
同業者のグチ

ある日のこと、他社の管理担当さんと雑談をしていたところ
「最近、部屋を決めろ決めろと一人のオーナーからのプレッシャーがきつくてさ」
あるオーナーからのプレッシャーを掛けられているその担当さんは辛そうでした。
現状としては以下のようでした。
- 掲載や清掃なども一定の水準までは頑張っているつもり
- 近隣相場なども伝えているが中々理解してもらえない
- 提案もしているが飲んでもらえない
- 要求が高く、スタッフへのプレッシャーも強い
- 他のスタッフが段々とこのオーナーの物件に消極的になっている
- それも原因で決まらずに負のスパイラルになっている
なるほど、管理会社あるあるです。
管理会社のレベルや管理にどの程度力を入れているかは別として、この手の話はよくあります。
「管理会社にもっとしっかりして欲しいオーナー」と「やれることはやっているつもりの管理会社」の対立
本来、お互いの目的は「良好な賃貸経営」で一致しているはずです。
ですが、そこには「もっと求めたいオーナー」と「もっと評価して欲しい管理業者」で食い違います。
この場合、足りていない管理会社、求めすぎるオーナー、どちらも多くあるので、ここでは一概にどちらが正しいとは言えません。
しかし、このグチをこぼした管理会社の担当さんは私から見れば普段から合格点は十分に出せる位の管理会社と思えます。
そういった意味では負のスパイラルに陥っている今回のオーナーさんのプレッシャーは「失敗」といえます。
じゃあ管理会社へプレッシャーは掛けない方がいいのか?と言われたら、私は管理会社へのプレッシャーは「必要」だと思っています。
正確にいえば「適度な緊張感」は有った方がいい。
この適度な緊張感は管理業者に「気が抜けない」と思わせますが、「あのオーナーと関わり合いたくない」にはなりません。
そして、この適度な緊張感がある状態こそが最高のパフォーマンスが発揮できる状態なのです。
スポーツでも仕事でも「自由に何でも大丈夫・適当でもOK」というNOプレッシャー状態では油断・慢心などが起こりやすいものです。
「そんなことない、俺たちは自由にさせてくれた方がいい」という管理会社は胸に手を当ててみてください。
本当は「怒られたくない」「プレッシャーを受けたくない」だけでしょう?
でも賃貸経営の上手なオーナーさんを思い浮かべてみてください。「マズい結果は見せられない」という意識が少しあるでしょう?
だからといって苦手だとか、出来れば話したくないとは思わせない方々ではなく、むしろ良好な関係ではありませんか?
そう、賃貸経営の上手なオーナーさんは管理会社へのプレッシャーや緊張感の持たせ方が上手なのです。
適度な緊張感や良いプレッシャーは与えるけど嫌われない、むしろ良い結果と良い関係を作る!
そして管理会社にとっても適度な緊張感と良いプレッシャーというのは、オーナーとの対話の機会だったりもして、良い管理状態を作れるチャンスなのです。
「適度な緊張感はあるが、とても良好な関係」これこそが本来あるべき管理会社・オーナーの理想形だと思っています。
今回はこの管理業者へ適度な緊張感をもたらす「良いプレッシャー」と、管理業者に敬遠されたり、時には嫌われ、パフォーマンスが上がるどころか下がってしまう「悪いプレッシャー」を賃貸経営の上手なオーナー、いわゆる「名将」の事例などをご紹介しつつ、みなさんの賃貸経営に活かせる方法をご紹介してみようと思います。
オーナーとのパワーバランス

前提として、管理会社にとって一番最優先するお客さんは誰か?といえば「管理物件を預けてくれるオーナー」となります。
こんなことを書くと「おいおい、入居者はどうした」と言われるかもしれませんが、少しお待ちください。
管理会社の基本的な仕事というのは、どう取り繕っても
「オーナーの収益を最大限化すること」なんです。
じゃあ「入居者はどうでもいいってことか?」というとそうではありません。
「だからこそ、家賃を払っていただける入居者さんが大切なのです」
どうです?矛盾はしないでしょ?オーナーにとっても入居者さんというのは「家賃を払っていただけるお客様」な訳です。
オーナーが大事だからこそ、入居者さんを大切にしなければならない!ご理解いただけたことでしょう。
しかし、管理物件がなければお話にもならない訳ですから、やはりオーナーとの関係というのは管理会社は気になるものです。
そして、そういったオーナーさんと管理会社の関係というのは絶妙なパワーバランスが存在します。
もちろん、オーナー様様という場合もあれば、強気な管理会社も存在しており、あるいはオーナーさんによっても個別に違いがあります。
そういった立場も踏まえて本題に入っていきましょう。
大前提として
まず、これからの前提として「管理会社がある程度のことはしてくれている」という前提になります。
「それは怒っても仕方ないよね」というミスや無気力で怠慢ばかりの管理会社だった場合は別です。
そんな管理会社であれば「管理会社変更」一択です。プレッシャーを掛ける必要もないでしょう。
それなりのことはしてくれていると思うが「もっと良くしたい、パフォーマンスを上げて欲しい」という想いがある場合に限ります。
あくまで「管理会社と良い関係を築く」「もっと自分の物件で良い結果を出したい」という前提です。
そういった前向きなプレッシャーや緊張感の為の方法だということを前提に進めていきます。
悪いプレッシャーと負のスパイラル

まずは「悪いプレッシャー」とはどういったものでしょうか?
