、かつ実際の退去日などの目途も分かりません。これでは解約延長なども受け付けることもできません。ましてや本来は又貸しという賃貸借契約違反でもあることから、解約日にはお部屋を明渡して欲しい状況です。しかし当の入居者とは連絡も取れません、仕方なく現地へ向かいました。そして発覚するのです ドアの隙間からの強烈な異臭 私は現地へ着くと、インターホンを鳴らします。鳴ります。返答はありません。しかし、周辺には異臭が・・・「なんだこれ?」すると、玄関のドアポストが半開きになっています。私は何となくそこに顔を近づけてみました。 強烈な異臭 それも、ただ事ではないレベルです。前回の記事でも書きましたが、私は死臭というのが分かります、不動産管理会社を長くやっていると身についてしまった悲しい能力です。今回の異臭はそれに近しいのです。しかし、死臭というには少し何というか「濃度」のような感覚も違います。しかし、中で通常では起こり得ない事態が起こっていることは明らかでした。急いで当社の管理スタッフに連絡し、名義の賃借人に鍵を持ってすぐ来てもらうように要請しました。そして衝撃の光景を目にします。 閲覧注意 このあとに実際の光景をお見せします。しかし、かなり汚い部分もありますので、閲覧は注意してください。先に言っておきますが、事故物件などではありません。下にスクロールしてください。 良いですか? 実際の室内の様子 DKの写真です。足の踏み場もありません。塗りつぶしてあるのは帰ってきた入居者さんです。 ここからは各部屋の様子です。 居室です。分かりにくいのですが、実際は奥の和室に続く部分が谷のようになっていました。通路でしょう。 玄関 なぜ炊飯器がこんな所に 洗面脱衣所 ドラム式洗濯機が虚しくあります キッチン もはやキッチンと呼べるかどうか 奥の和室、畳も見えません 居室の角度を変えた写真 室内は食品から衣類まで雑多に積み上げられています なぜか多い未開封の物 部屋の隅々まで高く埋もれているゴミ 洗面台はその役目を果たせません トイレがなぜかキレイに見えてしまいます 写真には写っていませんが、中々の汚れです なんじゃこりゃ? 室内に入ると足の踏み場はありません。やむを得ず靴のまま入ります。この時はひょっとすると中で亡くなっているのでは?という緊張も少しありました。しかし、中にはいません。そしてこの有り様異臭の正体はそこかしこに置かれている食品のゴミや生ごみであることが分かりました。しかしキツイ匂いです。かなりの年月が経っているのでしょう。5分も居たら匂いが自分に付く位の激臭!あまりの状態で撮影はしませんでしたが、冷蔵庫の中身は腐り果て、強烈な匂いです。また、水気も含んでいるのでしょうか、歩くと足に嫌な感覚が伝わってきます。洋服から家電、開けてない通販の物品、とにかく物が多い。一人で立ち尽くしていると玄関が開く音が 入居者が帰ってきたのです、そしてここから怒涛の事態へ突入します! 続きます
-

春から入居キャンペーンが好調です!
ありがとうございます。入居者にもオーナーにも双方のメリットあり 春からキャンペーンが好評です。 今年のお部屋探しも後少し、早いものでもう12月。毎年のこととはいえ、今月は来年のお部屋探しを先に済ませておこうという方が多くご来店いただいております。皆さん、しっかりとゆっくりとお部屋を探していただき、ご希望のお部屋でご成約をいただいております。一様に「早めに決まって安心した」「本当に春からの家賃でいいとは」とキャンペーンの甲斐がありました。日々物件も増えてきております。オーナーの皆さんにもご理解とご協力をいただき、物件も増えてきました。もちろん、春からキャンペーンでも早めに住み始めることも可能ですので、これからもよろしくお願いします。
-

敷金は預かった方がいい?悪い?
