
前回は、不動産売買における商慣習の違いを書いてみました。
実は賃貸でも、それぞれの地域によって常識というのは異なります。
今回はそんな「お部屋探しの常識」の鹿児島バージョンを書いてみようと思います。
これから鹿児島県へお引越しを考えている方や、逆に鹿児島から他県へお引越しを考えている方に
「え!鹿児島の常識ってこうなんだ!」という点をお伝えしてみようと思います。
私は不動産業界にはじめて飛び込んだのは東京でした。
その後に鹿児島県へ帰ってきて、今に至りますが、その当時に私も「え?そうなんだ!」と勉強になりました。
そんな内容をみなさんにご紹介してみましょう。
東京や福岡から鹿児島エリアへ引っ越してくるお客様に、初期費用の見積書をお出しすると、かなりの確率で驚かれます。
「これ、なんですか?」と真顔で聞かれることも珍しくありません。
実は、鹿児島の賃貸市場には他県とは違う「独特のルール」がいくつもあります。
今回は、お部屋を借りる時にかかる費用を項目別に分けて、全国的な常識と鹿児島の実態を比較していこうと思います。
自分の住んでいる環境とどこが違うのか、あるいはどこに注意すべきなのか、ぜひチェックしてみてください。
礼金:都会は「お礼」、鹿児島は「なし」

まず、県外の方が一番驚くのがこの礼金です。
全国(特に関東圏)では、家賃1〜2ヶ月分を「お礼」として大家さんに支払うのが今でも一般的です。
そもそも礼金自体は、関東大震災の時に住宅不足の最中に生まれたとか、戦後だとか、上京する子供をお願いしますという意味だとか、言われておりますが、諸説あるようです。
ただ、入居前に家賃の1〜2ヶ月分を支払うというのは慣習として残っています。
しかし、現在の鹿児島では礼金なしの傾向が非常に強くなっています。
これは大家さんが優しいから、という理由だけではないと思っています。
賃貸物件の供給が多いこのエリアで、入居者さんに選んでもらうための「競争の結果」として削ぎ落とされたものだと思っています。
初期費用でいきなり10万円単位の差が出るのは、鹿児島ならではの大きなメリットですね。
敷金:消えゆく「担保」とペット可の防衛線

入居時に預ける「敷金」これは近年大きく変わってきています。
昔は「預けておいて退去時に精算」が当たり前でしたが、今は最初から預からないスタイルが主流になりつつあります。
ちなみに関西圏では敷金・保証金を預かることは一緒ですが、「償却」といって一定額は、返還しない。という慣習がある地域もあります。
鹿児島はどうかといえば、昔は敷金1カ月~というのが主流でしたし、今現在も珍しくはありません。
ただ近年は敷金それ自体が「なし」というのが主流になりつつあります。
なぜ「なし」が増えたかというと、家賃保証会社の普及が大きいと思います。
昔は家賃の滞納、原状回復の未払などに備える目的で敷金を預かっていましたが、今では最悪の場合、家賃保証会社があることから、無理して敷金を預からなくてもいいかな。と流れが変わってきました。
その為、敷金なしが増えてきています。
ただし、一点だけ例外があります。
それは「ペット飼育時」です。
ペットと一緒に暮らす場合は、敷金を1〜2ヶ月分「積み増し」するのが今でも常識です。
これは退去時の修繕リスクを考えると、避けては通れない防衛線だと言えます。
この積み増しがあるからこそ、大家さんも安心して「ペットOK」と言えるのです。
最近では、この積み増しに変わって賃料の「増額」で対応する新築なども増えてきていますね。
保証会社:一括払いか、月々の定額か

保証会社への加入は、今や全国どこでも必須になりつつあります。
正直、この部分はあまり全国的にも変わらないかもしれません。
というのも、家賃保証会社自体は全国規模の会社が多いため、エリア限定の慣習というのは生まれにくいと思います。
基本的には「初回の契約時に家賃の半分から1ヶ月分を払う」という一括払いが多い印象です。
鹿児島でも、初回費用を賃料総額の50%~と安く抑えつつ、月々の保証料と口座振替手数料をセットにして「月額600円〜1,000円程度」を支払うパターンが一般的です。
「毎月払うのは損じゃないか?」と思われるかもしれません。
しかし、月々の少額負担にすることで、2年に1回の更新手数料よりは計算がしやすい。という狙いなんでしょうね。
月々の数百円で「支払いの信頼」をサブスクしているような感覚ですね。
ネット無料:完全無料か、開通費が必要か