単純に言えば管理会社や担当者が委縮したりプレッシャーを受けて何も言えなくなるだけの状態にすることです。
この状態では事態が好転するどころか、冒頭のオーナーのように負のスパイラルに陥ることが珍しくありません。
そして、この状態の最大のデメリットがあります。それは
管理会社や担当が次の手を提案出来なくなることです。
これはどういうことかと言いますと、ある程度の管理会社や担当であれば当然空室の長期化に対して対策を提案するハズです。
この時に残念ながら効果が出なかった場合に管理会社はこう思うのです。
「前回聞いてもらって結果が出なかったのに、更に提案するのは図々しいかな?」
ましてやオーナーからの過度なプレッシャーが掛かっている状態では提案しても「前もそう言って埋まらなかったじゃないか?」「じゃあ最初からそうすれば良かったんじゃないか?」と言われてしまうことを恐れて提案が出来なくなってしまう場合があります。
オーナー側からすると「空室が長期化しているのに何も提案もない」となってしまい、オーナーとしては更に不満の溜まる状態になってしまい、更にプレッシャーを掛けざるを得ない状態になってしまいます。
これが負のスパイラルの正体になっているケースは多く見られます。
これは空室の問題だけでなく、他の問題でも大体はこんな経緯を辿ってしまい、オーナー、管理会社ともに苦しい状態になってしまいます。
冒頭のオーナーさんも正にこの状態に陥ってしまったのです。
「管理会社がそんな状態ではオーナーではどうしようもないじゃないか?」
お気持ちは分かります。不動産投資を志されたのですから、やはり物件のパフォーマンスは上げていきたいものです。
では、ここからは私が今まで見てきた賃貸経営の上手なオーナー=名将を事例に管理会社から見る「良いプレッシャーの掛け方、適度な緊張感を持たせ方」をご紹介してみましょう。
良い時のコミュニケーション

悪いプレッシャーを掛けてしまうタイプのオーナーに共通して多いのが
悪い時だけコミュニケーション過多
もちろん、問題点があるのですから当然管理会社や担当とコミュニケーションを取ることが必要なのですが、物件の状態が良い時には連絡やコミュニケーションは一切無いという方が多いものです。
対して名将たちは
良い時にコミュニケーションを取っておく
反対ですね。
物件の入居状況なども含めて良好な状態の時に管理会社や担当とコミュニケーションを計る方が多いのです。
用件としては「今入居も安定しているのでお礼に来ました」という内容だったりするのですが、そこで話すのは「次空室が出たらどうしていきましょうか?」や「これから問題が出そうなこととかあります?」などの話に繋がります。
そこでは、現在の状況が良いのも手伝って前向きで建設的な話し合いとなります。
良好な状態の管理会社からは「次回空いたら、最近のトレンドでこんな方法がありまして」とか「この状態であれば家賃を上げることも視野に」「そろそろメンテナンスの時期ですが、計画的に進めましょう」なども聞けるでしょう。管理会社も自信を持ってオーナーと話せるタイミングですから、基本的には前向きな意見が多く出ることでしょう。
また管理会社にとっては「お礼を言ってくれる律儀な方」とか「既に次の対策を見ている意識の高いオーナーさんだな」「日々の物件状況をしっかりと把握している方」という風なプラスの印象を持たせることが出来ます。
こういった良好なタイミングを狙って管理会社とのコミュニケーションを取ることで「建設的な意見交換」「お礼を伝えて好感を持ってもらう」「物件を把握しているという意識」という一石三鳥の結果を名将たちは無意識なのか意識的なのかを別として管理会社に与えるのです。
これらは「物件状況を把握している方にマズい所は見せられないな」という適度な緊張感に繋がっていきます。
適度な「貸し」を作っておく

管理会社というのは正直「板挟み」の連続です。
他人の所有物を他人に貸すお手伝いというもので、基本的に自分達の権限で何かできるという部分は少ないものです。
そういった中で管理会社に対して適度な「貸し」を作れるチャンスというのは随所にあるものです。
先日のこと、ある物件で退去した入居者がいました。
このお部屋では入居者の過失によりお部屋が傷んでおりました。
その為、入居者の方に当該箇所の原状回復費をご請求しましたが、払わないのです。国土交通省のガイドラインに照らし合わせても明らかな部分と請求額であるにも関わらずです。
しかも入居者の過失は明らかであるにも関わらず、かなり争う姿勢を出していました。
揉めそうなことを含めてオーナーに相談したところ、あっさりと「その部分はいいですよ、大丈夫です」と言ってもらったそうです。
管理担当も対応に苦慮していただけに大変助かったそうです。
このオーナーさんは我々と同じく不動産業の方で当社に管理を任せてくれていますが、普段からこういった困ったタイミングでは何かと融通を聞いてもらっています。
そういった「恩」もあり、入居やその他の点で挽回しようという意識が働いているのか、当社に預けている全物件が良好な状態です。
もちろん、この方から「今回は貸しですよ」などとは聞いたことがありませんが、こういった細かい部分の恩というのが色々な部分で効いてきます。
だからといって「何でも飲まないといけない」「融通をいつでも聞かないといけない」という訳ではありません。
何でも聞いてしまうと無理難題ばかり降ってくるようになってしまいます。
あくまでも「適度に」というのと、相手が困っているなど「感謝や恩」と思えるかどうか?の見極めが大事です。
あまり打算的になりすぎると良くないのかもしれませんが、こういった「適度な貸し」は必ずプラスになって返ってくるものです。
これも管理会社や担当としては「あの時助けてもらっているしな」という意識や「恩返ししたい」という前向きな動機になるのは間違いありませんからね。
私自身、今思い起こしても「名将」達への「借り」はいまだに返せていません。
常に借りが残っていますが、現状は良好な状態であることが名将たちの名将たる所以なのかもしれません。
感じる他社の影

当社によくお越しいただくオーナーさんがおります。
この方とは毎回楽しい話題だったり、私が勉強になるような話を聞かせてくれます。
個人的にも好きなオーナーさんなのですが、当社のエリアとは別の都道府県にも物件を所有しています。
そちらの物件の様子や首都圏の最近のトレンドなどもオーナーさんから聞くのですが、そういった会話からも
「そうだよな、他の管理会社ともお付き合いあるんだもんな」と実感するのも事実です。
その方から「他の管理会社はこうなんだから」とか「他の管理会社に変えようかなー」というプレッシャーを掛けられたこともありません。
ご本人にもそのような意識は感じられません。毎度お会いする度に感謝を伝えらえれ、次回の方針などを話して建設的な会話ばかりです。
それでもそういった「他社の影」というのはやはり意識するものです。
ですが、これはさじ加減が大変重要だと思っています。
あくまで「匂わせる」程度で十分だと思います。
ニュアンス的には「いつもありがとう、本当に信用しているよ」という感情を相手に持たせていながらも「私は他社だったり、不動産業界のことも分かっているよ」が伝わる程度で十分です。
「私が他社で持っている物件ではー」とか「他社ならこんなことないのに」とばかり言ってしまうと過度なプレッシャーになってしまうこともあります。
私が出会ってきた名将たちも「いくつかの不動産会社」と取引があることは分かりながらも、脅しはしない。
勝手に管理会社が他社に負けじとパフォーマンスを上げている!
