(4ページ目)不動産で起こる「カリフォルニアから来た娘症候群」の事例とメカニズム、対応の基本は? ~愛情からの心配?外野の横やり?~

親族は本来は味方のハズだが・・・

全国の不動産業界で働くみなさん、こんにちは。

今回は不動産に携わっている方なら一度は経験したことのある。

当事者(売主、買主、貸主、借主)の親族との対応について、そのメカニズムや対応の仕方について個人的な見解をお話してみようと思います。

みなさんは「カリフォルニアから来た娘 症候群」という言葉をご存じでしょうか?

詳しくはリンクなどから見てもらえればよいのですが、この言葉は医療業界にある言葉だそうです。

元の定義としては

医療現場では患者の終末期に過度な医療を避けるため、患者や身近な家族と医療チームが話し合い、最期の過ごし方を決める過程があるそうです。

辛い延命治療ではなく、穏やかな最期を目指すことを患者本人が希望し、医師や看護師と充分に協議して決定します。

しかし、遠方に住む家族(例:カリフォルニアから来た娘)が突然現れ、これまでの計画を覆し、延命治療を強く要求することがあります。また医師や看護師に対して面会を要求したり、治療方針への反対を示し、この現象は、患者の意志や身近な家族の同意を無視して、過剰な延命治療が行われる結果を招きます。

ほぉー、そんな現象があるんですね・・・・

ここまで読んでいただいた不動産業界の方も思うでしょう。

不動産業界にもあるじゃないか

そうなのです。このカリフォルニアから来た娘症候群は不動産業界では多く見られます。

事例 親族のいとこ

当社での事例を一つ挙げましょう

当社の管理物件で賃貸一戸建てをお預かりしておりました。

所有者さんは遠方におり、物件自体はかなりの築年数が経過しておりました。賃借人さんも住んでいただいています。

そんな中、所有者さんより連絡がありました。

「もうあの物件を手放したい」

この物件ですが、賃借人さんはいるものの、老朽化も激しく、これからの修繕などを考えれば無理からぬこと。

私は所有者さんと話しあいました。

肝心の物件はこんな状態でした。

  • 道路の接道がない「再建築不可物件」、道路の持ち分は以前(先祖代々)の経緯から貰えなそう
  • 雨漏りや排水不良による不備多数
  • 修繕提案などもしてきたが、資金不足などにより修繕できず
  • なんとか当社で応急処置を繰り返してきた
  • 土地の値段もそこまで高価なエリアではない

所有者さんの意思としては、これから来る大きな修繕や固定資産税などの負担を免れたい。

十分これまでの収益もあったので、売値はさして期待していない。

これらを踏まえて出した結論は

「一般ユーザーへの販売では瑕疵や修繕費用を計算すると売りにくいので、不動産会社などに買ってもらおう」でした。

これは修繕の費用に大きな部分がありました。

この物件はDIY程度では解決できない瑕疵があり、一般のユーザーが修繕しようとすると多額の費用が掛かりすぎる為、修繕を生業とする業者に買ってもらい、再販の道or接道をクリアし、土地として整備する。

これがベストであろうと所有者さんと方針を固めました。

もちろん、万全の状態であれば一般ユーザーへ高く買ってもらうことが最善でしたが、状態や再建築不可となれば価値は多く見込めません。

業者が取り組む為には、売値は多少下げなければ利益が無く、やはり買い手はつきません。

その時に所有者さんから「社長のところで買ってもらうことはできませんか?」との申し出がありました。

私は計算して考えられる限りの高値を提示しました、もちろん当社も利益が出るギリギリのラインで

これまで管理をさせていただいた恩義もありますからね。

こちらからの提示金額は、所有者さんが思ったより高いものだったそうで、前向きに検討します。とのことでした

そこで現れるのです。

カリフォルニアから来た娘が・・・

ある日のこと、会社の電話が鳴りました。

A「お宅の社長と話したいんだが・・・」

私「私ですが、ご用件は?」

A「あの貸家だが、不当に買い叩いているじゃないか」

電話の主Aは所有者さんの従兄弟と名乗る人物でした。

曰く

  • あの物件は先祖代々の土地である
  • 近隣相場を見たが、到底聞いた値段と離れている
  • 遠方に住んでいる人と思って嘗めているんだろう
  • 自分も多少不動産を知っているが、価値は少なくとも5倍~6倍だ

突然の電話でしたが、私を詐欺師呼ばわりでした。

そもそも、まだ当社に売るという返事もないし、当社で買ってくれませんか?に対しての提示です。
しかも値段は相場でいえば 一般ユーザーが買うであろう場合の相場<提示金額 のハズです。

