(2ページ目)事故物件の内側から飛び出してきたモノとは?

心臓が止まるかと思いました

異変あり

とある夏の暑い日に一本の電話がありました。

「窓ガラス越しに人が倒れているように見える」

ある物件からの連絡でした。

急いで駆けつけると、たしかに窓ガラス越しに人が横たわっているのが確認できます。

私はその時点で警察へ連絡しました。

なぜなら曇りガラス越しに既に変色しているのが分かったからです。

しかも、恐らく体液のようなものまで見えたため、残念ながら既に手遅れであろうことが分かりました。

数分後に警察官が来てくれました。

しかし、一つ問題がありました。

この物件にお住まいの方は私たちが管理を受ける前からお住まいの方で、この住戸の鍵は私たちも受け取っていないのです。

その為、鍵を開錠して室内に入るということが出来ないのでした。

いざ突入

一刻も早く出してあげたいのです

警察官も外から眺めて、最早手遅れであることを確認しました。

そうすると、警察の方が取る手は2つです。

鍵屋さんに開けてもらうか、窓ガラスを破るかの2択です。

時間は既に夜になり、馴染みの鍵屋さんは丁度別件ですぐには来れないとのこと。

しかし、私たちも一刻も早く出してあげたいものです。

幸い角部屋であったこと、1階であったことから居室の横の小さい窓を割って入ってもらうことにしました。

ちなみにこういった時には手順があります。

壊す箇所の前での写真撮影です。

警察としても了解のうえで壊すという証拠の為に、壊す前のガラスの前で私が指をさしている写真を取らねばなりません。

要は「管理会社の確認を取ってこの窓ガラスを割るよ」という写真になります。

交通事故の時なども損傷している箇所を指さして写真を撮りますが、似たような感じです。

既にオーナーさんには連絡済みだった為、オーナーさんの了解も得ています。

私は警察官の指示に従い、窓ガラスの前に立ち、建物に背を向けた状態で窓ガラスを指さします。

さあ、シャッターを切ろうとした、その瞬間でした。

ドン!!

背後のガラスを叩く音がしました。

私は心臓が止まる思いがしました。

まさか、と思いました。

私はあまりの驚きで声が出ませんでした。

警察官も「うぉっ」と声をあげました。

私はただ、写真を撮る警察官の方へ後ずさりするだけでした。

窓ガラスを叩いた正体は?

私は後ずさりして窓ガラスを見ました。

すると、ガラス越しに何かがいるのが分かりました。

その正体は入居者さんが飼っていた「犬」でした。

確かにペット可の物件でしたから予想は出来たかもしれませんが、すっかり失念していました。

一刻も早く出してあげねばとばかり思い、予想の範囲から消えておりました。

そこからは、あっという間でした。

ガラスを破壊し、警察官が中へ入ると1匹の小型犬を抱いて出てきました。

その後、やはり亡くなっていた入居者さんを無事運び出してくれました。

後日、検死で病気による突然死だったとのことを伺いました。

犬は一旦警察署で預かったのちに、ご遺族に引き渡されたとのことも報告を受けました。

警察の方に聞いたところ、ガラスを割って入った時にワンちゃんは既にこと切れた飼い主さんの近くに駆け寄り、近づく警察官を威嚇し、かなり吠えたようです。

恐らく最後まで飼い主を守ろうとしていたのではないか。とのことでした。

私は飼い主さんのことを考えていました。

警察官の方に聞いたところによると、亡くなった入居者さんは家族とも疎遠で、友人づきあいも希薄だったようです。

しかし、唯一の家族であるワンちゃんはしっかりと可愛がっていたのでしょう。

亡くなった時のことは知る由もありませんが、最後の瞬間に一人でなかったこと、誰よりも自分を大切に思ってくれる命がそばにいたことが故人の幸せだったらいいなと、とりとめのないことを思っていました。

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