「インターネット無料」という言葉も、今や当たり前の設備になりつつあります。
ただ、鹿児島でネット無料物件を探す時は、少しだけ注意が必要です。
完全に月額も初期費用も「0円」という物件もあれば、初回開通費として「5,000円〜1万数千円」かかる物件もあります。
この違いは、建物の設備状況やプロバイダとの契約形態によります。
初回費用がかかる物件は、その分だけ回線が安定していたり、サポートが充実しているケースも多いものです。
パンフレットの「無料」という文字だけで判断せず、入り口でいくらかかるのかを確認しておくのが賢いお部屋探しのコツです。
ちなみに速度でいうと「YouTubeを見るのには問題ないが、PCゲームは難しい」程度だと思っておくといいと思います。
また、夜間は繋がりづらかったり、速度が遅くなったりというのも特徴かもしれませんね。
快適なネット環境を目指すなら、やはり自前で回線を引くのがベストだとは思います。
暮らしの安心サービス:転ばぬ先の・・

最近、鹿児島で増えているのが「安心サポート」などの月額サービスです。
月額1,500円程度で、加入が条件となっている物件も多く見られます。
「なんじゃこりゃ?」と思われる項目ですが、多くのサービスに共通しているのが
- 鍵紛失時の鍵開けが無料対応
- 水漏れやトイレの詰まりの24時間無料対応
- 窓ガラスの破損対応
- 大手チェーンの割引サービス
このように暮らしの万一に備えるという名目になっています。
これ、一見すると「余計な費用」に見えるかもしれません。
ただ、これは管理会社の体制変換が大きく関わっています。
今現在の管理会社は、どんどん鍵の預かりをしなくなっています。
これは管理の手間を削減しているというよりは、防犯面も懸念しています。
不動産業界では何年かに一度程度の割合で「管理会社職員が合鍵を使って空き巣」や「女性宅に侵入」などのニュースがあったりします。
これは管理会社として意図していない、そして管理会社、入居者ともに重大なダメージを負ってしまいます。
これを防ぐため、鍵の管理コストを削減する為、いろんな理由で廃止しています。
そんな中で、深夜2時に鍵を無くして家に入れない、という絶望的な状況を想像してみてください。
個人で鍵屋さんを呼べば数万円が飛んでいきますが、このサービスに入っていれば無料で開錠してもらえるのです。
数々の「鍵紛失パニック」を見てきた私からすれば、月1,500円でこの安心を買うのは、まぁ分からんではないかな。と思います。
いずれにしても、鹿児島に限らず全国で主流となってきております。
鍵交換費用と更新手数料

最後は、入り口と出口の話です。
鍵交換代は、鹿児島では「13,000円〜22,000円程度」が相場です。
国土交通省のガイドラインなどでは「大家負担」を推奨されていますが、全国的にも「借主負担」とするのが現在の主流です。
ガイドラインはあくまで「推奨」するだけで、実際は貸主と借主の条件で決めるものとされている為ですね。
ちなみに費用は、鍵の種類(ディンプルキー)などによっても変動することがあります。
渡される鍵の本数は2本が一般的です。
そして、長く住む人にとって最大の恩恵が「更新料」です。
東京などでは、2年ごとに「家賃1ヶ月分」の更新料を払うのが当然のルールです。
しかし、鹿児島では家賃に関わらず「更新事務手数料として10,000円/2年」が一般的です。
家賃5万円の人が東京で更新すれば5万円かかりますが、鹿児島なら1万円で済むのです。
この「長く住むほどお得になる仕組み」こそが、鹿児島賃貸の真髄かもしれません。
ちなみに北海道などは更新料「なし」が主流です。
上には上がいますね。
しっかりと確認しよう
いかがでしたでしょうか。
場所が変われば、お金の「常識」もここまで変わります。
それぞれに全国と比べると違う部分や、全国的にも変わらない部分もあるのが実態です。
大切なのは安い・高いという数字だけを追うのではなく、その費用が何のためのものか。
またそういった費用も踏まえて「自分にベスト」かどうかを確認して欲しいものです。
それを納得した上で選んだお部屋は、きっとあなたにとって最高の家になるはずです。
あなたにとっての素晴らしい鹿児島になるように願っています。
そして鹿児島から旅立つあなたの「全国の常識」を学ぶ機会になれば嬉しいです。

