
事故物件の家賃下落
今回は事故物件後の家賃設定から家賃を回復する方法や仕組みについてお話していこうと思います。
前回の記事で「事故物件とは?」という定義や告知義務については書きました。
では「いざ事故物件が発生してしまったら?」の中でも「家賃をどう回復させるか?」についてお話していこうと思います。
今回の記事では事故物件を無事リフォームや清掃などが終わった段階で募集をするという部分にフォーカスを当ててみましょう。
家賃はどの位下げる?

まずは金額ですが、色々なサイトには20%~30%ダウンと書いてあります。
しかし、私はこう思うのです。
徐々に下げるのもアリ
というのは、事故物件で大幅にリフォームが必要だった場合などは前の状態よりグレードアップしていることもある訳です。
そうすると一律に値下げをしなくても、前と同じ家賃でグレードアップしていれば充分と考える入居者もいるのです。
私の感覚ですが
昔より事故物件に嫌悪感がある人は減っている
私が不動産会社に勤めだした十数年前はやはり事故物件は3割ダウンとか半額などもありました。
しかし、最近はグレードアップした(水周りの交換や壁紙床の張替え)などのお部屋で家賃そのままで決まるケースも増えてきました。
もちろん事故物件である告知はしますよ。
借りる人の言い分としては「キレイなお部屋で割安だから全然気にしない」という方もいるのです。
もちろん、損傷などが少なくリフォームなども大きくしなくていい場合などは下げないと価値はありませんが・・
個人的には損傷が少なくても生活感のある壁紙や床などは替えてしまった方が家賃下落率に歯止めが掛けられる印象です。
急いで決まらないと資金繰りが厳しいなどの場合には思い切って下げなければいけませんが、多額の出費があったお部屋については出来る限り家賃が入ってこないと苦しいものです。
その為、徐々に下げるもありだと思っています。
どの位まで待てるか?になりますが、2週間毎に家賃を下げていってもいいのかと思っています。
下げる期間は?

これは間違いなく3年目で回復させたいですね。
もちろん国土交通省のガイドラインに寄っているということもありますが、3年というのは思ったより長いものです。
3年前の事故でその後、普通に人が住んでいたとなると余程の事件でない限り嫌悪感も薄れてしまいます。
告知義務の範囲で家賃は平準化するように家賃設定をしていけばいいと思います。
契約内容はどうすれば良いか?

家賃を下げることにしたなら、契約内容をしっかりしましょう。
通常、賃貸借契約では「普通賃貸借契約」という一般的な契約で行います。
これは全国的には最初の2年間を契約期間とし、その後は更新を設けて2年毎に更新するという内容です。
事故物件になってしまい、家賃を下げた状態で普通賃貸借契約を何の特約も無しに結んでしまうと
ずーっと家賃が低いまま貸さないといけない
という事態も起こり得ます。
事故物件であることを気にしない、許容できる人が相場より安い家賃で入居できる為、入居が長引くこともあるのです。
当然ですよね、事故物件を気にしない方であれば「相場よりかなり安くで住める」のですから周辺でお引越しを検討しても周りの物件は「割高」に映ることでしょう。
中には契約書の中に「更新時には家賃を協議して決定するものとする」とかという特約を入れたりするケースもありますが、「普通賃貸借契約」では協議が整わない場合=入居者が承諾しない場合は元の契約で続行となる扱いを受けたりもします。
もちろん、設定した家賃でずーっと借りていただいても構わないという場合は普通賃貸借契約でOKです。
しかし、「いつかはまとまな家賃が欲しい」と考えるのであれば契約内容は注意しましょう。
面倒だけれど「定期借家契約」はおススメ

もう一つの方法は「定期借家契約」を使うという方法です。
皆さんもこれを見ているからには「定期借家契約」というのはご存じですね。
更新が無く、期限の到来とともに終了する賃貸借契約です。
普通賃貸借契約では更新が整わない場合は「契約続行」ですが、定期借家契約では条件が整っても整わなくても一旦契約は「終了」します。
その後、同じ入居者さんが住みたい場合でも「更新」ではなく「再契約」となります。
その為、期間限定の家賃を設定することが出来ます。
告知期間や嫌悪感が薄れたタイミングで家賃を元の水準に戻すことが出来るのです。
例えば期間を1年ずつにして1年目は○○円ダウン 2年目は少し上げて○○円ダウン 3年目は○○円ダウンなどと自由に設定することも出来ます。
面倒な場合は3年間は更新無しで家賃○○円として、3年以降は普通賃貸借契約へ変更でもいいと思います。