その後も「地方の不動産屋はボッタくる」「都市部なら考えられない」などの発言連続です。

私も当初は丁寧に根拠や相場などをご説明しておりました。

しかし、最後には

「そんな値段なら自分が買うよ、仲介手数料も払わなくて済むし」

との言葉でした。

そして電話をガチャ切りされました。

その後、所有者さんから連絡がありました。

所有者さん「すみません、ついつい不動産に詳しいという従兄弟と会ったので近況報告を話したところ、熱くなってしまいました」

とのこと

とはいえ、「熱くなってしまい、年上でもある従兄弟だけに、無下には出来ないんです」ということ

私としても絶対買い取りたいとは思ってもいませんし、なにより詐欺師呼ばわりされてまで協力も出来ません。

私はこれまでのご恩と感謝を所有者さんに告げ、この件から手を引くことにしました。

そして、しばしの月日が流れたある日のこと

所有者さんから連絡が来ました。

「内田さん、やっぱり助けてもらえませんか?」と

聞けばその従兄弟が下記のようなことをしたようです。

  • 隣地の方へ直接連絡し、「道路持ち分をよこせ」と横柄な対応をして隣地と揉めた
  • 現在住んでいる賃借人に「○○万円で買い取らないか?」と高値で持ち掛け、逆に賃借人から「これまでの不備をしっかり直せ」「直さないなら損害賠償する」と言われた
  • 賃借人も出ていくと話している

あーあ・・・・・

こうなっては台無しです。

最早、揉め事のオンパレードになってしまいました。

これまで上記のようなことにならないように、丁寧に対応していたものが一瞬で崩れ去りました。

「一旦、考えさせてください」と伝え、電話を終えました。

うーん、どうしようかな・・・この事態になってしまっては・・・

思案しているとまた電話が鳴りました。取ると従兄弟Aでした。

A「所有者から話は聞いただろう」

私「伺いました、大変な状態だそうですね」

A「所有者も隣地も賃借人も全員、素人だから困る」

A「ついては、一旦自分(A)があの土地を買い受けるので、以前の提示額でそちらに買って欲しい」

私「は?」

つまりは、こういうことのようです。

最初に所有者さんから聞いた金額は安すぎるので、Aが所有者から買って再建築不可をどうにすれば儲かる

隣地に話して道路持ち分を貰おうとする→失敗

ならば、賃借人に売って儲けよう→失敗

ならば買取業者に高くで売って(以下略)→失敗

最終的に私の提示額より低く直接所有者から買って、私に提示額で買い取ってもらえば利益が出る

そんな馬鹿な!

私はゆっくりと説明しました。

  • あの金額はこれまでの管理の恩も含めての提示だった
  • その後のAの行為で事態は悪化し、最早当時の価値より下がった
  • 所有者さんとの取引ならまだしも、私を詐欺師呼ばわりする方と取引などは出来ない

としっかりとお断りしました。

その後もAから「じゃあどうするんだ?」とか「無責任な不動産業者だ」など言われましたが、丁重にお断りしました。

所有者さんからも謝罪を受けましたが、それでも「親戚づきあいもあり、従兄弟の介入を断れない」とのことでしたので、当社としてもこれ以上のお手伝いが出来ないことをお伝えし、最後にこれまでのご愛顧に感謝を申し上げて終了しました。

その後、詳細は追っていませんが、最後に聞いた話ですと、未だに空き家として残り続けているようです。

この事例では、途中までは所有者さんの目的と、少なからずの売った利益が残る予定でした。

しかし、Aの介入により収入源であった賃借人は出ていき、今まで好意的だった隣地との仲も悪くなる、結果資産価値は下落するのみとなってしまいました。

心配とお節介の境界

この事例では若干というより、かなりの悪意がありましたので、カリフォルニアから来た娘症候群と少し相違することもありました。

しかし、こういった事例は不動産会社では多いものです。

こんな場面でよく見かけます。

  • 不要になった実家を売却する時
  • 高齢の父母のお部屋探しが決まり、契約前に
  • 収益物件を買う時
  • 商売を始めようとしてテナントを借りる

こういった場面で、本人と充分協議し終えて、いよいよ物事が動きだすという段階で介入してきて、混乱を生じさせるのが「カリフォルニアから来た娘」です。

いずれも、娘(女性)に限らず息子(男性)や両親、親戚や近しい友達などのケースもありますので、「カリフォルニアから来た娘」と定義されていますが、男女の性別や年齢層に限る話ではありません。

