
AD競争の果ては・・・
AD・入居促進費・広告料・広告宣伝費など様々な呼び名はあるものの、本質的には同じです。
このブログを読むような方には説明は不要でしょうから本題へ入っていきましょう。
もし不明な場合は「不動産 広告料」などで検索していただければ、たくさんの説明サイトがあります。
みなさんはこのAD(今回はADとして話を進めていきます)をどのように考えていますか?
昨今、入居者募集サイトなどの多様化や掲載料の値上げなどで不動産会社の広告コストは年々増加しております。
また人口減少や地方の過疎化なども進行し、入居者募集というのは年々激化していることは間違いないことと思います。
そんなコスト高も相まって不動産業の一部からは
「ADの積み増しによる入居募集を推奨」の声が上がっています。
今回はこの「ADの積み増し」による入居者募集の功罪について、管理会社目線での賃貸運営の私見を挙げてみたいと思います。
ADの積み増しによるメリットとは

まずはADの相場についてですが、これは正直「地域による」としか言いようがありません。
不動産賃貸業というのは地域の慣習に大きく左右されます。
1か月の地域もあれば、中には時期などにもよりますが3か月以上を要する地域もあるそうです。
このADの積み増しによるメリットは多くの場合以下のように言われております。
- 紹介頻度が上がる
- 成約率が高くなる
- 空室期間の短縮
不動産会社の営業マンは、現在でもほとんどが実績を基にした歩合や昇進などで成約単価を追っていることは周知の通りです。
その為、「どうせ決まるなら高単価になるAD付物件を狙いたくなるだろう」という思いのもと、ADを積み増すことで「私の物件に優先的に入居者を入れてくれ」という願いとともに積み増しを行う訳です。
仲介手数料は満額でも家賃の1か月が上限となってしまいますが、このADがあれば単価も上がる為、営業マンとしては力も入ることでしょう。私も賃貸営業マンだった時代にはお世話になったものです。
営業マンが優先的に狙いやすくなるという点については異論はありません。
しかし、今日の本題はここからです。
「本当にそれでいいのでしょうか?」
ADの積み増しによる入居者募集には「副作用」があります。
このADの積み増しによる「副作用」ともいうべき現象を正しく理解している方は少数に感じます。
「早く決まればいいじゃない」という意見はごもっともですが、副作用について理解しておくことも必要だと思います。
不動産業者が言わない「副作用」

まずは、この副作用については現場の営業マンは悪意なく「知らない」ことがほとんどだと思います。
その為、ADの積み増しによる早期の入居付けが本当に最善の道と信じていることがほとんどです。
ですから、この後書く内容をご覧になっても「あの営業マンは悪意があったんだ」とは思わないようにしてください。
現場の営業マンは善意で効果的な内容と思い、積み増しを提案している可能性が高いでしょう。
副作用については、賃貸運営をしっかり見ていくと気付く内容だったり、精査することで気づく内容ですから。
それでは挙げていきましょう。
副作用①入居期間が短くなりがち

ADの積み増しのデメリットの一番目はこれです。
正に副作用の部分なのですが、先ほどのメリットに挙げたとおり、高ADの物件は営業マンもどうしても決めたくなるものです。
その熱意が時に入居者と物件の「いびつなマッチング」を引き起こすのです。
お客様の中にはお引越しのニーズが曖昧だったり、強い意思を持っていない方も一定いらっしゃいます。
そんなお客様の時には通常であれば、深いヒアリングなどを行い、潜在的なニーズや要望などを汲み取ってお部屋を提案することが必要です。
しかし、そんな時に力のある営業マンであればあるほど、特定の物件への誘導が出来る場合があります。
そうすると、高ADの物件にニーズの違うお客様を誘導してしまうのです。
もちろんニーズが合っていれば大丈夫なのですが、合っていない場合はどうなるでしょうか?
住み心地にしっくりとこない入居者は「なんだか違うんだよな」と思ってしまいます。
そうすると、入居者も生活の満足度が低く、比較的短期で解約を受けることになるのです。
これが「いびつなマッチング」となってしまいます。
入居者さんは本来自分が住みたかったお部屋ではなく、「営業マンが決めたいお部屋」に誘導されてしまったのです。
そうすると生活の満足度はどうやっても上がりません。
その為、居住年数も短めになってしまい、空室を繰り返してしまいます。
空室が出る→高いADの積み増しをする→早期に決まる→満足度が低い→解約→空室が出る
の負のスパイラルに陥ってしまいます。
空室の度に「ADの積み増しを行ったら早く決まったから」と繰り返してしまうと、入居の期間は短いにも関わらず募集に掛かるコストは高いままという何とも本末転倒の結果となってしまいます。
しかし、これも営業マン目線からすると「空室になっても早期に決められて大家さんも喜んでいるだろう」となってしまいます。
また大家側の視点でも解約理由には「高いADが原因」とはなりませんから、見えてこないのです。
長い期間での賃料収入を目指すハズが、決まることが目的となってしまいます。
なぜ次から次へと空室が出てくるんだろう?しかも高いADを払ったのに・・・・
これでは上手くいくハズがありませんよね。
副作用②物件の価値は変わらない

2つ目の理由として、物件の価値は変わらないということです。
これはどういうことかというと、物件の価値というのは年数が経てばたつほど下がっていくものです。
その価値が下がらないように適切な修繕や維持管理にコストを掛けながら運営していくことが必要です。
しかし、ADの積み増しを最善の方法として入居付けを行っていくと「賃貸物件の運営方針」となってしまうことがあります。
ADの積み増しによる入居付けが出来たとしても、修繕や維持管理のコストは別と考えねばなりません。
通常は維持管理や経年による陳腐化を食い止めていくことで市場にアピールをしていくのですが、高ADで入居付けを行っていくと、ほとんど維持管理にコストを掛けずとも決まったりします。
その為、「空いたら高ADで入居付けすればいいか」という短絡的な運営方針になってしまうことがあります。
そうすると年々価値が下がるお部屋に対して、維持コストを支払うよりはADの積み増しで対応しよう。となってしまいます。
繰り返すうちに建物はどんどん古く劣化していくばかりで、いよいよADの積み増しでは入居付けできなくなる建物になってしまいます。
その段階では物件の価値も下がっており、売却したいと思っても市場からの評価は低いものになるでしょう。
ADももちろん経費ではありますが、ADは物件の価値を上げるものではありません。
ADとは別に建物の維持管理に必要なコストは見込んでおきましょう。
まずはADに頼らない運営を

まとめに入ります。
ここで多くの営業マンが思っていることを代弁しましょう。
高ADでなくとも人気物件であれば嬉しい
これです。
高いADでなければ決まらない物件というのは市場から少し外れているのです。
営業マンが「頑張らないと」決まらない物件ということですね。
それは家賃の額、設備、築年数、立地など様々な要因が重なってそうなっているのでしょう。
その為、営業マンがある意味「無理して」決めている状態なのです。
その為「いびつなマッチング」などが起きてしまうのです。
もちろん高ADは前述した通り、営業マンは助かります。決めたくもなるでしょう。
しかし、それ以上に営業マンが嬉しい物件というのは
誰が案内しても決まる人気物件
募集広告を出せば反響が多くあり、実際に案内しても決まりやすい
そんな物件は営業マンも嬉しいのです。
高ADを無理して頑張って決めることよりも、案内してすぐに決まる物件を選ぶ営業マンは多いのです。
こういった人気物件は案内も楽なものです。
こみいった営業トークなども必要ありませんから、物件の魅力を素直に話せば成約も早いものです。
もうお分かりですね。
ADの積み増しをする位なら自分の物件の魅力を高めることから先に行いましょう
1か月分のADで出来ることをまずはやってみてはどうでしょう。
例えばインターホンが古くなっているならモニターホンに替えてみる・トイレに温水洗浄便座が付いていないなら付けてみる
少額でも出来ることはたくさんあります。
ADを払っても物件の価値は変わらないと書きましたが、こういった物件への投資なら物件の価値は少しずつ上がっていきます。
市場を見て家賃を見直すこともいいでしょう。
そうやって人気物件を作り上げることが出来たなら、高いADで無理をせずとも「この物件に住みたい」という人がやってきて納得のうえで長い期間を過ごしてくれることでしょう。もちろん早い段階で
それこそが「営業マン」も「入居者」も、そして物件の所有者である「あなた」も満足する方法ではないでしょうか?
