
「内田さん、実家が物だらけで……。『捨てて!』と言うと、すぐに親と喧嘩になってしまうんです」
先日、事務所でそんなご相談を受けました。
当社は日本空き家サポートの空き家管理を行っている関係と、「空き家相談専門士」として、日々多くの空き家管理やご相談に対応しています。
その中でよく挙がるのが、冒頭の「実家の荷物多すぎ問題」です。
現在、日本全体で問題化している「空き家問題」ですが、その一つにこの「荷物多すぎ問題」があるのです。
相続したり、管理を任されるようになったが、荷物が多すぎて管理が出来ない。
片付けるにしても、働きながら少しずつやっていたのでは、いくら時間があっても足りない。
かと言って処分業者にお願いすると数十万~百万円単位を請求されそう。
しかし、いざ自分の親に片付けを切り出すとなると、法律や税金の話よりもずっと高いハードルが立ちはだかります。
それは「親のプライド」と「思い出への執着」です。
今日は、数々の現場を見てきた専門家として、そして一人の息子としての経験から、親御さんと揉めずに実家をスッキリさせる「内田流のコツ」をお伝えします。
なぜ、親は「捨てられない」のか?
そもそも、なぜ実家には物が多いのでしょうか?
「捨てる体力がないから?」「もったいない精神が強い世代だから?」確かに、そういった側面もあるでしょうが、一番ではないと思います。
一番は親世代にとっては物こそ「生きた証(あかし)」
だからなのだと思います。
私たち世代にとっての「不用品」でも、 そこにあるのは単なる「物」への執着ではなく、家族と過ごした「時間」への愛着なんですよね。
それを頭ごなしに「汚いから捨ててよ!」と正論(ロジック)で攻めても、人の心は動きません。
むしろ「私の人生を否定された」と心を閉ざしてしまいます。
正しさだけでは人は動いてくれないのです。
着なくなった衣類や、読まない本、五月人形や北海道土産の熊の置物、私たちにとっては不要な物、それら全てが長く生きてきた親世代の人生の「縮図」なんですね。
このポイントを理解しておかないと、荷物を減らす=私の人生の否定か!となってしまうので、前に進みません。
とはいえ、そのままでは、冒頭に挙げたように自分たちに不用品の山がやってきます。
魔法の言葉変換

では、どうすれば頑固な親心が動くのでしょうか。 まずは言葉を変えてみましょう。
「捨てる」という言葉は、今日から禁止です。代わりに使うのは「減らす」。
「捨てる」は喪失ですが、「減らす」は調整です。
この言葉の変換だけで、親御さんの心理的なガードはずいぶん下がります。
え?そんなことで?と思われるかもしれません。
実は、荷物が多いというのは実は親御さん自体も分かってはいるのです。
長く使っていない物があることも、いつかは処分しなければならないのも分かっているんです。
ただ、きっかけがない。
きっかけという名でやってきたのは、息子娘の「捨ててよ!」という姥捨て山扱いでは、反発するのも理解できませんか?
そして、その理由付けも大事です。
親御さん自身が「確かに、それなら減らした方がいいな!」と前向きに思ってもらう必要があります。
ここからは、おススメの方法をご教示します。
① 「安全のために」と伝える
「片付けて」ではなく、「床に物があると、転んだ時に危ないから、少し道を広げよう」「地震で荷物が崩れたら」「火事の時に逃げ遅れるとまずいから」と伝えます。
これなら、親御さんも「私の体を心配してくれているんだ」と、優しさとして受け取ってくれます。
② 「まず自分の荷物」から片付ける
実家に、学生時代の教科書やCDを置きっぱなしにしていませんか?
親御さんは、みなさんの痕跡を簡単に捨てられません。
それに甘えて実家にGLAYのベストアルバムやミニ四駆、学生時代弾いていたギター、部活のユニフォームなどを置いていませんか?
「人のことはいいから、まずあんたの物をどうにかしなさい!」と言われないよう、まずは自分の荷物を処分する姿を見せる。
「母さん、僕もこれだけ減らしたから、部屋がスッキリしたよ」と背中で語るのが一番の近道です。
③ 「大切なものが、ゴミ扱いされないために」と話す
これが意外と重要な視点です。 もし将来、業者に片付けを依頼することになった場合、彼らは「思い出の品」と「不用品」の区別がつきません。
すべてまとめて処分されてしまう可能性があります。
「お母さんが大切にしている着物やアルバムが、間違って捨てられたら悲しいよね。だから元気なうちに、本当に大事なものだけは分けておこう」
そう伝えると、親御さんは「自分の大切な物を守るため」に動き出してくれます。
そうコツは、簡単な言葉の「言い換え」だけだったりするんですよ。
思い出は大事

実家の片付けは、泥臭くて根気のいる作業です。
埃にはまみれるし、時には意見がぶつかることもあるでしょう。
でも、そのプロセスこそが、親子のこれからの関係を作る大切な時間なのだと思います。
「完璧」を目指す必要はありません。
住む人と家族が笑顔でいられる「最善」のバランスを目指して、少しずつ進めていきましょう。
もし、「自分たちだけでは手が付けられない」「何から手を付けていいか分からない」とお悩みでしたら、私、内田にお声がけください。
地域に根差した不動産屋として、皆様の想いに寄り添った解決策を一緒に考えさせていただきます。
正直、手に負えない時は下手に片付けるより、プロに任せるというのも手ではあります。
まとめとしては
人間というのは、正論による「説教」は大嫌いです。
みなさんだって、そうでしょう。
「私は褒められて伸びるタイプなんです!」という人はたくさん見てきましたが、「自分はガシガシ怒られて伸びたいんです!」という人はほとんど見かけません。
人間は自分のしてきたことを否定されてまで動ける人って中々いないですよ。
ましてや、親御さんにとっては、いい歳になったあなた方も、実家の写真の中では生まれてすぐの可愛い息子や娘の面影があるのですからね。
そんな子供たちも、今では実家を離れて暮らしている。
一緒に暮らすことは出来ない代わりに、いつでもみなさんを感じる物を残しておく。
そんな気持ち位は尊重してあげましょうね。
親御さんも、みなさんに迷惑を掛けたい訳でもないと思うんです。
きっと分かってくれますよ

