
賃貸管理に従事していると人間の喜怒哀楽に触れる機会が多くあります。
人が大部分の時間を過ごす「家」
そのため、我々は時として喜ばしいこと、怒り、悲しみ、楽しみを他の職業の方よりも近い距離で感じることがあります。
時にそれは最上の喜びになり、「賃貸管理って素敵な仕事だな」と思えることもあれば、「知りたくなかったな」ということも正直あります。
今回はその中で私が経験したことの中で特に印象深い件をお話していこうと思います。
※このお話しはだいぶ前のお話であり、当時の会社に勤めていた頃のお話です。最近の法令や慣習などに当てはまらない表現や行動なども含まれます
始まりは家賃の滞納でした。
とあるマンションにお住まいのここではAさん(男性)とします。
Aさんの住んでいる物件は当時勤めていた会社の管理物件で繁華街まで近いマンションでした。
1ルームで広さは4.5畳程度ですが、近隣の物件と比較しても賃料が安く、他の入居者も単身ばかりで、多くは学生さんや新社会人の方が多く住むマンションでした。
このAさんが少しずつ滞納がかさんで来てしまい、ある日とうとう連絡が途絶えてしまいました。
契約書で見るとAさんの経歴は以下のようでした。
・年齢22歳(当時)
・男性
・仕事は派遣社員で某工場勤務
・連帯保証人はお父さんで一般の会社員
・残っている身分証の写真からは茶髪でいわゆるロン毛のような状態
私は途中からこの件を引き継いだのですが、現地に行っても会えず、携帯は「お客様のご都合により~」で繋がることはありませんでした。
やむなく勤務先へ連絡すると「1か月ほど前に退職している」とのこと
お部屋へ訪ねてみると、ガスが止められており、電気水道はつながっているようでした。インターホンは鳴るが返答はありませんでした。
こうなってしまっては連帯保証人であるAさんのお父さんに頼る他なく、お父さんへ連絡をしました。
数コールですぐにつながりました
「もしもしAさんのお父様でらっしゃいますか」
その言葉を言い終わるか否かの前にお父さんから
「うちの息子は今どこでなにをしているのですか?」と逆に質問をされました
珍しいケースです。
通常はたいてい「はい?不動産屋さん?何の用ですか?」といった反応になります
これは何か事情があるのだろうと思い詳しくお話しを聞いてみることにしました。すると
・一月前からお父さんの自宅にたくさんの督促状などが届くようになった
・肝心の息子に連絡するがつながらない
・今どこで何をしているか分からない
とのことでした。
そして一番衝撃的だったのが、
「そもそもそのマンションに住んでいることも知らないし、連帯保証人になったつもりもない」
とのことでした。要は本人が連帯保証人としてお父さんを書いたが、以前の管理会社が入居審査などを行わずにスルーしてしまった。
なんてことだ・・・なんてことだ・・・
確かに賃貸借契約書の字も本人と筆跡が酷似しているし、肝心の印鑑証明書もありませんでした。
どんな審査をしてどうやってくぐり抜けてしまったのかは今となっては知りようもありません。
とはいえ、お父さんからすれば息子の手掛かりを知る管理会社の私の協力が必要、私も最早手掛かりはお父さんのみという状況でしたので、一旦利害が一致しました。
私は家賃が未納である旨を伝えましたが、お父さんは「私も十分な蓄えがなく、余裕がない」とのことでした。また、連帯保証人を承認している訳でもなかったため、一旦お父さんへのご請求は待つことにしました。
しかしこのままではお互い前に進まないため、お父さんに住所を教えて、仕事終わりのお父さんとAさんのマンションで落ち合うことにしました。
季節は確か11月頃でした、非常に寒い日でした。約束の7時になると鉄筋コンクリートのマンションは冷えきり、まるで建物自体が氷かのように寒さを私に伝えてきました。
私は緊張していました。それは今まで集まった情報を組み合わせると最悪の事態も予想されたからです。
そうしている内にお父さんが来ました。
お父さんは当時でたしか50歳程でしたが、私の目にはもっと歳が上に、60半ばに見られるようでした。
身長160cmくらいでかなり痩せていて、初対面でも心労により顔に生気がない様子が見て取れました。
スーツはお世辞にもキレイとはいえず、ヨレヨレで元は紺だったのでしょうが、擦れて変色までしていました。
頭髪も整髪料などつけず、少し薄くなった髪も歳を上に見させていたのかもしれません。
長いベルトの肩掛けカバンを持っており、走ってきたのか、緊張からか息が上がっていました。
簡単に挨拶を済ませると私は本題を切り出しました。
「今日立ち合いのもとお部屋に入りませんか?」
