敷金は預かった方がいい?悪い?

預かったら安心!逆になることも

敷金とは?

今回は敷金を預かった方がいいのか、悪いのか?に管理会社として答えを出していきたいと思います。

まずは敷金とはという大前提の話しですが「滞納や原状回復の為に入居時に預けておく保証金」ですね。

この敷金ですが、預かった方がいいのでしょうか?今回はオーナー目線から見たメリットとデメリットをご紹介します。

当社ではほとんどの物件で預かっていません。それにはオーナーと入居者双方に「預からない方がいい」と思っての決断でした。

その為、今回はその決断にまつわるエピソードをお話していこうと思います。

敷金の歴史と流れ

敷金の発祥とは

豆知識としてですが、敷金の歴史は古く、江戸時代にはその存在はありました。
しかし、当時は賃貸での慣習ではなく、結婚にまつわるお金でありました。
お嫁に行く女性側の親族が夫側に支払っていたお金を「しききん・しきがね」と呼んでいたそうです。
そして、離婚に至ってしまった場合は夫側は預かっていた敷金、その全額を妻に返還する。というしきたりから来ているとのこと。
ここからは推測なのですが、当時の女性は働いて給与を得るということはほとんど無かったことでしょう、離婚して無一文で放り出されることがないように、郷里に帰る為や当座の生活に困らないようにという意味があったのではないでしょうか。

とにかく、この「万一の時の為にお金を先に預けておく、何もなければ全額を返す」という仕組みが賃貸においても都合が良かったのでしょう。
それ以降は賃貸での商慣習として取り入れられていきました。

そして賃貸での敷金は家賃滞納や退去時の原状回復費用が払われない為に、オーナーの保険的な要素となりました。

退去時にある滞納や汚損破損させた挙句お金を支払わない借主からのせめてもの「見舞金」となっていました。

そして、時は流れ、今度は敷金はトラブルの象徴となっていくのです。

敷金を預かっておき、退去時は敷金を返さず、更には追加で高額なリフォーム費用を入居者に請求するという事例が相次ぎ、ついに国が動きます。

そう、国土交通省のガイドラインが発表されました。

これ以降、入居者と貸主は対等という線引きがされたのです。

ちなみに私は管理会社としてオーナーの味方です。管理会社というのは少なくともオーナーに儲かってもらうのが仕事であるからです。
こんなことを言うとこれを読んだ賃借人さんは「入居者を食い物にする不動産会社だ!」と言われそうですが、そんなことはありません。
入居者に喜んでもらうことはオーナーの利益に直結しますから本来はWinーWinの関係であるのです。
ですからオーナーに儲かってもらう為には入居者に喜んでもらうというのは特別不思議なことではありません。むしろ当然の話なのです。
オーナーの利益=入居者の利益 だと本気で思っていますからご安心ください。

そして、このガイドライン。制定当時はオーナーにとっては苦しいものでした。苦しいと思うオーナーもいたというのが正しい表現ですね。
今まで入居者に原状回復を超えるリフォーム代まで請求していたオーナーにとっては収入元を減らされるという内容でしたから。

ガイドライン制定当時、中にはわざと安い家賃を設定しておき、退去時に高額請求することで帳尻を合わせようという手口のオーナーもいたことは事実でしたからね。
本来そのような不当な請求はすべき行為ではありません。

しかし、このガイドラインには「曖昧」が含まれており、それが現在色々な余波を生み出すことになるのです。

そしてこのガイドライン以降は敷金というのは正にトラブルの火種となってしまうのです。

曖昧だが法的には強いガイドライン

強制ではないが、実質強制。なら強制してくれればいいのに・・

ここまでは、敷金の歴史のようなものをお話ししてきました。

ガイドラインが制定されて敷金のトラブルなどは減ったことは事実です。今ではほとんどのオーナーもガイドラインの定めを理解し、その範疇で適正に原状回復を行っています。

しかし、そのガイドラインの存在が大きくなるにしたがって、今度はその曖昧さで別のトラブルを発生させていくのです。

それは、「いかなる場合でも敷金は全額返ってくるのだ」というオーナーにとっては最早敷金の意味がない風潮になってくるのです。

国土交通省のガイドラインは勘違いしている方もいますが、あくまで「ガイドライン」であって、本来法的に拘束されるものではありません。
国土交通省のコメントや文章にも、「本来は契約当事者同士で決めるものであり、行政側が規制をすることは適当でない」というような文言もあるのです。