名将たちはこんな印象を持ちます。
管理会社というのは得意な部分が様々です。
大手には大手の良さが、中小には中小の良さが、時には担当レベルでも変わります。
しかし、こういった「勝手に管理会社が張り切る」緊張感は相互にいい影響をもたらすこともあるといえます。
同じオーナーさんを管理している他社さんと話していても、名将たちの物件は不思議とお互いに良好な状態であることが多いものです。
これは複数の管理会社と付き合った方がいいというよりは「不動産業界のこともある程度把握しているよ」という無言のメッセージが「適度な緊張感」に繋がっているのだと思っています。
やっぱりコミュニケーション力
いかがでしたでしょうか。
どれにも共通しているのがコミュニケーションの取り方ということです。
プレッシャーもコミュニケーションの一つではありますが、やはり前向きで建設的な関係を築くことが最良であることは疑いようがありません。
もちろん、ハッキリと言わねばならない場合などもありますが、根底にはお互いに良好な状態を作っていこうという信頼関係を築いていく作業なのだと思います。
管理会社はもちろん慢心・油断をしてはいけませんし、プロとして最良の提案をしていくことが責務になります。
そういったお互いの信頼関係を築く為にも、やはり「適度な緊張感」というのは必要だと管理会社の立場からも思います。
お問い合わせ
-

【エリアの見分け方】その地域、ファミリー需要があるのか?「ケーキ屋」で見る街の実力
不動産投資や物件購入を考える際、エリア選びは非常に重要な要素です。 家賃相場や駅からの距離、治安や学校の評判など、さまざまな視点から検討されると思いますが、今回は少しユニークな “エリアの見極め方” をご紹介します。 もちろん、そのエリアを確認する場合には、賃貸ポータルサイトや路線価、その他様々なデータを分析することは当然のことと思います。 しかし、そういった数字のデータ以外にも重視すべき視点の一つとしてご紹介してみようと思います。 これは特にファミリー需要を調査する時に参考にするのです。 それは―― 「その地域にケーキ屋(お菓子屋)があるかどうか」を見る という方法です。 どういうことなんでしょう。 ケーキ屋は“生活水準”のヒントになる そもそも、ケーキ屋さんは、日常生活に必ずしも必要な施設ではありません。 ドラッグストアやスーパーと違い、嗜好品に分類されるお店です。 それでもなお、その地域でケーキ屋が成立しているということは、そこに“少しの余裕”のようなものがあることを示しています。 ケーキ屋に行く時というのは、どういう時でしょうか? 手土産としてお菓子を買う 自分や家族へのちょっとしたご褒美にスイーツを楽しむ 来訪者へのお茶菓子 もちろん、お子さんへの誕生日ケーキなどの習慣も含まれますが、その地域に根差しているケーキ屋(お菓子屋)というのは、基本的には近くの方の上記のような習慣で成り立っていることが多いのです。 逆にいえば、そのようなお店がある場合は 「この地域の人は上記のような習慣を持ち、それなりの所得水準であろう」という推論が成り立つわけです。 そうした「消費のゆとり」がある地域には、一定の所得水準・文化的関心・住民の安定した生活が見られることが多いのです。 もちろん万能であるはずもないが さて、ここまで読んだ方の中には 「私の住んでいる地域にはケーキ屋がないが、安定した地域だ」「ケーキ屋の有無で決めつけるな」というご意見があろうかと思います。 当然ですね、ケーキ屋がなければダメなエリアかという訳ではありません。 単に用途地域の関係でケーキ屋が法律上作れないエリアはかなりありますし、ケーキ屋の有無で全てが分かるほど万能ではありません。 これは、地域の賃貸需要、エリアの調査を数多く行ってきた私の経験則から出た一種の「あるある」です。 私自身、エリアを見る時には「近隣の商業施設」を確認します。 その地域が住みやすいか否かは、地域の商業施設の数や種類にも左右されますからね。 その中で「このエリアは賃貸需要高いな・・」と思うエリアの多くにケーキ屋があることが多かったのです。 また、その理由を考えた時には上記のような理屈があるんだろうな。という帰結です。 なのでケーキ屋は判断材料の一つと捉える程度です。 ケーキ屋チェックの活用法 では、その調査方法ですが、簡単です。 Googleマップで「ケーキ屋」「洋菓子」で検索してみる 個人経営のお店が複数あるかを確認(大手チェーンよりもローカルが◎) 周辺の飲食・小売店舗とのバランスを見る できれば長年やっているお店があれば高評価 もちろん、これだけで全てが判断できるわけではありませんが、複合的な指標のひとつとしては非常に有効です。 街の“余白”を読む 「ケーキ屋がある=豊かで良い街」と断言はできませんが、 “余裕のある消費”が日常に存在する街は、投資先としても住環境としても安定している可能性が高いです。 実は私の持論は他にもあるのですが、文章でお伝えするのが難しい感覚や、一部の人にとっては不快な表現になってしまう可能性もありますので、ご興味がある方は、お会いする機会などがあればお伝えしたいと思います。 路線価や用途地域などのデータや数字以外にも、不動産の目利きにはたくさんの見方があると思っています。 そういった視点をもつことで、他の人には見えない需要を掴むチャンスが増えるかもしれませんからね。
-

不動産相続で人生を狂わせる子どもたち ~「欲しい」人ほど失敗し、「要らない」人が育てる~
