
暦(こよみ)の話
不動産の購入や売却、そして注文住宅の建築。
これらは人生の中でも指折りのビッグイベントですよね。
そんな大切な節目ですから、ご契約や物件の引き渡し(決済)の日取りを気にされるお客様は割と多いです。
私も打合せでよく「やっぱりお日柄の良い大安(たいあん)にしたいです!」というお声をいただきます。
そのお気持ち、すごくよく分かります。
一方、私はそこまで気にしません。
私が買主になる場合には、逆に職業柄というのか、その他の都合などを優先して考えてしまいます。
・売主さんが急いでいる
・仲介してくれた営業マンの締め日
・銀行さんや馴染みの司法書士さんのスケジュール
こういった利害関係者の方々の都合などを優先することが多いので、あまり大安や仏滅などは優先させないですね。
でも、自由に決められる状況であれば、やはり「大安」などを選んでしまいます。
一般的には「大安」や「仏滅」といった「六曜(ろくよう)」が有名ですが、実は不動産や建築の世界には、それとは別に「ちょっと気にした方がいいかもしれない日」が存在するのを皆さんはご存知でしょうか?
今日はそんな不動産特有の暦(こよみ)のお話です。
その名も「三隣亡(さんりんぼう)」

なんだか時代劇に出てきそうな名前ですが、これは暦注(れきちゅう)と呼ばれる、カレンダーに記載される日時や方位の吉凶占いの一つです。
…いや、字面が怖すぎませんか?
「三軒隣まで亡ぼす」・・・・なんだそれ・・・・
さて、ここからは解説ですね。
この「三隣亡」の日に、建築に関わること、例えば地鎮祭や上棟式(棟上げ)、あるいは不動産売買契約、決済などをすると、「自分の家だけでなく、向こう三軒両隣まで災いが及ぶ」と昔から言い伝えられてきました。
ちなみにこの三隣亡ですが、由来はハッキリとしたことは分かっていません。諸説ありというのが現状です。
昔は木造住宅が多く、火事などが起こると大変だったから、風の強い日を統計して三隣亡として設定した。とか色んな説はあるのですが、定説はありません。
私はこの「三隣亡」というインパクト大の字面が影響力を大きくしたんだろうな。とも思っています。
特に建築業界では、この日を避けて工事のスケジュールを組むことが慣例となっている地域も多いのです。
ハウスメーカーや大工さんなどで気にされる方は多い印象もあります。
反対に、お引越しの日で三隣亡を気にされることは、現代では無いというのが体感ですかね。
私自身は賃貸で気にすることはありませんが、不動産売買の引き渡しだけは三隣亡を避けてしまいます。
実は「良い日」だった説?

「そんな怖い日があるなら、絶対に避けなきゃ!」 そう思われるのも無理はありません。
しかし、ここからが面白いところなんです。
実はこの三隣亡、その由来を深く調べてみると、意外な説にたどり着きます。
江戸時代の古い書物には、現在の「三隣亡」ではなく「三輪宝(さんりんぽう)」と書かれているものがあるそうです。
字面からしてなんだかおめでたい感じがしますよね?
実際、そこには「屋普請(家を建てること)によし」=つまり「建築吉日」であると記されていたようなのです。
意味が正反対ですね・・・・・
それが、いつの時代か、誰かが「よし(良い)」を「あし(悪い)」と読み間違えて書き写してしまい、漢字も「宝」から「亡」へと変化して伝わってしまった……。
そして、「三輪宝」が「三隣亡」に変わり、その後定着したと
そんな「うっかりミス」が起源だという説も、かなり有力なんですよ。
「所詮はそんなもの」かもしれません
もしこの説が本当だとしたら、私たちは数百年もの間、昔の誰かの「書き間違い」や「勘違い」にビクビク振り回されていたことになります。
そう考えると、「三隣亡」という言葉の怖さも、なんだか少し可愛げのあるものに思えてきませんか?
もちろん、地域によっては今でも大切にされている風習ですし、「知らずに選んで後悔する」のは避けたいところです。
でも、もしスケジュール的にどうしてもその日しか空いていなかったとしても、「本当は『宝』の日だったかもしれないしな」と知っていれば、気の持ちようが全然違いますよね。
暦の情報はあくまで「参考程度」に知っておいていただき、最終的にはご自身が気持ちよくスタートできる日を選ぶ。
暦を大切にすることも憂いを失くすことに繋がるのですから、手法の一つです。
知ったうえで、自分自身が納得する方法を選ぶ!
これこそが、不動産で大事なことだと思うんです。
ちなみに、暦には十二直という建築に特化した別物もあるんです・・・・
それはまた別の機会にしましょうね、今日はもうお腹一杯です