預かったら安心!逆になることも 敷金とは? 今回は敷金を預かった方がいいのか、悪いのか?に管理会社として答えを出していきたいと思います。 まずは敷金とはという大前提の話しですが「滞納や原状回復の為に入居時に預けておく保証金」ですね。この敷金ですが、預かった方がいいのでしょうか?今回はオーナー目線から見たメリットとデメリットをご紹介します。当社ではほとんどの物件で預かっていません。それにはオーナーと入居者双方に「預からない方がいい」と思っての決断でした。その為、今回はその決断にまつわるエピソードをお話していこうと思います。 敷金の歴史と流れ 敷金の発祥とは 豆知識としてですが、敷金の歴史は古く、江戸時代にはその存在はありました。しかし、当時は賃貸での慣習ではなく、結婚にまつわるお金でありました。お嫁に行く女性側の親族が夫側に支払っていたお金を「しききん・しきがね」と呼んでいたそうです。そして、離婚に至ってしまった場合は夫側は預かっていた敷金、その全額を妻に返還する。というしきたりから来ているとのこと。ここからは推測なのですが、当時の女性は働いて給与を得るということはほとんど無かったことでしょう、離婚して無一文で放り出されることがないように、郷里に帰る為や当座の生活に困らないようにという意味があったのではないでしょうか。とにかく、この「万一の時の為にお金を先に預けておく、何もなければ全額を返す」という仕組みが賃貸においても都合が良かったのでしょう。それ以降は賃貸での商慣習として取り入れられていきました。そして賃貸での敷金は家賃滞納や退去時の原状回復費用が払われない為に、オーナーの保険的な要素となりました。退去時にある滞納や汚損破損させた挙句お金を支払わない借主からのせめてもの「見舞金」となっていました。そして、時は流れ、今度は敷金はトラブルの象徴となっていくのです。敷金を預かっておき、退去時は敷金を返さず、更には追加で高額なリフォーム費用を入居者に請求するという事例が相次ぎ、ついに国が動きます。そう、国土交通省のガイドラインが発表されました。これ以降、入居者と貸主は対等という線引きがされたのです。 ちなみに私は管理会社としてオーナーの味方です。管理会社というのは少なくともオーナーに儲かってもらうのが仕事であるからです。こんなことを言うとこれを読んだ賃借人さんは「入居者を食い物にする不動産会社だ!」と言われそうですが、そんなことはありません。入居者に喜んでもらうことはオーナーの利益に直結しますから本来はWinーWinの関係であるのです。ですからオーナーに儲かってもらう為には入居者に喜んでもらうというのは特別不思議なことではありません。むしろ当然の話なのです。オーナーの利益=入居者の利益 だと本気で思っていますからご安心ください。そして、このガイドライン。制定当時はオーナーにとっては苦しいものでした。苦しいと思うオーナーもいたというのが正しい表現ですね。今まで入居者に原状回復を超えるリフォーム代まで請求していたオーナーにとっては収入元を減らされるという内容でしたから。ガイドライン制定当時、中にはわざと安い家賃を設定しておき、退去時に高額請求することで帳尻を合わせようという手口のオーナーもいたことは事実でしたからね。本来そのような不当な請求はすべき行為ではありません。しかし、このガイドラインには「曖昧」が含まれており、それが現在色々な余波を生み出すことになるのです。そしてこのガイドライン以降は敷金というのは正にトラブルの火種となってしまうのです。 曖昧だが法的には強いガイドライン 強制ではないが、実質強制。なら強制してくれればいいのに・・ ここまでは、敷金の歴史のようなものをお話ししてきました。ガイドラインが制定されて敷金のトラブルなどは減ったことは事実です。今ではほとんどのオーナーもガイドラインの定めを理解し、その範疇で適正に原状回復を行っています。しかし、そのガイドラインの存在が大きくなるにしたがって、今度はその曖昧さで別のトラブルを発生させていくのです。それは、「いかなる場合でも敷金は全額返ってくるのだ」というオーナーにとっては最早敷金の意味がない風潮になってくるのです。国土交通省のガイドラインは勘違いしている方もいますが、あくまで「ガイドライン」であって、本来法的に拘束されるものではありません。国土交通省のコメントや文章にも、「本来は契約当事者同士で決めるものであり、行政側が規制をすることは適当でない」というような文言もあるのです。しかし、現実では契約当事者で合意をしたとしても、後に賃借人が費用について訴えるとガイドラインを超えるものは請求を認めないという判例がほとんどになっているのです。そして最早法的に拘束力があるレベルとなっているのです。私見ですが、私はそれならもっと厳格に原状回復のルールを定めてほしいと思っています。「契約は当事者同士で」と言いながら実質はガイドライン通りでなければいけない。これは健全でないと思っています。これはオーナーを優遇しろ!と言っている訳ではありません。厳格に定めてしまえば、そのルールの中でお互い揉めることも無くなるだろう。と思っているからです。そして、お互いに予想外の出費に悩まされることもなくなることでしょう。入居者の方はオーナーを「金持ちで毎月家賃が入ってきてウッハウハ」とイメージしてる方が多い印象です。意外とそんなに甘いものではありません、確かに賃貸物件は利益も出ます儲かります。しかしその利益を出す為にオーナーは物件を買ってからも、中をキレイにしたり、税金も払い、原状回復の負担分も払い、税金の勉強もしたりなどと正直楽ではありません。もちろん、生まれ持ってのお金持ち意外の方は、日々節約し、一生懸命貯めたお金でリスクを負って投資をするのです。しかも上手くいけばいいのですが、上手くいかなかった場合は借金に追われるというリスク付です。私はオーナー、賃借人ともに公平に、そして業界全体でも公平になればいいと思っています。