最近、身の回りの不動産営業マンがADの積み増しを積極的に大家さんに提案しているのを見かけます。
賃貸営業という立場から見れば、一日も早い成約を目指す「正解」の一つではあることは間違いありません。
しかし、賃貸運営というのはたくさんの要因が絡み合うものです。
管理側の目線から見ると「高ADする位なら自分の物件に投資すればいいのに」という目線も知っておいていただきたい!という思いからでした。
もちろん、高ADが有効な手段であることは前述の通りですから「高ADを提案された、けしからん」と短絡的には思わないで欲しいものです。
それでも「どうせお金出すなら自分の物件に使ったらいいのに・・・」と私は思ってしまいます。
これを見た不動産会社のみなさん、怒らないでくださいね。
そしてオーナーのみなさんにはご自身の物件が市場で勝てる物件なのかどうかを再考してみてはいかがでしょうか。
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台風の飛来物で車に傷がついたら? ~修理代は誰に請求すればいい?~ 自然災害の責任の所在について
責任の所在は誰に? さて、台風シーズン真っ盛りになりました。 このブログを書いているのは2024年の台風10号の直後です。 今回の台風は「特別警報」が発令され、昭和に死者5000人を出した伊勢湾台風以来の勢力と呼ばれました。 今日現在でも被害の全容は見えておりませんが、やはり台風だけに強風による被害はたくさんございました。 そこで今回は、この強風による被害の責任についてご説明してみようと思います。 台風による被害は結局、誰の責任なのでしょう? 例えば、アパートの瓦が飛んできて、あなたの車のフロントガラスを突き破った場合はどうでしょうか? 被害は「台風のせい」 先ほどの例の回答です。 アパートの屋根や駐輪場の屋根などが飛んできて、あなたの車にキズをつけたり、破損した場合の責任は誰にあるのでしょう? そして、修理代はオーナーや管理会社に請求できるのでしょうか? あなたに落ち度がない以上、負担したくはありませんよね。 結論から申し上げます。 責任は所有者(オーナー)や管理会社にはありませんし、修理費用は自己負担となります。 分かります、あなたは悪くありません。 管理会社や物件オーナーに対して請求をしたい気持ちは痛い程よく分かります。 私も逆の立場ならそう言うことでしょう。 それでも法律上や保険上の話でいえば 台風による被害は「台風のせい」なのです 納得するのは難しいかもしれません このようなお話をすると 「管理会社やオーナーが責任を取りたくないからそう言っているんだ」と思われるかもしれません。 その為、ここからはなぜ「台風などの天災」は損害賠償できないのか?について少し説明いたします。 損害賠償とは?自然災害には? まずはこのような事例の時に聞く「損害賠償」です。 このような目にあった場合、その「損害」を「賠償」して欲しいと考えるのは当然です。 「実際に損害があるのだから、賠償は当然ではないか?」と思われることでしょう。 しかし、この法的な損害賠償というのは要件があるのです。 それが 「債務者の責めに帰すべき事由があること」といい、簡単にいえば、物件所有者や管理者に「故意(わざと)」 又は 「過失(不注意、うっかり)」 があることが要件なのです。 そして、天災(台風)というのは予測が極めて困難であり、その発生や被害は誰の責任でもないのです。 自然災害は、誰かが故意や過失により引き起こすものではありません。 その被害自体も、管理者や所有者も望んでおりません、当然ながら。 その為、台風などの天災や自然災害の責任は物件の所有者や管理者にはないのです。 もう一つ、このように自然災害による損害を個人に請求できるようにした場合 到底、一人の人生で賄えるものではなくなる可能性があるのです 現在も、失火責任法という法律があります。 これは火事を起こしてしまった人の責任を限定するものです。 こちらも「故意か重過失(かなりの不注意)」が無い限りは、失火による延焼などの責任は負わない。という考え方です。 火災ともなれば、場合によってはかなりの面積や建物を焼いてしまうこともあり、多大な損害となります。 このような大災害について、厳しく責任を問うことになった場合、その責任を負った方の人生は正直終わりになることでしょう。 被害者から見れば「当然だ」と思うかもしれませんが、逆の立場になってみることも大事です。 少しの責任で一生では償えない罪を負わせるのは酷というものです。 自己破産などでは済まないことでしょう。 そもそも法律的な損害賠償というのは全てが自己破産で免責になる訳でもありませんからね。 今回被害に遭われた皆さんも、いつかは逆の立場になるのかもしれません。 ましてや自然災害となれば、その責任は誰にあるのか? こういった観点からも自然災害や台風による損害は自己負担となってしまうのです。 まとめ それでは、このような事態にならない為にはどのようにすれば良いのでしょうか? まずは「保険」となります。 ご自身の財産は、自分自身で守るしかないのです。 その為には大切な物には保険などでしっかりとカバーしておくことも重要です。 他にも損害を出来る限り予測し、安全な場所に移動するなどの「自衛」も大切となります。 また、先ほど「故意過失」が無ければ損害賠償というのは発生しません。 と書きましたが、逆にいうと相手方に「故意過失」があった場合は賠償責任は発生します。 但し、自然災害の中での故意過失というのは余程のことが無い限り認められづらいものですが、相手方に故意過失があれば請求は可能となる訳です。 自然災害の多い日本という国で生活する以上、備えを普段から心掛けておくことは不可欠となっています。 管理会社としては、こういった自然災害の度に必死に対応をしていくのは言うまでもないことなのですが、このような残酷にも見えるルールが社会で浸透していないため、毎度毎度、みなさんに苦しい説明と決断になってしまうことを皆さんにお伝えしたかったのです。 被害に遭われた方々に落ち度はないことなので、このような仕組みをご説明しても、中々ご理解をいただくことは難しいでしょう。 皆さんの憤りについては痛い程よく分かりますし、何とかしてあげたいのも山々なのですが、こういった法律上の仕組みである以上、火災保険なども適用されないのです。 その為、ご自身での保険や自衛をすることが必要になってくるのです。 台風が過ぎ去った今、普段からの備えをもう一度、何も起きていない日常から心掛けていきたいものです。 今回の台風で被害に遭われた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。