事例として共通するのは

普段は疎遠にしている人が急に介入してくる

日頃から、各種の問題に寄り添いながら時間を共有している親族ではこういった混乱は起きません。

なにせ、当初から一緒に物事を理解し、順序立てて事態を把握していますから、本人の決断の経緯も知っていますし、本人の希望も当然知っている訳です。

この「カリフォルニアから来た娘」は日頃はこういった問題には関与していないにも関わらず、事態がいよいよ動く段階で急に発動するのです。

これは不動産業者だけが困る事態ではありません。

なにより本人や普段から親身になっている身近な親族が一番の困難な事態へ陥ることが最大のデメリットです。

今まで苦労して問題に対応してきた身近な親族や本人の努力、積み重ねを一気に崩壊させかねません。

また病院同様、親身になってくれていた周りの協力者たちを遠ざける可能性もあるのです。

なにせカリフォルニアから来た娘たちは

日頃から手(労力)やお金は出さないのに、たまに来たかと思えば口だけ出すのですから

そして、一生懸命近くでサポートしてきた人を飛び越えて、あるいはそのサポートしてきた人達にすら牙を剥きながら

私だけが、本人の味方で正しいことをしている。と妄信して各方面へ悪意をばら撒きます。

「カリフォルニアから来た娘」の被害は、医療関係者に限ったお話ではありません。

リフォーム業者、税理士、弁護士など相手はその時々で変わるのでしょうが、一定確率でいらっしゃるのです。

そしてカリフォルニアから来た娘たちは、期間が過ぎるとカリフォルニア(普段住んでいる場所)へ帰っていきます。

残されるのは

日頃から協力してくれていた業者と一生懸命サポートしていた身近な人の疲弊、場合によっては本人との断絶です。

一生懸命やっていたにも関わらず、ぽっと出の人から罵倒されたり、命令されたのではたまったものではありません。

そして、そのツケは本人に降りかかる。

もちろん、悪い業者や不誠実な人が一定いるのも事実ですから、まったく介入することを否定する訳ではありません。

カリフォルニアから来た娘はなぜ発動する?

ここまでカリフォルニアから来た娘の実害や被害想定は、ご理解いただけたと思います。

ここからは、その発動のメカニズムと対応についてご紹介できればと思います。

まず大切なことが、カリフォルニアから来た娘というのは

100%の善意であることがほとんどです

「離れて暮らす父母が騙されていないのか?」「不当な業者によって搾取されていないのか?」「もっと裕福な暮らしをしてほしい」「幸せになってほしい」

という真っすぐな動機がほとんどなのです。

また、対象となる人への愛情も人並みか、なんなら愛情の強さは「強い」とカリフォルニアから来た娘は思っています。

ただ、愛情も正義も暴走すると人を傷つける刃になってしまいます。

通説ではこの「カリフォルニアから来た娘」の原理というのは「罪悪感」と「パニック」が大きいと言われています。

普段は疎遠にしている負い目と、久々に会って事態が急展開(弱っている両親の姿など)への驚きに対しての反射行動と言われています。

日頃は実家のややこしい問題や、両親の介護など出来ない(やらない)こともあり、せめて口や頭脳だけでも力になりたい。と思われるということですね。

そういった「普段役に立てていない」という罪悪感は確かに原動力となっていると思います。

確かに医療業界を主にしたこの通説は理解できます。

不動産業界でもそうでしょう。

でも、私はこれに加えて、原因の一つにこれもあると思っています。

承認欲求

これはどういったことかというと、先ほどの「実家の売却」の例でいうと

年老いた両親のサポートをすることで

「一人前の大人になったな、○○がいてくれて良かった、ありがとう」

この言葉を聞きたいが為の一生懸命という方をよく見かけます。

要は歪んだ親孝行のようなものです。

大好きな両親や息子、娘、親族、友達に認められたい、頼りにされたいという欲求ですね。

また「カリフォルニアから来た娘」の特徴としては

自分のことを知識がある、賢いと思っている方が多いものです。

「私が言っていること、調べたことの方が正しい」と妄信してしまい、専門家や身近な人を否定しがちになってしまいます。

特によくあるケースとして

「私の知り合いの人に聞いた」

もちろん、しっかりとした業者や知り合いに聞いたかもしれませんが、聞かれた方も詳細や状況、ご本人さんの意向などの細かな部分は当然見えないものです。

また、相談するカリフォルニアから来た娘は「これっておかしいですよね?」というテンションでいけば、詳しいことが分からない人は

「まあ、そうかもね」と答える可能性があるのです、それを免罪符に「ほら、他の人はおかしいって言ってるよ」というケースも後を絶ちません。

本来、カリフォルニアから来た娘がすべきことは

当初から積極的にかかわり、手を貸し、一緒に専門家から説明を受け、本人の意向をもとに進める

という

面倒で地道な作業をしっかりとすることなのです。

書いててなんですが、それが出来る人はもはや「カリフォルニアから来た娘」ではありませんね。

不動産業者で出来る対応は?

