
突然届く手紙
管理会社には日々様々な手紙や問い合わせが来たりします。
今回は税務署から来る「照会書」についてご説明してみようと思います。
一定数の戸数を管理していると、たまーに来るこの調査依頼。
初めて見る担当者は困惑することもあります。
大体の疑問としては
- 何のために調査されているのか?
- そもそも答える義務があるのか?
- 答えることで個人情報保護法に触れないか?
- どこまでの範囲で答えるのか?
- 答えた結果、何が起こるのか?
これらについて私が知る範囲でご紹介してみようと思います。
ちなみに私の個人的見解なども入っているので、迷ったら専門家に相談してください。
あくまで私のこれまでの経験と税務署の方に聞いた範囲などになりますので、その点は悪しからず。
税金を滞納している方の調査

まずは何の為に調査しているかですが
税金を滞納している人の調査です
冒頭の画像でいうと「調査対象者」に記入されている方が所得税や住民税などの税金を滞納している状態です。
そして、多くの場合「調査対象者」と連絡がつかず、税務署が差し押さえなどを検討している段階という訳です。
そこで、現住所の確認や敷金の有無などを管理会社に確認している訳です。
ちなみに調査対象者が勤めている場合は、勤め先の会社にこの「照会書」が届くこともあります。
これも同様に「現在勤めているか?」「給与などを差し押さえることが可能か?」などを調査している訳です。
では、この照会書が届いたら管理会社は回答する義務はあるのでしょうか?
回答はしないといけない

なんとなく、書式の感じからするとアンケート的な雰囲気があるのですが、これはれっきとした法律によるものです。
照会書に小さく書いてある「国税徴収法第141条 質問検査権」が根拠となっています。
ちなみに141条はこんな内容です
(徴収職員の滞納処分に関する調査に係る質問検査権)
第百四十一条 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、その者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二(事業者等への協力要請)及び第百八十八条第三号(罰則)において同じ。)その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる。
一 滞納者
二 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
三 滞納者に対し債権若しくは債務があつた、若しくはあると認めるに足りる相当の理由がある者又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
四 滞納者が株主又は出資者である法人
国税徴収法より
この条文でいうと物件オーナーや管理会社は滞納者に対し、家賃という「債権」を持っているという形になります。
その為、この条文の範囲に入ってしまうのです。
そしてこの国税徴収法ですが正当な理由なく回答を拒否したり、虚偽の内容を回答したりすると
罰則があります
第百八十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第百四十一条(徴収職員の滞納処分に関する調査に係る質問検査権)の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき。
二 第百四十一条の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
三 第百四十一条の規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出したとき。
国税徴収法より
一年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する。
「なんだコレ?回答しなくてもいいか」はダメです。回答は必ずしましょう。
次は気になる個人情報保護法との兼ね合いです。
開示しても大丈夫

そもそもですが、個人情報保護法には例外規定があります。
(第三者提供の制限)
第23条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
一 法令に基づく場合
個人情報の保護に関する法律より
このように法令に基づいて開示を求められているものには適用されない訳です。
先ほどもご紹介した通り、この照会書は「国税徴収法第141条」を根拠としている訳ですから、開示したことで問題にはなりません。
もちろん、調査対象者の同意も必要はありません。
ただ、だからといって無条件に何でも回答すれば良いか?というと、私はそうは思いません。
ここからは私が回答する時に気を付けていることや、実際の回答方法についてご説明しようと思います。
管理会社が回答する場合の注意点

ここからは実際の回答方法についてご紹介しましょう。
実際の回答は「回答書」で返答します。
この照会書と一緒に「回答書」と「返信用封筒」が同封されており、この回答書と賃貸借契約書の写しをセットにして送付します。
ちなみにこんな感じになっています。