不動産投資をしている大家さんの多くが、「この物件や資産をいずれは子供に遺したい」と考えています。 その気持ちは非常によく分かります。 自分が長年かけて築いてきた資産を、次の世代に引き継ぎたいというのは、親として自然な想いでしょう。 しかし、私たち不動産業者として現場を見ていると、「資産を遺すこと=幸せを遺すこと」には必ずしもならない現実があります。 今回は、不動産や資産を遺す前に「本当に託してよいのか?また、託すためにはどうするのか?」というテーマを書いてみたいと思います。 遺したい「親」が見ることが出来ない、不動産を遺した未来と現実をご紹介してみましょう。 子供に遺した結果、逆効果となるケース まずは、資産を残されたことが本人の為にならないケースです。 親の資産に依存してしまい、定職に就かず、浪費を繰り返し、結果として物件を次々と売却。 その資金も消費や借金返済に消えていくという、非常に悲しいですが、これは定番事例でもあります。 私たち不動産業者はこのようなケースをたくさん見てきました。 「親御さんが今の姿を見たらどんなに悲しむことだろう」とやるせない気持ちになります。 資産があるという甘えから、自分の人生に対する真剣さが薄れているのでしょう。 将来の見通しが甘くなり、地に足のついた計画を立てる力を失ってしまうのです。 他には、親の遺した資産を元手に、十分な準備や経験がないまま安易に起業や独立をしてしまう人もいます。 一見、志のある行動のように見えても、実際には経営の厳しさや責任を理解しておらず、結果として失敗することが少なくありません。 親の遺したものが、かえって子供の人生を狂わせる。 時に「この人は親御さんからの資産さえ無ければ、真面目で真っ当な人だったのかもしれないな・・・」とやるせない気持ちになることがあります。 せっかくの愛情が、自分のいない世界で、子供の生きる力を奪ってしまう。という悲しい現実です。 成功する相続には教育が欠かせない 一方で、しっかりと時間をかけて資産形成や不動産経営について教育してきた大家さんの子供たちは、むしろ「資産は自分で作りたい」「親の物件は必要ない」と言うことがあります。 まったく親御さんの資産をあてにしていないのです。 それでも、いざ相続するときには冷静に事業を引き継ぎ、むしろ改善・成長させていく力を持っています。 皮肉なことに、資産を「欲しい」と言っていた人よりも、「いらない」と言っていた人の方が、成功する傾向にあるのです。 この矛盾の背景には、“資産を持つ覚悟”と“自立心”の差があります。 不動産経営は、決して楽なことばかりではありません。 入居者対応、資金繰り、税務管理、修繕計画など、実務は多岐にわたります。 しかし、そういった試練や知識なども親御さんから受け継いでいた結果、残された資産を浪費することもなく、実り多い物として受け継いでくれるのです。 また、これは不動産に限ったことではなく、現金や株なども含めて全ての資産に共通することですが「扱えない人には時に毒にすらなる」という視点は大切かもしれませんね。 前段ではネガティブな事例を挙げましたが、大多数はこのパターンです。 そもそも、資産を遺したいという愛情をもって育てる過程で、このように資産を扱う教育というものを重視しているのでしょう。 遺すのは「資産」だけでなく「生きる力」も ドラマや映画などでは「相続」はドロドロしたり、骨肉の争いのように描かれることが多いものです。 しかし、現実には遺された資産により救われていたり、親御さんへ感謝している場面がほとんどです。 ドラマのような事態にならない為には、受け取る側の「生きる力」や「自立心」のような物が必要なのでしょう。 私も子供がいますが、子供たちには「生きる力」を身に付けておいて欲しいと切に願います。 私は今のところ渡せるような「資産」は持ち合わせていないので、揉めることもなさそうですけどね・・・ いずれにしても、あなたが大切に思っているお子さんに最初に遺すべきは、あなたの「人生を生き抜いてきた経験や力を教えること」であることは間違いないようです。
-

地域の発展なくして、不動産の発展なし 〜賃貸需要は「人」と「仕事」が生む〜
さて、内田の雑談シリーズです。 今回はタイトルの通りですが、賃貸需要の考え方を書いてみようと思います。 よく、他エリアの方から当社エリアのことを聞かれます。 霧島市や姶良市の説明をするときには「京セラ、ソニーなどの工場があり・・・」「高専や大学もあり・・・」という説明になるのではないでしょうか。 当たり前の話ですが、地域の賃貸需要は「人」と「仕事」です。 何もない荒野に立派なマンションを建てれば人が住み、地域が発展するでしょうか? 賃貸物件に人が集まるのは、そこに「生活の基盤」があるからです。 そしてその基盤とは、言い換えれば「仕事」です。 仕事があれば人が住み、人が住めばサービスが生まれ、街がさらに豊かになっていきます。 逆に、仕事のない地域には人は集まらず、どれだけ綺麗な物件を建てても空室リスクは高まります。 では、どうすれば地域に仕事が生まれるのでしょうか。 それは「商業」から始まります。小さなお店でも構いません。 飲食店、物販、サービス業…どんな形でも、まずは地域に根差した商業が増えることで、雇用が生まれ、人が集まり、街が動き出します。 私たちは賃貸管理という仕事をしているので、この当たり前の循環を忘れがちになりますが、この地域の発展の順番を邪魔してはいけないと考えています。 とある町の失敗 私は不動産業が、この失敗をしてしまった町をいくつか見たことがあります。 とある町で、地域の特色を活かしたお店が数件立ち並んでいました。 個人商店の集まりでしたが、物珍しさもあって町に活気が出てきました。 その地域が久々に脚光を浴びたその時でした。 エリアが栄えようとし始めた雰囲気を察知したとある不動産業者が、その周辺の一等地の土地を取りまとめて、アパートを建設していったのです。 そのアパートは埋まりました。 そうすると、二匹目のドジョウを狙い、様々な賃貸物件が周辺に次々と建設されました。 明るい兆しが見えていたその町は、あっという間にアパートが立ち並ぶ町となりました。 数件のお店が栄えていたのを見て、似たような商売をしようとした人たちのスペースは無くなってしまいました。 