しかし、現実では契約当事者で合意をしたとしても、後に賃借人が費用について訴えるとガイドラインを超えるものは請求を認めないという判例がほとんどになっているのです。そして最早法的に拘束力があるレベルとなっているのです。

私見ですが、私はそれならもっと厳格に原状回復のルールを定めてほしいと思っています。「契約は当事者同士で」と言いながら実質はガイドライン通りでなければいけない。これは健全でないと思っています。

これはオーナーを優遇しろ!と言っている訳ではありません。厳格に定めてしまえば、そのルールの中でお互い揉めることも無くなるだろう。と思っているからです。そして、お互いに予想外の出費に悩まされることもなくなることでしょう。

入居者の方はオーナーを「金持ちで毎月家賃が入ってきてウッハウハ」とイメージしてる方が多い印象です。
意外とそんなに甘いものではありません、確かに賃貸物件は利益も出ます儲かります。しかしその利益を出す為にオーナーは物件を買ってからも、中をキレイにしたり、税金も払い、原状回復の負担分も払い、税金の勉強もしたりなどと正直楽ではありません。

もちろん、生まれ持ってのお金持ち意外の方は、日々節約し、一生懸命貯めたお金でリスクを負って投資をするのです。

しかも上手くいけばいいのですが、上手くいかなかった場合は借金に追われるというリスク付です。

私はオーナー、賃借人ともに公平に、そして業界全体でも公平になればいいと思っています。

今の現状では、ガイドラインを守らないオーナーは家賃を下げることができ、そうでない正直なオーナーは一部の家賃を下げて後から請求するというオーナーに合わせて下げざるを得ません。そうすると正直で公正なオーナーがバカを見る。これが好きではないのです。

ガイドラインを皆が遵守すれば家賃相場は上がるかもしれません。なぜなら家賃からだけで原状回復やリフォームをする必要があるので、今まで原状回復費をボッタくるオーナーは採算が取れません。そうすると家賃に転嫁せざるを得ません。

でも、本来はそのようにする為のガイドラインなのですから、そうあって欲しいのです。

そして借り手側も家賃は上がるかもしれないが、余計な請求が来ない。
家賃も上げたくない、余計な請求も嫌だ!は気持ちは分かります。
しかし、それでは賃貸物件を持つというメリットはなくなります。そうするとオーナーは減り、貸してが減れば競争原理も働かず、それこそ家賃は上がってしまいますからね。
たくさんのオーナーが借り手に選んでもらえるように競い合い、家賃だけで原状回復やリフォームなども行うことができ、そして利益も出る。

この正しいサイクルに入ればいいなと本当に思います。

敷金を預からない方がいい

そんな昨今の為、相談に来られるオーナーへは「敷金は預からない方がいい」とアドバイスしています。

いくつか理由があります。

  • 敷金を預かると退去時に「敷金は全額返すのが当たり前」というスイッチが入り、入居時に約束した通常の内容も反故にしようとする人がいる
  • 当社は預かった敷金をオーナーにすぐ送金する関係で、返還する時にオーナーが忘れていると予想外の支出となる
  • 会計処理上の手間を省ける
  • 家賃の滞納については保証会社を原則としているため、今では心配がいらなくなった
  • 敷金が無い分、借り手の契約金額が少なくなり、入居付けで有利になる
  • 敷金を預けている人はお部屋の使い方がラフになる傾向も!そして「敷金預けてあるからその範囲で済む」と上限の認識になる場合もあり、「退去時に請求されないようにキレイに使おう」という意識が減る印象も