今の現状では、ガイドラインを守らないオーナーは家賃を下げることができ、そうでない正直なオーナーは一部の家賃を下げて後から請求するというオーナーに合わせて下げざるを得ません。そうすると正直で公正なオーナーがバカを見る。これが好きではないのです。ガイドラインを皆が遵守すれば家賃相場は上がるかもしれません。なぜなら家賃からだけで原状回復やリフォームをする必要があるので、今まで原状回復費をボッタくるオーナーは採算が取れません。そうすると家賃に転嫁せざるを得ません。でも、本来はそのようにする為のガイドラインなのですから、そうあって欲しいのです。そして借り手側も家賃は上がるかもしれないが、余計な請求が来ない。家賃も上げたくない、余計な請求も嫌だ!は気持ちは分かります。しかし、それでは賃貸物件を持つというメリットはなくなります。そうするとオーナーは減り、貸してが減れば競争原理も働かず、それこそ家賃は上がってしまいますからね。たくさんのオーナーが借り手に選んでもらえるように競い合い、家賃だけで原状回復やリフォームなども行うことができ、そして利益も出る。この正しいサイクルに入ればいいなと本当に思います。 敷金を預からない方がいい そんな昨今の為、相談に来られるオーナーへは「敷金は預からない方がいい」とアドバイスしています。いくつか理由があります。 敷金を預かると退去時に「敷金は全額返すのが当たり前」というスイッチが入り、入居時に約束した通常の内容も反故にしようとする人がいる当社は預かった敷金をオーナーにすぐ送金する関係で、返還する時にオーナーが忘れていると予想外の支出となる会計処理上の手間を省ける家賃の滞納については保証会社を原則としているため、今では心配がいらなくなった敷金が無い分、借り手の契約金額が少なくなり、入居付けで有利になる敷金を預けている人はお部屋の使い方がラフになる傾向も!そして「敷金預けてあるからその範囲で済む」と上限の認識になる場合もあり、「退去時に請求されないようにキレイに使おう」という意識が減る印象も このように昔とは違う価値観が浸透してきて、敷金に対する感性も変わってきています。滞納については保証会社の加入があれば大体12か月分以上は保証してくれます。敷金の額よりも多いです。他にも、昨今インターネット上では「あなたの敷金取り戻します」「敷金が全額返ってくる方法教えます」と敷金返還ビジネスなども盛んです。正直私は弁護士などの法的に資格がある人以外が、そのような仕事をすることがあまり好きではありません。オーナー側の立場にあるからというのもありますが、本来はオーナーと入居者だけでお互いが納得できる範囲の約束をお互い守ればいいのですから。そこに、法的な資格も特になく、更に無償でやるというなら全然いいのですが、結局は入居者からお金を貰う訳ですからね。本来そのようなもめごともなければ一番いいのですから。 とはいえ地域の商慣習もあるので ここまで読むと「オーナーは今から家賃だけでやっていくのか・・・」と思われた方もいるかもしれませんが、少しお待ちを敷金は以上の理由で預からない方がいいとお話ししましたが、預からないにしてもその他の費用を全く請求してはダメという訳でもありません。それは、不動産賃貸業というのは各地の商慣習というのがかなり色濃く関係します。 代表的なものは 関西圏では敷金の額が2ヶ月~3か月と多め関東では礼金制度が多いが上限も2ヶ月程度関東では更新料が家賃の1カ月程度関西圏ではエアコンは賃借人が持っていく九州は敷金礼金ともに少な目関西では昔は礼金の代わりに敷き引きが多かった など、今はどうなっているか分かりませんが、地域によって商慣習といのは様々です。ちなみに私たちの会社のある鹿児島県では敷金はあっても1か月、礼金の習慣はあまりありません。その代わり、ハウスクリーニングや鍵交換費用などは別途請求というパターンが多いものです。これはどちらがいいという訳ではありませんが、少なくとも九州では「礼金や敷き引きなどはしないから、必要経費を別途払ってくれたらいいよ」ということです。礼金を払うことなどに比べたらまだ納得しやすいかもしれません。そして、このハウスクリーニングなどもガイドラインでは本来オーナー負担が望ましいとなってはいます。しかし、裁判上の判例でも「賃借人がガイドラインの範囲でない特別な負担を負う事を理解しており、暴利でないなどの客観的事実があれば請求することは認められる」というような主旨でオーナー側の言い分が判決でも認められています。現在、私たちの会社でもハウスクリーニングや畳がある場合の表替え費用などはしっかりと説明し、退去後にご請求しています。しかし、今年1年で数百件の退去精算を行いましたが、請求額で揉めたりすることは基本ありません。退去精算で揉めて裁判など起こされたこともありません。私たちは基本ガイドラインに準拠して退去精算を行っていますので、例えば「通常の油汚れが付いたキッチンの壁紙」「ポスターの画びょう跡」「経年変化で日焼けしたフローリングや壁紙」「ベッドの足跡がついてクッションフロア」などは当然請求しません。しっかりと法律やガイドラインを理解し、入居者さんにもしっかりと説明する、そしてガイドラインを逸脱するような不当な請求はしない。これで大体揉めるようなことは防げます。そして、長期的に見るとこれが一番オーナーの収益の為でもあるのです。必要な経費は敷金礼金なども取らない代わりに少しは負担してもらう。退去時も不当な請求をしない。そして、それをしっかりと反映させた契約書を作り、双方納得のうえ契約をする。基本中の基本ではあります。こういった地域の商慣習に合わせ、しっかりと法律を理解して契約書に反映させることで、暴利(不当に高い)でなければ運営に必要不可欠な経費も認められます。今後も敷金や原状回復費に対する風当たりは強くなっていくことでしょう。敷金を預からないことで得られるメリットはたくさんあることをお伝えしたかったのです。そして、預からないことで損する訳ではないことも知って欲しかったのです。





