(15ページ目)賃貸契約後すぐ解約したらどうなる? ~知っておきたい費用とリスク~

契約直後の退去どうなる?

賃貸物件を契約したものの、何らかの事情で「やっぱり解約したい」というケースはごくまれに発生します。

しかし、契約後すぐに解約する場合、契約金や違約金が発生する可能性があり、思わぬ出費となることも。

今回は、契約後の早期解約をするとどうなるのか?

契約金は返ってくるのか?

ハウスクリーニングや短期解約違約金は請求されるのか?

解説してみましょう。

自己都合での解約

まずは事情により解約という点ですが、どのようなケースがあるのでしょうか。

借主側の事情(自己都合)という場合について解説していきましょう。

この場合、借主が望んだにせよ、望まなかったにせよ自己都合とみなされるケースは以下のような事例でしょうか。

私が今までに経験したり、聞いたことがある内容としては

  • 急な転勤や異動
  • 入居してすぐのトラブル
  • 思ってたのと違う、他の物件にしたい
  • 病気やケガ
  • 親族
  • その他

「急な転勤や異動」については「異動先が急遽変わった」とか「今年は転勤無いと思って契約したが転勤になった」などでしょうか。

「入居してすぐのトラブル」は「思ったより上階からの騒音がヒドイ」「隣の住人と揉めた」「ストーカー事案の発生」「空き巣などにあって恐い」など人に起因するものが多いと思います。

「思ってたのと違う、他の物件にしたい」はこのままですね「契約後に他の部屋を見つけた」「思ったより日当たりが悪い」「湿気がヒドイ」など

「病気やケガ」は「大病をしてしまい一人暮らしが出来なくなった」「階段が上がれなくなった」「ケガなどで設備が使いづらくなった」などの本人にもどうしようもない理由がほとんどです。

「親族」であることは「成人して自分で部屋を選んだが、親族から反対された」「近くに親族が住むことになり嫌になった」などの家庭に起因するものです。

その他で今までに珍しい事例としては

  • 感動する動物映画を見て急にペットが飼いたくなった
  • 占い師に診てもらったら「その部屋はダメ」と言われた
  • 契約直後にプロポーズされた
  • 霊感のある人が部屋にきて「ここには霊がいる」と言われて怖くなった
  • 妊娠が判明して単身でなく家族用が必要になった
  • 宝くじに当たってグレードアップしたくなった

事例は様々で、「本人の責任ではない」という事情もあったりするのですが、契約上は「自己都合による解約」とみなされることが多いものです。

どこまでが「自己都合」という線引きは難しいんですけどね・・・

基本的には「貸主(管理会社)の責任ではないこと」以外は自己都合となることが多いものです。

「上階の騒音」や「空き巣」などは貸主の責任ではないか!と思われるかもしれません。

厳しい見方になるのかもしれませんが、それは「騒音を出す人が悪い」「空き巣をする人が悪い」となり、「貸主の責任」かどうかでいえば違ったりするのです。

その他の事例も同様です。「急な転勤」や「病気ケガ」なども本人の責任では無いのでしょうが、かといって貸主の責任ではない訳ですね。

もちろん、全てのケースで貸主の責任が無いとは言えませんので、その判定は個別の事例にそって行われるのです。

賃貸契約の成立タイミングとは?

そもそも、賃貸借契約というのはいつ成立するのでしょうか?

法律的な原則でいえば、当事者(借主・貸主)同士が合意した瞬間に賃貸借契約は成立するのです(諾成契約)。

つまり借主が「ここに住みたい」貸主が「いいですよ」と合意した瞬間といえます。

現実的な手順でいえば、入居申込書を記入して渡した瞬間に、賃貸借契約は成立したということになります。

ただし、ここで不動産業者が仲介に入っていると、そう簡単にはいきません!