このように昔とは違う価値観が浸透してきて、敷金に対する感性も変わってきています。

滞納については保証会社の加入があれば大体12か月分以上は保証してくれます。敷金の額よりも多いです。

他にも、昨今インターネット上では「あなたの敷金取り戻します」「敷金が全額返ってくる方法教えます」と敷金返還ビジネスなども盛んです。
正直私は弁護士などの法的に資格がある人以外が、そのような仕事をすることがあまり好きではありません。
オーナー側の立場にあるからというのもありますが、本来はオーナーと入居者だけでお互いが納得できる範囲の約束をお互い守ればいいのですから。
そこに、法的な資格も特になく、更に無償でやるというなら全然いいのですが、結局は入居者からお金を貰う訳ですからね。
本来そのようなもめごともなければ一番いいのですから。

とはいえ地域の商慣習もあるので

ここまで読むと「オーナーは今から家賃だけでやっていくのか・・・」と思われた方もいるかもしれませんが、少しお待ちを

敷金は以上の理由で預からない方がいいとお話ししましたが、預からないにしてもその他の費用を全く請求してはダメという訳でもありません。

それは、不動産賃貸業というのは各地の商慣習というのがかなり色濃く関係します

代表的なものは

  • 関西圏では敷金の額が2ヶ月~3か月と多め
  • 関東では礼金制度が多いが上限も2ヶ月程度
  • 関東では更新料が家賃の1カ月程度
  • 関西圏ではエアコンは賃借人が持っていく
  • 九州は敷金礼金ともに少な目
  • 関西では昔は礼金の代わりに敷き引きが多かった

など、今はどうなっているか分かりませんが、地域によって商慣習といのは様々です。

ちなみに私たちの会社のある鹿児島県では敷金はあっても1か月、礼金の習慣はあまりありません。

その代わり、ハウスクリーニングや鍵交換費用などは別途請求というパターンが多いものです。

これはどちらがいいという訳ではありませんが、少なくとも九州では「礼金や敷き引きなどはしないから、必要経費を別途払ってくれたらいいよ」ということです。礼金を払うことなどに比べたらまだ納得しやすいかもしれません。

そして、このハウスクリーニングなどもガイドラインでは本来オーナー負担が望ましいとなってはいます。
しかし、裁判上の判例でも「賃借人がガイドラインの範囲でない特別な負担を負う事を理解しており、暴利でないなどの客観的事実があれば請求することは認められる」というような主旨でオーナー側の言い分が判決でも認められています。

現在、私たちの会社でもハウスクリーニングや畳がある場合の表替え費用などはしっかりと説明し、退去後にご請求しています。
しかし、今年1年で数百件の退去精算を行いましたが、請求額で揉めたりすることは基本ありません。

退去精算で揉めて裁判など起こされたこともありません。

私たちは基本ガイドラインに準拠して退去精算を行っていますので、例えば「通常の油汚れが付いたキッチンの壁紙」「ポスターの画びょう跡」「経年変化で日焼けしたフローリングや壁紙」「ベッドの足跡がついてクッションフロア」などは当然請求しません。

しっかりと法律やガイドラインを理解し、入居者さんにもしっかりと説明する、そしてガイドラインを逸脱するような不当な請求はしない。

これで大体揉めるようなことは防げます。そして、長期的に見るとこれが一番オーナーの収益の為でもあるのです。

必要な経費は敷金礼金なども取らない代わりに少しは負担してもらう。退去時も不当な請求をしない。

そして、それをしっかりと反映させた契約書を作り、双方納得のうえ契約をする。基本中の基本ではあります。

こういった地域の商慣習に合わせ、しっかりと法律を理解して契約書に反映させることで、暴利(不当に高い)でなければ運営に必要不可欠な経費も認められます。

今後も敷金や原状回復費に対する風当たりは強くなっていくことでしょう。

敷金を預からないことで得られるメリットはたくさんあることをお伝えしたかったのです。
そして、預からないことで損する訳ではないことも知って欲しかったのです。

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