連絡が取れず、会社も辞め、ポストと実家にたくさんの督促状、周りの住民もしばらく見ていない。
最悪の事態も予想される中で選択肢はもうこれ以外ありませんでした。
まずはドアポストを開けることから始めます。
私は嫌な能力なのですが、中からする匂いで「死臭」というものがある程度分かります。
人が亡くなってすぐでは分かりませんがある程度たつと大体共通した匂いになります。今までの経験上も「このニオイ」というものがあります。
この「ニオイ」ですが何とも形容しがたいですが、聞かれて答えるなら「味噌と醤油を混ぜて焦がして腐らせた」という感じでしょうか。
ドアポストを開けて少し匂いを嗅いでみます。この時点で心臓はバクバクです。
中からは異臭はしますが、少なくともそれではありませんでした。
いよいよ合鍵で開錠します。
扉を開けてまずは声を掛けますが返答はありません。気が気でないのか、お父さんは私を押しのけ、明かりをつけて中へ入っていきました。
中はひどい有様でした。
そこかしこに弁当のゴミやペットボトル、異臭の正体はこれだったのでしょう。
炊飯器にはカビの生えたご飯がそのまま、雑誌や服なども雑多に置いてありました。
私は一通り浴室やベランダなどを確認しますが、本人はいません。
私はどうやら最悪の事態は回避できた、恐らく夜逃げだろうかと思って胸をなでおろしているとお父さんが部屋の真ん中で俯いています。
私に背を向けて一点を見つめていました。
何を見ているのかなと後ろから覗き込んだら床の上にあるマンガ雑誌にペンで
「ごめんなさい」とだけ書いてある文字でした。
誰に向けての何の「ごめんなさい」なのかは分かりません。ただ「ごめんなさい」としか書いてありません。
しかも雑誌にペンでメモ書きのように書いてあります。手紙などでもありません。
それを見つめているお父さんは背中越しでも肩を震わせて泣いているのが分かりました。
私は何とも声を掛けることもできずに、しばらく部屋のあちこちを眺めていると唐突にお父さんが話し始めました。
「この子は小さく産まれましてね、小さいころからなるべく強くなるようにと思って、、」
そこまで話すと続きは話せなくなりました、ただ肩を震わせていました。
しばらくして少し落ち着いたお父さんとはそこで別れました。
翌日、こちらから催促していないにも関わらずお父さんから滞納分の家賃を支払うとの連絡がきました。
その後も毎月の家賃をお父さん名義で振り込んできました。
その後しばらくして、私がその会社を退職することになり、Aさん親子の結末を知ることはできませんでした。
ブログを書くことになって今までの経験を思い出そうとしていたら久しぶりにこの件を思い出しました。
あの時お父さんには何も声を掛けられませんでした。
あの日は自宅に帰り、自分の息子をギューっと抱きしめたことを覚えています。
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管理スタッフよ!時にはブチギレてみよう ~深夜のどんちゃん騒ぎを解決してみよう~
夜中に大騒ぎする入居者にブチギレた話 騒音問題というのは非常に難しいものです。 これまで何度も取り上げてきましたが、借地借家法という本来「弱者の味方」であった法律の現在が「好き勝手する人すら守る」悪法ではないかと思うことが多々あります。 大昔は悪徳な大家や不動産業者が横暴なことをしてしまうケースが多かったものです。 そういった大家や不動産業者から入居者を守ることを目的に「借地借家法」は制定されました。 主旨としては「よっぽどのことが無い限り、入居者を大家や不動産業者が追い出せないようにする」という素晴らしいものでした。 しかし、時を積み重ねた結果、何が起こったかというと ルールを守らない人すらも追い出せない結果、99%の善良な入居者が迷惑する。という事態を頻発させております。 騒音問題だけでなく、家賃滞納、入居者同士のトラブルなど枚挙に暇がありません。 簡単にいえば「深夜に悪意をもって騒音を出す人」ですら、もし解約して退出してもらうには、かなりの時間や費用、裁判上での手続きなど途方もない労力が掛かってしまいます。 その間に周りの善良な入居者は耐え忍ぶ、もしくは泣き寝入りするしかない現状です。 ここまでが前段です。 とあるお部屋からお願いにも似た苦情がありました。 「深夜の2時~3時にも関わらず、大声で歌ったり、大人数で騒いでおり、困っている」 当初はここまでの熱量を掛けるような問題とは認識していませんでした。 深夜の酒盛りと大人しそうな入居者 その入居者さんは大変参っており、当社へ直接お越しいただくことになりました。 