するとどうでしょう。 そのエリアの成長はストップしてしまいました。 風情ある街並みが普通の住宅地になってしまいました。 私はその不動産業者が悪いとは言えません。先見の明で取りまとめた結果ですからね。 ただ、少し時期尚早だった気がしています。 その通りがもっと栄えていたなら、もっとたくさんの人で賑わうエリアになったかもしれない。 そうなってからでも遅くはなかったような気がします。 結果、その通りでいくつかあったお店もいつしか活気が無くなり、残ってはいますが立ち並んだアパートも空室が増えてきたのです。 タラればですが、もう少しそのエリアが発展すれば、賃貸需要ももっと大きくなり、もっと価値が生まれていたのではないかと思います。 健全な発展とは? これは私のイメージですが、町の発展はこのような形になっていると思います。 中心街は商業で栄えており、人が多く集まります。 そして、その周辺に働く人や住みたいと思える人達が居住してくれる。 中心の商業地が大きければ大きいほど、周辺の居住地も自ずと大きくなっていくわけですね。 先ほどの失敗例では、その商業地を居住地として早くに手を付け過ぎた結果、商業が膨らみ切れなかったのです。 せっかく大きくなる可能性のあった円を小さく留めてしまいました。 その結果、居住地の円も小さくなってしまいました。 不動産業も商売ですから、利益を上げることは重要です。 しかし、不動産業は「地域の発展があってこそ」という視点を忘れてしまうと、いつかは自分たちの首を締めてしまうという点に注意をしなければならないと思います。 この中心の円が大きければ大きいほど、我々不動産業も恩恵を得ることが出来るのですからね。 我々の規模では、街づくりという大きなお仕事は難しいかもしれません。 それでも「町の発展は商業が先」というのは信じております。 最近はSNSやネットの力で、小規模なお店でも世界から人を呼ぶことが出来る環境が整いつつあります。 私たちに出来ることは、そういった方たちへのチャンスを作ること、邪魔をしないことじゃないかなと思います。 そういった方々が成功することで、ようやく我々不動産業は発展することが出来るのですから。
-

【リニューアルオープン】「湯治の宿 妙見館」~心と体の湯治体験を~
新館完成 × 既存客室フルリニューアル 霧島の自然豊かな地に佇む宿「湯治の宿 妙見館」が、ついに2025年、新館の建設とともに大規模リニューアルを実施し、新たなスタートを切りました。 そんな話を聞きつけた温泉好きな私は居ても立っても居られません、レッツゴー 今回はおススメの景観も含めて、素晴らしい妙見温泉の魅力も含めてご紹介したいと思います。 湯治の湯として有名【妙見温泉とは】 まずは妙見館のある妙見(みょうけん)温泉のご紹介です。 鹿児島県霧島市は県内でも有数の温泉地です。 平安時代には、すでに温泉が湧いていたと伝えられていますが、現在の源泉は明治28年に妙見神社の旧跡から発見されたことにより「妙見温泉」と呼ばれ、多くの人に愛されております。 歌人である斎藤茂吉は「日当山 妙見 安楽 塩浸 湯は湧きいでて くすしき国ぞ」という歌を残しています。 また、妙見温泉は「湯治の湯」として有名です。ちなみに「湯治(とうじ)」とは、古くから日本で行われてきた温泉療養のことです。 数日〜数週間、温泉地に滞在して、温泉に繰り返し入ることで体の不調を改善するとされており、現代風にいえばストレス解消やデトックスに通じる文化ですね。 周辺にはたくさんの温泉宿が立ち並んでいます。 心と体に優しい温泉だそうですが、なにがそんなにいいのだろう? そう思いながら向かいました。 【アクセス】圧倒的な森と水が癒してくれる さあ、向かいましょう。 妙見館の地図はこちらです。 霧島市街地からだと、日当山駅方面から国道223号を北上します。 道中は天降川(あもりがわ)を眺めながら、川に沿って北上します。すでに眺めがいいです。 夏は窓を開けて走ると、清流のひんやりとした心地いい空気を感じられます。 しばらく走ると画像のように、一気に温泉宿が集中するエリアになります。 ここが妙見温泉です。 この交差点を右へ曲がると妙見館への橋になります。 宿の名前に「湯治」が入っているんですね、楽しみです。 この橋を渡るのですが、この橋が異世界感を出してくれており、ワクワクしました。 橋の上から見ると二つの川が合流する場所です。写真では分かりづらいですが、水の透明度は高く、エメラルドグリーンのような色です。 恐らく温泉の成分などが影響しているのでしょうか、写真左側の天降川の方が緑の発色が強い気がしました。 橋を渡り左側に進むと、妙見館の駐車場があります。 ちなみにバスなどで行く場合は、歩行者専用の橋があります。 この橋は妙見館直結のような感じで、橋の名前が「虹のつり橋」だそうです、ロマンチック そして、こちらがリニューアルされた「妙見館」です。 左側に見える4階建に見える建物が、今回新たに新築された「新館」だそうです。 虹のつり橋からロビーへ直結しています。 圧巻の湯量と芯から温まるお湯 妙見館は当然宿泊もありますが、立ち寄り湯もあります。 温泉だけ入る場合はフロントにある箱に大人500円 中学生以下300円を入れればOKです。 おぉ、なんて人を信頼したシステムだ!と思いましたが、ちゃんと入口にはカメラがありました。 しかし、温泉に来るような人にそんな悪い人はいませんよね。と思いました。 脱衣所はリニューアルされ、かなりキレイになっています。 トイレなどもキレイですね なんだこのお湯は?いつまでも持続する温かさ さあ、温泉に入ります。 ちなみに温泉は2か所あります。 本館の上階にあるお湯がこちらです。 入った第一印象は スゴい湯量だ! 絶えず大量の温泉が湯舟に流れています。 