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不動産で起こる「カリフォルニアから来た娘症候群」の事例とメカニズム、対応の基本は? ~愛情からの心配?外野の横やり?~
親族は本来は味方のハズだが・・・ 全国の不動産業界で働くみなさん、こんにちは。 今回は不動産に携わっている方なら一度は経験したことのある。 当事者(売主、買主、貸主、借主)の親族との対応について、そのメカニズムや対応の仕方について個人的な見解をお話してみようと思います。 みなさんは「カリフォルニアから来た娘 症候群」という言葉をご存じでしょうか? 詳しくはリンクなどから見てもらえればよいのですが、この言葉は医療業界にある言葉だそうです。 元の定義としては 医療現場では患者の終末期に過度な医療を避けるため、患者や身近な家族と医療チームが話し合い、最期の過ごし方を決める過程があるそうです。 辛い延命治療ではなく、穏やかな最期を目指すことを患者本人が希望し、医師や看護師と充分に協議して決定します。 しかし、遠方に住む家族(例:カリフォルニアから来た娘)が突然現れ、これまでの計画を覆し、延命治療を強く要求することがあります。また医師や看護師に対して面会を要求したり、治療方針への反対を示し、この現象は、患者の意志や身近な家族の同意を無視して、過剰な延命治療が行われる結果を招きます。 ほぉー、そんな現象があるんですね・・・・ ここまで読んでいただいた不動産業界の方も思うでしょう。 不動産業界にもあるじゃないか そうなのです。このカリフォルニアから来た娘症候群は不動産業界では多く見られます。 事例 親族のいとこ 当社での事例を一つ挙げましょう 当社の管理物件で賃貸一戸建てをお預かりしておりました。 所有者さんは遠方におり、物件自体はかなりの築年数が経過しておりました。賃借人さんも住んでいただいています。 そんな中、所有者さんより連絡がありました。 「もうあの物件を手放したい」 この物件ですが、賃借人さんはいるものの、老朽化も激しく、これからの修繕などを考えれば無理からぬこと。 私は所有者さんと話しあいました。 肝心の物件はこんな状態でした。 道路の接道がない「再建築不可物件」、道路の持ち分は以前(先祖代々)の経緯から貰えなそう 雨漏りや排水不良による不備多数 修繕提案などもしてきたが、資金不足などにより修繕できず なんとか当社で応急処置を繰り返してきた 土地の値段もそこまで高価なエリアではない 所有者さんの意思としては、これから来る大きな修繕や固定資産税などの負担を免れたい。 十分これまでの収益もあったので、売値はさして期待していない。 これらを踏まえて出した結論は 「一般ユーザーへの販売では瑕疵や修繕費用を計算すると売りにくいので、不動産会社などに買ってもらおう」でした。 これは修繕の費用に大きな部分がありました。 この物件はDIY程度では解決できない瑕疵があり、一般のユーザーが修繕しようとすると多額の費用が掛かりすぎる為、修繕を生業とする業者に買ってもらい、再販の道or接道をクリアし、土地として整備する。 これがベストであろうと所有者さんと方針を固めました。 もちろん、万全の状態であれば一般ユーザーへ高く買ってもらうことが最善でしたが、状態や再建築不可となれば価値は多く見込めません。 業者が取り組む為には、売値は多少下げなければ利益が無く、やはり買い手はつきません。 その時に所有者さんから「社長のところで買ってもらうことはできませんか?」との申し出がありました。 私は計算して考えられる限りの高値を提示しました、もちろん当社も利益が出るギリギリのラインで これまで管理をさせていただいた恩義もありますからね。 こちらからの提示金額は、所有者さんが思ったより高いものだったそうで、前向きに検討します。とのことでした そこで現れるのです。 カリフォルニアから来た娘が・・・ ある日のこと、会社の電話が鳴りました。 A「お宅の社長と話したいんだが・・・」 私「私ですが、ご用件は?」 A「あの貸家だが、不当に買い叩いているじゃないか」 電話の主Aは所有者さんの従兄弟と名乗る人物でした。 曰く あの物件は先祖代々の土地である 近隣相場を見たが、到底聞いた値段と離れている 遠方に住んでいる人と思って嘗めているんだろう 自分も多少不動産を知っているが、価値は少なくとも5倍~6倍だ 突然の電話でしたが、私を詐欺師呼ばわりでした。 そもそも、まだ当社に売るという返事もないし、当社で買ってくれませんか?に対しての提示です。しかも値段は相場でいえば 一般ユーザーが買うであろう場合の相場<提示金額 のハズです。 その後も「地方の不動産屋はボッタくる」「都市部なら考えられない」などの発言連続です。 私も当初は丁寧に根拠や相場などをご説明しておりました。 しかし、最後には 「そんな値段なら自分が買うよ、仲介手数料も払わなくて済むし」 との言葉でした。 そして電話をガチャ切りされました。 その後、所有者さんから連絡がありました。 所有者さん「すみません、ついつい不動産に詳しいという従兄弟と会ったので近況報告を話したところ、熱くなってしまいました」 とのこと とはいえ、「熱くなってしまい、年上でもある従兄弟だけに、無下には出来ないんです」ということ 私としても絶対買い取りたいとは思ってもいませんし、なにより詐欺師呼ばわりされてまで協力も出来ません。 私はこれまでのご恩と感謝を所有者さんに告げ、この件から手を引くことにしました。 そして、しばしの月日が流れたある日のこと 所有者さんから連絡が来ました。 「内田さん、やっぱり助けてもらえませんか?」と 聞けばその従兄弟が下記のようなことをしたようです。 隣地の方へ直接連絡し、「道路持ち分をよこせ」と横柄な対応をして隣地と揉めた 現在住んでいる賃借人に「○○万円で買い取らないか?」と高値で持ち掛け、逆に賃借人から「これまでの不備をしっかり直せ」「直さないなら損害賠償する」と言われた 賃借人も出ていくと話している あーあ・・・・・ こうなっては台無しです。 最早、揉め事のオンパレードになってしまいました。 これまで上記のようなことにならないように、丁寧に対応していたものが一瞬で崩れ去りました。 「一旦、考えさせてください」と伝え、電話を終えました。 うーん、どうしようかな・・・この事態になってしまっては・・・ 思案しているとまた電話が鳴りました。取ると従兄弟Aでした。 