
家賃滞納では「相手をやっつける」ことに意味はありません
賃貸管理を行う上で、最も深刻かつ労力のいる作業それが
「滞納督促」
本来払うべき家賃を期日までに支払わないこと。つまり家賃滞納ですが、非常に深刻な問題です。
物件のオーナーさんはよほどの資産がある場合を除き、一般的には銀行などから融資を受けて物件を購入されます。
家賃が入ってこないからといって返済は待ってもらえません。そうすると最悪の場合手出しということも起こり得ます。
また、物件を管理する管理会社にとっても深刻です。
様々な管理報酬の形態がありますが、多くの管理会社が採用している報酬が「月額回収家賃の〇%」
ということは家賃が回収されない以上、そのお部屋からの報酬も0となります。
このように深刻な家賃滞納ですが、最近はほとんど家賃保証会社加入が契約条件として必須になってきており、その対応件数は年々減ってきております。家賃保証会社の皆様本当にありがとうございます。感謝してもしきれません。
今では家賃が期日までに支払われない場合、システム等で家賃保証会社が自動的に立て替えていただけます。
最近では滞納督促などを行ったことのないオーナーさん、管理会社社員も増えてきたのではないでしょうか?
しかし、昔からの入居者で家賃保証会社に加入していない方など、未だに当社でも家賃滞納がチラホラとあるのも現実です。
そこで今回は滞納督促に強い私が行っている督促についての感覚や極意を少しご紹介いたします。
まず、滞納督促での実績についてですが、私はこれまで延べ数千件もの滞納督促を行ってきました。
そして法的対応まで至ったケースは現在まで0件です!
そうです、最終的には弁護士に依頼し、裁判所で判決をもらい、最悪の場合「強制執行」にてお部屋の明け渡しをしてもらうという法的対応
今までただの1件もありません。
一般的な滞納への対応は以下の通りです
①電話や書面での督促 ②訪問で督促 ③法的対応
ざっくりとこのような流れになります。詳しくはまた今後お話しすることもあるので、ここでは割愛いたします。
言うまでもありませんが、家賃滞納は初期対応が全てです。1か月程度の遅れであればすぐに回復することもできますが、正直3か月程度となると「長期滞納」という分類となり、難易度はグッと上がってしまいます。
今回はそんないわゆる「長期滞納」の対応について
ここでは滞納者という言葉を使いますが、ここでは・うっかり引落しを忘れていた・今月支払えなかったがなんとか翌月間に合った などの方は含まずに「本来払うべきことを理解しており、しかも3カ月以上滞っている方」と定義してお話しします。
この家賃3か月以上の滞納は民法や様々な管理会社の契約では、基本的には回収が難しく、弁護士などに依頼して法的な対応への移行となります。
要は「この位家賃滞納するということは事情などがあるにせよ、多少の悪意があり、家主との信頼関係はもう無いと判断する」ということです。
この状態では当社でも本来は法的対応に移行するとの契約となっておりますが、一旦法的対応へ移行すると物件のオーナーさんは2重苦、3重苦が待っています。
まず、弁護士へ依頼し(お金かかる)、訴訟準備を行い(お金かかる)、裁判する(お金かかる)、当然勝訴します。
がしかし、勝訴したから解決ではありません。勝訴してもお部屋を明け渡してもらわないと問題は解決しません。
裁判所がここまでやってくれたことは「こんなにひどい家賃滞納があるんだったら、賃貸借契約を解除してもいいよ」とのお墨付き程度なのです。
この「お墨付き」をもとに滞納者へ「裁判所がこう言ってるんだからお部屋明け渡してください」と言う権利を得るだけです。
それでもお部屋を明け渡してもらえない場合はどうするか?
最悪のいわゆる「強制執行」となります。この費用は弁護士費用や強制執行の方の日当など様々ケースバイケースですが、数十万から100万円を超えることも珍しくありません。
しかも相手は滞納している方です。本来はそういった費用も相手方に負担させるべきなのですが、家賃が払えない方がそのような費用を払えるはずもなく、多くは泣き寝入りとなってしまいます。
それでも、ずっと家賃を滞納されるよりはマシなのですから致し方ありません。
それでは、そうならないためにどうすれば良いのか?一度発生してしまった滞納へどのような心構えで臨めば最小限の痛手で済むのかを何度かに分けてご紹介していきます。
まず大前提「正論など役立たず」ということです。
これをしっかりと心に刻み込んでからがスタートなのです。
そもそも、家賃は「支払うべきもの」です。そんなことは誰しも知っており、当の滞納者も知っているのです。
それを当たり前のように「支払うべきなんだから払いなさい」といっても解決しないのです。
・契約書に書いてあるから ・払わないといけないものだから ・他の皆さん払ってる ・払ってもらわないと困る
そんなことは百も承知、それで払うのならここまで家賃滞納などしないのです。
ここで多くの管理会社やオーナーさんは心をバッキバキに折られます。のれんに腕押し、ぬかに釘、馬の耳に念仏なのです。
こういったケースで最悪な方法が「正論により滞納者を追い詰めるだけ」です。
「〇月〇日までに全額払わないと契約解除」 「連帯保証人へ請求する」 「職場へ報告する」 「弁護士へ依頼する」
などの対応もあればひどいものになれば「人としておかしい」 「当たり前のことも出来ないんですか」など言葉による圧力などがこれにあたります。
お気持ちは分かります。時に無茶苦茶な滞納理由を聞き、開き直る態度を見せられ、あまつさえこちらが悪いとの罵詈雑言を浴びることもあります。
しかし、我々のゴールはあくまで「滞納家賃の回収と法的対応への移行阻止」なのです。
そして当の滞納者のゴールもまた意外と「滞納家賃の完済と法的対応への移行阻止」なのです。
この本当はゴールが一緒であることを滞納者の方へ伝え、協力しながらゴールに向かう姿勢こそがスタートなのです。
長くなりましたので、一旦ここまでとします。
次回からは
「さあまずは状況調査」「家賃滞納者の思考回路」「家賃滞納者が本当に恐れるもの」について少しずつお話できればと思います。