そこで録音していたというデータを持ってきていただきました。 あまりにも騒音が酷く、確認の為、ベランダに出てみると確実に隣であると分かったから録音したとのことでした。 そこには ウウェーイというような奇声 一気飲みを煽るようなコール 大声で歌いだす これは酷い すぐさま当該入居者に連絡をすることにしました。 しかし、不思議な気もしていました。 たしか、そのお部屋に住んでいるのは大人しそうな女性のお一人暮らしだったハズでは?と・・・ 詳細は伏せますが、確か大人しそう、なんなら礼儀正しい内気に見える女性だったと記憶していました。 早速本人に連絡すると電話が繋がりました。 私「最近、騒音のご連絡が来ていますが、お心当たりありますか?」 女性「・・・・いえ、一人で住んでいて、友達も来ていないので・・・・」 私「うーん、でも○月○日に複数のお部屋からお声が寄せられていて、確実に○○さんらしいですが、本当にお心当たりないですか?」 女性「・・・すみません、気をつけるようにします」 このようなやり取りで初日は終えました。 誤解のないように申し上げますが、騒音問題というのは98%位は手紙や電話での注意で解決します。 大体の方は自分が騒音の原因と気づいた場合、その原因の音に注意してくれます。 但し、この98%をくぐり抜けた残り2%に対して、借地借家法が防波堤となり、非常に対応が困難になるのです。 しかし、その為にも初期対応は迅速に丁寧に行う必要があります。 今回もこれで収まってくれれば。と思い、お隣の方に説明して様子を見てもらうこととしました。 しかし、当然この騒音は止まらなかったのです。 お次は連帯保証人さんである親御さんへ協力も依頼しました。 しかし、連帯保証人さんは「うちの子がですか?」「はい、すみません注意しておきます」とのこと。 そう、確かに、この期に及んでもまだ私すらも「あの子が大騒ぎするかな?」と思っており、親御さんもそう思ったことでしょう。 結論からいえば、これでもまだ解決はしませんでした。 そして、お隣の入居者さんから「昨日も酒盛りのような宴会みたいな音がありました、もう限界です」との連絡 また他にも「下の駐輪場にバイクが何台も雑に置かれているので、今もいると思います」とのこと 私は騒音問題というのは、それでも慎重に対応すべきとは思っております。 騒音の範囲というのは人によってかなり違います。 少しの生活音すら許さないというタイプの人もいますが、それで注意されたらお隣の人は普通に過ごすことができません。 管理会社としては、よくよくその状況を見極める必要はあろうかと思います。 今回は状況調査や複数人からの聞き取り、なによりしっかりとした録音の証拠なども揃っておりました。 また生活音ではなく、複数人による酒盛りのような状態です。 再三の注意や諭すような声掛けもなしのつぶて いざ!直接対峙しましょう さあ、いざブチギレてみよう 現地に向かうこととしました。 そして、前もって聞いていたことを整理してみます。 恐らく5~8人程度はいそう バイクが何台も雑多に停めてある 声からして20歳前後であろう ほー、なんだか荒れそうな気もしますね。 念のため、当社の男性スタッフも2人連れていくことにしました。 一人はベンチプレス130kgで身長180超えの猛者です。 そう、その通りです。 私も好戦的な方ではありませんから、保険を掛けまくっているのです。 もちろん、そういった事態にならないことは大前提ですが 現地に着きます ピンポンを鳴らします。 出てきません・・・ 到着時にしていた声も鳴りを潜めています 実はこの時点で少し安心しました。 なるほど、自覚はあるのか。と 騒いでいたら誰かが来たという自覚はあるんだと しかし、私はせっかく来たからには解決せねばなりません。 他の業務で忙しいスタッフたちを2人も連れてきて空振りでしたはダメです。 少し音量と声の低さを効かせて呼びかけます 「○○さん、いるのは分かっているので出てきてもらえませんか?」 ドアが空きました。 そこにいたのは、契約者の○○さん本人でした。 「あーあ、やっぱり本人だったか」と思いました。 私はひそかに名義貸しのような状態ではないかと思っておりました。 そうでなければ、入居時に来てくれた大人しそうな子がそんな騒音を出すハズがない。と思いたかったのかもしれません。 私「○○さん、今日来たのは騒音の件です。昨日の夜もすごかったみたいですが」 ○○さん「・・・すみません、気をつけますので・・・」 やっぱりおかしい。 ○○さん本人は蚊の鳴くようなか細い声で、申し訳なさそうです。 こんなことを自らしでかしそうには到底思えません。 