A「所有者から話は聞いただろう」 私「伺いました、大変な状態だそうですね」 A「所有者も隣地も賃借人も全員、素人だから困る」 A「ついては、一旦自分(A)があの土地を買い受けるので、以前の提示額でそちらに買って欲しい」 私「は?」 つまりは、こういうことのようです。 最初に所有者さんから聞いた金額は安すぎるので、Aが所有者から買って再建築不可をどうにすれば儲かる ↓ 隣地に話して道路持ち分を貰おうとする→失敗 ↓ ならば、賃借人に売って儲けよう→失敗 ↓ ならば買取業者に高くで売って(以下略)→失敗 ↓ 最終的に私の提示額より低く直接所有者から買って、私に提示額で買い取ってもらえば利益が出る そんな馬鹿な! 私はゆっくりと説明しました。 あの金額はこれまでの管理の恩も含めての提示だった その後のAの行為で事態は悪化し、最早当時の価値より下がった 所有者さんとの取引ならまだしも、私を詐欺師呼ばわりする方と取引などは出来ない としっかりとお断りしました。 その後もAから「じゃあどうするんだ?」とか「無責任な不動産業者だ」など言われましたが、丁重にお断りしました。 所有者さんからも謝罪を受けましたが、それでも「親戚づきあいもあり、従兄弟の介入を断れない」とのことでしたので、当社としてもこれ以上のお手伝いが出来ないことをお伝えし、最後にこれまでのご愛顧に感謝を申し上げて終了しました。 その後、詳細は追っていませんが、最後に聞いた話ですと、未だに空き家として残り続けているようです。 この事例では、途中までは所有者さんの目的と、少なからずの売った利益が残る予定でした。 しかし、Aの介入により収入源であった賃借人は出ていき、今まで好意的だった隣地との仲も悪くなる、結果資産価値は下落するのみとなってしまいました。 心配とお節介の境界 この事例では若干というより、かなりの悪意がありましたので、カリフォルニアから来た娘症候群と少し相違することもありました。 しかし、こういった事例は不動産会社では多いものです。 こんな場面でよく見かけます。 不要になった実家を売却する時 高齢の父母のお部屋探しが決まり、契約前に 収益物件を買う時 商売を始めようとしてテナントを借りる こういった場面で、本人と充分協議し終えて、いよいよ物事が動きだすという段階で介入してきて、混乱を生じさせるのが「カリフォルニアから来た娘」です。 いずれも、娘(女性)に限らず息子(男性)や両親、親戚や近しい友達などのケースもありますので、「カリフォルニアから来た娘」と定義されていますが、男女の性別や年齢層に限る話ではありません。 事例として共通するのは 普段は疎遠にしている人が急に介入してくる 日頃から、各種の問題に寄り添いながら時間を共有している親族ではこういった混乱は起きません。 なにせ、当初から一緒に物事を理解し、順序立てて事態を把握していますから、本人の決断の経緯も知っていますし、本人の希望も当然知っている訳です。 この「カリフォルニアから来た娘」は日頃はこういった問題には関与していないにも関わらず、事態がいよいよ動く段階で急に発動するのです。 これは不動産業者だけが困る事態ではありません。 なにより本人や普段から親身になっている身近な親族が一番の困難な事態へ陥ることが最大のデメリットです。 今まで苦労して問題に対応してきた身近な親族や本人の努力、積み重ねを一気に崩壊させかねません。 また病院同様、親身になってくれていた周りの協力者たちを遠ざける可能性もあるのです。 なにせカリフォルニアから来た娘たちは 日頃から手(労力)やお金は出さないのに、たまに来たかと思えば口だけ出すのですから そして、一生懸命近くでサポートしてきた人を飛び越えて、あるいはそのサポートしてきた人達にすら牙を剥きながら 私だけが、本人の味方で正しいことをしている。と妄信して各方面へ悪意をばら撒きます。 「カリフォルニアから来た娘」の被害は、医療関係者に限ったお話ではありません。 リフォーム業者、税理士、弁護士など相手はその時々で変わるのでしょうが、一定確率でいらっしゃるのです。 そしてカリフォルニアから来た娘たちは、期間が過ぎるとカリフォルニア(普段住んでいる場所)へ帰っていきます。 残されるのは 日頃から協力してくれていた業者と一生懸命サポートしていた身近な人の疲弊、場合によっては本人との断絶です。 一生懸命やっていたにも関わらず、ぽっと出の人から罵倒されたり、命令されたのではたまったものではありません。 そして、そのツケは本人に降りかかる。 もちろん、悪い業者や不誠実な人が一定いるのも事実ですから、まったく介入することを否定する訳ではありません。 カリフォルニアから来た娘はなぜ発動する? ここまでカリフォルニアから来た娘の実害や被害想定は、ご理解いただけたと思います。 ここからは、その発動のメカニズムと対応についてご紹介できればと思います。 まず大切なことが、カリフォルニアから来た娘というのは 100%の善意であることがほとんどです 「離れて暮らす父母が騙されていないのか?」「不当な業者によって搾取されていないのか?」「もっと裕福な暮らしをしてほしい」「幸せになってほしい」 という真っすぐな動機がほとんどなのです。 また、対象となる人への愛情も人並みか、なんなら愛情の強さは「強い」とカリフォルニアから来た娘は思っています。 ただ、愛情も正義も暴走すると人を傷つける刃になってしまいます。 通説ではこの「カリフォルニアから来た娘」の原理というのは「罪悪感」と「パニック」が大きいと言われています。 普段は疎遠にしている負い目と、久々に会って事態が急展開(弱っている両親の姿など)への驚きに対しての反射行動と言われています。 日頃は実家のややこしい問題や、両親の介護など出来ない(やらない)こともあり、せめて口や頭脳だけでも力になりたい。と思われるということですね。 そういった「普段役に立てていない」という罪悪感は確かに原動力となっていると思います。 確かに医療業界を主にしたこの通説は理解できます。 不動産業界でもそうでしょう。 でも、私はこれに加えて、原因の一つにこれもあると思っています。 承認欲求 これはどういったことかというと、先ほどの「実家の売却」の例でいうと 年老いた両親のサポートをすることで 「一人前の大人になったな、○○がいてくれて良かった、ありがとう」 この言葉を聞きたいが為の一生懸命という方をよく見かけます。 要は歪んだ親孝行のようなものです。 大好きな両親や息子、娘、親族、友達に認められたい、頼りにされたいという欲求ですね。 また「カリフォルニアから来た娘」の特徴としては 自分のことを知識がある、賢いと思っている方が多いものです。 