入居者からすると、更新が無い為、入居を躊躇するかもしれませんが、それでも3年間はお得に過ごせると思って好評だったりもします。
特に転勤や在学などで期間がある程度決まっている方にとってはお得に映ったりもします。
ちなみに私は定期借家契約を設定する場合は、契約書に再契約(更新みたいなものです)の条件を記載したりもします。
具体的には
「再契約を希望する場合は入居より1年間は○万円 2年目は○万〇千円 3年目は〇万円」と条件を先に提示しておくのです。
本当はもう少し固い文章で書くのですが、予め2年目3年目の家賃を提示し、希望があれば3年以上も住めることは出来ることを提示しておきます。
家賃が割安な内だけ住むことも出来ますし、その後気に入って長く住みたい場合は普通の家賃を支払うことで住み続けることも出来ますよ。という訳です。
3年経って住み続けたい場合は「普通賃貸借契約」に切り替えてもいいと思います。
しかも意外と3年経って普通の家賃に戻っても、環境が落ち着いてそのまま住み続ける方は多いですよ。
しかし、それも最初に2年目3年目のことが分からないと不安で入居出来ませんからね。1年だけ住みたいという人はかなり少数でしょうからね。
もちろん、気にする人は気にする「事故物件」ですが、気にしない方からすると同じ家賃で「割安」に住める物件であることは間違いありません。
しかし、計画を持って設定しないと事故物件による精神ダメージだけでなく、金銭的なダメージも背負い続けてしまいます。
今回は残念ながら事故物件となってしまった物件の家賃再生編を書いてみました。
最近は本当に気にしない方が増えてきています。
当たり前ですが、事故物件と分かって住んでいる方に住み心地を聞いても「全然気に入ってます」と明るく返答してくれますからね。
古い価値観になりつつあるんでしょうかね?
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笑ってはいけない試験問題!~賃貸不動産経営管理士試験2022年 問32 編
阿鼻叫喚の2022年賃貸不動産経営管理士試験!中でもこの問32は面白い まずは問32をご紹介 令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験問題より 【問 32】 勧誘者であるA法人(代表者B)は特定転貸事業者であるC法人から委託を受けて特定賃貸借契約の勧誘を行っている。勧誘者であるA法人の従業員Dが、自己の判断により、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者に対し、故意に不実のことを告げるという管理業法第29条第1号に違反する行為を行った場合の罰則(6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又はこれらの併科)の適用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 ア A法人が罰金に処せられることはない。イ 代表者Bが懲役又は罰金に処せられることはない。ウ C法人が罰金に処せられることはない。エ 従業員Dが懲役又は罰金に処せられることはない。 回答選択肢 1 ア、イ2 ア、ウ3 イ、エ4 ウ、エ 読むのが面倒なので図にしてみましょう。 この問題、一夜明けた段階でも各予備校が異例の「正解肢なし」などとして疑義を生じている状態です。この問題は下記の管理業法という法律において、「勧誘者」という第3者が行った違法な勧誘において、大元である事業者の責任について問う問題であることは分かるのです。しかし、この問題は現在の段階では各予備校でも「回答なし」とか「調査中」などと明言出来ていない状況です。 (不当な勧誘等の禁止)第二十九条 特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの 昨年が簡単すぎた問題をひねろうとしたのか? 細かい解説などは予備校の先生に任せるとして、要は 「従業員Dが行った責任がどこまで問われるか?」という問題ですよね。しかし、よく考えてみましょう。 従業員Dの不可解すぎる行動が惑わせる まず読んで思ったことは 従業員Dの自己判断ってなんだよ 「従業員Dは正気とは思えないし、その一人の行為で懲役もしくは罰金に処せられる人の不憫さ」を考えずにはいられません。 まず、委託を受けたどうこうより「自己の判断で不実のこと(真実でないこと)」で勧誘する従業員Dの不可解さ これがA法人からの指示だったなら分かりやすいのです。従業員と雇用主という立場を使って、かわいそうな従業員Dに「不実のことを伝えてでも契約取ってこい」なら分かるのです。