私は玄関から室内の様子を伺おうとしました。 私「○○さん、今部屋に誰かいませんか?」 ○○さん「いえ・・・私一人です・・・・」 その瞬間、私は半開きだったドアを手前にグイッと大きく開きました。 ○○さんがビックリしてのけぞった瞬間に玄関から奥の部屋に続くガラス戸が見えました。 ガラス戸は割れており、そこには 靴を履いたままの足が見えました。 もう遠慮はいりません 「おい!奥にいる人全員出なさい!」 すぐには出てきません 「さっさと出てきなさい」 ここで皆さん思いませんでしたでしょうか。 ブチギレてみようと言った割に言葉遣いはそこまでじゃないじゃないか。実際はブチギレてなんかないんじゃないか?と 実は内田はブログだけは威勢がいいが、実際は陰キャなのではないか? 陰キャなのは事実ですし、ブログだけ威勢がいいのも事実かもしれませんが、実際はしっかりと怒っています。 これはですね どんなに怒り心頭に発したとしても敬語やいわゆるタメ口は使ってはいけないからです。 タメ口や変な二人称などを使うと、それは喧嘩です。 またそういった言葉を使ってしまうと、余計な一言を言ってしまいがちです。 こちらは不動産業者という、ただでさえイメージの良くない業界です。 脅迫や名誉棄損、侮辱罪に抵触しないようにする為にも敬語口調は崩さない方がいいですね。 逆に言葉の音量やトーンなどは、個人の主観によるものが大きいと思います。 要は「文字起こしして、文章として見た時に大丈夫か否か?」で判断することは大事ですね。 私が使った言葉はどれにも当てはまらないのではないでしょうかね。 いつでも訴えられても大丈夫な言葉遣いは必須なのです。 これも管理スタッフのブチギレ作法といえるでしょう。 話を戻しましょう。 すると、観念したのでしょうか、奥から5人ほどの若者(男性)がゾロゾロと出てきました。 私「さっさと出ておいでよ、なんで女の子一人を前に出して隠れるようなことするんだ」 男「いや、別に・・・」 私「あなた方が騒いだ結果、追い出されるのは○○さんで責任も○○さんが取ることになる」 男「いや・・・」 私「ここは溜まり場でもなければ、あなた方の酒盛り場でもない」 私「大体、人様の家に来て大騒ぎするってどんな神経してるんだ」 他にも事実確認や、出てきた男の子たちの素性を確認していきました。 そして最後に「下のバイクはあなた達のか?」と聞くと「そうです」とのこと。 「今から下に行ってさっさと片づけしてきて」 そして引率として当社の社員ベンチプレス130kgに付いていってもらいました。 その間に○○さんにも諭します。 「親御さんも心配しているし、何よりここを溜まり場にしてしまった責任はあります」 「これからはしっかりと生活を立て直してください」 ○○さん「はい・・・すみませんでした・・」 恐らくは一人暮らしを始めたタイミングで、そのようなグループとの接点が出来てしまったのかもしれません。 被害者としての側面があったとしても、彼女もまた加害者です。しっかりと責任を感じて欲しいと思います。 そして、下の片付けを終えた子たちが戻ってきました。 最後に 「これから同じことを繰り返したら、その瞬間に私は何度でも来るので、二度とここで大騒ぎをするな」 「そして、次に私が来ることがあったら、警察に通報するか、それ以外の方法を使ってでも、必ずあなた方が後悔するようなことを私はしますよ」 と諭しました。 最後に騒音問題で苦しんでいた方に報告の電話をしました。 「もうしないと思いますが、また騒ぐようなことがあれば連絡ください」と それから数カ月経ちましたが、それ以降連絡はないようですし、周辺の方からも「最近は静かになっているよ」と聞きました。 一件落着です 時には力技も必要かも、但し細心の注意を いかがでしたでしょうか。 賃貸管理では、時に常識が通じない相手というのもあります。 そんな時には少々粗い対応の方がいい場合もあります。 とはいえ、全員におススメはしません。 私は比較的大柄な男性ですし、今回の相手はまだ年端もいかない若い青年たちでした。 だからこそ、このような結果になっただけという結果論かもしれません。 それでも、このエピソードは管理スタッフのトラブル対応の基本があると思います。 それは どんなに感情が昂ったとしても敬語を崩さないようにする(音量は多少OK) 一人で対応しない(出来れば上司と対応する) 相手を追い詰める時はしっかりと証拠を揃えておく このポイントが言いたいだけです。 実際は感情的にブチギレることは、百害あって一利なしです。 今回私も「ブチギレた」というものの、実際にはそのように見えるように「振舞った」だけです。 相手によっては、管理会社から怒りの表現を見せることが有効な時もあると思っています。 だからといって私のとった対応がベストだとは思っていません。 もっと上手なスタッフなら、こんな方法を取らずに解決できたことでしょう。 まだまだ精進が足りませんね、いつか言葉や論理だけで解決できるようになりたいものです。
