(4ページ目)退去時の原状回復トラブルを避ける為に ~戦うべきは退去時ではなく契約前~

「こんなはずじゃなかった」を防ぐために

退去時にハウスクリーニング代やエアコンの清掃費用を請求されて、「えっ、そんなの聞いてない!」と思ったこと、あるいは聞いたことありませんか?

今日もTwitter(現X)では、様々な意見や論争があります。

当社は基本的には、国土交通省のガイドラインに準拠して退去時の費用を決めており、ここ数年で大きく揉めたことはありません。

今回はこの退去時の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ為に、大事なことをお伝えしてみたいと思います。

大前提として

管理会社や大家も「揉めたくない」のです。

昔は悪徳な請求をする大家や管理会社が存在したのも事実ですが、現在では国土交通省のガイドラインや裁判例も充実してきて、あまり無茶な請求をする方は減り、大体の管理会社や大家はガイドラインに沿った内容になっていると思います。

ただ、それでも国土交通省のガイドラインをしっかり読んでいない方などは、誤解を基に原状回復のトラブルになることが多いのも事実

実は、こうしたトラブルの多くは、契約前にきちんと確認していれば防げたものが大半です。

今回はそういったことを防ぐコツと、契約書のどこに注意をすればよいのかを書いてみようと思います。

契約前が、最初で最後の“確認のチャンス”

賃貸借契約書は、賃貸借における「ルールブック」

これをもとに借主、貸主として数年単位で関係が続いていきます。

だからこそ、サインする前に読むこと・納得することがとても大切。

退去時に「こんなの知らなかった」と言っても、契約書に書かれていれば、それが契約の基準になります。

ここでぜひ知っておいていただきたい、大事な視点があります。

実は、貸主や管理会社も「契約に縛られている」

契約書は借主だけでなく、貸主や管理会社も縛るものだということ。

いったん契約が成立すれば、貸主側もその内容を一方的に変えることはできません。

もし「契約後に変更していい」のであれば、貸主側も後から不利な条項を加える可能性が出てしまいますよね。

つまり、契約書はお互いを守るもの。

だからこそ、最初に記載される内容が重要であり、納得できるまで確認する必要があるのです。

そして、肝心の退去時の原状回復についても多くの場合、記載されているのです

逆に書かれていない場合などは、国土交通省のガイドラインが優勢になります。

この契約書に記載されており、それが度を過ぎた内容でない限りは、貸主借主双方ともに契約書の内容を守らねばなりません。

だからこそ、戦うべきは退去時ではなく、契約前なのです。

実はガイドラインにも「特約は有効」と書いてある

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、非常に参考になる資料です。

当社でもガイドラインから抜粋した資料などを添付しております。

借主負担になるケースや貸主が責任を負うべき範囲を分かりやすく記載されており、有益な情報だと思います。

ただし、ご注意いただきたいのですが、このガイドラインには法的拘束力はありません。ガイドライン内でも明言されています。

つまり、ガイドラインと契約書の内容が食い違ったときは、契約書が優先されるというのが現実です。

最たるものが原状回復に関する「特約」の存在です。

その特約の存在についてガイドラインではこのようになっています。

賃貸借契約については、強行法規に反しないものであれば、特約を設けることは契約自由の原則
から認められるものであり、一般的な原状回復義務を超えた一定の修繕等の義務を賃借人に負わせ
ることも可能である。しかし、判例等においては、一定範囲の修繕(小修繕)を賃借人負担とする
旨の特約は、単に賃貸人の修繕義務を免除する意味しか有しないとされており、経年変化や通常損
耗に対する修繕業務等を賃借人に負担させる特約は、賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個
の新たな義務を課すことになるため、次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留
意すべきである。
【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて
認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

国土交通省ホームページより

嚙み砕いて説明するなら

特約で明記されていて

常識の範囲の金額で

借主貸主が合意したのであれば

ガイドラインと反する特約も有効になるからね

全国的には以下のような項目が多くあります。

  • ハウスクリーニング費用の借主負担
  • エアコン内部洗浄の費用
  • 畳や襖・障子の張替え費用
  • 鍵交換費用の負担
  • 消臭・除菌施工費用などの名目

この辺りは全国的にも多くの地域で特約に入るケースが多いと思います。

損しないための、最もシンプルな方法

ここまで読まれて思いませんでしたか?

契約書を隅々まで読むのは大変だし、難しい言葉も多いから、そんなこと出来ないよ

待ってました。その感想を

そう、今回お伝えしたかったのはココです。

その難しい作業を簡単にするコツはたった一つ、シンプルに

契約担当に「これはどういう意味ですか?」と聞いてください。それだけです。

我々、不動産業者はお客様に聞かれたことに「嘘や偽り」を言ってはいけません。

それは重大な法律違反にもなります。

ですから「退去時の原状回復について、分かりやすく教えてください」などで大丈夫です。

そうしたら、契約書記載の内容をあなたがご理解するまで説明してくれます。

説明された内容に納得ができたら、署名と印鑑を押せばいいのです。

「そういったことを聞くと嫌な感じに思われないかな?」は無用な心配です。

貸主や管理会社は敵ではありません。

きちんと理解したうえで契約してくれる入居者は、むしろ信頼できます。

むしろ、しっかり説明して納得してもらえたら安心します。

逆に契約中に「この人返事はするけど、聞いてるか分からないなー」の方が不安ですし、嫌です。

結論「原状回復の特約はどうなってますか?」と聞く勇気だけで十分です

契約は「守るための約束」

契約とは、片方を縛るものではなく、双方が安心して暮らせるための約束です。

退去時に嫌な思いをしたくないなら、サインする前にしっかり確認すること。

質問すること、理解すること、そして必要であれば交渉すること。

戦うべきは退去時ではなく、「契約前」なのです。

納得して契約したかどうかが、数年後のトラブルを未然に防ぎます。

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