「私が言っていること、調べたことの方が正しい」と妄信してしまい、専門家や身近な人を否定しがちになってしまいます。 特によくあるケースとして 「私の知り合いの人に聞いた」 もちろん、しっかりとした業者や知り合いに聞いたかもしれませんが、聞かれた方も詳細や状況、ご本人さんの意向などの細かな部分は当然見えないものです。 また、相談するカリフォルニアから来た娘は「これっておかしいですよね?」というテンションでいけば、詳しいことが分からない人は 「まあ、そうかもね」と答える可能性があるのです、それを免罪符に「ほら、他の人はおかしいって言ってるよ」というケースも後を絶ちません。 本来、カリフォルニアから来た娘がすべきことは 当初から積極的にかかわり、手を貸し、一緒に専門家から説明を受け、本人の意向をもとに進める という 面倒で地道な作業をしっかりとすることなのです。 書いててなんですが、それが出来る人はもはや「カリフォルニアから来た娘」ではありませんね。 不動産業者で出来る対応は? ここからは「カリフォルニアから来た娘」の対応方法について、参考になればと思います。 こういってはなんですが、私個人でいえば 「カリフォルニアから来た娘」の対応は得意な方です。 というのも、この「カリフォルニアから来た娘」の前では 正論ほど意味がなく、正論ほど役に立たないものはありません たまにカリフォルニアから来た娘相手にこれまでの経緯や、今の対応がいかにベストかを初手から説明する人もいますが、大体反発を受けて物別れに終わるケースが多数です。 それもそのはず、「カリフォルニアから来た娘」は反発を望んでいるのですから 反発をすればするほど「悪徳業者」であり、やましいことがあるはず!と思っているのです。 なぜなら、自分の方が賢いと思っていますから。 そして、その悪徳業者から救い出す自分こそヒーローなのです。 この時に今まで一緒に苦労してきたお客様(カリフォルニア父母)の援護射撃を期待しても無駄です。 一所懸命になってくれている娘が大暴れするのを、気まずそうな目で見ているだけで、咎めたり、営業マンの立場に立ってくれることはありません。 自分自身の希望があるのは分かっているが、それでも娘や息子が一所懸命やっている姿に何も言えません。 そりゃそうですよ。 ただでさえ、普段疎遠になっているのですから、せっかく帰ってきたタイミングで、娘や息子より「赤の他人を信じる」なんて口が裂けても言えません。 そんなことをしたら、せっかくの娘や息子と断絶してしまうかもしれない。という親心が発動するのです。 そんな親心くらいは汲んであげましょうよ。 では、関わる人はどうすればいいのか? 残念ながら 褒めて褒めて、味方につくまで我慢です 具体的には 口出ししてきたら「よくご存じですね」と褒め 親の前で「頼りになる娘さんや息子さんで安心ですね」と褒め 親がいない所で「〇〇さんが来てくれて私も心強いです」と褒め そうして、暴れる・疑念の目モードが収まってから今までの経緯の説明です 大体、プロとして仕事を真っ当にしていれば、「カリフォルニアから来た娘」が言いそうなことは既に検討済みか、採用しなかった案のはずです。 しかし、そこで素人扱いをせずに、先ほどの承認欲求を業者である私たちが満たしてあげるのです。 親御さんの前で「頼りになる娘さんでいいですねー」と褒めてあげるのです。 プロが親の前で褒めて貰えれば、「カリフォルニアから来た娘」も本望です。 但し、それでも「カリフォルニアから来た娘」の提案を鵜呑みにすることはあってはなりません。 大体「カリフォルニアから来た娘」の提案というのは理想論であり、現実的ではありません。 言いなりになってしまっては当事者の本当の利益は守れないことでしょう。 それでも猛攻が止まない場合は? その時は潔く撤退をおススメします。 目先の利益欲しさに、「カリフォルニアから来た娘」の提案を飲み続けても出口は訪れないでしょう。 時間と労力、そしてプロとしてのプライドを削って、依頼者の本当の利益を損なうことを分かってする仕事はすべきではないと思います。 私自身、何度か誘惑に負けそうになり、お付き合いしてみようとしたことはありますが、ろくな目にはあいませんでした。 私たちに出来ることといえば、親思いの「カリフォルニアから来た娘」が親御さんのために「自分が来てよかった」という満足感を満たしてあげて、更に依頼者である「カリフォルニア父母」の利益をしっかりと守ってあげるという「二刀流」の実現です。 そうすることでカリフォルニア一家全員を幸せにする。 それが出来れば最善ですが、ことはそう簡単ではありません。 私自身の例でも、叶いませんでした・・・ みなさんはどのように対応しているのでしょうか? ぜひお会いする機会があれば対応策を教えて欲しいものです。 そして「カリフォルニアから来た娘」の方々へ あなたがすべきことは、今疎遠にしている方に寄り添って、日頃から話をしてあげることかもしれません。 肝心な時に娘や息子に頼りたいという親は、実は少数だと思います。 それよりも元気なあなたの近況を日頃から聞ければ、それが最大の親孝行かもしれませんよ。
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障害者差別解消法の改正 ~不動産屋は注意しよう、不当な差別的取り扱いとは?~
差別とは? 不動産屋のみなさん、こんにちは 久々の更新となりました。 早速ですが、みなさんは「障害者差別解消法」の改正をご存じでしょうか? 令和6年4月1日から改正されていますが、意外とみなさん知らないようです。 ちなみに、私は霧島市の居住支援協議会にも属している関係で勉強する機会がありました。 この「障害者差別解消法」ですが、読んで字のごとく障害者に対する差別を解消する為の法律なのです。 「私は障害者を差別なんかしていないよ」という方がほとんどになるでしょうが、今回の改正では以前までの「合理的配慮の提供が」が努力義務から義務に変更となっています。 今回は不動産会社が注意するべきポイントについて、私なりの解釈でお伝えできればと思います。 差別は決してあってはなりませんが、不動産会社が陥りやすい部分をご紹介して、障害のある方との分断をなくせればいいですね。 簡単に概要を 詳細については、内閣府のHPにて確認していただきたいのですが https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20240520.html 要は「障害を理由に不当な対応をしてはいけない」という至極真っ当なことになっています。 