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賃貸管理の原理原則|なぜ当社は「オーナーファースト」を貫くのか
誤解を招きやすい言葉だから説明したい この記事を書いているのは2025年参議院選挙の前日です。 今回の選挙では「日本ファースト」という言葉が頻繫に飛び交っていますね。 少し前ですとアメリカ合衆国でも「アメリカファースト」を掲げたトランプ大統領が当選しましたし、東京都議会選挙では「都民ファースト」が旋風を巻き起こしました。 さて、この「○○ファースト」ですが、我々賃貸管理会社にも命題となる問いがあります。 オーナーと入居者、どちらを優先すべきか? 我々、賃貸管理会社で働く人間は常にこの間に立たされます。 このオーナーと入居者は頻繁に相反関係になりやすいものです。 例えば家賃一つとってもそうでしょう、入居者さんは出来る限り安い方がありがたいですし、オーナーさんは高い方がありがたい。 では、その間に立つ管理会社は「○○ファースト」はどこに置くべきなのか? これに対する私の答えは 賃貸管理会社は「オーナーファーストであるべき」 正直、これ以外の答えはないと思っています。 管理会社の使命とは何か?「オーナーファースト」の真の意味 賃貸管理会社の存在意義は、突き詰めると「物件オーナーの資産を守り、育てること」に尽きます。 物件の維持管理、入居者対応、家賃管理、リフォーム提案——その全ての根底にあるのは、「物件オーナーの収益を守る」という視点です。 ここまで読むと「ケッ!金持ちの犬が!」と思われるかもしれませんが、そうではありません。 なぜこれほどまでに「オーナーファースト」が大事なのでしょうか? 理由は非常にシンプルです。 オーナーの収益が守られなければ、賃貸物件そのものが市場から消えてしまうからです。 みなさんはご存じでしょうか? 全国的に公営住宅が次々と減少しているということを? そう、この人口減少社会と公営住宅の維持が負担となっており、各市町村からどんどんと公営住宅は減ってきています。 国としても住まいの確保は民間の力が無ければ維持していけないのです。 そういった状況で仮に賃貸物件を所有する方の収益がなければ、どうなるでしょうか? 入居者様がどれだけその物件を気に入っていても、収益が立たない物件を維持し続けることは不可能です。 物件が消えれば住まいも消え、入居者様の「安心して暮らせる場」もなくなってしまいます。 つまり、賃貸物件はどう取り繕っても、所有者の収益を守ることが大前提となるのです。 入居者を軽視してよいという話ではない ここで誤解されがちなのは、「オーナーファースト=入居者軽視」ではないということです。 むしろ、オーナーを大切にするからこそ、入居者も大切にするべきなのです。 なぜなら、オーナーにとっての一番のリスクは「空室」です。 空室は収益を失うだけでなく、物件価値そのものを下げる要因にもなります。 だからこそ、私たち管理会社は「入居者様に選ばれ続ける物件」であるよう、清掃・修繕・苦情対応に全力を注ぎます。 良い入居者様が長く住んでくれれば、それが一番オーナー様の利益になりますし、同時に入居者様にとっても「安心・快適な暮らし」が実現します。 例えば間違った「オーナーファースト」を掲げて、入居者軽視をした場合、短期的にはオーナーが助かるかもしれませんが、そんな横暴なことをしてしまっては入居者さんはその物件に見切りをつけて、引っ越してしまい、結局はオーナーファーストを守ることは出来ないでしょう。 つまり、本当にオーナーファーストを貫くためには、入居者様を大切にしなければならないのです。 だからこそ、時には入居者軽視に流されそうになるオーナーさんを諌めたり、入居者の住環境維持や満足度向上を絶えずオーナーさんへ提案するのです。 短期的にはオーナーさんも出費になり辛いかもしれませんが、長期的にみた収益を守る為に提言するのです。 その順番をはき違えず、感情に流されずに、正しいバランスで立ち回ることこそが、管理会社としての使命だと私は考えます。 哲学がブレない組織であるために では、なぜそんな誤解を招きそうなことを表明するのか?という問いには 当社のスタッフが迷いなく行動が出来る為です。 冒頭に書いたように、我々賃貸管理会社というのは本当に様々な問題が発生します。 