不動産業者が仲介をする場合には、契約前に重要事項の説明と重要事項説明書の交付を行わなければならないとの定めがあります。

細かい法解釈は別として、現実的には重要事項説明をして 「契約書に署名・捺印をし、貸主(または管理会社)に提出した時点」 で有効と解するのが一般的です。

本来は合意のみで契約は成立するが、別の法律で阻止されるというイメージでしょうか。

つまり、この契約が完了した後に「やっぱりやめます」と伝えても、それは通常の解約手続きと同じ扱いになってしまうということですね。

解約と近い言葉で「キャンセル」という概念があります。

内見などをして「ここがいい」と思って、入居申込をしたものの、一晩考えたら「やっぱり違った」となって翌日などに「すみません、やっぱりやめます」というケースです。

上記の例からすれば、契約書の取り交わし前であれば、申込金などの金銭を支払っていたとしても、「解約」ではなく「キャンセル」はできると解される訳ですね。

但しこの「キャンセル」は「契約前であれば無限に出来る」という訳でもありません。

判例でも「いたずらに引き延ばしたり」「契約の意思があるようにふるまって直前でのキャンセル」などは損害賠償を求められることもありますので、注意が必要です。

一旦契約が有効になった後は、 たとえ入居前であっても契約解除には費用が発生する 可能性が高いため、慎重に判断することが重要です。

解約のお金の話

それでは契約が終わった後に事情はあれど、キャンセル・解約する場合に気になる「お金の話」です。

急な解約となると、契約金や通常の退去時に掛かる原状回復費や違約金、ハウスクリーニングの扱いが気になりますよね。

先ほどの例による「キャンセル」と「解約」の違いは、以下のようになるのが一般的です。

項目契約前のキャンセル契約後の解約
契約金返金されることが多い返金されない可能性あり
敷金そもそも支払わない一部または全額返金される
短期解約違約金発生しない契約内容によって発生する
クリーニング費用発生しない入居前なら発生しない可能性あり
原状回復費発生しない傷や汚損が無ければ発生しない可能性大
  • 契約前のキャンセル
    契約書を交わす前の段階であれば、基本的に全額返金されることが一般的です。ただし、申込時の手付金や事務手数料が返金されない場合もあるため、事前に確認が必要です。
  • 契約前でも「〇〇してくれるなら申込みます」など貸主に特別な負担をお願いしていて、貸主がリフォームや特別の負担などに着手していた場合は、その部分について請求される可能性があります。
  • 契約後の解約
    契約が成立した後の解約は、たとえ未入居であっても 「通常の解約手続き」として扱われる ことが多いです。そのため、 短期解約違約金や契約金の返金不可 などのリスクが伴います。

こうしてみるとキャンセルでは、ほぼ費用が発生しないことになります。

一方、契約後の解約については、返ってこない、もしくは請求される可能性があるものがほとんどです。

ここからは「解約」の場合、個別の費用について解説してみましょう。

先払い家賃

契約金には、当初の家賃を前もって支払うことが一般的です。解約では契約書に従って「解約は〇月前に申し出ること」などと記載されており、実際には住まないとしても、残額の返金となる可能性があります。

仲介手数料

契約成立したことによる、不動産会社の報酬です。これは契約後の解約では返ってこない可能性が高いものです。契約に不備が無い限りは難しいものでしょう。

火災保険料

入居にさいして火災保険などの加入が必須であることでしょう。

実際の契約が開始する前であれば、保険料全額が返金がされるかもしれませんが、一旦契約日を迎えてしまった場合には、解約返戻金として保険会社により定められた返戻率により返ってくることでしょう。

敷金

滞納や退去後の原状回復費の担保となる敷金ですが、こちらは契約直後などの損傷や滞納などがなければ、全額か大半は返ってくる可能性はあります。

ただし、敷金が特約により「償却」となっている場合は直後の解約でも返ってこない可能性がある為、注意しましょう。

短期解約違約金

契約書の特約などにより「〇年以内の解約の場合、賃料の〇月分を違約金として支払う」が設定されていたりします。この場合、契約直後の解約であっても請求される可能性があります。契約書をしっかりと確認しておきましょう。

ハウスクリーニング

ハウスクリーニング費用の扱いは非常に難しいものです。未入居の状態であれば、恐らく請求されることはないでしょう。しかし、一日でも使用していた場合には要注意です。特約などに「入居の長短にかかわらず~」などの文言が入っている場合などは、原則として請求される可能性が高いといえます。しかし、余程の短期だった場合などは多少減免があるかもしれません。ここは正直、各管理会社の裁量の範囲かもしれません。

このように、一旦有効に成立してしまった場合には契約の取り消しではなく、「解約」とみなされるようになってしまいます。

「契約」は慎重に

いかがでしょうか。

今回ご紹介したのは、あくまで「契約」と「解約」での費用やリスクのお話でした。

現実的には事情を考慮してもらえたりすることもありますが、それはあくまでも「例外」としての扱いです。

もちろん、貸主側に落ち度があって契約が実行されない場合などは、今回のように「解約」ではなくなります。

その場合は借主が損害を被ったということになりますので、逆に貸主へ損害を追及することも可能になります。

いずれにしても「契約」というのは、とても重い行為です。

「契約書の内容をしっかりと把握する」「引っ越しの判断をしっかりする」などの自衛をしっかりと行っておきましょう。

仮にやむを得ない事情で解約をしなければいけない場合は、真摯に事情を話し、冷静に事態に対応していきましょう。

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