会社の使用者責任もハッキリしそうですね。しかし、従業員Dは自己の判断で突き進むのです。なぜ?契約がそこまで欲しいのか?そして倫理的には「自己判断でウソつくような人間に責任無い訳ないだろ?」と思ってしまいます。そして、自己の判断で動く従業員Dにより次々に責任を負わされるA法人と代表者、そして委託したC法人 読みながら笑ってしまいました。これが可能なら産業スパイも楽で仕方ないことでしょう。自己判断でウソつく人間は懲役や罰金なしで他の登場人物にだけ被害を及ぼせる。完全犯罪のような所業。確かに「勧誘者を監督する責任の範囲や重さの理解を問いたい」という出題の意図は分かるのですが、あまりに面白い状況。解答と解説が読みたいな!と本気で思っています。
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「マンションで動物に餌をあげてる人が・・」まさかの動物の正体
こんな動物なら軽い注意で終わったんですがね 動物への餌やりは禁止です マンションでも戸建でも基本的には禁止行為の「動物への餌やり」禁止されている理由としては野生動物が寄ってくる、糞害が発生する、苦手な方からするとそもそも嫌だ!となり、近所も巻き込んで迷惑行為となってしまいます。動物がかわいい気持ちは分かるのですが、やはり自分で飼えない以上は無責任な行為はするべきではありません。そんなある日、あるマンションの入居者さんから連絡がきました。「マンションで餌をやっている人がいるから注意してほしい」 驚きの正体は 私は何度か経験があるので、ネコかハトか?と勝手に頭に想像しながらお話しを聞いていました。聞くと、住人もある程度特定出来ていて「〇〇号室の方だと思うとのこと」私は「ちなみにネコですか?ハトですか?」と入居者さんに聞いたところ、驚きの回答が 「トンビです」 え?猛禽類? まさかのトンビ(鳶)! 第一声は思わず「へぇ、トンビって餌やれるんですね」と言ってしまいました。余りに想定外すぎて聞けば、その餌やりをしている方は夕方になると不定期でマンションの廊下に出てきて餌をやるそうです。そして、その人が出てくると、流石トンビ「目がいい」何羽かが近寄ってくるそうです、そして何の餌をやるかといえば「生肉」でした 即刻注意!すぐ解決 私はすぐさま該当の住戸の方に連絡しました。ちなみにこの方、この件以外はすごく「良い入居者さん」なのです。マンションで会えば気軽に挨拶してくれますし、たまに世間話などもする位の方でした。早速、電話して概要を伝えると 「え?ダメだったの?ごめんなさい」すぐ認めました。秒で謝罪です。素直です本人曰く「ハトだと溜まったりするけど、トンビは餌をやったらすぐ帰るから」とのことでした。私からは 猛禽類であること味を占めて他の入居者さんを襲うかもしれないこと野生動物に勝手に餌付けしてはいけないこと糞害などにつながること生肉も共用部分で衛生的に良くない などをしっかりお伝えしました。ご本人もいたく反省し、「二度としません、ごめんなさい」とのことでした。もちろん、それ以外は本当に良好な入居者さんだったので、お話しも分かって貰えましたので無事解決としました。まさか猛禽類に餌をあげられるとは・・・
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これをやってしまうと解約まったなしの3選 入居者の権利は強い!しかし限度はある みなさんは、大家さんと入居者どちらが強いと思いますか?一般的には所有者でもある大家さんが強いと思われがちです。しかし、それは一昔前の話です、今現在では「借地借家法」という法律がみなさんの味方です。この「借地借家法」ですが、中々に強力な法律です。一言で言うなら 「少々の過ちなら追い出されると可哀そうだから、許してあげてよ」 となっています。細かい部分は色々とあるのですが、入居者の権利というのは年々強くなっていて、大家さんの機嫌一つで追い出すなどは不可能となっています。ですが、こんな強力な借地借家法でもかばいきれない重大な契約違反というのもあります。もちろん、程度の多少によりすぐさま解約される訳でもないのですが、借地借家法をもってしても高確率で解約される事項を今回はあげてみようと思います。 又貸し 自分が契約して、その後知り合いや友人など第三者に貸してしまうことです。これは当然契約違反となります。お金を貰っていなければOK?ダメです。ですから例え自分が代わりに家賃は払うから!と無償であったとしても契約違反です。入居審査でも契約の名義人が住むのならと審査を通過しているのですから、大家さんからすれば「あの入居審査はなんだったの?」となります。こうなると大家さんとの信頼関係もあったものではありません。