答えが一つでない問題を前にした時の為に、価値判断基準を設けておくことが必要なのです。 「オーナーのために」——この軸さえブレなければ、日々の判断や行動に迷いはなくなります。 そしてその延長線上には、必ず入居者さんの満足、ひいては地域全体の暮らしの質の向上があると信じています。 「原理原則」と「オーナーファースト」は当社において大事な価値判断基準になっています。 今回の選挙もどういった結果になるのかは分かりません。 世の中には多様性や自由を求める声も多く、本来は歓迎されることと思います。 しかし、その多様性や自由は時に判断を難しく、また結果責任が伴います。 当社では私が最終的な責任を取る立場にある以上、この価値判断基準を掲げています。 スタッフが現場で迷いなく判断できるように 物件のオーナーさんと入居者さんが共に満足いただけるように そんな理想を追い求めながら今日も頑張っていこうと思うのです。
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【エリアの見分け方】その地域、ファミリー需要があるのか?「ケーキ屋」で見る街の実力
不動産投資や物件購入を考える際、エリア選びは非常に重要な要素です。 家賃相場や駅からの距離、治安や学校の評判など、さまざまな視点から検討されると思いますが、今回は少しユニークな “エリアの見極め方” をご紹介します。 もちろん、そのエリアを確認する場合には、賃貸ポータルサイトや路線価、その他様々なデータを分析することは当然のことと思います。 しかし、そういった数字のデータ以外にも重視すべき視点の一つとしてご紹介してみようと思います。 これは特にファミリー需要を調査する時に参考にするのです。 それは―― 「その地域にケーキ屋(お菓子屋)があるかどうか」を見る という方法です。 どういうことなんでしょう。 ケーキ屋は“生活水準”のヒントになる そもそも、ケーキ屋さんは、日常生活に必ずしも必要な施設ではありません。 ドラッグストアやスーパーと違い、嗜好品に分類されるお店です。 それでもなお、その地域でケーキ屋が成立しているということは、そこに“少しの余裕”のようなものがあることを示しています。 ケーキ屋に行く時というのは、どういう時でしょうか? 手土産としてお菓子を買う 自分や家族へのちょっとしたご褒美にスイーツを楽しむ 来訪者へのお茶菓子 もちろん、お子さんへの誕生日ケーキなどの習慣も含まれますが、その地域に根差しているケーキ屋(お菓子屋)というのは、基本的には近くの方の上記のような習慣で成り立っていることが多いのです。 逆にいえば、そのようなお店がある場合は 「この地域の人は上記のような習慣を持ち、それなりの所得水準であろう」という推論が成り立つわけです。 そうした「消費のゆとり」がある地域には、一定の所得水準・文化的関心・住民の安定した生活が見られることが多いのです。 もちろん万能であるはずもないが さて、ここまで読んだ方の中には 「私の住んでいる地域にはケーキ屋がないが、安定した地域だ」「ケーキ屋の有無で決めつけるな」というご意見があろうかと思います。 当然ですね、ケーキ屋がなければダメなエリアかという訳ではありません。 単に用途地域の関係でケーキ屋が法律上作れないエリアはかなりありますし、ケーキ屋の有無で全てが分かるほど万能ではありません。 これは、地域の賃貸需要、エリアの調査を数多く行ってきた私の経験則から出た一種の「あるある」です。 私自身、エリアを見る時には「近隣の商業施設」を確認します。 その地域が住みやすいか否かは、地域の商業施設の数や種類にも左右されますからね。 その中で「このエリアは賃貸需要高いな・・」と思うエリアの多くにケーキ屋があることが多かったのです。 また、その理由を考えた時には上記のような理屈があるんだろうな。という帰結です。 なのでケーキ屋は判断材料の一つと捉える程度です。 ケーキ屋チェックの活用法 では、その調査方法ですが、簡単です。 Googleマップで「ケーキ屋」「洋菓子」で検索してみる 個人経営のお店が複数あるかを確認(大手チェーンよりもローカルが◎) 周辺の飲食・小売店舗とのバランスを見る できれば長年やっているお店があれば高評価 もちろん、これだけで全てが判断できるわけではありませんが、複合的な指標のひとつとしては非常に有効です。 街の“余白”を読む 「ケーキ屋がある=豊かで良い街」と断言はできませんが、 “余裕のある消費”が日常に存在する街は、投資先としても住環境としても安定している可能性が高いです。 実は私の持論は他にもあるのですが、文章でお伝えするのが難しい感覚や、一部の人にとっては不快な表現になってしまう可能性もありますので、ご興味がある方は、お会いする機会などがあればお伝えしたいと思います。 路線価や用途地域などのデータや数字以外にも、不動産の目利きにはたくさんの見方があると思っています。 そういった視点をもつことで、他の人には見えない需要を掴むチャンスが増えるかもしれませんからね。