しかし、この至極真っ当と思える部分に落とし穴があるのです。 これをご覧になっていただいている不動産会社の方々はほとんどが「障害者に対する差別などしない」という方々だと信じておりますが、そんな方々ですら今回の改正はしっかりと見ておいて欲しいと思います。 なぜなら 内閣府発表の「不当な差別的取扱いとは?」の例に不動産会社は登場しています。 2811bb317ccda3ee4caffdf8ccec3216ダウンロード 内閣府から広報されているこの資料の「不当な差別的取扱いとは?」の例に ・障害のある人向けの物件はないと言って対応しない このようにあります。 これまでの不動産業界ではこのような対応があったことも事実でしょう。 そして、それは不動産会社だけのせいではないこともまた事実としてあります。 正直、不動産会社が紹介するのは委託してくれている不動産オーナーの物件です。入居審査なども最終的には不動産オーナーの可否に掛かっている部分がありますので、一概に不動産会社だけがNGを出していた訳でもありません。 また、一部の障害がある方の対応で大変な思いをしたことがある業者さんが過去の経験からNGだったということもあるでしょう。 また「もし何かあったら大変だから・・・」や「今まで前例がないから・・」なども「正当理由」としては認められない可能性があるのです。 それでも今後は上記のような対応をしてしまうと、この法律には違反してしまう訳です。 「じゃあどうすればいいんだ?」と思われるかもしれませんが、そこはしっかりと「対話」と「根拠」をしっかりと説明することです。 今回の法律では「特別扱いしなさい」と定めている訳ではありません、「出来る限り配慮する」ことが必要なだけで無理なことはしっかりと説明し、記録に残しておけばいいのです。 ちなみにこの法律には現在のところ、罰則は設けてありません。 しかし、この法律が出来たことから予想されうるのは 不当な差別的取扱いを受けたことによる民事訴訟は想定されます。また、口コミなどの風評被害もあり得るでしょう。 このように、今回の改正については不動産業者は一度しっかりと確認をしておくことをおススメします。 今までの認識では足りない場合もあるかもしれませんよ。 あるべき未来とは 私は当初、この法律改正を歓迎していました。 というのも、私の子供に障害者がいるのです。 私の子供が障害による差別を受けなくなる日が来るのであれば、当然歓迎しますよね。 一方で不動産会社としては、これまでの慣習を見直さなければ危険だなと思う局面も見受けられるのも事実です。 私自身ですら、不当な差別的取扱いというのをしていたんじゃないのか?と思うことすらありました。 この改正により、中には「障害者を特別扱いしろってことか?」という暴論を見かけたこともあります。 しかし、法改正しなければ差別的取扱いというのが社会から解消しなかったことも又事実なのでしょう。 それでも、今回の改正を知らずに昔ながらの対応をしてしまい、その後この法律で罰せられてしまう人は、障害者への悪意を持ってしまうかもしれません。私はそうなって欲しくないのです。 今回の改正が障害者とそれ以外の方との分断を生むことに繋がって欲しくありません。 特に不動産業界に身を置くものとして、不動産業界が叩かれることも望んでいません。 そうなる前に、今回の改正をしっかりと知り、毅然と明るい共生への道をみんなで進んでいきましょう。 この法律の改正が今回で最後となることを願ってやみません。
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大家になろう ~最初の一棟目はどんな物件を買う?~
よく聞かれる質問だが・・ さあ、管理会社目線からお届けする「どんな物件を買ったらいいか?」 私は大家の会などにも参加していることもあり、普段からこういった内容のご相談を受けます。 その中でも最多な質問がこれです。 「最初はどんな物件からスタートしたらいいですか?」です。 まあそうなりますよね。 最初は築浅?築古?アパート?マンション?利回りは?立地は? そうなんです。 不動産投資はどこからスタートするのかは非常に大事です。 今回は収益物件に強い売買系の会社ではなく、賃貸管理を本業とする管理会社目線から 最初に買うならこういう物件というのを書いてみようと思います。 既に不動産投資を始めていらっしゃる方などは、そっと閉じていただいて結構です。 あくまで私個人の見解になりますので、ご了承ください。 投資と人生は自己責任ですからね。 築12年~25年以内のアパートから 先に答えを書いてしまいました。 前提として、今回は特別な背景を無しにしております。 あくまで、今後不動産投資を始めたい普通の会社員を想定しております。 例えば、既に金融資産をかなりお持ちだとか、そういった背景があるのであれば話は別です。 そういったいわゆる富裕層の方は、不動産投資でも最初から違う戦略でいいと思います。 今回想定しているのは、いわゆる普通の会社員で、不動産投資の失敗や損失を 「まぁ、いっか」で済ませることが出来ない人です なぜこんな築年数12年~のアパートからと言われるのでしょうか? ちなみにこの築年数以外で考える条件としては 利回りは近隣物件の相場並みか、ちょっとだけ良ければラッキー 現在の入居率は80%以上 世帯数は出来れば10戸以上、少なくとも6戸以上 みなさんの心の声が聞こえます。 「普通じゃない?」 そうです。 この物件、至って普通ですね。 利回りも「近隣相場なみ」「築年数もまぁまぁ」 恐らくこんな条件の物件、あなたの周りにもあることでしょうね。 この条件なら物件価格はそんなに安くないと思います。 特にダメな部分もありませんからね。 ポータルサイトにも載っているんじゃないでしょうかね? なぜこんな物件を最初に勧めるんだ?と思うでしょう。 最初はイレギュラーは避けよう この条件に合うような物件をローンシミュレーションなどで計算してみてください。 なんだかそんなに残らない気がする・・・ そんな風に思うことでしょう。 事実、この条件の物件では「大儲け」ということにはなりません。 じゃあなんでそんな物件を? もっと利益が残るような物件から始めたい!! 気持ちはよく分かります。 回答編です。 答えはイレギュラーが少ないし、一棟目は融資も難しいから 最初の一棟で死なない為に このところの投資ブーム到来により、収益用不動産への参入を目指す方は多いものです。 しかし、一方融資情勢は決して甘くありません。 特に厳しいのが「最初の一棟」です。 最近は不動産融資も歴戦の大家さんでも、融資の承認が得られないことも珍しくありません。 