それもそのはず、妙見館は毎分300ℓの湧出量をほこる源泉を、かけ流しで注ぎ続けているそうです。 もうね、音が違います。 常に循環し続けるお湯が最高でした。 泉質は 泉質ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉(低張性・中性・高温泉)泉温源泉49.3度効能きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症、筋肉若しくは慢性的な痛みまたはこわばり、胃腸機能の低下、軽傷高血圧、疲労回復、健康増進 などだそうです 入った瞬間 あぁぁぁぁあ~ と声が漏れる位いいです。 この辺りの温泉は鉄分を多く含んでいるそうで、お湯の色は黄色に近いんでしょうかね。 本当に体の芯からポカポカして気持ちいいんです。 先ほど書いた通り、絶えず大量のかけ流しがありますので、お湯が私を通り抜けていくような肌触りがとても気持ちよくて、何だか心も体の内部も洗い流されていく感覚がありました。 とても不思議な感覚でしたね。 こちらが下の階のお湯です。ほぼ川と同じ高さで窓を開けると川が見えて気持ち良かったです。 但し、こちらの温泉は先ほどのつり橋から見える位置にありますので、ご注意を はぁー、さっぱりした!とお湯を出た私に、妙見館のオーナーさんが 「どうぞ、お水をたくさん飲んでくださいね」とお水をいただきました。 お礼を述べて、一杯いただくと 「もっと飲んでおいてもいいと思います」とのこと 私は「そんなに水飲まなくても大丈夫だけど・・・」と頭の上に?が浮かんだその時 この妙見館がなぜ「湯治の宿」と呼ばれているかを初めて知ることになりました。 なんと お湯を出てからも汗が出続けていたのです。 本当に体の芯の芯まで温まった結果、うっすらと汗が出ていました。 オーナーも「ここのお湯に入ると芯から温まった結果、入ってる間も、出てからも発汗作用があるんですよ」とのことでした。 なるほど、このように体の表面だけではなく、内臓や体の芯まで温めるこのお湯が正に「湯治の宿」と呼ばれる所以なんだろうと実感しました。 しかも、自分から流れる汗は、普段のべたべたするような汗ではなく、サラッとした心地のよい汗で、しばらくすると肌がいつもより、ツヤが出てきました。 大したスキンケアなどをしない、40を超えた私の肌でも実感が沸くのですから、美容の湯としても有名というのは、こういうところなんだろうな!と感動しました。 リニューアルされたキレイな客室 続いて、今回リニューアルで生まれ変わった客室をご紹介いたします。 こちらが今回新築された新館、こちらの客室はなんと、各お部屋でも温泉が楽しめるようになったとのことです。 それでは室内の写真をご紹介します。 室内は当然ながらピカピカで、全体的に和モダンの落ち着いた造りです。 そして、私が思う新館の推しポイントが この天降川と2つのつり橋と、目の前に広がる、渓谷の緑を望む眺望です。 正直、最高です。 ボーっと眺めているだけで、普段のストレスが飛んでいく気がします。いや飛びました。 しかも、もっと最高なのが 客室のタイプによっては、客室バルコニーが露天風呂になっているんですね。 「え?外から見えるんじゃないの?」とご心配のあなた 心配ありません。 この柵はレバーをクルクル回すことで、閉じることも出来ます。 今回新たに生まれた新館は、この絶景を一人占めできるような感覚になります。 このお湯に入りながら、川のせせらぎを聞きながら、渓谷の山々を眺めるのは最高ですね。 内湯になっているお部屋もあるみたいですね .写真を撮り忘れてしまいましたが、洗濯機が室内にあり、着てきた衣服を洗濯して次の日はキレイな状態で持って帰れます。 充実の共用スペース オーナーさんは旅行が好きで、アフリカや各国を旅してきた方で、みんなが使える共用スペースには、各地の情報誌もたくさん置いてあります。 ちなみにオーナーさんは英語対応可です。 外国から来られる方とのコミュニケーションも大好きだそうで、和やかで気さくな方なので、お時間あればお話しをしてみてください。 特にアフリカの話はめちゃくちゃ面白かったです。 こちらは自炊スペースです。 素泊まりを選択して、周辺で買ってきた物で自炊が可能です。 長期滞在すると掛かるコストを低減して、ながーく楽しめる宿にしたいとのお話でした。 調理器具も充実してます 他にも本館の方には、今回のリニューアルを機に様々なタイプのお部屋が誕生しました。 画像の2段になった客室は、下のフロアではプロジェクターでシアタールームにもなるという変わり種。 やはりお子さんに大人気だそうで、秘密基地感がありますね。 その他にもシングルの長期ステイに向く、シンプルイズベストなタイプのお部屋もあり、各お部屋にそれぞれ特徴のある個性的なお宿になっています。 上段も下段も布団がありますが、下はシアタールームになっています。 こちらはシングルルームのシンプルなお部屋です。このクオリティで宿泊価格はビックリの格安でした。 周辺の景色 写真だと分かりづらいのですが、目の前の山はかなりの高さで、緑に圧倒されます。 心地よい音の天降川(あもりがわ)です。 下の川では鮎釣りをしている方も 清流の証ですね。 妙見館一階では川を目の前にすることもできます。 ちなみにこの空きスペースは今後、みんなが楽しめる物を作る計画があるそうです。 楽しみですね。 周辺は散策するのに、良いコースで、穏やかな表情で散歩している方を見かけました。 虹のつり橋からの妙見館 こんな大自然の中を芯から温まった体で歩くのは気分が良かったです。 こちらはcafeすが商店 妙見館に泊まる時はこちらで朝食付きプランもあるそうです。 妙見館からは、虹のつり橋を渡った対岸すぐにあります。 ここで食べられるソフトクリームは、まじで美味しいですよ。 こちらはご夫婦で営まれています。 コーヒーも絶品です。 