(16ページ目)「マンションは音に強い」に隠されたウソ・ホント ~マンションで起きる騒音トラブルの実態~

「マンションは音に強い」というのは、不動産業界でよく聞かれる説です。

賃貸営業に配属された方が、入社初日に受ける研修でも「アパート・マンションの違いは?」で学ぶ必須項目といえるでしょう。

確かに、鉄筋コンクリート(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)の構造を持つマンションは、一般的に木造や軽量鉄骨造のアパートよりも防音性に優れています。

しかし、「マンションなら音の心配は不要」と思っていると、意外な落とし穴があるかもしれません。

今回は、この「マンションは音に強い」について賃貸管理の現場からリアルをお伝えしようと思います。

みなさんのお部屋探しに役立てば幸いです。

マンションの構造は確かに防音性が高い

そもそも、アパートとマンションに明確な定義があるかといえば、実はありません。

諸説あるのが現状です。

ここでは一般的な違いとしましょう。

  • 鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
  • 3階建以上
  • 共同住宅

これらを満たすものを一般的にはマンションと呼びます。

「鉄骨造はアパートだ」や「1階でもマンションがある」という説はもちろん理解してますが、今回の主題はそこではありませんので割愛します。

マンションの壁や床は厚く、特に隣室との間の壁(戸境壁)や床スラブがしっかりしているため、一般的な話し声やテレビの音などの空気を伝わる音は、アパートに比べて遮断されやすい傾向があります。

また、高級マンションでは二重サッシや防音ドアを採用している物件もあり、外部からの騒音も軽減されることが多いです。

木造や軽量鉄骨造に比べると建物自体が「重い造り」となっているのですね。

基本的には音は分厚いかったり、重い(密度のある)素材を使うことで軽減されますから、構造が変われば音の軽減に役立つことには異論はありません。

「音に強い」というイメージが引き起こす問題

しかし、この「マンションは音に強い」というイメージが逆にトラブルを生むことがあるのです。

  • 音に強いと思い込んで、楽器演奏や大音量での映画視聴をしてしまう住民がいる
  • 子どもが走り回る音や、椅子を引く音などの生活音を気にしない人が増える
  • マンションだからと安心して深夜でも騒ぐ住民がいる

これらの行動が原因で、「思っていたよりも音が響く!」と感じる人が増え、結果として騒音トラブルに発展するケースが珍しくありません。

確かに先ほどの理屈上では音に強いのですが、だからといって完全に遮断できるわけではありません。

また、賃貸用のマンションと分譲マンションでは建物に掛かっているコストが正直違います。

分譲マンションでは比較的かなりのコストを構造に掛けていますが、賃貸用では分譲マンション程のコストを構造に掛けることは一般的ではありません。

その為、一口にマンションといっても築年数や構造の差もあるので、同じマンションでも「音に強い」「弱い」は起こり得るのです。

マンションでも足音や重低音は響く

実は同じ音量でも、その音の質によって騒音となる可能性が違ってきます。

一般的には「高い音は遮断しやすく、低い音は対策が難しい」というのが定説です。

例えとしては「街中で大音量で音楽を流している車」をイメージしていただけると分かりやすいと思います。

窓を閉めていると車外には「ズンズン」という重低音部分が聞こえたりしますが、肝心の歌声や楽器音などは外に漏れにくいものです。

これは住宅でも同様です。

話し声やテレビの音などは、床や天井などにより低減されやすいのです。

マンションは一般的な生活音には強いですが、足音やドスンとした衝撃音(重低音)は構造的に伝わりやすいです。特に

  • 上階の住人が歩く足音
  • 物を落とす音
  • スピーカーからの低音の振動

などは、床を通じて下の階に響きやすいのです。

これらの音が予想以上に伝わることがあります。

専門的な話になりますが、話し声などは空気伝播音としての性質が高く、吸収もされやすいのですが、重低音に分類されるものは「固体伝播音」として、柱や床そのものを伝ってしまうため、床や壁が厚く堅牢であったとしても伝わりやすい音になってしまうのです。

そういった音の性質からも、騒音の原因の上位は「足音」や「振動」になってしまうのです。

「音に強い」というイメージで選ぶとギャップに悩むことも

ここまでの結論としては「マンションは音に強い」は一定事実なのです。

しかし、この「マンションは音に強い」からこそ、トラブルの元になってしまうことがあります。それは

「マンションだから静かだろう」と思って入居した人ほど、ちょっとした音でも気になりやすい傾向があるのです。

「マンション=静か」という思い込みが、実際の生活とのギャップを生み、ストレスを感じてしまうことがあるのです。

賃貸仲介の営業マンも「音が気になるならマンションですね」などと営業文句を言ってたりしますし、それ自体は根拠もあるのですが、音というのはつまるところ

音の感じ方は個人による

としかいいようがないのです。

その為、このイメージによる期待と現実のギャップが騒音トラブルの元にもなってしまうのです。

同じマンションに住む人は、同じような価値観を持っていたりすることが多いのですが、こと音に関してはバラバラです。

例えば

  • 話し声は我慢できるが足音は嫌だ
  • 子供の声が我慢できるが音楽は嫌だ
  • 足音は我慢できるが給排水音は嫌だ

など、音の種類によっても不快と思う音量や質は違いが出てきます。

余談ですが、私は話し声や足音などは対して気にならない方なのですが、古い家電などが出す「ブーーーン」という音や蛍光灯から鳴る「ジーーー」という音は嫌いです。苦情を言うような内容ではありませんが、嫌いです。

このように音量、質によっても不快のレベルが違う騒音問題は厄介なのですね。

騒音を気にするなら選び方が重要

騒音という点に絞ったお部屋探しということであれば、マンション=静かとは言い切れないということをご説明しました。

それでは、騒音を気にするならどういった選び方をすればよいのでしょうか?

もし騒音を気にせず快適に暮らしたいのであれば、単に「マンションだから静か」と考えるのではなく、次のようなポイントを押さえて物件を選ぶことをおすすめします。

  • 最上階を選ぶ
    • 上の階の足音や物音が気にならないため、ストレスが減ります。
  • 角部屋を選ぶ
    • 隣接する部屋が少なく、横からの騒音が少なくなるため騒音トラブルの確率を下げる。
  • ファミリー向け物件を選ぶ
    • 単身者向けの物件は夜遅くまで音が響くことがあるため、あえてファミリー向けの物件を選ぶという選択肢です。
  • 間取りで選ぶ
     ・隣接区画が水周りになっている。寝室が音の影響を受けなそうな配置である。など

騒音が気になる場合は「マンションだから大丈夫」と思い込まず、間取りや設備をしっかり確認して選ぶことが大切です。

静かで快適な住まいを選ぶためにも、「マンション=音に強い」というイメージに振り回されないようにしてみてはいかがでしょうか。

そのうえで、音を気にするお部屋探しでは「自分はどういった音を避けたいのか?」に応じたお部屋探しが重要です。

音の種類や性質により選び方も異なってきます。

参考になれば嬉しいです。

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