物件価格も高騰している状況では、中々お宝物件というのは転がっていません。 こんな状況で最初の一棟の購入に繋げるのは至難の業といえます。 そんな中で大幅な利益が出る物件というのは、何かしら「歪み」のある物件なのです。 例えばこんな物件です。 前のオーナーが手をいれなくて空室だらけ 法令上の規制が掛かっているエリア 現在、困った入居者などがいる 売り急いでいる いわゆる「いわくつき」な訳ですね。 こういった物件は、経験があれば対応できたり、大きな資金があれば問題ないことも多くある為、通常の物件より大幅な利益が見込めることでしょう。 しかし、当然ながら初心者には向きません。 経験も無ければ、イレギュラーに対応する資金力なども当初は少ないことでしょう。 大幅な利益が見込めるからといって飛び込むのは簡単ですが、上手く行かなかった場合どうなるでしょうか? あなたに融資した銀行からは 「やっぱりこの人に不動産投資は無理なんだな」 と判断されてしまうことでしょう。 また、そもそもこういった物件は融資が難しく、余程の経験や資産がなければ承認は得られにくいものです。 そんなことをして、一棟目で致命傷を負ってしまうことは避けなければいけません。 仮に一棟目でのキズを癒そうと二棟目にチャレンジしようとしても、金融機関からは冷ややかな目で見られてしまうことでしょう。 ここで先ほどの条件を思い出してほしいのです。 まずはここから 私がおススメした物件は正直「普通」です。 しかし、管理会社としての意見でいえば こういった物件で致命傷を負う可能性は 極めて少ない ここからは理由を説明します。 築年数12年~ 理由はこちらです。 築年数が経過しており、家賃が相場に落ち着いている 新築プレミアム価格は残っていない 建物自体の構造がしっかりしている可能性大 まずは家賃相場ですが、新築時が一番高いというのは想像に難くないと思います。 新築時に一番高く、その後は年数を経過していく毎に落ちていくことが普通です。 新築~7年程度までは築浅として扱われており、家賃は下落の段階です。 しかし、12年を過ぎれば流石に築浅ではありません。 こうなると「キレイ」という魅力だけでなく、「実需」で戦う場面となります。 つまり、ここからの家賃下落率は緩やかになってくる段階です。 この年数からは余程のことが無い限り急激に落ちるということはありません。 そして、実際この年数でも入居している状態であれば基本は「相場に合ってる」という訳です。 初心者の内にはこの「家賃下落のスピード」の感覚が難しいので、そうであれば「ある程度下がっている」この年代というのはリスクは少なくなります。 「新築プレミアム価格」が残っていないも似た理由です。 築年数が浅い物件というのは建築した売主は当然ですが、建築会社への利益を払った状態です。 当然、築年数が浅い物件を売りに出す場合は、その建築コストに上乗せをしていることでしょう。 これ自体は当然ですから悪いことでもありません。 しかし、この上乗せが、適正かどうかを読めないと悲惨な目にあいます。 家賃は下がり続けるが、当初の建築コストも背負わなければなりません。 一方、築年数12年を経過した物件であればどうでしょうか? 見た目のピカピカは鳴りを潜めてしまいますが、物件価格を算出する為には 実需の利回りで計算することになるのです。 最早「築浅」という時代は過ぎている為、実際の収益を元に価格を算出することになるのです。 つまり、この段階では実需と大きくかけ離れたような物件価格を付けづらいのです。 そうすると変な「高値掴み」という状態を避けることが出来る可能性が高いのです。 長くなりましたので、一旦区切ります。 次回は「入居率の目安」と「世帯数のボーダー」についてお話していきます。 ではまた https://lotushome.jp/?p=5051
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私の黒歴史 ~不動産業界での失敗や恥を公開~
恥の多い生涯を送って来ました。 さて、最近は真面目な内容のブログばかり書いてきてしまいました。 最近、このブログを見ていただくことが増えてきているようで、ありがとうございます。 当初は「誰も見ないだろう」と思っておりましたが、意外にも同業者さんを中心に色んな方にお声がけいただきます。 本当にありがたいことです。 しかし、たまにお声がけいただく方の中に、ふと思うことがあります。 「私のことを善人と思っているのかな?」と ブログで書く内容ですから、真面目に考えているのは事実です。 そして嘘も書いてないつもりです。 しかし、ブログの内容が時に理想論だったり、「こうあるべき」となっている結果 読んでいただいた方が私のことを善人と勘違いしていないかな?という不安を抱くようになりました。 ここで正直にお話しましょう。 私は「善人」に「なりたい」人間です。 私は決して善人ではありませんし、良い人かと言われたら「NO」とハッキリ言えます。 利己的な部分や弱い部分、人として未熟な部分などたくさんあります。 しかし、いつか人間的に「善人」というものになりたいと憧れているだけの人間です。 そこで、実態と伴わないこの変な好感度らしきものを下げようと思いました。 私が不動産業に入ってから十数年となっており、今日この日も含めて失敗を続けております。 その経験の中でも、私の「黒歴史」を公開してみようと思います。 黒歴史というからには「恥ずかしい」失敗であり、後悔しているものを挙げてみようと思います。 しかも出来る限り恥ずかしくて、ダサいものを挙げてみようと思います。 真面目に仕事に励んでらっしゃる皆さんには何の薬にもなりませんが、笑ったり、「自分はこんなことしないようにしよう」と思っていただけるだけで大丈夫です。 気楽に読んでください。 但し、この記事をもとに、私と会った時にはいじらないでください。 顔真っ赤になるだけですから・・・・ 宅建を取って調子に乗った時期 以前のブログで書いたことのある内容なのですが https://lotushome.jp/blog/3133/ 宅建の試験に合格すると、とてつもない喜びにあふれます。 今まで宅建マウントを取られた先輩や「宅建持ってないんですね」というお客様からの心無い一言に傷ついた自分が報われるのです。 そんな私はある時に最大のダサいことをやってしまいます。 それは苦労して宅建に合格し、宅建士証を手にした翌年に起こしてしまうのです。 なんと・・・ 他社さんで自分が賃貸物件を借りようとした時に、身分証として宅建士証を出しました これはどういうことかと、一応説明します。 