仮にしてしまった場合、契約違反ももちろんですが、又貸しした第三者が付けたキズや損傷なども全ての責任が契約者にやってきます。 ペットの無断飼育 これも高確率で発覚時に解約を言われても仕方ないものです。一般的な契約書であれば、ペットの飼育については重要事項説明書や契約書にしっかりと明記されています。特に建物へのダメージも大きく、周りの住戸に動物アレルギーの方などが居た場合は更に被害も拡大してしまいます。こちらも、契約違反で解約だけでなく、ペットによる損傷などは原状回復のガイドラインなども助けてくれません。違約金なども含めて責任を取るハメになってしまいます。絶対にやめましょう。 反社会的勢力 現在の標準的な賃貸借契約書ではいわゆる「反社会的勢力」の方はお部屋を借りることができません。それは、他の住民を守る為にも必要なことと思います。みなさんも周りに反社会的勢力の方が居てほしいとは当然思わないと思います。昨今、契約書と呼ばれるものには必ずこの反社会的勢力の排除条項というものが入っています。本人はもちろんですが、友人や知り合いが反社会的勢力だった場合、お部屋に出入りさせたことでも契約違反となってしまいます。また、厳しいのですが、それによる実害があったかどうか?ということは問題にならないのです。私も東京にいる時に反社会的勢力のお部屋を解約をしたことがあるのですが、本当に大変でした。いつか機会があればその時の話などもできればと思います。鹿児島ではそのような事例を対応したことはありませんが、一度でもそのようなことがあると以降お部屋をあなた名義で借りることは非常に困難となるでしょう。やめましょうね。 気軽な気持ちが消えない過去になることも 現在、情報化社会となって久しいものです。このような重大な契約違反で解約となった場合、今後の保証会社等の審査に響く可能性があります。私も見たことはありませんが、保証会社というのは大体共通したネットワークを持っています。例えば重大な契約違反がある人を受け入れたい大家さんや保証したいという人はいるでしょうか?もちろんNOですよね。それだけ、今回あげた項目は重大なものです。気軽にしてしまったことが何年も尾を引いてくる可能性があります。絶対にやめましょう。
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春から入居キャンペーンを始めます!
今お部屋を決めても家賃は3月からで大丈夫です! キャンペーンの概要 さて、弊社ロータスホームでは「春から入居キャンペーン」を実施しています。概要は以下の通りです。 対象は学生(入学予定、寮からの一人暮らし)、新社会人対象期間は年内~1月、2月まで学生さんについては合否発表前の申込みもOKです。※返金解約保証あり更に先着順でチャンスUPくじ開催予定(近日公開予定) キャンペーンのメリット 春から入居キャンペーンはロータスホームまでお問合せください。 ・競争率の高い1月~3月前にお部屋を探せる・受験時や空いた予定で探せる=交通費、時間の削減・1月~3月は空き予定物件が多いが、先にじっくりと見ることも可能・先にお部屋を決めておけば受験に集中できる・更にチャンスキャンペーンも そんな美味い話があってたまるか!という方に 実はこのキャンペーン開催するとよく言われるのが 「決まりにくい、条件の悪いお部屋なんでしょ?」と言われますが、違います。オーナーさんにとっても悪い話でもないのです。学生さんや新社会人というのは比較的計算しやすいのです。大体は学生さんなら2年間以上の居住期間が見込めます。もちろん事情などあれば別でしょうが、大体は在学期間に応じた居住年数であることでしょう。そして皆さんから分かりにくいメリットがもう一つ 「次の解約も恐らく繁忙期と呼ばれる時期だろう」そう、無事卒業や就職となると、お部屋を解約するのも3月や4月などの時期になるであろう。ということです。単身向けの物件というのはシーズンの影響をかなり受けやすいものです。人気物件でも1月から4月までに成約でなかった場合、入居まで少し時間が掛かる物件というのも当然出てくるでしょう。そうすると、「どうせ空くなら人が探す時期に空いてほしい」と考えるのは理屈として不思議ではありません。こんな風に実はオーナーも入居者にとっても、それぞれメリットがある話なのです。そんな弊社の春からキャンペーン!受験や入学説明会の時にでも一緒に見てもらえればと思います。まだまだ今から対象物件も増えてきますので、お楽しみください。そして、受験生の皆さん!応援しております。
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