私が「コーヒー美味しいですね」と言うと 「この辺りは水がとてもいいので、コーヒーも引き立つのよ」 とのこと、確かにこの大自然が育んだ水は美味しいだろうなと思いました。 「でも、一番は私たちの腕かな」と笑っていらっしゃいました。 気さくなご夫婦で、幸せな気分になりました。 しかもこちらの喫茶店、夜になると地下にあるカラオケスペースが開店します。 本格的な音響設備とステージがありました。 正直、このステージで熱唱してみたいと思いました。 今だからこそ「湯治」という文化を 昔は今ほど医療や薬が発展していませんでした。 だからこそ、心身の不調を身近にあるものや自然から得られるもので回復していたのです。 医療や薬が発達した現代では、昔でいう湯治という役割は少しずつ変わってきているのでしょう。 しかし、今回私が「湯治の宿 妙見館」で体験した結論としては 現代だからこそ、「湯治」が必要なんじゃないかな? と思いました。 現代社会では、確かに病気などは医学で治せるものが増えてきています。 ですが、複雑になった社会で我々の心と体は疲れ切っています。 今私たちに必要なのは 心と体を芯から温めて、雄大な大自然を見ながら散歩して、何も考えない時間 そしてそれを提供できるのは 昔ながらの「湯治」という文化なのかもなぁ。と思いました。 初めて来た場所なのに、なぜか懐かしさを感じて 何もしない贅沢さを実感しました。 今日もお疲れのみなさん、あなたがすべきことは 「湯治」かもしれませんよ ご予約やお問合せはこちらから https://www.yado-sagashi.net/yoyaku/plan/index2.jsp?beg&all&yid=91629652182847 館名湯治の宿 妙見館住所〒899-6507 鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4235電話番号0995-77-2211妙見館ホームページhttps://myokenkan.com/インスタグラムhttps://www.instagram.com/myokenkan/
-

不動産業者として、LGBTQのお部屋探しでできることを本気で考えた話
現状を嘆くよりも さて、LGBTQのお部屋探しというテーマでブログを書こうと思います。 まず最初に断っておく事項として、私自身がまだLGBTQというテーマは勉強中です。 十分な知識のない私自身が、LGBTQというテーマでブログを書くことは、無自覚に当事者を傷つける可能性もあることから、これまで書くことをためらっておりました。 しかし、ある時にこう思いました。 「LGBTQは専門ではないが、不動産はプロである。そしてLGBTQの人たちがお部屋探しで苦労してほしくない」 「LGBTQの人たちについて論ずるのではなく、不動産業者としてLGBTQのお部屋探しのコツなら手伝えるのではないか?」と まず、前提としてLGBTQの方のお部屋探しは大変であると思います。 理由としては 法律上(契約上)の立場の問題 不動産業で従事している人のLGBTQへの理解度 プライバシーの問題 が大きいと思います。 この理由への対策について書いていこうと思います。 各地でパートナーシップ宣言が採択され、理解や周知が進む状況ですが、各法律や慣習によりまだまだ整備はされていません。 今回はそんな現状でもお部屋探しを行いやすい方法やアドバイスなどを踏まえてご紹介していこうと思います。 そしていつの日か、全ての人が何の気兼ねもなくお部屋探し出来る未来になればいいと本気で思っています。 その前進に少しでも寄与できたら嬉しいです。 【現実:同性カップルは「ルームシェア」扱いになることが多い】 基本的なお話をすれば、LGBTQであろうがなかろうが、一人暮らしでは当然通常通りの契約となります。 わざわざ、LGBTQであることを明かす必要もないでしょう。 一人暮らしである方が、LGBTQか異性愛か等は、本来賃貸借契約に関係は無いですからね。 問題は2人暮らしの場合です。 異性のカップルであれば、契約名義人をどちらかが担い、連帯保証人を立てることでスムーズに契約が進むケースが一般的です。 一方で、同性のカップルの場合は、「友人同士のルームシェア」と判断されることが多くなります。これは偏見からくるものではなく、あくまで「そのようなケースが多かったから」という不動産業界の経験則によるものです。 これまでのルームシェアの中にもLGBTQの方がいたのかもしれませんが、当時は「友人同士だろう」と判断されたのでしょう。 また当時は今よりも偏見や差別的な目で見られることも多かったことでしょうから、中々当事者の方々も言い出しづらい風潮であったことは想像に難くありません。 そういった状況で「友人同士のルームシェア」を装わざるを得なかったのかもしれません。 しかし、同性同士のいわゆるルームシェアは以下のような懸念から、大家さんや管理会社が受け入れに慎重になる傾向にあります。 どちらかが家賃を滞納した場合のリスク 仲違いによる早期退去の可能性 原状回復費用の分担トラブル こうした背景から、「同性カップルだから審査に落ちた」という事態も、実は“悪意ある差別”というよりは、制度的な未整備と業界の慣習による側面も大きいと考えています。 【対策:カミングアウトすべきか?】 「では、LGBTQであることを事前に伝えるべきか?」この質問に対して、私は現場の人間として「絶対にそうすべき」とは言い切れません。 なぜなら、現状ではまだ 契約形態が整っていない 不動産業者や大家側の理解が十分ではない という実情があるからです。 たとえば、「2人で連名で契約したい」と希望されても、多くの場合は「どちらかが契約名義人になってください」と求められます。これは制度や慣習の問題であり、個人の偏見とはまた別の課題です。