通常、お部屋を借りる時には当然ながら身分証が必要です。 普通は運転免許証やマイナンバーカード、保険証などの公的身分証を使うのが一般的です。 しかし、宅建に合格した直後の私は違いました。 その時丁度引っ越しを考えていた私は、他社さんの物件で気に入った物件を見つけて、内見した後に申し込みました。 そして同業者とはいえ、当然入居審査はありますから、担当の他社さん営業マンから「身分証を」と言われ なんと 「今日持っている身分証が宅建士証しかないんですよ~」と 宅建士証を出しました。 私の脳内では 「えっ!!内田さん宅建士受かったんですね」という反応を期待していたのです。 しかし他社さんの営業マンは一言 「あっ、じゃあ帰ってから運転免許証をFAXしてください」 で終わりました。 ダサい、ダサすぎる 今となっては思い出す度に「きゃー」とむずがゆくなる行いです。 大体、今日持っている身分証が宅建士証だけのやつなんかいませんよね。 皆さんも宅建に受かった喜びでの「宅建ハイ」にはお気をつけください。 謎の業界用語「ドーマー」 これは先にネタバラシから先にいきましょう。 「ドーマー」とは写真のように屋根の上にある「屋根の上に突き出ている屋根付き窓」の名称です。 基本的には屋根近くのロフトなどの明り取りの為についています。 ある日、不動産営業新人の私は、先輩営業マンととあるアパートを見に行きました。 そこで先輩営業マンが 「ここの2階ドーマーあるね、かっこいいね」と言いました。 それを聞いた新人営業マンの私はなぜか 「へぇー、不動産屋って窓のことをドーマーって言うんだ」と勘違いしました。 寿司のことを「シースー」六本木のことを「ギロッポン」的なものだと勘違いしてしまったのです。 そして、不動産屋もそんな風にひっくり返して喋るのがカッコいいんだ!と更に思考は進みました。 そしてその日は来ました。 ある日、私は外壁塗装が終わったばかりのアパートの竣工検査への立ち会いを命じられました。 現地には塗装業者さん、大家さん、そしてこれから恥をかく新人ダメ不動産営業マンの私が揃いました。 一通り、現地を確認して、遠目からアパートを眺めている時に 私は思いました。 使うならココだ!と そして 「この物件のドーマーは南向きで日当たりも良さそうですよね」と この物件には正規の意味の「ドーマー」はありません。あるのは通常の「窓」だけです。 私はその瞬間に、人生で初めて肉眼でハッキリと見ました 大家さんと職人さんの頭の上に浮かぶ❔マークを その顔を見た私は瞬時に察しました。 これは違う!と なぜかその一言に触れない職人さんと大家さん、聞こえていないかのようでした、時が飛んだのかと思いました。 私はその後、事務所に帰ってパソコンでYahooに聞きました。 ドーマー 意味 と 一人で足をジタバタさせていたのだけを覚えています。 みなさんも知ったかぶりはやめましょう。 馬鹿の山頂で釈迦に説法 引用元 https://www.recurrent.co.jp/career/dunningkruger-effect/ リカレントさん みなさんはダニングクルーガー効果という言葉をご存じでしょうか? 詳しくはググってほしいのですが、簡単にいえば 物事をちょっと知ったやつが調子に乗って過信すること です。 図のように、物事をちょっとだけ知ると、まるで全てを悟ったかのように自信がついて調子に乗ってしまいます。 そして、学ぶにつれて奥深さを知り絶望します。そして学び続けることで本当の成長と自信を手に入れていく様を指しているようです。 私はこの馬鹿の山の頂(いただき)で正に失敗したことがあります。 不動産業界に入って一年ほど経ったとある日、先輩に連れられて今でいう「大家の会」に参加しました。 新人ダメ営業マンの私は誘われるがまま二次会へ行きました。 そこはスナックのような場所でしたが、二次会ということもあり、色んな人がざっくばらんに話していました。 私を連れてきた先輩も、仲の良い他社営業マンと別で飲んでいました。 すると一人になった私の隣に歳のころでいうと50歳~60歳くらいのオジさんが座りました。 おじさん(以下お)「はじめまして、お宅は不動産業者ですか?」 私「そうですけど、どちらさんですか?」 お「私はただの不動産好きのオヤジです」 この時点で私は「あぁー今日の会に参加した大家さん志望のおじさんかな」と思いました。 お「いやー、しかし不動産というのは奥が深いですよねー」 この一言で少し酔いも手伝った新人ダメ営業マンの私はスイッチが入りました。 私「そうですよ、不動産なんて簡単に考えちゃダメですよ」 その後もお酒という燃料を注ぎ込み続けたダメF1カーは止まりません。 私「不動産っていうのは・・・」 私「不動産を甘くみると・・・」 おじさんは「ほぉー、そうなんですね」とか「へぇー、そんな見方もあるんですねー」と相槌が上手いのです。 おじさんの相槌を追い風にして泥船はどんどん進んでいきました。 これから沈むとも知らずに・・・ そうこうしている内に宴もたけなわとなり、二次会は終了しました。 店の外に出るとおじさんが 「今日は楽しいお話を聞かせていただき、ありがとうございました」と挨拶をしてくれました。 私も 「不動産屋としておじさんの不動産知識に貢献できたな」という満足感でいっぱいでした。 その光景を見た先輩営業マンが近寄ってきました。 そしてさっきまで私が講釈を垂れていたおじさんを見かけると 「あぁー〇〇部長、いつもお世話になってます」と挨拶したのです。 そう、私が「不動産初心者のおじさん」と思っていたのは 近隣では知らない者はいない地場の大手不動産会社の部長さんでした。 そうです、私は ダニングクルーガー効果の曲線でいうところの 馬鹿の山頂で釈迦に説法をかましていたのでした。 このことを期として、絶望の谷に落ちた私は、今も啓蒙の坂を爪を立てながら這い上がろうとしています。 うぬぼれ ダメ。ゼッタイ 顔真っ赤にしながら公開しようか悩んでいる 書いている間、座っている椅子でクルクル回りながら、貧乏ゆすりをしながら、恐らく真っ赤であろう顔 ここまで書いておいてなんですが 公開するのやめようかなーと思っています。 しかし、この文章をみなさんが読んでいるのであれば、踏ん切りがついたのでしょうね。 ちなみに他にもたくさんの失敗や恥が思い浮かんでもきています。 それを書く気力も体力も最早残っていません。 いつか気が向いたら残りも書いてみましょうかね。 これを公開してから、この記事でいじられたら書くのをやめます。 あぁー、あぁー、昔の自分はなんであんなことをしたんだろう・・・