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不動産相続で人生を狂わせる子どもたち ~「欲しい」人ほど失敗し、「要らない」人が育てる~
不動産投資をしている大家さんの多くが、「この物件や資産をいずれは子供に遺したい」と考えています。 その気持ちは非常によく分かります。 自分が長年かけて築いてきた資産を、次の世代に引き継ぎたいというのは、親として自然な想いでしょう。 しかし、私たち不動産業者として現場を見ていると、「資産を遺すこと=幸せを遺すこと」には必ずしもならない現実があります。 今回は、不動産や資産を遺す前に「本当に託してよいのか?また、託すためにはどうするのか?」というテーマを書いてみたいと思います。 遺したい「親」が見ることが出来ない、不動産を遺した未来と現実をご紹介してみましょう。 子供に遺した結果、逆効果となるケース まずは、資産を残されたことが本人の為にならないケースです。 親の資産に依存してしまい、定職に就かず、浪費を繰り返し、結果として物件を次々と売却。 その資金も消費や借金返済に消えていくという、非常に悲しいですが、これは定番事例でもあります。 私たち不動産業者はこのようなケースをたくさん見てきました。 「親御さんが今の姿を見たらどんなに悲しむことだろう」とやるせない気持ちになります。 資産があるという甘えから、自分の人生に対する真剣さが薄れているのでしょう。 将来の見通しが甘くなり、地に足のついた計画を立てる力を失ってしまうのです。 他には、親の遺した資産を元手に、十分な準備や経験がないまま安易に起業や独立をしてしまう人もいます。 一見、志のある行動のように見えても、実際には経営の厳しさや責任を理解しておらず、結果として失敗することが少なくありません。 親の遺したものが、かえって子供の人生を狂わせる。 時に「この人は親御さんからの資産さえ無ければ、真面目で真っ当な人だったのかもしれないな・・・」とやるせない気持ちになることがあります。 せっかくの愛情が、自分のいない世界で、子供の生きる力を奪ってしまう。という悲しい現実です。 成功する相続には教育が欠かせない 一方で、しっかりと時間をかけて資産形成や不動産経営について教育してきた大家さんの子供たちは、むしろ「資産は自分で作りたい」「親の物件は必要ない」と言うことがあります。 まったく親御さんの資産をあてにしていないのです。 それでも、いざ相続するときには冷静に事業を引き継ぎ、むしろ改善・成長させていく力を持っています。 皮肉なことに、資産を「欲しい」と言っていた人よりも、「いらない」と言っていた人の方が、成功する傾向にあるのです。 この矛盾の背景には、“資産を持つ覚悟”と“自立心”の差があります。 不動産経営は、決して楽なことばかりではありません。 入居者対応、資金繰り、税務管理、修繕計画など、実務は多岐にわたります。 しかし、そういった試練や知識なども親御さんから受け継いでいた結果、残された資産を浪費することもなく、実り多い物として受け継いでくれるのです。 また、これは不動産に限ったことではなく、現金や株なども含めて全ての資産に共通することですが「扱えない人には時に毒にすらなる」という視点は大切かもしれませんね。 前段ではネガティブな事例を挙げましたが、大多数はこのパターンです。 そもそも、資産を遺したいという愛情をもって育てる過程で、このように資産を扱う教育というものを重視しているのでしょう。 遺すのは「資産」だけでなく「生きる力」も ドラマや映画などでは「相続」はドロドロしたり、骨肉の争いのように描かれることが多いものです。 しかし、現実には遺された資産により救われていたり、親御さんへ感謝している場面がほとんどです。 ドラマのような事態にならない為には、受け取る側の「生きる力」や「自立心」のような物が必要なのでしょう。 私も子供がいますが、子供たちには「生きる力」を身に付けておいて欲しいと切に願います。 私は今のところ渡せるような「資産」は持ち合わせていないので、揉めることもなさそうですけどね・・・ いずれにしても、あなたが大切に思っているお子さんに最初に遺すべきは、あなたの「人生を生き抜いてきた経験や力を教えること」であることは間違いないようです。