不動産業者もカミングアウトされた場合の対応方法や賃貸借契約の条文で「どう配慮すればよいのか分からない」というのが大半になるのではないでしょうか。 また、カミングアウトを受けた場合に、従業員がアウティング(他者の性的指向(例えば、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル)や性自認(例えば、トランスジェンダー)を、本人の同意なしに第三者に伝える行為)してしまう恐れもあるからです。 プライバシーをしっかりと守るなどの事業者側のモラルや制度も必要です。 この点についていえば、国土交通省などがガイドラインなどを出していただければありがたいなと考えています。 現在、多くの不動産業者はLGBTQのお部屋探しに前向きである企業の方がほとんどだと思います。 対応に迷うことなく受け入れが出来るように、対応方法や賃貸借契約のひな形などを作成してもらえると、不動産業者は不安が取り除かれると考えます。 期待している「パートナーシップ制度」 LGBTQの方々が少しでも安心して生活できるようにと、近年多くの自治体で導入が進んでいるのが「パートナーシップ制度」です。 これは、法律上の結婚とは異なるものの、同性のカップルなどが「お互いを人生のパートナーと認め合っている関係」であることを自治体が証明する制度です。 この証明書があることで、以下のような場面で活用されることが増えてきました。 病院での面会や手術の同意 住宅の契約時に「家族に準じる関係」として扱われる 公営住宅や社宅への入居条件の緩和 緊急連絡先・扶養関係などの場面での配慮 まだ法的な婚姻と完全に同等ではありませんが、「この人は大切なパートナーです」と公に示せる手段として、多くのLGBTQ当事者にとって大きな意味を持っています。 不動産契約においても、この証明書を提示することで、対応に前向きな大家さんや管理会社も増えてくるのではないかと思っています。少しずつではありますが、「制度」があることで周囲の理解や対応が進むきっかけになっていると感じています。 当社のある鹿児島県霧島市にも確認したところ、現在「パートナーシップ制度」の導入に向けて制度設計を議論しており、早期に開始できるように努力を進めているとのことでした。 【具体的な工夫とアドバイス:LGBTQの方がお部屋探しを進めるために】 それでは、ここからは現在の状況の中で、出来る現実的な方法について書いてみようと思います。 1. 事前に信頼できる不動産会社を探す LGBTQフレンドリーな対応を心がけている不動産会社や担当者を選ぶことは、とても重要です。最近では、LGBTQ当事者の方々の声を受けて、対応マニュアルを整備している会社も増えてきました。 インターネットやSNSで「LGBTQ 不動産」などで検索すると、実際に対応経験がある会社が見つかることもあります。また、suumoなどの大手ポータルサイトでも「LGBTQフレンドリー」というチェック項目があり、企業や大家側がLGBTQに積極的に受け入れを表明することの出来る仕組みも登場しています。 2. 希望条件を整理しておく パートナーとの暮らしを考えると、以下のようなポイントを事前に話し合っておくと、スムーズに部屋探しが進みます。 どちらが契約名義人になるか 家賃負担の割合や支払い方法 万が一の解約時の取り決め(書面で残すのが理想) パートナーシップ証明書の提出可否 実際に契約の場になった時に、迷いや不安が少ないほど、不動産会社側も安心して対応ができます。 3. パートナーシップ制度を活用する 自治体によっては「パートナーシップ制度」を導入しており、これを使うことで「関係性の公的な証明」が可能になります。 まだ法的な婚姻と同等ではありませんが、制度に理解のある管理会社やオーナーであれば、これがポジティブな材料として捉えられることもあります。 不動産会社に相談する際、「〇〇市のパートナーシップ制度を利用しています」と伝えることで、話がスムーズに進むこともあるのです。 4. 初期費用や保証人について柔軟に考える 同性カップルの場合、親を保証人に立てにくいといった事情もあるかと思います。その場合は「保証会社を利用し、連帯保証人不要物件を探す」という選択肢が一般的です。不動産業界でも保証会社に加入してもらえるのであれば、連帯保証人は必須ではない。というスタンスの大家や管理会社も増えてきています。 また、契約者を1人にしつつも、同居人としてきちんと申請することで、トラブルを未然に防ぐこともできます。 不動産業者ができること、これからの課題 LGBTQの方々のお部屋探しに関する問題は、法制度だけの問題ではありません。私たち不動産業者がどれだけ柔軟に対応できるか、理解しようとする姿勢があるかが問われていると日々感じています。 「同性同士のルームシェア」=リスクではなく、背景を理解する 名義人や契約形態に関しても柔軟に相談できる体制づくり お客様のプライバシーを守る接客 こうした当たり前の配慮が、少しでも「安心できる住まい探し」につながっていけばと、心から願っています。 私自身、まだまだ学びの途中です。ですが、プロの不動産業者として「誰かのお部屋探しが少しでも良いものになるように」という気持ちは本当です。 社会の価値観や制度は、少しずつ変わってきています。そして今、変わるべきは制度や法律だけでなく、私たち「現場」で働く一人ひとりの意識ではないかと感じています。 LGBTQの方が、自分自身のことを話さなければいけないか悩んだり、見えない壁にぶつかってしまうような住まい探しではなく、「この街で暮らしたい」「この人と暮らしたい」という純粋な気持ちを大切にできる社会であってほしい。 そのために、不動産業者としてできることはまだまだたくさんあります。 小さな工夫、小さな配慮の積み重ねが、いつか「誰にとっても当たり前の安心」につながると信じて、これからも取り組んでいきます。





