(8ページ目)管理会社は役立たず!「騒音問題」 ~加害者を追い出す権利を管理会社に渡すべきか~

責任は誰に?

賃貸でも分譲でも、一つ屋根の下の共同生活で断トツ一位の苦情である「騒音問題」

たしかに、隣や上階からの騒音が聞こえてくることは気分のよいことではありません。

こんな時に頼りたくなるのが管理会社であると思います。

しかし、多くの場合で管理会社は「役立たず」であるという現実があるのです。

今回は管理会社自身が騒音問題について「役立たず」である理由と、本当の意味での解決方法を提言してみようと思います。

この問題について弁護士が見解を出している記事もあります。参考にご覧ください

管理会社は何とかしたい、しかし権限はない

ネットの海を検索すると、ひどいものです。

騒音問題についての質問サイトなどを見れば

  • 管理会社は騒音を訴えても張り紙だけで何もしない
  • 直接注意などもしてくれない
  • 全然効果が無い
  • 管理会社は面倒ごとを対処したくないのだ
  • 報酬がないことは不動産屋はやらないのだ

おぉ、心が痛い

不動産業界に身を置く者としては、見ていられません。

確かに不動産業者の中には、上記のように「面倒くさい」とか「やりたくない」という事業者が一部いることも事実でしょう。

信用していただけないかもしれませんが

普通の管理会社なら騒音問題を出来れば解決したいと思っています

そう、信用してもらえないでしょうが・・・

そしてもう一つの事実として

騒音問題は注意文や電話で9割方解決するのです。

本当です。

大体の騒音問題であれば、注意文や電話などで「やんわり」注意するだけで改善することがほとんどです。

しかし、この9割を潜り抜けた1割については、正直

管理会社には解決できません

正確には

解決する為の権限がありません

この点について管理会社の苦悩と現実をお伝えしてみます。

人の管理はできない

リンク先の弁護士の見解でもありましたが、この騒音問題の難しいポイントは以下の通りです。

  • 騒音は主観的なもので「どこからが騒音か?」が定義されていない(受忍限度の曖昧さ)
  • 騒音に対する「個人の感覚」問題
  • 立証するのは被害を「受けた側」である
  • 裁判での低い「損害賠償」
  • 騒音を出す側すら守る「借地借家法」

こんなところでしょうか。

「管理会社なんだから、なんとかしてよ」

私たちも出来れば平穏無事な生活を提供したいのです。

しかし、これを解決する為には最低限以下のような取り決めが必要となります。

  • 騒音の定義(音量、時間帯、頻度、種類、期間など)
  • 立証する厳密な方法とルール
  • 立証費用の低減化
  • 問題のある入居者への罰則
  • 瞬時にどちらの言い分が正しいかを判断すること
  • 問題のある人を簡単に追い出せる仕組み

これらを管理会社という一企業に委ねるしかありません。

こういった権限が管理会社にあれば「騒音を引き起こす人」を追い出したりすることも可能ではある訳ですね。

そしてそれは「人の管理」とも呼ぶべきことを可能にする。

それは本当に委ねていいのでしょうか?

管理会社の暴走と紙一重

最近では「管理会社に騒音加害者を強制的に退去させる権限を与えるべきだ」という意見も聞かれるようになりました。

一見すると合理的な解決策に思えるかもしれませんが、この方法には慎重な検討が必要です。

メリットとデメリットは以下の通りでしょう。

  • メリット
    問題住民を迅速に対処できることで、被害者を早期に救済できる可能性があります。また、トラブルがエスカレートする前に収束できるため、全体的な住環境の改善が期待できます。
  • デメリット
    誤った判断で無実の住民が退去を強いられたり、権限の乱用リスクが発生する懸念もあります。退去処分が恣意的に行われることで、少しでも管理会社のいにそぐわない人であれば退去させるという可能性も否定できません。「気に入らない」という点だけで誰かを貶めることも可能かもしれません。

裁判所や警察でもない一企業に、入居者の生殺与奪を握らせることは本当によいのでしょうか。

それでも、この複雑に個人の権利保護が叫ばれる昨今では、騒音に限らず「悪質な入居者に対応する」という部分については議論がされるべき局面になってきたように思います。

それは既存の「借地借家法」の見直しになることでしょう。

しかし、それはみなさんにとっても諸刃の剣です。

騒音に限らず、ルールを守らなければ逆にあなた自身も「追い出される側」になる可能性があります。

それでも現在の「悪いことでもやったもん勝ち」になる現実よりは、善良な入居者を守れる仕組みの方がいいのではないか?と考えます。

みなさんにとっては「何もしてくれない」と思われがちな管理会社かもしれませんが、意外と現場では「なんとかしたい」と考えている業界人は多いと思っています。

その為には、ある種の聖域なき改革に踏み出す時機が来ているのかもしれません。

慎重な議論であるべきですが、このままでいいとは思えません。

出来るかぎりの快適な住環境は、貸主と入居者と管理会社の相互による不断の努力によって保たれるのですから。

管理会社にその権限を渡す必要はないと思いますが、何かしらの対応策は必要な時代でしょうね。