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地域の発展なくして、不動産の発展なし 〜賃貸需要は「人」と「仕事」が生む〜
さて、内田の雑談シリーズです。 今回はタイトルの通りですが、賃貸需要の考え方を書いてみようと思います。 よく、他エリアの方から当社エリアのことを聞かれます。 霧島市や姶良市の説明をするときには「京セラ、ソニーなどの工場があり・・・」「高専や大学もあり・・・」という説明になるのではないでしょうか。 当たり前の話ですが、地域の賃貸需要は「人」と「仕事」です。 何もない荒野に立派なマンションを建てれば人が住み、地域が発展するでしょうか? 賃貸物件に人が集まるのは、そこに「生活の基盤」があるからです。 そしてその基盤とは、言い換えれば「仕事」です。 仕事があれば人が住み、人が住めばサービスが生まれ、街がさらに豊かになっていきます。 逆に、仕事のない地域には人は集まらず、どれだけ綺麗な物件を建てても空室リスクは高まります。 では、どうすれば地域に仕事が生まれるのでしょうか。 それは「商業」から始まります。小さなお店でも構いません。 飲食店、物販、サービス業…どんな形でも、まずは地域に根差した商業が増えることで、雇用が生まれ、人が集まり、街が動き出します。 私たちは賃貸管理という仕事をしているので、この当たり前の循環を忘れがちになりますが、この地域の発展の順番を邪魔してはいけないと考えています。 とある町の失敗 私は不動産業が、この失敗をしてしまった町をいくつか見たことがあります。 とある町で、地域の特色を活かしたお店が数件立ち並んでいました。 個人商店の集まりでしたが、物珍しさもあって町に活気が出てきました。 その地域が久々に脚光を浴びたその時でした。 エリアが栄えようとし始めた雰囲気を察知したとある不動産業者が、その周辺の一等地の土地を取りまとめて、アパートを建設していったのです。 そのアパートは埋まりました。 そうすると、二匹目のドジョウを狙い、様々な賃貸物件が周辺に次々と建設されました。 明るい兆しが見えていたその町は、あっという間にアパートが立ち並ぶ町となりました。 数件のお店が栄えていたのを見て、似たような商売をしようとした人たちのスペースは無くなってしまいました。 するとどうでしょう。 そのエリアの成長はストップしてしまいました。 風情ある街並みが普通の住宅地になってしまいました。 私はその不動産業者が悪いとは言えません。先見の明で取りまとめた結果ですからね。 ただ、少し時期尚早だった気がしています。 その通りがもっと栄えていたなら、もっとたくさんの人で賑わうエリアになったかもしれない。 そうなってからでも遅くはなかったような気がします。 結果、その通りでいくつかあったお店もいつしか活気が無くなり、残ってはいますが立ち並んだアパートも空室が増えてきたのです。 タラればですが、もう少しそのエリアが発展すれば、賃貸需要ももっと大きくなり、もっと価値が生まれていたのではないかと思います。 健全な発展とは? これは私のイメージですが、町の発展はこのような形になっていると思います。 中心街は商業で栄えており、人が多く集まります。 そして、その周辺に働く人や住みたいと思える人達が居住してくれる。 中心の商業地が大きければ大きいほど、周辺の居住地も自ずと大きくなっていくわけですね。 先ほどの失敗例では、その商業地を居住地として早くに手を付け過ぎた結果、商業が膨らみ切れなかったのです。 せっかく大きくなる可能性のあった円を小さく留めてしまいました。 その結果、居住地の円も小さくなってしまいました。 不動産業も商売ですから、利益を上げることは重要です。 しかし、不動産業は「地域の発展があってこそ」という視点を忘れてしまうと、いつかは自分たちの首を締めてしまうという点に注意をしなければならないと思います。 この中心の円が大きければ大きいほど、我々不動産業も恩恵を得ることが出来るのですからね。 我々の規模では、街づくりという大きなお仕事は難しいかもしれません。 それでも「町の発展は商業が先」というのは信じております。 最近はSNSやネットの力で、小規模なお店でも世界から人を呼ぶことが出来る環境が整いつつあります。 私たちに出来ることは、そういった方たちへのチャンスを作ること、邪魔をしないことじゃないかなと思います。 そういった方々が成功することで、ようやく我々不動産業は発展することが出来るのですから。