先ほどの照会書と書式はほぼほぼ一緒ですが、まずは回答者の住所氏名連絡先や記入日付を書きましょう。
住所や氏名は会社の住所や担当部署、担当者名でいいでしょう。
その他は質問事項を賃貸借契約書の記載事項を記入していけば良いだけです。
最後に賃貸借契約書のコピーを同封して返送すれば大丈夫です。
しかし、注意することもあります。
私が気を付けている点は
- 関係の無い方の個人情報は守る
- 対応が難しい場合には担当者に確認する
の2点です。
どういうことかというと
よくあるのが「調査対象者」が賃貸借契約書に記載されていない場合です。
どういうことかというと
例になりますが、調査対象者が (仮)山田 太郎 という名前だったとしましょう。
しかし、賃貸借契約書の名義には(仮)山田 花子 とあった場合です。
この場合、恐らくは山田太郎と山田花子は血縁関係などの関係はありそうな気がします。
ですが、山田太郎という人が賃貸借契約書の同居人にも記載が無い場合、本当に関係があるのかは立証しづらいですよね。
こうなると、問題は複雑です。
恐らくは家族や夫婦などの関係であると推測はされますが、賃貸借契約書上は記載が無いにも関わらず、この賃貸借契約書を開示してしまっても良いのだろうか?という疑問が残るのです。
例えば(仮)山田太郎という方が以前住んでいたかもしれないが、現在は同じ苗字の山田花子さんは他人だったら?と思ってしまいます。
先ほども申し上げた通り、この照会書を元に情報を開示しても個人情報保護法には当たらないのですが、万一、別人の情報を開示してしまったとしたらどうなるでしょうか?
その為、私はこういった状況の時はこうしています。
税務署の担当者に電話する
照会書も回答書も下の部分に担当部署と担当者の記載があります。
迷った時はこちらの担当者に電話しましょう。
先ほども書いた通り、わざと回答を拒否したり、虚偽の内容を回答したりすると罰則はありますが、担当者に確認すればそういった恐れはありません。
ちなみに先ほどの例の場合はこんな回答でした。
私「(仮)山田太郎が賃貸借契約書上に名義でも同居人でも記載がないんです」
税務署の担当者(以下 税)「現在の方ってどなたになるんでしょうか?」
私「それは言えないんですが、名前をお伝えしていいか判断がつきません」
税「あぁ、そうですよね、ちなみに(仮)山田太郎さんの名前は入居申込書等にもありませんか?」
私「どこにも記載がないんですよね」
税「そうですか、それであれば賃貸借契約書の有無の欄に無と記載して返送してもらえますか」
こんな感じでした。
こちらとしては協力したいが、開示していいものか迷う部分は確認しても良いと思います。
最後に、私はこういった公的なお問合せでも対応として決めていることがあります。
聞かれたこと以上の話はしない
仮に私が調査対象になっている入居者さんのことで知っていることが有ったとしても、聞かれていないことを自分から話すことはありません。
例えば電話口で聞かれてもいないのに「(仮)山田太郎さん、車は○○に乗ってますよ」とか「たしかお勤め先が〇〇に変わってましたよね」などとは話しませんし、管理会社としては話すべきではない気がしています。
もちろん、そういった質問が正式に聞かれたなら知っている範囲では答えます。
しかし、事実かどうか分からない内容や聞かれてもいない内容については話すことはありません。
これは個人情報の観点という面もあるのですが、縁あって管理物件に住んでいただいた入居者さんに関係の無い事項で、管理会社が追い打ちを掛けるようなことを気分的にしたくない。という個人的な感情だと思います。
いずれにしても、聞かれたことに真摯に対応するだけで十分責務は果たしていますので、無用なトラブルを避ける為にも「聞かれた範囲で答える」で正解だと思います。追加の質問が必要なら聞いてくることでしょうから。
いかがでしたでしょうか。
要は分からない点については「税務署の担当者に聞けばいい」ということなんです。
まだ対応したことのない方に役立つ内容であれば嬉しいです。
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