ここからは「カリフォルニアから来た娘」の対応方法について、参考になればと思います。

こういってはなんですが、私個人でいえば

「カリフォルニアから来た娘」の対応は得意な方です。

というのも、この「カリフォルニアから来た娘」の前では

正論ほど意味がなく、正論ほど役に立たないものはありません

たまにカリフォルニアから来た娘相手にこれまでの経緯や、今の対応がいかにベストかを初手から説明する人もいますが、大体反発を受けて物別れに終わるケースが多数です。

それもそのはず、「カリフォルニアから来た娘」は反発を望んでいるのですから

反発をすればするほど「悪徳業者」であり、やましいことがあるはず!と思っているのです。

なぜなら、自分の方が賢いと思っていますから。

そして、その悪徳業者から救い出す自分こそヒーローなのです。

この時に今まで一緒に苦労してきたお客様(カリフォルニア父母)の援護射撃を期待しても無駄です。

一所懸命になってくれている娘が大暴れするのを、気まずそうな目で見ているだけで、咎めたり、営業マンの立場に立ってくれることはありません。

自分自身の希望があるのは分かっているが、それでも娘や息子が一所懸命やっている姿に何も言えません。

そりゃそうですよ。

ただでさえ、普段疎遠になっているのですから、せっかく帰ってきたタイミングで、娘や息子より「赤の他人を信じる」なんて口が裂けても言えません。

そんなことをしたら、せっかくの娘や息子と断絶してしまうかもしれない。という親心が発動するのです。

そんな親心くらいは汲んであげましょうよ。

では、関わる人はどうすればいいのか?

残念ながら

褒めて褒めて、味方につくまで我慢です

具体的には

  • 口出ししてきたら「よくご存じですね」と褒め
  • 親の前で「頼りになる娘さんや息子さんで安心ですね」と褒め
  • 親がいない所で「〇〇さんが来てくれて私も心強いです」と褒め
  • そうして、暴れる・疑念の目モードが収まってから今までの経緯の説明です

大体、プロとして仕事を真っ当にしていれば、「カリフォルニアから来た娘」が言いそうなことは既に検討済みか、採用しなかった案のはずです。

しかし、そこで素人扱いをせずに、先ほどの承認欲求を業者である私たちが満たしてあげるのです。

親御さんの前で「頼りになる娘さんでいいですねー」と褒めてあげるのです。

プロが親の前で褒めて貰えれば、「カリフォルニアから来た娘」も本望です。

但し、それでも「カリフォルニアから来た娘」の提案を鵜呑みにすることはあってはなりません。

大体「カリフォルニアから来た娘」の提案というのは理想論であり、現実的ではありません。

言いなりになってしまっては当事者の本当の利益は守れないことでしょう。

それでも猛攻が止まない場合は?

その時は潔く撤退をおススメします。

目先の利益欲しさに、「カリフォルニアから来た娘」の提案を飲み続けても出口は訪れないでしょう。

時間と労力、そしてプロとしてのプライドを削って、依頼者の本当の利益を損なうことを分かってする仕事はすべきではないと思います。

私自身、何度か誘惑に負けそうになり、お付き合いしてみようとしたことはありますが、ろくな目にはあいませんでした。

私たちに出来ることといえば、親思いの「カリフォルニアから来た娘」が親御さんのために「自分が来てよかった」という満足感を満たしてあげて、更に依頼者である「カリフォルニア父母」の利益をしっかりと守ってあげるという「二刀流」の実現です。

そうすることでカリフォルニア一家全員を幸せにする。

それが出来れば最善ですが、ことはそう簡単ではありません。

私自身の例でも、叶いませんでした・・・

みなさんはどのように対応しているのでしょうか?

ぜひお会いする機会があれば対応策を教えて欲しいものです。

そして「カリフォルニアから来た娘」の方々へ

あなたがすべきことは、今疎遠にしている方に寄り添って、日頃から話をしてあげることかもしれません。

肝心な時に娘や息子に頼りたいという親は、実は少数だと思います。

それよりも元気なあなたの近況を日頃から聞ければ、それが最大の親孝行かもしれませんよ。

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